前期は最重要リスクとして「事業継続(BCP)」を取り上げていたが、今期は前期の「優先的に管理すべきリスク」5項目(情報セキュリティ等)の状況記載に置き換わり、当期の分類名も「経営重点リスク」に変更された。当期は「サイバーセキュリティ&情報漏洩防止」「グローバルマネジメント」「質・多様性を備えた人材確保と要員管理」「プラントトラブル」を重点とし、カーボンニュートラル戦略と戦略連携強化は重点指定から外れた。現下のリスク要因は米国通商政策から中東情勢に変わり、化学品規制リスクの記載も市場喪失・代替品開発遅延からレピュテーション低下中心に改められた。
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①前連結会計年度における最重要リスクの状況 前連結会計年度において設定した最重要リスク「事業継続(BCP)」については、全社の予算において各部門が具体的方策を策定し取り組み、全社横断的な目線での対応状況の検証、高度化を図ってまいりました。大規模な事故や自然災害等従来から認識しているBCPだけではなく、国際情勢における緊張の高まり、ESGに関する社会的要請、サイバーセキュリティ等、多岐にわたる事象を視野に入れ、グループ・グローバルでのレジリエンスの強化に努めました。 ■具体的な対応例 ・製品間でのグローバルな生産拠点の相互活用推進 ・国内外の物流会社・船会社との連携強化による物流ルートの複線化推進 ・DX技術を活用した輸送時のGHG排出・削減実績把握ツールの開発 ・国内外関係会社の情報システムセキュリティチェック結果に基づく脆弱性への対応強化 ・社内横断プロジェクトによる、内部からの情報持ち出しに対する強化策の導入 また、対応に遅れがある部門について、事業継続計画書の整備等具体的な改善に着手する等、グループ全体としてのマネジメントレベルの底上げに繋げることもできました。加えて、リスクが現実の危機として顕在化した際に迅速かつ適切に全社横断的な対応を講じダメージの抑制を図るべく、危機管理に関するルールのアップデートも実施しました。 ②当連結会計年度における全社重点リスク 当連結会計年度においては、上記①の最重要リスクへの対応状況も踏まえつつ、全社リスクレビューにより次のものを当社グループの全社重点リスクとして設定しております。 当社グループは、全社重点リスクについては、環境変化に柔軟に対処し、経営/戦略にタイムリーに反映させるべく、全社リスクレビューを定期的に実施し、影響度・発生確率も含め適宜更新してまいります。足下では、米国の通商政策の影響によるリスクも発生しておりますが、その影響に対しても全社視点での継続的なモニタリングを実施し、適宜必要な対応を取っています。 [全社重点リスク一覧] リスクカテゴリー 想定される脅威・機会 密接に関連するマテリアリティ 1)事業継続に関する リスク 事業継続(BCP)、サプライチェーンの分断、海外の有事、プラントトラブル 安定生産、住みよいまち、食の安心、健康とくらし、デジタルトランスフォーメー ション 2)製造・品質に関する リスク 安全・環境、品質マネジメント、化学品 規制 安全、安定生産、品質 3)コンプライアンスに 関するリスク コンプライアンス、法令・規制の強化・ 変更 コンプライアンス 4)技術革新に関する リスク 新事業の創出、技術革新 イノベーション、ライフサイクル全体を 意識した製品設計 5)気候変動に関する リスク カーボンニュートラル戦略の遂行(※) 気候変動、サーキュラーエコノミー、ライフサイクル全体を意識した製品設計 6)自然資本に関する リスク プラスチック問題、自然資本の保全 サーキュラーエコノミー、ライフサイクル全体を意識した製品設計 7)人権に関するリスク 人権尊重 人権尊重、パートナーシップ 8)事業基盤に関する リスク 人材マネジメント(※)、DE&I推進、ステークホルダーコミュニケーション 企業文化、人的資本、パートナーシップ 9)DXに関するリスク DX技術の活用、情報セキュリティ(※)、業務システムの更新 デジタルトランスフォーメーション、安定生産、ライフサイクル全体を意識した製品設計 10)経営管理・監督に 関するリスク 資本効率を意識した経営、経営資源配分、投資判断、M&A・事業譲渡 - 11)マクロ環境に関する リスク 市場における競争の激化、戦略連携の強化(※)、市場ニーズの変化、製品コストの上昇、グローバル展開(※) - (※)当連結会計年度において認識した優先的に管理すべきリスク。詳細は、後述「③当連結会計年度に認識した優先的に管理すべきリスク」ご参照。 [全社重点リスク概要] 1)事業継続に関するリスク リスク概要と対応 影響度 発生確率 [脅威] ・当社グループは、国内外で幅広く事業活動を展開しておりますが、大規模な災害・事故、地政学リスクの顕在化、感染症の発生・拡大、サイバー攻撃等に起因して、生産・販売・研究開発の停止・制限、サプライチェーンの分断等、事業活動の継続に重大な影響が発生する可能性があります。 大 低~中 [対応] ・当該リスクは、前連結会計年度の最重要リスクとして、全社で横断的な目線でリスクへの対応状況の検証を行い、各部門における具体的な方策に落とし込むことができました。また当連結会計年度において、「事業継続(BCP)」の構成要素でもある「情報セキュリティ」「グローバル化」及び「カーボンニュートラル戦略の遂行」を含む5つのリスクが特に重要性が高いリスクとして選定されたこと等を踏まえ、最重要リスクへの指定を見直しました。当該リスクに対しては、引き続き、海外危機管理体制の構築、各製品のサプライチェーンの全体像の把握、原料調達等の代替策の確保、準備、市場構造の変化により生じる事業機会への検討等個別に努めることで対応を図ってまいります。 2)製造・品質に関するリスク リスク概要と対応 影響度 発生確率 [脅威] ・当社グループは、国内外の拠点(工場)にて化学製品の製造を行っておりますが、運転・設備・工事・保全作業に起因するトラブル(事故、危険物の漏洩等)が発生する可能性があります。このようなトラブルが発生した場合は、労働災害のみならず、近隣地域に対しても被害を及ぼす恐れがあります。また、当社グループは、VISION 2030を推進する中で積極的にM&Aにも取り組みますが、安全管理レベルの異なる会社や事業が当社グループに新たに加わることに起因してトラブルが発生する可能性もあります。 ・製品の輸送・外部倉庫保管中の事故が発生する可能性もあります。特に危険性の高い製品に関する輸送中の事故は、近隣地域に与える被害も大きくなる恐れがあります。 ・化学品については、昨今、世界各国で用途制限物質の増加やそれに伴う代替品市場の拡大が進んでおりますが、当社製品に含まれる化学物質が規制対象となり、既存製品の生産・販売が不可能となることにより市場を喪失する、代替品の開発が遅れる、あるいは新材料調達等のためのコストが増大する等の可能性があります。 ・当社グループの製品の多くは最終消費財の原料として使用されておりますが、予期せぬ品質欠陥の発生や製造物責任訴訟の提起等の可能性があります。また、当社グループが、VISION 2030を推進しソリューション型ビジネスの拡大や新しい分野への参入を図る中で、品質保証に関する責任範囲の拡大も見込まれますが、その際に顧客製品の機能・性能に対する理解が不足し、顧客製品に不具合を発生させる可能性もあります。更には、M&Aにより当社グループに新たに加わった関係会社や事業における品質管理・保証体制の整備・運用状況に起因するトラブルが発生する可能性もあります。 [機会] ・一方で当該リスクについては、グループ・グローバルでの保安力の強化、設備・運転管理レベルの向上、トラブル撲滅による収益改善、代替物質開発による新製品の創出、適切な品質設計・品質保証による新製品の上市・シェア拡大への貢献等、当社グループの成長につながる可能性もあります。 大 低~中 [対応] ・当該リスクに対しては、次のとおり取り組んでまいります。 ⇒安全に関する社内啓蒙活動の徹底、高度なリスクアセスメント体制の構築・推進、関係会社への展開等によるグループ・グローバルでの保安力強化 ⇒安全監視/管理技術、設備診断技術、設備管理技術の高度化によるトラブル撲滅、機会ロス・固定費削減 ⇒規制される製品の特定/データ収集と社内共有の徹底、当社事業への影響評価/対応方針の策定・見直しの適切な実施、代替品の開発強化等による化学品規制への対応 ⇒新たな分野の品質ガイドラインの策定・運用、専門人材の確保・育成等による品質マネジメントの適切な運用 3)コンプライアンスに関するリスク リスク概要と対応 影響度 発生確率 [脅威] ・重大なコンプライアンス違反が発生した際には刑事罰や損害の発生に加え、レピュテーション低下等の可能性があります。また、コンプライアンスについては、新規事業への参入に伴う新たな法規制への対応や法規制の継続的な強化への対応も必要となります。 ・昨今では、主要国における経済安全保障確保に向けた動き、働き方改革法案等各種制度の強化等、事業活動に影響を及ぼす法令・規制に変化の動きが見られますが、必要な法規制に適切に対応できず、各国当局からの訴追、取引機会喪失、社会実装遅延による負担増につながる可能性もあります。 [機会] ・一方で、当該リスクについては、規制変化への適切・迅速な対応による事業基盤の優位性向上等、当社グループの成長につながる可能性もあります。 大 低 [対応] ・当該リスクに対しては、次のとおり取り組んでまいります。 ⇒グループコンプライアンス施策の計画的推進、教育・啓蒙活動の強化、「三井化学グローバル・ポリシープラットフォーム(M-GRIP)」(※)を活用したグローバル・ポリシーの浸透等によるコンプライアンス意識の改善 (※)グローバルに関係会社のガバナンスを強化し、ベストプラクティスを共有するためのプラットホーム。 ⇒官公庁、業界団体等からの情報収集と社内共有、新たな法令・規制への対応策の確実な実行等、規制変化への適切かつ迅速な対応等による事業基盤の優位性向上 4)技術革新に関するリスク リスク概要と対応 影響度 発生確率 [脅威] ・昨今では、市場の複雑化・多様化、事業領域の曖昧化が進み、当社グループの既存アセットだけでは対応できない潜在領域も拡大する等、当社が事業展開を行う各国/地域特有のニーズ・習慣・市場構造変化を踏まえた対応の重要性が高まっております。このような状況に適切に対応できず、継続的な新事業の創出が進まない場合、競争劣位に陥り、成長の機会を逸する可能性があります。 ・また、革新的な新技術が勃興し、市場環境に変化が起きた際に、当社グループの技術優位性が失われ、製品が陳腐化し競争力を失う可能性もあります。 [機会] ・一方で当該リスクについては、変化するニーズに対応した新製品開発による新たなビジネスチャンスの創出、グローバルなソリューション型ビジネスの進展、開発体制の適切な構築による新事業パイプラインの充実化・継続的な新事業の創出等、当社グループの成長につながる可能性もあります。 大 中 [対応] ・当該リスクに対しては、次のとおり取り組んでまいります。 ⇒社内外連携(他社、アカデミア、当社新事業開発センター等)の強化、領域をまたぐ事業開発体制の構築、コーポレート研究の事業化、目指す市場・地域での事業開発拠点整備、地域発のビジネスアイディアの発掘等によるグローバルでの新事業創出 ⇒中長期的な技術開発計画の策定・見直し、部門間連携プロジェクトを活用した開発体制の強化等による技術革新 5)気候変動に関するリスク リスク概要と対応 影響度 発生確率 [脅威] ・2015年のパリ協定の採択を契機として、脱炭素社会実現への取り組みが世界規模で活発化しており、世界各国におけるカーボンプライシング制度導入の進展、国内におけるGX(グリーントランスフォーメーション)政策の進展等、GHG排出量削減への社会的要請が高まっております。多くの化石燃料・エネルギーを使用しGHGを排出する当社グループにおいても、カーボンニュートラルに向けた施策を進めておりますが、GHG排出削減計画の遅延によるレピュテーションの低下、カーボンプライシングや低炭素原燃料確保の困難化に伴うコストの増加、Blue Value®・Rose Value®製品の開発が遅れることによる製品付加価値の低下・販売の伸び悩み等の可能性があります。 [機会] ・一方で当該リスクについては、社会の脱炭素化に貢献する新規事業創出による企業成長、GHG排出量削減による当社グループのカーボンコストの低減、低炭素・脱炭素の製品提供による顧客のカーボンコストの低減、適応製品の開発・提供を通じた新たな市場ニーズの獲得等、当社グループの成長につながる可能性もあります。また、付加価値の高いBlue Value®・Rose Value®製品・サービスを拡大することで、環境・社会に貢献するとともに当社グループの収益性の向上につながる可能性もあります。 大 中 [対応] ・当該リスクに対しては、次のとおり取り組んでまいります。 ⇒低炭素原燃料への転換、高エネルギー効率機器の導入等による省エネ、再生可能エネルギーの導入、CCUS等カーボンネガティブ技術の開発・導入、バイオマス品・リサイクル品の開発、Blue Value®・Rose Value®製品・サービスの拡大、カーボンプライシングに伴うコストの低減等カーボンニュートラル戦略に関する各施策の適切な推進 6)自然資本に関するリスク リスク概要と対応 影響度 発生確率 [脅威] ・プラスチックは広範な用途に用いられる素材として、生活の利便性向上や社会課題の解決に貢献してきましたが、昨今では、資源の枯渇、海洋に流出したプラスチックごみによる環境汚染等の社会課題が深刻化しており、循環型社会への転換が求められております。化学製品の製造・販売を行う当社グループは、この問題に真摯に向き合い、資源の効率的な利用や再生可能資源の活用として、バイオマス原料への転換、バイオマス製品群の拡充やリサイクルの推進等の施策を進め、循環型社会への貢献を目指しておりますが、プラスチックバッシングの増大や各施策の対応が遅れることによるレピュテーションの低下、バイオマス原料・廃プラスチック等の原料調達困難化によるコスト増加等の可能性があります。 ・昨今では、自然資本の保全・回復に対する社会的要請も高まっております。当社グループにおいても水資源及び生物多様性の保全に関する基本的な考え方を制定し、製造プロセスにおける効率的な水資源の利用や水環境の保全・適正管理、化学製品のライフサイクル全体における生物多様性への悪影響の最小化に努めておりますが、これらの対応が遅れることによるレピュテーションの低下や、水資源価格の高騰によるコスト増加等の可能性があります。 [機会] ・一方で当該リスクについては、リサイクル技術の向上、製品の高付加価値化、原料・製品の調達・供給のサークル構築等資源循環に関する業界リーダーポジションの確保、水問題に資するビジネスの開発・構築等、当社グループの成長につながる可能性もあります。 中~大 低 [対応] ・当該リスクに対しては、次のとおり取り組んでまいります。 ⇒AEPW(Alliance To End Plastic Waste)やCLOMA(クリーン・オーシャン・マテリアル・アライアンス)等業界を超えた連携への参加によるグローバルでの課題の最新動向の把握、リサイクル量/比率の定義・目標設定、リサイクル技術の向上やリサイクル価値を訴求する製品戦略等によるプラスチック問題に関する業界リーダーポジションの確保 ⇒水セキュリティに対する取り組みの深化、水問題や生物多様性の保全に資するビジネスの開発・構築、TNFD(自然関連財務情報開示タスクフォース)、CDP(Carbon Disclosure Project)他への開示対応等を通じた、グループ全体での自然資本の保全・回復に対する意識の向上 7)人権に関するリスク リスク概要と対応 影響度 発生確率 [脅威] ・昨今では、企業活動における人権尊重に対する社会的要請が高まっており、バリューチェーンを巡って生じ得る様々な人権リスクに適切に対処することが企業に求められております。当社グループも、企業活動における人権の尊重は、事業展開を行っていく上で基本となる事項と認識し、「すべての人を大切にする」という視点を持ちバリューチェーン全体を通じて正しいビジネスを追求しております。しかしながら、人権リスク管理体制の構築・運用が不十分であり、人権上問題のある調達・購買、不適切な労働環境等がバリューチェーン上に存在することが発覚した場合、レピュテーションの低下ひいては企業価値を毀損する可能性があります。 [機会] ・一方で当該リスクについては、人権尊重の取り組み推進によるステークホルダーからの信頼獲得等、当社グループの成長につながる可能性もあります。 大 低 [対応] ・当該リスクに対しては、次のとおり取り組んでまいります。 ⇒人権デュー・ディリジェンスの実施、苦情処理メカニズムの構築等、バリューチェーン全体を通じた人権リスクへの対応体制整備による人権リスクの低減 8)事業基盤に関するリスク リスク概要と対応 影響度 発生確率 [脅威] ・当社グループが今後も事業を継続し成長して行くためには、適切な人材の確保は不可欠です。当社グループでは、必要な人材を確保の上、会社・従業員ともに成長できるよう経営戦略に連動した人材戦略を推進しておりますが、生産労働人口の減少、人材流動化に加え、特定領域における人材ニーズの高まり等により、必要な人材を採用・確保できず、成長戦略が実行できない可能性があります。 ・また、昨今では、多様な人材が互いに尊重し合い力を発揮できる、多様性が包摂された組織に対する社会的要請が高まっております。当社グループでは、社会的責任を果たすためだけではなく、当社グループの持続可能な成長のためにもダイバーシティを推進しておりますが、目標未達成によるレピュテーションの低下、採用競争力の低下やエンゲージメントの低下等の可能性があります。 ・企業活動は、様々なステークホルダーからの理解の下成り立っておりますが、昨今は、ステークホルダーからの評価基準も多様化しており、情報開示が不十分である、あるいは、当社への認知・共感が進まないことによる当社への評価の低減ひいては企業価値の毀損の可能性があります。 [機会] ・一方で当該リスクについては、人材獲得による企業文化の変革、組織の活性化、ステークホルダーの意見も踏まえた経営の実現等、当社グループの成長につながる可能性もあります。 大 低~中 [対応] ・当該リスクに対しては、次のとおり取り組んでまいります。 ⇒グループ人材の活用促進、リスキル、イノベーター人材・特定の分野の人材が活躍できる社内制度の構築等による新たな人材の獲得・企業文化の変革 ⇒女性活躍推進のための方策のブラッシュアップ、グループ全体での障害者雇用の促進、性的マイノリティ社員に対する制度の適用拡大・必要な環境整備等による組織の活性化 ⇒情報開示、主要機関投資家との対話活動の充実等による株主意見の経営への適切な反映、ステークホルダーに対する持続的成長・企業価値創造ストーリーの訴求、財務と非財務を統合した経営の推進等による企業価値の向上 9)DXに関するリスク リスク概要と対応 影響度 発生確率 [脅威] ・昨今では、デジタル技術の進化により、ビジネスにおける様々な側面で変化のスピードが高まっております。他業界での新たなビジネスモデルにより既存ビジネスが破壊される事例が発生する等、デジタル技術の導入・活用は事業の継続・成長に不可欠な要素となっておりますが、対応が遅れ、業務変革や開発力の強化が進まない可能性があります。 ・また、アプリケーションの高度化・専門化によるシステムトラブルの増大に加え、サイバー攻撃も激化しておりますが、情報システムセキュリティの構築が不十分な場合、情報システムが機能不全に陥る、あるいは社内からの情報漏洩が発生する等業績や信用にダメージを与える可能性があります。 ・当社グループは、VISION 2030の基本戦略として「DXを通じた企業変革」を掲げており、それを支えるIT・データ基盤の整備・強化が急務となっております。企業に対する要請が多様化する中、現行の業務システムの使用を継続する場合、新たに対応すべき業務に関する工数の増加やヒューマンエラーの発生等により効率化が実現しない可能性があります。 [機会] ・一方で当該リスクについては、最適なデジタル技術の活用による開発力強化、生産性向上、生成AI等の新規技術の積極的活用による業務効率化・生産性向上の実現、業務システム更新による経営効率の向上等、当社グループの成長につながる可能性もあります。 中~大 低~中 [対応] ・当該リスクに対しては、次のとおり取り組んでまいります。 ⇒当社グループのDXロードマップ維持・更新、グループ内DX技術交流の実施による各分野の最新動向・実践状況の共有、GPT等重要技術活用に関する全社ガイドラインの制定・遵守等によるDXへの組織適応力向上、競争優位の実現 ⇒デジタル技術の活用による業務の見直し、効率化、生産・技術力の向上 ⇒サイバー攻撃に対する防御体制の構築、インターネットトレーサビリティの向上、AIに関する内容を含む、DX教育による従業員の意識の向上と学習機会の設置・社則の周知徹底等による情報システムセキュリティの強化 ⇒新たな業務システム導入の推進による経営効率の向上 10)経営管理・監督に関するリスク リスク概要と対応 影響度 発生確率 [脅威] ・当社グループは、VISION 2030 において、当社グループが目指す未来社会である「環境と調和した循環型社会」、「健康・安心にくらせる快適社会」、「多様な価値を生み出す包摂社会」の実現に向けて、従来の素材提供型ビジネスからの転換を図るとともに、強靭な経営基盤・事業基盤を構築し、企業変革の加速に努めておりますが、必要な経営資源の確保、配分及び成長に向けた投資を適切に実行できず、事業の育成・拡大が遅延し、経営目標が未達となる可能性があります。また、タイムリーな投資の意思決定ができず成長の機会を逸する可能性もあります。 ・近年は、資本コストを意識した経営が強く求められており、当社グループにおいてもROIC経営を浸透させるべく、社員一人一人の投下資本の回収に対する意識を強め、資本収益性の向上を図っておりますが、単なるKPI管理に終始する等施策の徹底が不十分となり、意図した結果が得られない可能性があります。 ・当社グループの各事業領域においては、M&Aや事業再編の動きが活発化してきており、案件の増加、規模の拡大及びデュー・ディリジェンスの対応範囲の拡大が見込まれますが、適切な人材を十分に育成・確保できず、成長機会を逸するあるいは、M&Aで取得した会社や事業の瑕疵、PMIの不調等により業績への悪影響が発生する可能性もあります。 [機会] ・一方で当該リスクについては、適切な経営資源の確保・配分による経営目標の実現、タイムリーな投資の実行による競争優位の実現、社員一人一人の意識変革による資本収益性の向上等、当社グループの成長につながる可能性もあります。 大 低~中 [対応] ・当該リスクに対しては、次のとおり取り組んでまいります。 ⇒成長率、資本効率性に基づく事業分類によるポートフォリオ変革の加速 ⇒重点事業分野への集中的な資源投下、重点課題明確化による経営効率の向上、資本効率の低い事業/関係会社の早急な再構築推進 ⇒ROIC経営浸透に向けた教育の充実、投下資本削減によるROICの向上 ⇒M&Aに関する知見・情報の全社的な共有・展開、関連人材の育成・獲得、PMI実施・サポート体制の充実化等によるM&Aシナジーの最大化 11)マクロ環境に関するリスク リスク概要と対応 影響度 発生確率 [脅威] ・当社グループの事業は、顧客、市場、提携先や業界全体の動向、競合他社の事業展開等外部環境の影響を受ける恐れがあり、これらの外部環境の影響により、当社グループの事業戦略の前提となった事実が変化した場合には、事業戦略が予定どおり進まず、期待したとおりの効果を奏せず、又はそれらの変更を余儀なくされる可能性があります。 ・製品については、価値観やライフスタイルの変化、技術革新等による顧客ニーズや市場構造の変化、競合他社の能力拡大や品質・性能向上による価格競争の激化、原材料や物流等のコスト増加、金利・為替相場の変動による収益の悪化等の可能性があります。 ・また、当社グループは、国内外で幅広く事業活動を展開しておりますが、各国/地域毎にニーズやペインの多様化が進んでおり、グローバルな市場環境に合わせた対応ができず、海外で競争劣位となり、成長機会を失う可能性もあります。 ・昨今では、国内競合を中心とした業界の再編機運も高まりを見せておりますが、対応が後手に回る場合、当社のプレゼンス低下や競争劣位に陥る可能性があります。 [機会] ・一方で、当該リスクについては、地域・他社との連携拡大を通じた資本効率の高い事業への転換、新たな市場に対応する素材や機能・サービスの提供による事業の優位性の強化、各地域の市場環境へのタイムリーな対応によるグローバルな事業成長の実現等、当社グループの成長につながる可能性もあります。 大 低~中 [対応] ・当該リスクに対しては、次のとおり取り組んでまいります。 ⇒差別化製品・高機能/環境型製品の市場投入、新規市場の開拓、知的財産への取り組み強化等による市場競争力の維持・向上 ⇒当社製品の付加価値向上・価格転嫁、原材料の安価調達、最適な稼働調整による原料・製品在庫管理の徹底、設備投資額の精査・最小化等による製品競争力の強化 ⇒環境変化を捉えた、他社連携も含む当社の取り得るオプションの検討等による資本効率の改善 ⇒グランドデザインに基づく具体的な地域戦略の策定、ローカル人材の育成、国/地域発のビジネスアイディアの発掘による事業発信力強化、地域に即した事業企画、製品開発の創出力強化等による各地域の市場環境にタイムリーに対応したグローバルな事業成長の実現 ③当連結会計年度に認識した優先的に管理すべきリスク 当連結会計年度においては、全社リスクレビューにより、上述②のとおり設定した全社重点リスクを更に財務・非財務、リスク管理の時間軸の観点から整理・分類し、次の5つを当社グループが優先的に管理すべきリスクとして選定しました。また、各リスクにリスクオーナーを選定し、それぞれが担当するリスクにつき、全社俯瞰的なリスク管理状況の可視化を図り、必要に応じて関係領域への助言を行うとともに、リスクマネジメント委員会への報告を行う運用とします。リスクオーナーがそれぞれの担当するリスクに関して、各リスクマネジメントオーナーのリスク管理方針を束ね、会社としての均一性や統一性を持たせることで管理の効率化とより高い成果の実現を目指します。 全社重点リスク カテゴリー リスク及び想定される事象 リスクオーナー (サブオーナー) 5)気候変動に 関するリスク ・リスク:カーボンニュートラル戦略の遂行 ・想定される事象 [脅威]GHG排出削減計画の遅延によるレピュテーション低下、カーボンプライシングに伴うコスト増、Blue Value®、Rose Value®製品・サービスの開発・販売の伸び悩みで価値訴求未達 [機会]低GHGの新規事業創出による企業成長とカーボンニュートラルの両立、GHG排出量削減によるカーボンコスト増加影響の抑制 生産・技術本部及び グリーンケミカル事業推進室管掌社長特別 補佐 (生産・技術本部担当役付執行役員/研究開発本部担当役付執行 役員) [対応] 次のカーボンニュートラル戦略に関する各施策の適切な推進 ・低炭素原燃料への転換 ・高エネルギー効率機器の導入等による省エネ ・再生可能エネルギーの導入 ・CCUS等カーボンネガティブ技術の開発・導入 ・バイオマス品、リサイクル品の開発 ・Blue Value®・Rose Value®製品・サービスの拡大 ・カーボンプライシングに伴うコストの低減 等 全社重点リスク カテゴリー リスク及び想定される事象 リスクオーナー (サブオーナー) 8)事業基盤に 関するリスク ・リスク:人材マネジメント ・想定される事象 [脅威]必要な人材を採用・確保できず成長戦略が実行できない [機会]新たな人材の獲得と活用による、企業文化の変革の実現 人事部・グローバル人材部担当役付執行役員 (CTO(※)/生産・技術本部及びグリーン ケミカル事業推進室 管掌社長特別補佐) [対応] ・計画的な定期・キャリア採用の継続 ・グループ人材の活用促進(女性、シニア、国内外直採)、リスキル ・定年後再雇用制度の見直し ・イノベーター人材・特定分野の人材が活躍できる社内制度の構築 ・業務効率化、改善 (※)Chief Technology Officer 全社重点リスク カテゴリー リスク及び想定される事象 リスクオーナー (サブオーナー) 9)DXに関する リスク ・リスク:情報セキュリティ ・想定される事象 [脅威]サイバー攻撃や社内のアクセス管理不備等に起因する情報漏洩により、業績や信用に大きなダメージ発生 総務・法務部 担当役付執行役員 (情報システム統括部担当役付執行役員) [対応] ・内外環境変化に対応した会社情報管理体制の強化・社則整備 ・牽制含む予防体制の構築、発生時の迅速な原因究明と対抗策の策定 ・情報保管と持ち出し手段の適切な管理 ・セキュリティ意識の向上と学習機会の設置、社則内容の周知徹底 全社重点リスク カテゴリー リスク及び想定される事象 リスクオーナー (サブオーナー) 11)マクロ環境に 関するリスク ・リスク:戦略連携の強化 ・想定される事象 [脅威]国内競合を中心に機運の高まりを見せる業界再編への対応の重要性が高まる [機会]地域・他社との連携拡大を含む業界再編の動きへの的確な対応を通じた資本効率の高い事業への転換 経営企画部 担当役付執行役員 (ベーシック&グリーンマテリアルズ事業本部担当役付執行役員) [対応] 環境変化を捉えた、他社連携も含む当社の取り得るオプションの検討等による資本効率の改善 全社重点リスク カテゴリー リスク及び想定される事象 リスクオーナー (サブオーナー) 11)マクロ環境に 関するリスク ・リスク:グローバル展開 ・想定される事象 [脅威]各国/地域毎のニーズ/ペインの多様化に合わせた対応を取れないことによる、海外での競争劣位、成長機会の喪失 [機会]各地域の市場環境へのタイムリーな対応によるグローバルな事業成長の実現 地域戦略推進部担当 役付執行役員 (経営企画部担当 役付執行役員) [対応] 次の取り組み等による、地域に即した事業企画、製品開発の創出力強化及び各地域の市場環境にタイムリーに対応したグローバルな事業成長の実現 ・地域戦略グランドデザインの策定 ・グローバルコミュニケーション体制の構築 ・ローカル人材の育成 ・国/地域発のビジネスアイディアの発掘による事業発信力強化 <全社重点リスク分類表> 財務 ●資本効率を意識した経営 ●サプライチェーンの分断 ●製品コストの上昇 ●市場における競争の激化 ●事業継続(BCP) ●M&A、事業譲渡 ●経営資源配分 ●戦略連携の強化(※) ●市場ニーズの変化 ●新事業の創出 ●投資判断 非財務 ●海外の有事 ●プラントトラブル ●品質マネジメント ●情報セキュリティ(※) ●法令・規制の強化、変更 ●化学品規制 ●安全・環境 ●コンプライアンス ●DX技術の活用 ●技術革新 ●業務システムの更新 ●ステークホルダーコミュニ ケーション ●グローバル展開(※) ●人材マネジメント(※) ●カーボンニュートラル戦略の 遂行(※) ●プラスチック問題 ●DE&I推進 ●人権尊重 ●自然資本の保全 ← 短期的リスク → ← 中長期的リスク → (※)優先的に管理すべきリスク 上記5つの優先的に管理すべきリスクは、対応の緊急性が高いものだけではなく、当社グループ理念あるいは長期経営計画「VISION 2030」達成のため、長期的な視点で今の時点から重点的な対応が必要と判断したリスクも含みます。例えば「情報セキュリティ」リスクは、緊急性が高く当社グループの存続を脅かすリスクと認識している一方で、「カーボンニュートラル戦略の遂行」リスクは企業グループ理念にも直結するマテリアリティとして、VISION 2030の実現に不可欠な「機会」を的確にとらえるため、今の時点から注力していく必要があると考え取り上げました。いずれのリスクも当社の単独部門のみで対処せず複数部門が関わりグループ一丸となって管理すべきリスクと考えています。 リスクマネジメント委員会において5つのリスク特性をとらえた管理手法を議論した結果、特に「情報セキュリティ」リスクは、緊急性が高く全社横断的な取組みの効率的な可視化が必要であるため、2025年度の全社各部の予算書においてその具体的方策を策定の上、達成状況をリスクマネジメント委員会が確認することとしています。その他の4つのリスクについても、個別事業戦略ないし機能戦略の責任者である役付執行役員をリスクオーナーにも指名することで、戦略と一体となったリスク管理に取り組んでまいります。①前連結会計年度における優先的に管理すべきリスクの状況 前連結会計年度においては、「情報セキュリティ」「グローバル展開」「人材マネジメント」「戦略連携の強化」「カーボンニュートラル戦略の遂行」の5つを優先的に管理すべきリスクとして設定し、その中でも「情報セキュリティ」については、昨今の企業に対するサイバー攻撃の状況に鑑み、その影響の大きさ、緊急性の高さを考慮の上、全社横断的な取り組みの効率的な可視化が必要と判断し、全社各部の予算書においてその具体的方策を策定し取り組んでまいりました。 「情報セキュリティ」の状況 「情報セキュリティ」については、情報管理体制の一層の強化を目的として改定された会社情報管理ルールの内容の浸透と定着等を含む具体的方策を全社の予算において、地域関係会社を含む各部門がそれぞれ策定し取り組みました。 ■具体的な対応例 ・サイバー攻撃による情報流出を想定した日常の訓練・情報漏洩に関して牽制を強化し、漏洩防止を図るため就業規則を改訂 ・社内横断プロジェクトを推進し、内部からの情報漏洩に対する強化策の定着化を推進するとともに、外部攻撃に対するセキュリティ対策導入範囲を拡大 会社情報の外部漏洩防止のため、規則とツールの両輪で情報セキュリティに対する意識向上や仕組み構築を図りましたが、サイバー攻撃への対応の更なる強化に取り組むため、当該情報セキュリティについては、後述のとおり当連結会計年度においても経営重点リスク「サイバーセキュリティ&情報漏洩防止」として、全社横断的管理のより一層の強化に努めてまいります(詳細は後述「③当連結会計年度に認識した経営重点リスク」ご参照)。 その他、以下の4つのリスクについて、各リスクの全社施策の実行責任者であるリスクオーナーの管理・統括のもと、下記のとおり取り組みを実施しました。 「グローバル展開」の状況 当社グループが志向するグローバルスペシャリティカンパニーとなるべく、地域特性を捉えた事業実現に向け地域戦略グランドデザインを策定し、地域別基本戦略を提示したほか、グローバルコミュニケーションやローカル人材の育成のための制度の討議を進めました。市場環境、技術革新、サプライチェーンなど複数のリスク要因が連関しており、重点的に取り組む必要があると認識していることから、当連結会計年度においても経営重点リスク「グローバルマネジメント」として引き続き全社横断で取り組んでまいります(詳細は後述「③当連結会計年度に認識した経営重点リスク」ご参照)。 「人材マネジメント」 成長戦略の推進を支える人材ポートフォリオの実現に向け、計画的な定期・キャリア採用を継続し、人材確保に努めた他、定年後再雇用制度や社宅制度の見直し等の諸施策の推進を図りました。各施策の具体化と高度化への取り組みが引き続き重要と認識しており、当連結会計年度においても経営重点リスク「質・多様性を備えた人材確保と要員管理」として改めて全社として取り組んでまいります(詳細は後述「③当連結会計年度に認識した経営重点リスク」ご参照)。 「戦略連携の強化」 国内で機運の高まる業界再編に的確に対応するべく、経営企画部担当役付執行役員およびベーシック&グリーンマテリアルズ事業本部担当役付執行役員のもとで定期情報共有会議を開催し、各プロジェクトの進捗の可視化とプロジェクト間の連携・整合を図ってまいりました。自社で進められる再構築についての目途がついたことや、ナフサクラッカーの再編も、東日本・西日本における連携が基本合意に達することができたこともあり、当連結会計年度においては、経営重点リスクとしては指定せず、全社重点リスクとして引き続き連携強化を推進してまいります。 「カーボンニュートラル戦略の遂行」 世界で導入が進むGX-ETS制度等に的確に対応するべく、全社最適で各施策の遂行、保留を判断してまいりました。また、全社連携が必要な施策が増えたことから、全社横断的機能の強化に向けた体制を設定し、連携を図ることとしました。バイオマス製品については、他社との協働も進めてまいりました。これらの取り組みに加え、「戦略連携の強化」にもあるとおり、ナフサクラッカー再編に関する東日本・西日本における連携なども進捗しており、2030年度の目標である、GHG40%削減(2013年度比)の実現にも目途がついたことから、当連結会計年度においては、経営重点リスクには指定せず、全社重点リスクとして各リスクマネジメントオーナーがそれぞれの所掌領域において引き続き改善に取り組んでまいります。 ②当連結会計年度における全社重点リスク 当連結会計年度においては、上記①の優先的に管理すべきリスクへの対応状況も踏まえつつ、全社リスクレビューにより次のものを当社グループの全社重点リスクとして設定しております。 当社グループは、全社重点リスクについては、環境変化に柔軟に対処し、経営/戦略にタイムリーに反映させるべく、全社リスクレビューを定期的に実施し、影響度・発生確率も含め適宜更新してまいります。足下では、中東情勢の影響によるリスクも発生しており、その影響に対しても全社視点での継続的なモニタリングを実施し、必要な対応を適宜取っております。 [全社重点リスク一覧] リスクカテゴリー 想定される脅威・機会 密接に関連するマテリアリティ 1)事業継続に関する リスク 事業継続(自然災害、有事)、サプライチェーン分断、地政学リスク、プラントトラブル(※) 安定生産、住みよいまち、食の安心、健康とくらし、デジタルトランスフォーメー ション 2)製造・品質に関する リスク 安全・環境、品質マネジメント、化学品 規制の強化 安全、安定生産、品質 3)コンプライアンスに 関するリスク コンプライアンス、法令・規制の強化・ 変更 コンプライアンス 4)技術革新に関する リスク 新事業の創出、技術革新 イノベーション、ライフサイクル全体を 意識した製品設計 5)気候変動に関する リスク カーボンニュートラル戦略の遂行 気候変動、サーキュラーエコノミー、ライフサイクル全体を意識した製品設計 6)自然資本に関する リスク プラスチック問題、自然資本の保全 サーキュラーエコノミー、ライフサイクル全体を意識した製品設計 7)人権に関するリスク 人権尊重 人権尊重、パートナーシップ 8)事業基盤に関する リスク 質・多様性を備えた人材確保と要員管理(※)、DE&I推進、ステークホルダーコミュニケーション 企業文化、人的資本、パートナーシップ 9)DXに関するリスク DXとAI技術の活用、サイバーセキュリティ&情報漏洩防止(※)、業務システム安定化・活用 デジタルトランスフォーメーション、安定生産、ライフサイクル全体を意識した製品設計 10)経営管理・監督に 関するリスク 資本効率を意識した経営、経営資源配分、投資判断、M&A・事業譲渡 - 11)マクロ環境に関する リスク 市場における競争の激化、戦略連携の強化、市場ニーズの変化、製品コストの上昇、グローバルマネジメント(※) - (※)当連結会計年度において認識した経営重点リスク。詳細は、後述「③当連結会計年度に認識した経営重点リスク」ご参照。 [全社重点リスク概要] 1)事業継続に関するリスク リスク概要と対応 影響度 発生確率 [脅威] ・当社グループは、国内外で幅広く事業活動を展開しておりますが、大規模な災害・事故、地政学リスクの顕在化、感染症の発生・拡大、サイバー攻撃等に起因して、生産・販売・研究開発の停止・制限、サプライチェーンの分断等、事業活動の継続に重大な影響が発生する可能性があります。 [機会] ・一方で、当該リスクについては、需要・サプライチェーンの変化に起因するビジネスチャンスを取り込む等当社グループの成長につながる可能性もあります。 大 低~中 [対応] ・当該リスクに対しては、次のとおり取り組んでまいります。 ⇒海外安全管理規則および海外安全管理要領の全面改正・周知 ⇒各製品のサプライチェーンの全体像の把握、原料調達等の代替策の確保、準備、市場構造の変化により生じる事業機会への検討 ⇒事業部・製造部門一体となったトラブル未然防止対策の立案・実行 2)製造・品質に関するリスク リスク概要と対応 影響度 発生確率 [脅威] ・当社グループは、国内外の拠点(工場)にて化学製品の製造を行っておりますが、運転・設備・工事・保全作業に起因するトラブル(事故、危険物の漏洩等)が発生する可能性があります。このようなトラブルが発生した場合は、労働災害のみならず、近隣地域に対しても被害を及ぼす恐れがあります。また、当社グループは、VISION 2030を推進する中で積極的にM&Aにも取り組みますが、安全管理レベルの異なる会社や事業が当社グループに新たに加わることに起因してトラブルが発生する可能性もあります。 ・製品の輸送・外部倉庫保管中の事故が発生する可能性もあります。特に危険性の高い製品に関する輸送中の事故は、近隣地域に与える被害も大きくなる恐れがあります。 ・化学品については、昨今、世界各国で用途制限物質の増加やそれに伴う代替品市場の拡大が進んでおりますが、当社製品に含まれる化学物質が規制対象となり、既存製品の生産・販売が不可能となることによる市場におけるレピュテーションの低下、あるいは、新材料調達等のためのコスト増大の可能性があります。 ・当社グループの製品の多くは最終消費財の原料として使用されておりますが、予期せぬ品質欠陥の発生や製造物責任訴訟の提起等の可能性があります。また、当社グループが、VISION 2030を推進しソリューション型ビジネスの拡大やリサイクル材等新しい分野への参入を図る中で、品質保証に関する責任範囲の拡大も見込まれますが、その際に顧客製品の機能・性能に対する理解が不足し、顧客製品に不具合を発生させる可能性もあります。更には、M&Aにより当社グループに新たに加わった関係会社や事業における品質管理・保証体制の整備・運用状況に起因するトラブルが発生する可能性もあります。 ・上述のとおり、運転、輸送、保管等に起因するトラブルや、品質に関する問題が発生した場合には、レピュテーション低下につながる可能性も想定されます。 [機会] ・一方で、当該リスクについては、グループ・グローバルでの保安力の強化、設備・運転管理レベルの向上、トラブル撲滅による収益改善、代替物質開発による新製品の創出、適切な品質設計・品質保証による新製品の上市・シェア拡大への貢献等、当社グループの成長につながる可能性もあります。 大 低~中 [対応] ・当該リスクに対しては、次のとおり取り組んでまいります。 ⇒安全に関する社内啓蒙活動の徹底、高度なリスクアセスメント体制の構築・推進、関係会社への展開等によるグループ・グローバルでの保安力強化 ⇒安全監視/管理技術、設備診断技術、設備管理技術の高度化によるトラブル撲滅、機会ロス・固定費削減 ⇒規制される製品の特定/データ収集と社内共有の徹底、当社事業への影響評価/対応方針の策定・見直しの適切な実施、代替品の開発強化等による化学品規制への対応 ⇒リサイクル材等の新たな分野における品質ガイドラインの策定・運用、専門人材の確保・育成等による品質マネジメントの適切な運用 3)コンプライアンスに関するリスク リスク概要と対応 影響度 発生確率 [脅威] ・重大なコンプライアンス違反が発生した際には刑事罰や損害の発生に加え、レピュテーション低下等の可能性があります。また、コンプライアンスについては、当社にとって新規領域への参入に伴う新たな法規制への対応や法規制の継続的な対応強化の他、新たに加わったグループ関係会社への対応も必要となります。 ・昨今では、主要国における経済安全保障確保に向けた動き、働き方改革法案等各種制度の強化等、事業活動に影響を及ぼす法令・規制に変化の動きが見られますが、必要な法規制に適切に対応できず、各国当局からの訴追、取引機会喪失、社会実装遅延による負担増につながる可能性もあります。 [機会] ・一方で、当該リスクについては、規制変化への適切・迅速な対応による事業基盤の優位性向上等、当社グループの成長につながる可能性もあります。 大 低 [対応] ・当該リスクに対しては、次のとおり取り組んでまいります。 ⇒グループコンプライアンス施策の計画的推進および施策の定期的な見直し、教育・違反事例共有等の啓蒙活動強化、「三井化学グローバル・ポリシープラットフォーム(M-GRIP)」(※)を活用したグローバル・ポリシーの浸透等によるコンプライアンス意識の改善 (※)グローバルに関係会社のガバナンスを強化し、ベストプラクティスを共有するためのプラットホーム。 ⇒官公庁、業界団体等からの情報収集と社内共有、新たな法令・規制への対応策の確実な実行等、規制変化への適切かつ迅速な対応等による事業基盤の優位性向上 4)技術革新に関するリスク リスク概要と対応 影響度 発生確率 [脅威] ・昨今では、市場の複雑化・多様化、事業領域の曖昧化が進み、当社グループの既存アセットだけでは対応できない潜在領域も拡大する他、世界的な商品・サービスのAI化・機械化による生産性・需要変化、当社が事業展開を行う各国/地域特有のニーズ・習慣・市場構造変化等を踏まえた対応の重要性が高まっております。このような状況に適切に対応できず、継続的な新事業の創出が進まない場合、競争劣位に陥り、成長の機会を逸する可能性があります。 ・また、革新的な新技術が勃興し、市場環境に変化が起きた際に、当社グループの技術優位性が失われ、製品が陳腐化し競争力を失う可能性もあります。 [機会] ・一方で、当該リスクについては、変化するニーズに対応した新製品開発による新たなビジネスチャンスの創出および市場の獲得グローバルなソリューション型ビジネスの進展、開発体制の適切な構築による新事業パイプラインの充実化・継続的な新事業の創出等、当社グループの成長につながる可能性もあります。 大 中 [対応] ・当該リスクに対しては、次のとおり取り組んでまいります。 ⇒社内外連携(他社、アカデミア、当社新事業開発センター等)の強化、領域をまたぐ事業開発体制の構築、コーポレート研究の事業化、目指す市場・地域での事業開発拠点整備、地域発のビジネスアイディアの発掘等によるグローバルでの新事業創出 ⇒中長期的な技術開発計画の策定・見直し、部門間連携プロジェクトを活用した開発体制の強化等による技術革新 5)気候変動に関するリスク リスク概要と対応 影響度 発生確率 [脅威] ・2015年のパリ協定の採択を契機として、脱炭素社会実現への取り組みが世界規模で活発化しており、世界各国におけるカーボンプライシング制度導入の進展、国内におけるGX-ETSを始めとするGX(グリーントランスフォーメーション)政策の進展等、GHG排出量削減への社会的要請が高まっております。多くの化石燃料・エネルギーを使用しGHGを排出する当社グループにおいても、カーボンニュートラルに向けた施策を進めておりますが、GHG排出削減計画の遅延によるレピュテーションの低下、カーボンプライシングや低炭素原燃料確保の困難化に伴うコストの増加、Blue Value®・Rose Value®製品の開発が遅れることによる製品付加価値の低下・販売の伸び悩み等の可能性があります。 [機会] ・一方で、当該リスクについては、社会の脱炭素化に貢献する新規事業創出による企業成長、GHG排出量削減による当社グループのカーボンコストの低減、低炭素・脱炭素の製品提供による顧客のカーボンコストの低減、適応製品の開発・提供を通じた新たな市場ニーズの獲得等、当社グループの成長につながる可能性もあります。また、付加価値の高いBlue Value®・Rose Value®製品・サービスを拡大することで、環境・社会に貢献するとともに当社グループの収益性の向上につながる可能性もあります。さらに、技術開発をカーボンニュ―トラル戦略と連携して進めることで、カーボンニュートラルを前倒しで達成し、企業価値を向上する可能性があります。 大 中 [対応] ・当該リスクに対しては、次のとおり取り組んでまいります。 ⇒低炭素原燃料への転換、高エネルギー効率機器の導入等による省エネ、再生可能エネルギーの導入、CCUS等カーボンネガティブ技術の開発・導入、バイオマス品・リサイクル品の開発、Blue Value®・Rose Value®製品・サービスの拡大、カーボンプライシングに伴うコストの低減等カーボンニュートラル戦略に関する各施策の適切な推進 6)自然資本に関するリスク リスク概要と対応 影響度 発生確率 [脅威] ・プラスチックは広範な用途に用いられる素材として、生活の利便性向上や社会課題の解決に貢献してきましたが、昨今では、資源の枯渇、海洋に流出したプラスチックごみによる環境汚染等の社会課題が深刻化しており、循環型社会への転換が求められております。化学製品の製造・販売を行う当社グループは、この問題に真摯に向き合い、資源の効率的な利用や再生可能資源の活用として、バイオマス原料への転換、バイオマス製品群の拡充やリサイクルの推進等の施策を進め、循環型社会への貢献を目指しておりますが、プラスチックバッシングの増大や各施策の対応が遅れることによるレピュテーションの低下、バイオマス原料・廃プラスチック等の原料調達困難化によるコスト増加等の可能性があります。 ・昨今では、自然資本の保全・回復に対する社会的要請も高まっております。当社グループにおいても水資源および生物多様性の保全に関する基本的な考え方を制定し、製造プロセスにおける効率的な水資源の利用や水環境の保全・適正管理、化学製品のライフサイクル全体における生物多様性への悪影響の最小化に努めておりますが、これらの対応が遅れることによるレピュテーションの低下や、水資源価格の高騰によるコスト増加等の可能性があります。 [機会] ・一方で当該リスクについては、リサイクル技術の向上、製品の高付加価値化、原料・製品の調達・供給のサークル構築等資源循環に関する業界リーダーポジションの確保、水問題に資するビジネスの開発・構築等、当社グループの成長につながる可能性もあります。 中~大 低 [対応] ・当該リスクに対しては、次のとおり取り組んでまいります。 ⇒CLOMA(クリーン・オーシャン・マテリアル・アライアンス)等業界を超えた連携への参加によるグローバルでの課題の最新動向の把握、リサイクル量/比率の定義・目標設定、リサイクル技術の向上やリサイクル価値を訴求する製品戦略等によるプラスチック問題に関する業界リーダーポジションの確保 ⇒水セキュリティに対する取り組みの深化、水問題や生物多様性の保全に資するビジネスの開発・構築、CSRD(企業サステナビリティ報告指令)、CDP(Carbon Disclosure Project)他への開示対応等を通じた、グループ全体での自然資本の保全・回復に対する意識の向上 7)人権に関するリスク リスク概要と対応 影響度 発生確率 [脅威] ・昨今では、企業活動における人権尊重に対する社会的要請が高まりや、AI使用増加に伴う誤判断・情報漏洩等による人権侵害の可能性、バリューチェーンを巡って生じ得る様々な人権リスクに適切に対処することが企業に求められております。当社グループも、企業活動における人権の尊重は、事業展開を行っていく上で基本となる事項と認識し、「すべての人を大切にする」という視点を持ちバリューチェーン全体を通じて正しいビジネスを追求しております。しかしながら、人権リスク管理体制の構築・運用が不十分であり、人権上問題のある調達・購買、不適切な労働環境等がバリューチェーン上に存在することが発覚した場合、レピュテーションの低下ひいては企業価値を毀損する可能性があります。 [機会] ・一方で当該リスクについては、人権尊重の取り組み推進によるステークホルダーからの信頼獲得等、当社グループの成長につながる可能性もあります。 大 低 [対応] ・当該リスクに対しては、次のとおり取り組んでまいります。 ⇒人権デュー・ディリジェンスの実施、苦情処理メカニズムの構築等、バリューチェーン全体を通じた人権リスクへの対応体制整備による人権リスクの低減 8)事業基盤に関するリスク リスク概要と対応 影響度 発生確率 [脅威] ・当社グループが今後も事業を継続し成長して行くためには、適切な人材の確保は不可欠です。当社グループでは、必要な人材を確保の上、会社・従業員ともに成長できるよう経営戦略に連動した人材戦略を推進しておりますが、生産労働人口の減少、人材流動化に加え、特定領域における人材ニーズの高まり等により、必要な人材を採用・確保できず、成長戦略が実行できない可能性があります。 ・また、昨今では、多様な人材が互いに尊重し合い力を発揮できる、多様性が包摂された組織に対する社会的要請が高まっております。当社グループでは、社会的責任を果たすためだけではなく、当社グループの持続可能な成長のためにもダイバーシティを推進しておりますが、目標未達成によるレピュテーションの低下、採用競争力の低下やエンゲージメントの低下等の可能性があります。 ・企業活動は、様々なステークホルダーからの理解のもとで成り立っておりますが、昨今は、ステークホルダーからの評価基準も多様化しており、情報開示が不十分である、あるいは、当社への認知・共感が進まないことによる当社への評価の低減ひいては企業価値の毀損の可能性があります。 [機会] ・一方、当該リスクについては、人材獲得による、成長戦略の加速、企業文化の変革、組織の活性化、ステークホルダーの意見も踏まえた経営の実現等、当社グループの成長につながる可能性もあります。また、当社存在意義への共感、帰属意識の向上、グループ求心力の強化等により社員のエンゲージメント向上の可能性もあります。 大 低~中 [対応] ・当該リスクに対しては、次のとおり取り組んでまいります。 ⇒グループ人材の活用促進、リスキル、イノベーター人材・アントレプレナー人材・特定の分野の人材が活躍できる社内制度の構築等による新たな人材の獲得・企業文化の変革 ⇒女性活躍推進のための方策のブラッシュアップ、グループ全体での障害者雇用の促進、性的マイノリティ社員に対する制度の適用拡大・必要な環境整備等による組織の活性化 ⇒情報開示、主要機関投資家との対話活動の充実等による株主意見の経営への適切な反映、ステークホルダーに対する持続的成長・企業価値創造ストーリーの訴求、財務と非財務を統合した経営の推進等による企業価値の向上 9)DXに関するリスク リスク概要と対応 影響度 発生確率 [脅威] ・昨今では、デジタル技術およびAIの進化により、ビジネスにおける様々な側面で変化のスピードが高まっております。他業界での新たなビジネスモデルにより既存ビジネスが破壊される事例が発生する等、デジタル技術およびAIの導入・活用は事業の継続・成長に不可欠な要素となっておりますが、対応が遅れ、業務変革や開発力の強化が進まない可能性があります。 ・また、アプリケーションの高度化・専門化によるシステムトラブルの増大に加え、サイバー攻撃も激化しておりますが、情報システムセキュリティの構築が不十分な場合、情報システムが機能不全に陥る、あるいは社内からの情報漏洩が発生する等業績や信用にダメージを与える可能性があります。 ・当社グループは、VISION 2030の基本戦略として「DXを通じた企業変革」を掲げており、それを支えるIT・データ基盤の整備・強化が急務となっております。企業に対する要請が多様化する中、現行の業務システムの使用を継続する場合、新たに対応すべき業務に関する工数の増加やヒューマンエラーの発生等により効率化が実現しない可能性があります。 [機会] ・一方で、当該リスクについては、最適なデジタル技術、AIの活用による開発力強化、生産性向上、生成AI等の新規技術の積極的活用による業務効率化・生産性向上の実現、業務システムの安定化・活用による経営効率の向上等、当社グループの成長につながる可能性もあります。 また、効果的なデジタルマーケティングにより、顧客への的確なソリューション提案が可能となり当社が事業機会を獲得する可能性もあります。 中~大 低~中 [対応] ・当該リスクに対しては、次のとおり取り組んでまいります。 ⇒当社グループのDXロードマップ維持・更新、グループ内DX技術交流の実施による各分野の最新動向・実践状況の共有、生成AI等の重要技術活用に関する全社ガイドラインの制定・遵守等によるDXへの組織適応力向上、競争優位の実現 ⇒DXとAI技術の活用による業務の見直し、効率化、生産・技術力の向上 ⇒サイバー攻撃に対する防御体制の構築、インターネットトレーサビリティの向上、AIに関する内容を含む、DX教育による従業員の意識の向上と学習機会の設置・社則の周知徹底等による情報システムセキュリティの強化 ⇒新たな業務システム導入の推進および活用による経営効率の向上 10)経営管理・監督に関するリスク リスク概要と対応 影響度 発生確率 [脅威] ・当社グループは、VISION 2030 において、当社グループが目指す未来社会である「環境と調和した循環型社会」、「健康・安心にくらせる快適社会」、「多様な価値を生み出す包摂社会」の実現に向けて、従来の素材提供型ビジネスからの転換を図るとともに、強靭な経営基盤・事業基盤を構築し、企業変革の加速に努めておりますが、必要な経営資源の確保、配分および成長に向けた投資を適切に実行できず、事業の育成・拡大が遅延し、経営目標が未達となる可能性があります。また、タイムリーな投資の意思決定ができず成長の機会を逸する可能性もあります。 ・近年は、資本コストを意識した経営が強く求められており、当社グループにおいてもROIC経営を浸透させるべく、社員一人一人の投下資本の回収に対する意識を強め、資本収益性の向上を図っておりますが、単なるKPI管理に終始する等施策の徹底が不十分となり、意図した結果が得られない可能性があります。 ・当社グループの各事業領域においては、M&Aや事業再編の動きが活発化してきており、案件の増加、規模の拡大およびデュー・ディリジェンスの対応範囲の拡大が見込まれますが、適切な人材を十分に育成・確保できず、成長機会を逸するあるいは、M&Aで取得した会社や事業の瑕疵、PMIの不調等により業績への悪影響が発生する可能性もあります。 [機会] ・一方で、当該リスクについては、適切な経営資源の確保・配分やM&AおよびPMIの推進による経営目標の実現、タイムリーな投資の実行による競争優位の実現、社員一人一人の意識変革による資本収益性の向上等、当社グループの成長につながる可能性もあります。 大 低~中 [対応] ・当該リスクに対しては、次のとおり取り組んでまいります。 ⇒成長率、資本効率性に基づく事業分類によるポートフォリオ変革の加速 ⇒重点事業分野への集中的な資源投下、重点課題明確化による経営効率の向上、資本効率の低い事業/関係会社の早急な再構築推進 ⇒ROIC経営浸透に向けた教育の充実、投下資本削減によるROICの向上 ⇒M&Aに関する知見・情報の全社的な共有・展開、関連人材の育成・獲得、PMI実施・サポート体制の充実化等によるM&Aシナジーの最大化 11)マクロ環境に関するリスク リスク概要と対応 影響度 発生確率 [脅威] ・当社グループの事業は、顧客、市場、提携先や業界全体の動向、競合他社の事業展開等外部環境の影響を受ける恐れがあり、これらの外部環境の影響により、当社グループの事業戦略の前提となった事実が変化した場合には、事業戦略が予定どおり進まず、期待したとおりの効果を奏せず、又はそれらの変更を余儀なくされる可能性があります。 ・製品については、価値観やライフスタイルの変化、技術革新等による顧客ニーズや市場構造の変化、競合他社の能力拡大や品質・性能向上による価格競争の激化、原材料や物流等のコスト増加、金利・為替相場の変動による収益の悪化等の可能性があります。 ・また、当社グループは、国内外で幅広く事業活動を展開しておりますが、地政学的・経済的分断が進行しているとともに各国/地域毎にニーズの多様化が進んでおり、グローバルな市場環境に合わせた対応ができず、海外で競争劣位となり、成長機会を失う可能性もあります。 ・国内を中心とした業界再編の機運も加速している他、石化を取り巻く事業環境も激変しており、対応が後手に回ってしまった場合、当社のプレゼンス低下や競争劣位に陥る可能性があります。 [機会] ・一方で、当該リスクについては、地域・他社との連携拡大を通じた資本効率の高い事業への転換、新たな市場に対応する素材や機能・サービスの提供による事業の優位性の強化、各地域の市場環境へのタイムリーな対応によるグローバルな事業成長の実現、競合他社との統合・再編を主導することによる経済安全保障上の責任も果たしうる持続的な事業基盤の構築等当社グループの成長につながる可能性もあります。 大 低~中 [対応] ・当該リスクに対しては、次のとおり取り組んでまいります。 ⇒差別化製品・高機能/環境型製品の市場投入、新規市場の開拓、現地生産の加速、知的財産への取り組み強化等による市場競争力の維持・向上 ⇒当社製品の付加価値向上・価格転嫁、原材料の安価調達、最適な稼働調整による原料・製品在庫管理の徹底、設備投資額の精査・最小化等による製品競争力の強化 ⇒業界再編に向けた連携パートナー候補の選定と具体的協議への着手 ⇒ローカル人材の育成、国/地域発のビジネスアイディアの発掘による事業発信力強化、地域に即した事業企画、製品開発の創出力強化等による各地域の市場環境にタイムリーに対応したグローバルな事業成長の実現 ③当連結会計年度に認識した経営重点リスク 当連結会計年度においては、全社リスクレビューにより、上述②のとおり設定した全社重点リスクを更に財務・非財務、リスク管理の時間軸の観点から整理・分類し、次の4つを当社グループの経営重点リスクとして選定しました。 全社重点リスク カテゴリー リスク及び想定される事象 リスクオーナー 1)事業継続に 関するリスク ・リスク:プラントトラブル ・想定される事象 [脅威] トラブルによる生産停止、近隣地域に対する事故被害や環境汚染対応による損害、報道による市場でのレピュテーション低下 生産・技術本部担当 役付執行役員 [対応] ・生産・技術本部、事業本部、関係機能部門一体となった組織、文化、人材育成、安全保安管理に関わる現場力強化施策の立案と実行(プロセス起因のトラブルの未然防止) ・事業本部と一体となったハードとソフト両面対策および設備メーカーとの連携強化による保全・エンジニアリング力強化策の立案と実行(設備起因のトラブルの未然防止) ・トラブル時に発生する原料・製品の機会損失低減策の立案・実行 全社重点リスク カテゴリー リスク及び想定される事象 リスクオーナー 8)事業基盤に 関するリスク ・リスク:質・多様性を備えた人材確保と要員管理 ・想定される事象 [脅威] ・必要な人材を採用・確保できず成長戦略が実行できない ・事業ポートフォリオ転換に伴う必要人員数の変化に対処できず、当社グループの成長の妨げになる可能性 [機会] 新たな人材の獲得と活用による、企業文化の変革の実現 人事部・グローバル 人材部担当 役付執行役員 [対応] ・多様な人材プールの形成と活躍に資する制度整備 ・全社人材育成委員会の運用改定によるキータレント育成配置の拡大 全社重点リスク カテゴリー リスク及び想定される事象 リスクオーナー 9)DXに関する リスク ・リスク:サイバーセキュリティ&情報漏洩防止 ・想定される事象 [脅威] ・操業停止による顧客離脱、受注停止および信用失墜による長期的損失 ・個人情報保護法、高圧ガス保安法など行政罰・指導 ・サプライチェ―ンへの攻撃を原因とする調達停止 ・取引先からのセキュリティ対応要求 情報システム統括部 担当役付執行役員 (CDO※) [対応] ・情報保護ツールを用いた情報管理の徹底(情報漏洩防止) ・セキュリティ意識の向上と学習機会の設置 ・脅威監視と対応サービスの高度化によるインシデント対応力の強化 ※Chief Digital Officer 全社重点リスク カテゴリー リスク及び想定される事象 リスクオーナー 11)マクロ環境に 関するリスク ・リスク:グローバルマネジメント ・想定される事象 [脅威] 各国/地域毎のニーズの多様化や市場競争の変化に合わせた対応を取れないことによる、海外での競争劣位、成長機会の喪失 [機会] 各地域の市場環境へのタイムリーな対応によるグローバルな事業成長の実現、成長領域における中長期の収益性および競争力の確保 地域戦略推進部担当 役付執行役員 [対応] ・地域別売上収益の経営計画システムへの組み込み ・地域戦略の推進 ・グローバルR&D拠点のあり方に関する全体設計 ・各地域におけるキータレントマネジメントの運営体制整備を始めとする地域戦略を実行する人材の確保・育成 <全社重点リスク分類表> 財務 ●資本効率を意識した経営 ●サプライチェーン分断 ●製品コストの上昇 ●市場における競争の激化 ●事業継続(自然災害、有事) ●M&A、事業譲渡 ●経営資源配分 ●戦略連携の強化 ●市場ニーズの変化 ●新事業の創出 ●投資判断 非財務 ●地政学リスク ●プラントトラブル(※) ●品質マネジメント ●サイバーセキュリティ&情報漏洩防止(※) ●法令・規制の強化、変更 ●化学品規制の強化 ●安全・環境 ●コンプライアンス ●DXとAI技術の活用 ●技術革新 ●業務システム安定化・活用 ●ステークホルダーコミュニ ケーション ●グローバルマネジメント(※) ●質・多様性を備えた 人材確保と要員管理(※) ●カーボンニュートラル戦略の 遂行 ●プラスチック問題 ●DE&I推進 ●人権尊重 ●自然資本の保全 ← 短期的リスク → ← 中長期的リスク → (※)経営重点リスク 上記4つの経営重点リスクは、対応の緊急性が高いものだけではなく、当社グループ理念あるいは長期経営計画「VISION 2030」達成のため、中長期的な視点で重点的な対応が必要と判断したリスクも含みます。いずれのリスクも当社の単独部門のみで対処せず複数部門が関わりグループ一丸となって管理すべきリスクという観点で選定しています。 リスクマネジメント委員会において4つのリスク特性をとらえた管理手法を議論した結果、どのリスクも全社横断的な取組みが必要であるため、リスクオーナーは全社視点であるべき姿と経営に与える影響、主要課題と対策、対策ごとの責任者、モニタリング手法、リスクタイトル等を2026年度の予算に組み込み、進捗状況をリスクマネジメント委員会が確認する運用とします。当該運用により戦略と一体となったリスク管理に取り組んでまいります。
前年
①前連結会計年度における最重要リスクの状況 前連結会計年度において設定した最重要リスク「事業継続(BCP)」については、全社の予算において各部門が具体的方策を策定し取り組み、全社横断的な目線での対応状況の検証、高度化を図ってまいりました。大規模な事故や自然災害等従来から認識しているBCPだけではなく、国際情勢における緊張の高まり、ESGに関する社会的要請、サイバーセキュリティ等、多岐にわたる事象を視野に入れ、グループ・グローバルでのレジリエンスの強化に努めました。 ■具体的な対応例 ・製品間でのグローバルな生産拠点の相互活用推進 ・国内外の物流会社・船会社との連携強化による物流ルートの複線化推進 ・DX技術を活用した輸送時のGHG排出・削減実績把握ツールの開発 ・国内外関係会社の情報システムセキュリティチェック結果に基づく脆弱性への対応強化 ・社内横断プロジェクトによる、内部からの情報持ち出しに対する強化策の導入 また、対応に遅れがある部門について、事業継続計画書の整備等具体的な改善に着手する等、グループ全体としてのマネジメントレベルの底上げに繋げることもできました。加えて、リスクが現実の危機として顕在化した際に迅速かつ適切に全社横断的な対応を講じダメージの抑制を図るべく、危機管理に関するルールのアップデートも実施しました。 ②当連結会計年度における全社重点リスク 当連結会計年度においては、上記①の最重要リスクへの対応状況も踏まえつつ、全社リスクレビューにより次のものを当社グループの全社重点リスクとして設定しております。 当社グループは、全社重点リスクについては、環境変化に柔軟に対処し、経営/戦略にタイムリーに反映させるべく、全社リスクレビューを定期的に実施し、影響度・発生確率も含め適宜更新してまいります。足下では、米国の通商政策の影響によるリスクも発生しておりますが、その影響に対しても全社視点での継続的なモニタリングを実施し、適宜必要な対応を取っています。 [全社重点リスク一覧] リスクカテゴリー 想定される脅威・機会 密接に関連するマテリアリティ 1)事業継続に関する リスク 事業継続(BCP)、サプライチェーンの分断、海外の有事、プラントトラブル 安定生産、住みよいまち、食の安心、健康とくらし、デジタルトランスフォーメー ション 2)製造・品質に関する リスク 安全・環境、品質マネジメント、化学品 規制 安全、安定生産、品質 3)コンプライアンスに 関するリスク コンプライアンス、法令・規制の強化・ 変更 コンプライアンス 4)技術革新に関する リスク 新事業の創出、技術革新 イノベーション、ライフサイクル全体を 意識した製品設計 5)気候変動に関する リスク カーボンニュートラル戦略の遂行(※) 気候変動、サーキュラーエコノミー、ライフサイクル全体を意識した製品設計 6)自然資本に関する リスク プラスチック問題、自然資本の保全 サーキュラーエコノミー、ライフサイクル全体を意識した製品設計 7)人権に関するリスク 人権尊重 人権尊重、パートナーシップ 8)事業基盤に関する リスク 人材マネジメント(※)、DE&I推進、ステークホルダーコミュニケーション 企業文化、人的資本、パートナーシップ 9)DXに関するリスク DX技術の活用、情報セキュリティ(※)、業務システムの更新 デジタルトランスフォーメーション、安定生産、ライフサイクル全体を意識した製品設計 10)経営管理・監督に 関するリスク 資本効率を意識した経営、経営資源配分、投資判断、M&A・事業譲渡 - 11)マクロ環境に関する リスク 市場における競争の激化、戦略連携の強化(※)、市場ニーズの変化、製品コストの上昇、グローバル展開(※) - (※)当連結会計年度において認識した優先的に管理すべきリスク。詳細は、後述「③当連結会計年度に認識した優先的に管理すべきリスク」ご参照。 [全社重点リスク概要] 1)事業継続に関するリスク リスク概要と対応 影響度 発生確率 [脅威] ・当社グループは、国内外で幅広く事業活動を展開しておりますが、大規模な災害・事故、地政学リスクの顕在化、感染症の発生・拡大、サイバー攻撃等に起因して、生産・販売・研究開発の停止・制限、サプライチェーンの分断等、事業活動の継続に重大な影響が発生する可能性があります。 大 低~中 [対応] ・当該リスクは、前連結会計年度の最重要リスクとして、全社で横断的な目線でリスクへの対応状況の検証を行い、各部門における具体的な方策に落とし込むことができました。また当連結会計年度において、「事業継続(BCP)」の構成要素でもある「情報セキュリティ」「グローバル化」及び「カーボンニュートラル戦略の遂行」を含む5つのリスクが特に重要性が高いリスクとして選定されたこと等を踏まえ、最重要リスクへの指定を見直しました。当該リスクに対しては、引き続き、海外危機管理体制の構築、各製品のサプライチェーンの全体像の把握、原料調達等の代替策の確保、準備、市場構造の変化により生じる事業機会への検討等個別に努めることで対応を図ってまいります。 2)製造・品質に関するリスク リスク概要と対応 影響度 発生確率 [脅威] ・当社グループは、国内外の拠点(工場)にて化学製品の製造を行っておりますが、運転・設備・工事・保全作業に起因するトラブル(事故、危険物の漏洩等)が発生する可能性があります。このようなトラブルが発生した場合は、労働災害のみならず、近隣地域に対しても被害を及ぼす恐れがあります。また、当社グループは、VISION 2030を推進する中で積極的にM&Aにも取り組みますが、安全管理レベルの異なる会社や事業が当社グループに新たに加わることに起因してトラブルが発生する可能性もあります。 ・製品の輸送・外部倉庫保管中の事故が発生する可能性もあります。特に危険性の高い製品に関する輸送中の事故は、近隣地域に与える被害も大きくなる恐れがあります。 ・化学品については、昨今、世界各国で用途制限物質の増加やそれに伴う代替品市場の拡大が進んでおりますが、当社製品に含まれる化学物質が規制対象となり、既存製品の生産・販売が不可能となることにより市場を喪失する、代替品の開発が遅れる、あるいは新材料調達等のためのコストが増大する等の可能性があります。 ・当社グループの製品の多くは最終消費財の原料として使用されておりますが、予期せぬ品質欠陥の発生や製造物責任訴訟の提起等の可能性があります。また、当社グループが、VISION 2030を推進しソリューション型ビジネスの拡大や新しい分野への参入を図る中で、品質保証に関する責任範囲の拡大も見込まれますが、その際に顧客製品の機能・性能に対する理解が不足し、顧客製品に不具合を発生させる可能性もあります。更には、M&Aにより当社グループに新たに加わった関係会社や事業における品質管理・保証体制の整備・運用状況に起因するトラブルが発生する可能性もあります。 [機会] ・一方で当該リスクについては、グループ・グローバルでの保安力の強化、設備・運転管理レベルの向上、トラブル撲滅による収益改善、代替物質開発による新製品の創出、適切な品質設計・品質保証による新製品の上市・シェア拡大への貢献等、当社グループの成長につながる可能性もあります。 大 低~中 [対応] ・当該リスクに対しては、次のとおり取り組んでまいります。 ⇒安全に関する社内啓蒙活動の徹底、高度なリスクアセスメント体制の構築・推進、関係会社への展開等によるグループ・グローバルでの保安力強化 ⇒安全監視/管理技術、設備診断技術、設備管理技術の高度化によるトラブル撲滅、機会ロス・固定費削減 ⇒規制される製品の特定/データ収集と社内共有の徹底、当社事業への影響評価/対応方針の策定・見直しの適切な実施、代替品の開発強化等による化学品規制への対応 ⇒新たな分野の品質ガイドラインの策定・運用、専門人材の確保・育成等による品質マネジメントの適切な運用 3)コンプライアンスに関するリスク リスク概要と対応 影響度 発生確率 [脅威] ・重大なコンプライアンス違反が発生した際には刑事罰や損害の発生に加え、レピュテーション低下等の可能性があります。また、コンプライアンスについては、新規事業への参入に伴う新たな法規制への対応や法規制の継続的な強化への対応も必要となります。 ・昨今では、主要国における経済安全保障確保に向けた動き、働き方改革法案等各種制度の強化等、事業活動に影響を及ぼす法令・規制に変化の動きが見られますが、必要な法規制に適切に対応できず、各国当局からの訴追、取引機会喪失、社会実装遅延による負担増につながる可能性もあります。 [機会] ・一方で、当該リスクについては、規制変化への適切・迅速な対応による事業基盤の優位性向上等、当社グループの成長につながる可能性もあります。 大 低 [対応] ・当該リスクに対しては、次のとおり取り組んでまいります。 ⇒グループコンプライアンス施策の計画的推進、教育・啓蒙活動の強化、「三井化学グローバル・ポリシープラットフォーム(M-GRIP)」(※)を活用したグローバル・ポリシーの浸透等によるコンプライアンス意識の改善 (※)グローバルに関係会社のガバナンスを強化し、ベストプラクティスを共有するためのプラットホーム。 ⇒官公庁、業界団体等からの情報収集と社内共有、新たな法令・規制への対応策の確実な実行等、規制変化への適切かつ迅速な対応等による事業基盤の優位性向上 4)技術革新に関するリスク リスク概要と対応 影響度 発生確率 [脅威] ・昨今では、市場の複雑化・多様化、事業領域の曖昧化が進み、当社グループの既存アセットだけでは対応できない潜在領域も拡大する等、当社が事業展開を行う各国/地域特有のニーズ・習慣・市場構造変化を踏まえた対応の重要性が高まっております。このような状況に適切に対応できず、継続的な新事業の創出が進まない場合、競争劣位に陥り、成長の機会を逸する可能性があります。 ・また、革新的な新技術が勃興し、市場環境に変化が起きた際に、当社グループの技術優位性が失われ、製品が陳腐化し競争力を失う可能性もあります。 [機会] ・一方で当該リスクについては、変化するニーズに対応した新製品開発による新たなビジネスチャンスの創出、グローバルなソリューション型ビジネスの進展、開発体制の適切な構築による新事業パイプラインの充実化・継続的な新事業の創出等、当社グループの成長につながる可能性もあります。 大 中 [対応] ・当該リスクに対しては、次のとおり取り組んでまいります。 ⇒社内外連携(他社、アカデミア、当社新事業開発センター等)の強化、領域をまたぐ事業開発体制の構築、コーポレート研究の事業化、目指す市場・地域での事業開発拠点整備、地域発のビジネスアイディアの発掘等によるグローバルでの新事業創出 ⇒中長期的な技術開発計画の策定・見直し、部門間連携プロジェクトを活用した開発体制の強化等による技術革新 5)気候変動に関するリスク リスク概要と対応 影響度 発生確率 [脅威] ・2015年のパリ協定の採択を契機として、脱炭素社会実現への取り組みが世界規模で活発化しており、世界各国におけるカーボンプライシング制度導入の進展、国内におけるGX(グリーントランスフォーメーション)政策の進展等、GHG排出量削減への社会的要請が高まっております。多くの化石燃料・エネルギーを使用しGHGを排出する当社グループにおいても、カーボンニュートラルに向けた施策を進めておりますが、GHG排出削減計画の遅延によるレピュテーションの低下、カーボンプライシングや低炭素原燃料確保の困難化に伴うコストの増加、Blue Value®・Rose Value®製品の開発が遅れることによる製品付加価値の低下・販売の伸び悩み等の可能性があります。 [機会] ・一方で当該リスクについては、社会の脱炭素化に貢献する新規事業創出による企業成長、GHG排出量削減による当社グループのカーボンコストの低減、低炭素・脱炭素の製品提供による顧客のカーボンコストの低減、適応製品の開発・提供を通じた新たな市場ニーズの獲得等、当社グループの成長につながる可能性もあります。また、付加価値の高いBlue Value®・Rose Value®製品・サービスを拡大することで、環境・社会に貢献するとともに当社グループの収益性の向上につながる可能性もあります。 大 中 [対応] ・当該リスクに対しては、次のとおり取り組んでまいります。 ⇒低炭素原燃料への転換、高エネルギー効率機器の導入等による省エネ、再生可能エネルギーの導入、CCUS等カーボンネガティブ技術の開発・導入、バイオマス品・リサイクル品の開発、Blue Value®・Rose Value®製品・サービスの拡大、カーボンプライシングに伴うコストの低減等カーボンニュートラル戦略に関する各施策の適切な推進 6)自然資本に関するリスク リスク概要と対応 影響度 発生確率 [脅威] ・プラスチックは広範な用途に用いられる素材として、生活の利便性向上や社会課題の解決に貢献してきましたが、昨今では、資源の枯渇、海洋に流出したプラスチックごみによる環境汚染等の社会課題が深刻化しており、循環型社会への転換が求められております。化学製品の製造・販売を行う当社グループは、この問題に真摯に向き合い、資源の効率的な利用や再生可能資源の活用として、バイオマス原料への転換、バイオマス製品群の拡充やリサイクルの推進等の施策を進め、循環型社会への貢献を目指しておりますが、プラスチックバッシングの増大や各施策の対応が遅れることによるレピュテーションの低下、バイオマス原料・廃プラスチック等の原料調達困難化によるコスト増加等の可能性があります。 ・昨今では、自然資本の保全・回復に対する社会的要請も高まっております。当社グループにおいても水資源及び生物多様性の保全に関する基本的な考え方を制定し、製造プロセスにおける効率的な水資源の利用や水環境の保全・適正管理、化学製品のライフサイクル全体における生物多様性への悪影響の最小化に努めておりますが、これらの対応が遅れることによるレピュテーションの低下や、水資源価格の高騰によるコスト増加等の可能性があります。 [機会] ・一方で当該リスクについては、リサイクル技術の向上、製品の高付加価値化、原料・製品の調達・供給のサークル構築等資源循環に関する業界リーダーポジションの確保、水問題に資するビジネスの開発・構築等、当社グループの成長につながる可能性もあります。 中~大 低 [対応] ・当該リスクに対しては、次のとおり取り組んでまいります。 ⇒AEPW(Alliance To End Plastic Waste)やCLOMA(クリーン・オーシャン・マテリアル・アライアンス)等業界を超えた連携への参加によるグローバルでの課題の最新動向の把握、リサイクル量/比率の定義・目標設定、リサイクル技術の向上やリサイクル価値を訴求する製品戦略等によるプラスチック問題に関する業界リーダーポジションの確保 ⇒水セキュリティに対する取り組みの深化、水問題や生物多様性の保全に資するビジネスの開発・構築、TNFD(自然関連財務情報開示タスクフォース)、CDP(Carbon Disclosure Project)他への開示対応等を通じた、グループ全体での自然資本の保全・回復に対する意識の向上 7)人権に関するリスク リスク概要と対応 影響度 発生確率 [脅威] ・昨今では、企業活動における人権尊重に対する社会的要請が高まっており、バリューチェーンを巡って生じ得る様々な人権リスクに適切に対処することが企業に求められております。当社グループも、企業活動における人権の尊重は、事業展開を行っていく上で基本となる事項と認識し、「すべての人を大切にする」という視点を持ちバリューチェーン全体を通じて正しいビジネスを追求しております。しかしながら、人権リスク管理体制の構築・運用が不十分であり、人権上問題のある調達・購買、不適切な労働環境等がバリューチェーン上に存在することが発覚した場合、レピュテーションの低下ひいては企業価値を毀損する可能性があります。 [機会] ・一方で当該リスクについては、人権尊重の取り組み推進によるステークホルダーからの信頼獲得等、当社グループの成長につながる可能性もあります。 大 低 [対応] ・当該リスクに対しては、次のとおり取り組んでまいります。 ⇒人権デュー・ディリジェンスの実施、苦情処理メカニズムの構築等、バリューチェーン全体を通じた人権リスクへの対応体制整備による人権リスクの低減 8)事業基盤に関するリスク リスク概要と対応 影響度 発生確率 [脅威] ・当社グループが今後も事業を継続し成長して行くためには、適切な人材の確保は不可欠です。当社グループでは、必要な人材を確保の上、会社・従業員ともに成長できるよう経営戦略に連動した人材戦略を推進しておりますが、生産労働人口の減少、人材流動化に加え、特定領域における人材ニーズの高まり等により、必要な人材を採用・確保できず、成長戦略が実行できない可能性があります。 ・また、昨今では、多様な人材が互いに尊重し合い力を発揮できる、多様性が包摂された組織に対する社会的要請が高まっております。当社グループでは、社会的責任を果たすためだけではなく、当社グループの持続可能な成長のためにもダイバーシティを推進しておりますが、目標未達成によるレピュテーションの低下、採用競争力の低下やエンゲージメントの低下等の可能性があります。 ・企業活動は、様々なステークホルダーからの理解の下成り立っておりますが、昨今は、ステークホルダーからの評価基準も多様化しており、情報開示が不十分である、あるいは、当社への認知・共感が進まないことによる当社への評価の低減ひいては企業価値の毀損の可能性があります。 [機会] ・一方で当該リスクについては、人材獲得による企業文化の変革、組織の活性化、ステークホルダーの意見も踏まえた経営の実現等、当社グループの成長につながる可能性もあります。 大 低~中 [対応] ・当該リスクに対しては、次のとおり取り組んでまいります。 ⇒グループ人材の活用促進、リスキル、イノベーター人材・特定の分野の人材が活躍できる社内制度の構築等による新たな人材の獲得・企業文化の変革 ⇒女性活躍推進のための方策のブラッシュアップ、グループ全体での障害者雇用の促進、性的マイノリティ社員に対する制度の適用拡大・必要な環境整備等による組織の活性化 ⇒情報開示、主要機関投資家との対話活動の充実等による株主意見の経営への適切な反映、ステークホルダーに対する持続的成長・企業価値創造ストーリーの訴求、財務と非財務を統合した経営の推進等による企業価値の向上 9)DXに関するリスク リスク概要と対応 影響度 発生確率 [脅威] ・昨今では、デジタル技術の進化により、ビジネスにおける様々な側面で変化のスピードが高まっております。他業界での新たなビジネスモデルにより既存ビジネスが破壊される事例が発生する等、デジタル技術の導入・活用は事業の継続・成長に不可欠な要素となっておりますが、対応が遅れ、業務変革や開発力の強化が進まない可能性があります。 ・また、アプリケーションの高度化・専門化によるシステムトラブルの増大に加え、サイバー攻撃も激化しておりますが、情報システムセキュリティの構築が不十分な場合、情報システムが機能不全に陥る、あるいは社内からの情報漏洩が発生する等業績や信用にダメージを与える可能性があります。 ・当社グループは、VISION 2030の基本戦略として「DXを通じた企業変革」を掲げており、それを支えるIT・データ基盤の整備・強化が急務となっております。企業に対する要請が多様化する中、現行の業務システムの使用を継続する場合、新たに対応すべき業務に関する工数の増加やヒューマンエラーの発生等により効率化が実現しない可能性があります。 [機会] ・一方で当該リスクについては、最適なデジタル技術の活用による開発力強化、生産性向上、生成AI等の新規技術の積極的活用による業務効率化・生産性向上の実現、業務システム更新による経営効率の向上等、当社グループの成長につながる可能性もあります。 中~大 低~中 [対応] ・当該リスクに対しては、次のとおり取り組んでまいります。 ⇒当社グループのDXロードマップ維持・更新、グループ内DX技術交流の実施による各分野の最新動向・実践状況の共有、GPT等重要技術活用に関する全社ガイドラインの制定・遵守等によるDXへの組織適応力向上、競争優位の実現 ⇒デジタル技術の活用による業務の見直し、効率化、生産・技術力の向上 ⇒サイバー攻撃に対する防御体制の構築、インターネットトレーサビリティの向上、AIに関する内容を含む、DX教育による従業員の意識の向上と学習機会の設置・社則の周知徹底等による情報システムセキュリティの強化 ⇒新たな業務システム導入の推進による経営効率の向上 10)経営管理・監督に関するリスク リスク概要と対応 影響度 発生確率 [脅威] ・当社グループは、VISION 2030 において、当社グループが目指す未来社会である「環境と調和した循環型社会」、「健康・安心にくらせる快適社会」、「多様な価値を生み出す包摂社会」の実現に向けて、従来の素材提供型ビジネスからの転換を図るとともに、強靭な経営基盤・事業基盤を構築し、企業変革の加速に努めておりますが、必要な経営資源の確保、配分及び成長に向けた投資を適切に実行できず、事業の育成・拡大が遅延し、経営目標が未達となる可能性があります。また、タイムリーな投資の意思決定ができず成長の機会を逸する可能性もあります。 ・近年は、資本コストを意識した経営が強く求められており、当社グループにおいてもROIC経営を浸透させるべく、社員一人一人の投下資本の回収に対する意識を強め、資本収益性の向上を図っておりますが、単なるKPI管理に終始する等施策の徹底が不十分となり、意図した結果が得られない可能性があります。 ・当社グループの各事業領域においては、M&Aや事業再編の動きが活発化してきており、案件の増加、規模の拡大及びデュー・ディリジェンスの対応範囲の拡大が見込まれますが、適切な人材を十分に育成・確保できず、成長機会を逸するあるいは、M&Aで取得した会社や事業の瑕疵、PMIの不調等により業績への悪影響が発生する可能性もあります。 [機会] ・一方で当該リスクについては、適切な経営資源の確保・配分による経営目標の実現、タイムリーな投資の実行による競争優位の実現、社員一人一人の意識変革による資本収益性の向上等、当社グループの成長につながる可能性もあります。 大 低~中 [対応] ・当該リスクに対しては、次のとおり取り組んでまいります。 ⇒成長率、資本効率性に基づく事業分類によるポートフォリオ変革の加速 ⇒重点事業分野への集中的な資源投下、重点課題明確化による経営効率の向上、資本効率の低い事業/関係会社の早急な再構築推進 ⇒ROIC経営浸透に向けた教育の充実、投下資本削減によるROICの向上 ⇒M&Aに関する知見・情報の全社的な共有・展開、関連人材の育成・獲得、PMI実施・サポート体制の充実化等によるM&Aシナジーの最大化 11)マクロ環境に関するリスク リスク概要と対応 影響度 発生確率 [脅威] ・当社グループの事業は、顧客、市場、提携先や業界全体の動向、競合他社の事業展開等外部環境の影響を受ける恐れがあり、これらの外部環境の影響により、当社グループの事業戦略の前提となった事実が変化した場合には、事業戦略が予定どおり進まず、期待したとおりの効果を奏せず、又はそれらの変更を余儀なくされる可能性があります。 ・製品については、価値観やライフスタイルの変化、技術革新等による顧客ニーズや市場構造の変化、競合他社の能力拡大や品質・性能向上による価格競争の激化、原材料や物流等のコスト増加、金利・為替相場の変動による収益の悪化等の可能性があります。 ・また、当社グループは、国内外で幅広く事業活動を展開しておりますが、各国/地域毎にニーズやペインの多様化が進んでおり、グローバルな市場環境に合わせた対応ができず、海外で競争劣位となり、成長機会を失う可能性もあります。 ・昨今では、国内競合を中心とした業界の再編機運も高まりを見せておりますが、対応が後手に回る場合、当社のプレゼンス低下や競争劣位に陥る可能性があります。 [機会] ・一方で、当該リスクについては、地域・他社との連携拡大を通じた資本効率の高い事業への転換、新たな市場に対応する素材や機能・サービスの提供による事業の優位性の強化、各地域の市場環境へのタイムリーな対応によるグローバルな事業成長の実現等、当社グループの成長につながる可能性もあります。 大 低~中 [対応] ・当該リスクに対しては、次のとおり取り組んでまいります。 ⇒差別化製品・高機能/環境型製品の市場投入、新規市場の開拓、知的財産への取り組み強化等による市場競争力の維持・向上 ⇒当社製品の付加価値向上・価格転嫁、原材料の安価調達、最適な稼働調整による原料・製品在庫管理の徹底、設備投資額の精査・最小化等による製品競争力の強化 ⇒環境変化を捉えた、他社連携も含む当社の取り得るオプションの検討等による資本効率の改善 ⇒グランドデザインに基づく具体的な地域戦略の策定、ローカル人材の育成、国/地域発のビジネスアイディアの発掘による事業発信力強化、地域に即した事業企画、製品開発の創出力強化等による各地域の市場環境にタイムリーに対応したグローバルな事業成長の実現 ③当連結会計年度に認識した優先的に管理すべきリスク 当連結会計年度においては、全社リスクレビューにより、上述②のとおり設定した全社重点リスクを更に財務・非財務、リスク管理の時間軸の観点から整理・分類し、次の5つを当社グループが優先的に管理すべきリスクとして選定しました。また、各リスクにリスクオーナーを選定し、それぞれが担当するリスクにつき、全社俯瞰的なリスク管理状況の可視化を図り、必要に応じて関係領域への助言を行うとともに、リスクマネジメント委員会への報告を行う運用とします。リスクオーナーがそれぞれの担当するリスクに関して、各リスクマネジメントオーナーのリスク管理方針を束ね、会社としての均一性や統一性を持たせることで管理の効率化とより高い成果の実現を目指します。 全社重点リスク カテゴリー リスク及び想定される事象 リスクオーナー (サブオーナー) 5)気候変動に 関するリスク ・リスク:カーボンニュートラル戦略の遂行 ・想定される事象 [脅威]GHG排出削減計画の遅延によるレピュテーション低下、カーボンプライシングに伴うコスト増、Blue Value®、Rose Value®製品・サービスの開発・販売の伸び悩みで価値訴求未達 [機会]低GHGの新規事業創出による企業成長とカーボンニュートラルの両立、GHG排出量削減によるカーボンコスト増加影響の抑制 生産・技術本部及び グリーンケミカル事業推進室管掌社長特別 補佐 (生産・技術本部担当役付執行役員/研究開発本部担当役付執行 役員) [対応] 次のカーボンニュートラル戦略に関する各施策の適切な推進 ・低炭素原燃料への転換 ・高エネルギー効率機器の導入等による省エネ ・再生可能エネルギーの導入 ・CCUS等カーボンネガティブ技術の開発・導入 ・バイオマス品、リサイクル品の開発 ・Blue Value®・Rose Value®製品・サービスの拡大 ・カーボンプライシングに伴うコストの低減 等 全社重点リスク カテゴリー リスク及び想定される事象 リスクオーナー (サブオーナー) 8)事業基盤に 関するリスク ・リスク:人材マネジメント ・想定される事象 [脅威]必要な人材を採用・確保できず成長戦略が実行できない [機会]新たな人材の獲得と活用による、企業文化の変革の実現 人事部・グローバル人材部担当役付執行役員 (CTO(※)/生産・技術本部及びグリーン ケミカル事業推進室 管掌社長特別補佐) [対応] ・計画的な定期・キャリア採用の継続 ・グループ人材の活用促進(女性、シニア、国内外直採)、リスキル ・定年後再雇用制度の見直し ・イノベーター人材・特定分野の人材が活躍できる社内制度の構築 ・業務効率化、改善 (※)Chief Technology Officer 全社重点リスク カテゴリー リスク及び想定される事象 リスクオーナー (サブオーナー) 9)DXに関する リスク ・リスク:情報セキュリティ ・想定される事象 [脅威]サイバー攻撃や社内のアクセス管理不備等に起因する情報漏洩により、業績や信用に大きなダメージ発生 総務・法務部 担当役付執行役員 (情報システム統括部担当役付執行役員) [対応] ・内外環境変化に対応した会社情報管理体制の強化・社則整備 ・牽制含む予防体制の構築、発生時の迅速な原因究明と対抗策の策定 ・情報保管と持ち出し手段の適切な管理 ・セキュリティ意識の向上と学習機会の設置、社則内容の周知徹底 全社重点リスク カテゴリー リスク及び想定される事象 リスクオーナー (サブオーナー) 11)マクロ環境に 関するリスク ・リスク:戦略連携の強化 ・想定される事象 [脅威]国内競合を中心に機運の高まりを見せる業界再編への対応の重要性が高まる [機会]地域・他社との連携拡大を含む業界再編の動きへの的確な対応を通じた資本効率の高い事業への転換 経営企画部 担当役付執行役員 (ベーシック&グリーンマテリアルズ事業本部担当役付執行役員) [対応] 環境変化を捉えた、他社連携も含む当社の取り得るオプションの検討等による資本効率の改善 全社重点リスク カテゴリー リスク及び想定される事象 リスクオーナー (サブオーナー) 11)マクロ環境に 関するリスク ・リスク:グローバル展開 ・想定される事象 [脅威]各国/地域毎のニーズ/ペインの多様化に合わせた対応を取れないことによる、海外での競争劣位、成長機会の喪失 [機会]各地域の市場環境へのタイムリーな対応によるグローバルな事業成長の実現 地域戦略推進部担当 役付執行役員 (経営企画部担当 役付執行役員) [対応] 次の取り組み等による、地域に即した事業企画、製品開発の創出力強化及び各地域の市場環境にタイムリーに対応したグローバルな事業成長の実現 ・地域戦略グランドデザインの策定 ・グローバルコミュニケーション体制の構築 ・ローカル人材の育成 ・国/地域発のビジネスアイディアの発掘による事業発信力強化 <全社重点リスク分類表> 財務 ●資本効率を意識した経営 ●サプライチェーンの分断 ●製品コストの上昇 ●市場における競争の激化 ●事業継続(BCP) ●M&A、事業譲渡 ●経営資源配分 ●戦略連携の強化(※) ●市場ニーズの変化 ●新事業の創出 ●投資判断 非財務 ●海外の有事 ●プラントトラブル ●品質マネジメント ●情報セキュリティ(※) ●法令・規制の強化、変更 ●化学品規制 ●安全・環境 ●コンプライアンス ●DX技術の活用 ●技術革新 ●業務システムの更新 ●ステークホルダーコミュニ ケーション ●グローバル展開(※) ●人材マネジメント(※) ●カーボンニュートラル戦略の 遂行(※) ●プラスチック問題 ●DE&I推進 ●人権尊重 ●自然資本の保全 ← 短期的リスク → ← 中長期的リスク → (※)優先的に管理すべきリスク 上記5つの優先的に管理すべきリスクは、対応の緊急性が高いものだけではなく、当社グループ理念あるいは長期経営計画「VISION 2030」達成のため、長期的な視点で今の時点から重点的な対応が必要と判断したリスクも含みます。例えば「情報セキュリティ」リスクは、緊急性が高く当社グループの存続を脅かすリスクと認識している一方で、「カーボンニュートラル戦略の遂行」リスクは企業グループ理念にも直結するマテリアリティとして、VISION 2030の実現に不可欠な「機会」を的確にとらえるため、今の時点から注力していく必要があると考え取り上げました。いずれのリスクも当社の単独部門のみで対処せず複数部門が関わりグループ一丸となって管理すべきリスクと考えています。 リスクマネジメント委員会において5つのリスク特性をとらえた管理手法を議論した結果、特に「情報セキュリティ」リスクは、緊急性が高く全社横断的な取組みの効率的な可視化が必要であるため、2025年度の全社各部の予算書においてその具体的方策を策定の上、達成状況をリスクマネジメント委員会が確認することとしています。その他の4つのリスクについても、個別事業戦略ないし機能戦略の責任者である役付執行役員をリスクオーナーにも指名することで、戦略と一体となったリスク管理に取り組んでまいります。
今年
①前連結会計年度における優先的に管理すべきリスクの状況 前連結会計年度においては、「情報セキュリティ」「グローバル展開」「人材マネジメント」「戦略連携の強化」「カーボンニュートラル戦略の遂行」の5つを優先的に管理すべきリスクとして設定し、その中でも「情報セキュリティ」については、昨今の企業に対するサイバー攻撃の状況に鑑み、その影響の大きさ、緊急性の高さを考慮の上、全社横断的な取り組みの効率的な可視化が必要と判断し、全社各部の予算書においてその具体的方策を策定し取り組んでまいりました。 「情報セキュリティ」の状況 「情報セキュリティ」については、情報管理体制の一層の強化を目的として改定された会社情報管理ルールの内容の浸透と定着等を含む具体的方策を全社の予算において、地域関係会社を含む各部門がそれぞれ策定し取り組みました。 ■具体的な対応例 ・サイバー攻撃による情報流出を想定した日常の訓練・情報漏洩に関して牽制を強化し、漏洩防止を図るため就業規則を改訂 ・社内横断プロジェクトを推進し、内部からの情報漏洩に対する強化策の定着化を推進するとともに、外部攻撃に対するセキュリティ対策導入範囲を拡大 会社情報の外部漏洩防止のため、規則とツールの両輪で情報セキュリティに対する意識向上や仕組み構築を図りましたが、サイバー攻撃への対応の更なる強化に取り組むため、当該情報セキュリティについては、後述のとおり当連結会計年度においても経営重点リスク「サイバーセキュリティ&情報漏洩防止」として、全社横断的管理のより一層の強化に努めてまいります(詳細は後述「③当連結会計年度に認識した経営重点リスク」ご参照)。 その他、以下の4つのリスクについて、各リスクの全社施策の実行責任者であるリスクオーナーの管理・統括のもと、下記のとおり取り組みを実施しました。 「グローバル展開」の状況 当社グループが志向するグローバルスペシャリティカンパニーとなるべく、地域特性を捉えた事業実現に向け地域戦略グランドデザインを策定し、地域別基本戦略を提示したほか、グローバルコミュニケーションやローカル人材の育成のための制度の討議を進めました。市場環境、技術革新、サプライチェーンなど複数のリスク要因が連関しており、重点的に取り組む必要があると認識していることから、当連結会計年度においても経営重点リスク「グローバルマネジメント」として引き続き全社横断で取り組んでまいります(詳細は後述「③当連結会計年度に認識した経営重点リスク」ご参照)。 「人材マネジメント」 成長戦略の推進を支える人材ポートフォリオの実現に向け、計画的な定期・キャリア採用を継続し、人材確保に努めた他、定年後再雇用制度や社宅制度の見直し等の諸施策の推進を図りました。各施策の具体化と高度化への取り組みが引き続き重要と認識しており、当連結会計年度においても経営重点リスク「質・多様性を備えた人材確保と要員管理」として改めて全社として取り組んでまいります(詳細は後述「③当連結会計年度に認識した経営重点リスク」ご参照)。 「戦略連携の強化」 国内で機運の高まる業界再編に的確に対応するべく、経営企画部担当役付執行役員およびベーシック&グリーンマテリアルズ事業本部担当役付執行役員のもとで定期情報共有会議を開催し、各プロジェクトの進捗の可視化とプロジェクト間の連携・整合を図ってまいりました。自社で進められる再構築についての目途がついたことや、ナフサクラッカーの再編も、東日本・西日本における連携が基本合意に達することができたこともあり、当連結会計年度においては、経営重点リスクとしては指定せず、全社重点リスクとして引き続き連携強化を推進してまいります。 「カーボンニュートラル戦略の遂行」 世界で導入が進むGX-ETS制度等に的確に対応するべく、全社最適で各施策の遂行、保留を判断してまいりました。また、全社連携が必要な施策が増えたことから、全社横断的機能の強化に向けた体制を設定し、連携を図ることとしました。バイオマス製品については、他社との協働も進めてまいりました。これらの取り組みに加え、「戦略連携の強化」にもあるとおり、ナフサクラッカー再編に関する東日本・西日本における連携なども進捗しており、2030年度の目標である、GHG40%削減(2013年度比)の実現にも目途がついたことから、当連結会計年度においては、経営重点リスクには指定せず、全社重点リスクとして各リスクマネジメントオーナーがそれぞれの所掌領域において引き続き改善に取り組んでまいります。 ②当連結会計年度における全社重点リスク 当連結会計年度においては、上記①の優先的に管理すべきリスクへの対応状況も踏まえつつ、全社リスクレビューにより次のものを当社グループの全社重点リスクとして設定しております。 当社グループは、全社重点リスクについては、環境変化に柔軟に対処し、経営/戦略にタイムリーに反映させるべく、全社リスクレビューを定期的に実施し、影響度・発生確率も含め適宜更新してまいります。足下では、中東情勢の影響によるリスクも発生しており、その影響に対しても全社視点での継続的なモニタリングを実施し、必要な対応を適宜取っております。 [全社重点リスク一覧] リスクカテゴリー 想定される脅威・機会 密接に関連するマテリアリティ 1)事業継続に関する リスク 事業継続(自然災害、有事)、サプライチェーン分断、地政学リスク、プラントトラブル(※) 安定生産、住みよいまち、食の安心、健康とくらし、デジタルトランスフォーメー ション 2)製造・品質に関する リスク 安全・環境、品質マネジメント、化学品 規制の強化 安全、安定生産、品質 3)コンプライアンスに 関するリスク コンプライアンス、法令・規制の強化・ 変更 コンプライアンス 4)技術革新に関する リスク 新事業の創出、技術革新 イノベーション、ライフサイクル全体を 意識した製品設計 5)気候変動に関する リスク カーボンニュートラル戦略の遂行 気候変動、サーキュラーエコノミー、ライフサイクル全体を意識した製品設計 6)自然資本に関する リスク プラスチック問題、自然資本の保全 サーキュラーエコノミー、ライフサイクル全体を意識した製品設計 7)人権に関するリスク 人権尊重 人権尊重、パートナーシップ 8)事業基盤に関する リスク 質・多様性を備えた人材確保と要員管理(※)、DE&I推進、ステークホルダーコミュニケーション 企業文化、人的資本、パートナーシップ 9)DXに関するリスク DXとAI技術の活用、サイバーセキュリティ&情報漏洩防止(※)、業務システム安定化・活用 デジタルトランスフォーメーション、安定生産、ライフサイクル全体を意識した製品設計 10)経営管理・監督に 関するリスク 資本効率を意識した経営、経営資源配分、投資判断、M&A・事業譲渡 - 11)マクロ環境に関する リスク 市場における競争の激化、戦略連携の強化、市場ニーズの変化、製品コストの上昇、グローバルマネジメント(※) - (※)当連結会計年度において認識した経営重点リスク。詳細は、後述「③当連結会計年度に認識した経営重点リスク」ご参照。 [全社重点リスク概要] 1)事業継続に関するリスク リスク概要と対応 影響度 発生確率 [脅威] ・当社グループは、国内外で幅広く事業活動を展開しておりますが、大規模な災害・事故、地政学リスクの顕在化、感染症の発生・拡大、サイバー攻撃等に起因して、生産・販売・研究開発の停止・制限、サプライチェーンの分断等、事業活動の継続に重大な影響が発生する可能性があります。 [機会] ・一方で、当該リスクについては、需要・サプライチェーンの変化に起因するビジネスチャンスを取り込む等当社グループの成長につながる可能性もあります。 大 低~中 [対応] ・当該リスクに対しては、次のとおり取り組んでまいります。 ⇒海外安全管理規則および海外安全管理要領の全面改正・周知 ⇒各製品のサプライチェーンの全体像の把握、原料調達等の代替策の確保、準備、市場構造の変化により生じる事業機会への検討 ⇒事業部・製造部門一体となったトラブル未然防止対策の立案・実行 2)製造・品質に関するリスク リスク概要と対応 影響度 発生確率 [脅威] ・当社グループは、国内外の拠点(工場)にて化学製品の製造を行っておりますが、運転・設備・工事・保全作業に起因するトラブル(事故、危険物の漏洩等)が発生する可能性があります。このようなトラブルが発生した場合は、労働災害のみならず、近隣地域に対しても被害を及ぼす恐れがあります。また、当社グループは、VISION 2030を推進する中で積極的にM&Aにも取り組みますが、安全管理レベルの異なる会社や事業が当社グループに新たに加わることに起因してトラブルが発生する可能性もあります。 ・製品の輸送・外部倉庫保管中の事故が発生する可能性もあります。特に危険性の高い製品に関する輸送中の事故は、近隣地域に与える被害も大きくなる恐れがあります。 ・化学品については、昨今、世界各国で用途制限物質の増加やそれに伴う代替品市場の拡大が進んでおりますが、当社製品に含まれる化学物質が規制対象となり、既存製品の生産・販売が不可能となることによる市場におけるレピュテーションの低下、あるいは、新材料調達等のためのコスト増大の可能性があります。 ・当社グループの製品の多くは最終消費財の原料として使用されておりますが、予期せぬ品質欠陥の発生や製造物責任訴訟の提起等の可能性があります。また、当社グループが、VISION 2030を推進しソリューション型ビジネスの拡大やリサイクル材等新しい分野への参入を図る中で、品質保証に関する責任範囲の拡大も見込まれますが、その際に顧客製品の機能・性能に対する理解が不足し、顧客製品に不具合を発生させる可能性もあります。更には、M&Aにより当社グループに新たに加わった関係会社や事業における品質管理・保証体制の整備・運用状況に起因するトラブルが発生する可能性もあります。 ・上述のとおり、運転、輸送、保管等に起因するトラブルや、品質に関する問題が発生した場合には、レピュテーション低下につながる可能性も想定されます。 [機会] ・一方で、当該リスクについては、グループ・グローバルでの保安力の強化、設備・運転管理レベルの向上、トラブル撲滅による収益改善、代替物質開発による新製品の創出、適切な品質設計・品質保証による新製品の上市・シェア拡大への貢献等、当社グループの成長につながる可能性もあります。 大 低~中 [対応] ・当該リスクに対しては、次のとおり取り組んでまいります。 ⇒安全に関する社内啓蒙活動の徹底、高度なリスクアセスメント体制の構築・推進、関係会社への展開等によるグループ・グローバルでの保安力強化 ⇒安全監視/管理技術、設備診断技術、設備管理技術の高度化によるトラブル撲滅、機会ロス・固定費削減 ⇒規制される製品の特定/データ収集と社内共有の徹底、当社事業への影響評価/対応方針の策定・見直しの適切な実施、代替品の開発強化等による化学品規制への対応 ⇒リサイクル材等の新たな分野における品質ガイドラインの策定・運用、専門人材の確保・育成等による品質マネジメントの適切な運用 3)コンプライアンスに関するリスク リスク概要と対応 影響度 発生確率 [脅威] ・重大なコンプライアンス違反が発生した際には刑事罰や損害の発生に加え、レピュテーション低下等の可能性があります。また、コンプライアンスについては、当社にとって新規領域への参入に伴う新たな法規制への対応や法規制の継続的な対応強化の他、新たに加わったグループ関係会社への対応も必要となります。 ・昨今では、主要国における経済安全保障確保に向けた動き、働き方改革法案等各種制度の強化等、事業活動に影響を及ぼす法令・規制に変化の動きが見られますが、必要な法規制に適切に対応できず、各国当局からの訴追、取引機会喪失、社会実装遅延による負担増につながる可能性もあります。 [機会] ・一方で、当該リスクについては、規制変化への適切・迅速な対応による事業基盤の優位性向上等、当社グループの成長につながる可能性もあります。 大 低 [対応] ・当該リスクに対しては、次のとおり取り組んでまいります。 ⇒グループコンプライアンス施策の計画的推進および施策の定期的な見直し、教育・違反事例共有等の啓蒙活動強化、「三井化学グローバル・ポリシープラットフォーム(M-GRIP)」(※)を活用したグローバル・ポリシーの浸透等によるコンプライアンス意識の改善 (※)グローバルに関係会社のガバナンスを強化し、ベストプラクティスを共有するためのプラットホーム。 ⇒官公庁、業界団体等からの情報収集と社内共有、新たな法令・規制への対応策の確実な実行等、規制変化への適切かつ迅速な対応等による事業基盤の優位性向上 4)技術革新に関するリスク リスク概要と対応 影響度 発生確率 [脅威] ・昨今では、市場の複雑化・多様化、事業領域の曖昧化が進み、当社グループの既存アセットだけでは対応できない潜在領域も拡大する他、世界的な商品・サービスのAI化・機械化による生産性・需要変化、当社が事業展開を行う各国/地域特有のニーズ・習慣・市場構造変化等を踏まえた対応の重要性が高まっております。このような状況に適切に対応できず、継続的な新事業の創出が進まない場合、競争劣位に陥り、成長の機会を逸する可能性があります。 ・また、革新的な新技術が勃興し、市場環境に変化が起きた際に、当社グループの技術優位性が失われ、製品が陳腐化し競争力を失う可能性もあります。 [機会] ・一方で、当該リスクについては、変化するニーズに対応した新製品開発による新たなビジネスチャンスの創出および市場の獲得グローバルなソリューション型ビジネスの進展、開発体制の適切な構築による新事業パイプラインの充実化・継続的な新事業の創出等、当社グループの成長につながる可能性もあります。 大 中 [対応] ・当該リスクに対しては、次のとおり取り組んでまいります。 ⇒社内外連携(他社、アカデミア、当社新事業開発センター等)の強化、領域をまたぐ事業開発体制の構築、コーポレート研究の事業化、目指す市場・地域での事業開発拠点整備、地域発のビジネスアイディアの発掘等によるグローバルでの新事業創出 ⇒中長期的な技術開発計画の策定・見直し、部門間連携プロジェクトを活用した開発体制の強化等による技術革新 5)気候変動に関するリスク リスク概要と対応 影響度 発生確率 [脅威] ・2015年のパリ協定の採択を契機として、脱炭素社会実現への取り組みが世界規模で活発化しており、世界各国におけるカーボンプライシング制度導入の進展、国内におけるGX-ETSを始めとするGX(グリーントランスフォーメーション)政策の進展等、GHG排出量削減への社会的要請が高まっております。多くの化石燃料・エネルギーを使用しGHGを排出する当社グループにおいても、カーボンニュートラルに向けた施策を進めておりますが、GHG排出削減計画の遅延によるレピュテーションの低下、カーボンプライシングや低炭素原燃料確保の困難化に伴うコストの増加、Blue Value®・Rose Value®製品の開発が遅れることによる製品付加価値の低下・販売の伸び悩み等の可能性があります。 [機会] ・一方で、当該リスクについては、社会の脱炭素化に貢献する新規事業創出による企業成長、GHG排出量削減による当社グループのカーボンコストの低減、低炭素・脱炭素の製品提供による顧客のカーボンコストの低減、適応製品の開発・提供を通じた新たな市場ニーズの獲得等、当社グループの成長につながる可能性もあります。また、付加価値の高いBlue Value®・Rose Value®製品・サービスを拡大することで、環境・社会に貢献するとともに当社グループの収益性の向上につながる可能性もあります。さらに、技術開発をカーボンニュ―トラル戦略と連携して進めることで、カーボンニュートラルを前倒しで達成し、企業価値を向上する可能性があります。 大 中 [対応] ・当該リスクに対しては、次のとおり取り組んでまいります。 ⇒低炭素原燃料への転換、高エネルギー効率機器の導入等による省エネ、再生可能エネルギーの導入、CCUS等カーボンネガティブ技術の開発・導入、バイオマス品・リサイクル品の開発、Blue Value®・Rose Value®製品・サービスの拡大、カーボンプライシングに伴うコストの低減等カーボンニュートラル戦略に関する各施策の適切な推進 6)自然資本に関するリスク リスク概要と対応 影響度 発生確率 [脅威] ・プラスチックは広範な用途に用いられる素材として、生活の利便性向上や社会課題の解決に貢献してきましたが、昨今では、資源の枯渇、海洋に流出したプラスチックごみによる環境汚染等の社会課題が深刻化しており、循環型社会への転換が求められております。化学製品の製造・販売を行う当社グループは、この問題に真摯に向き合い、資源の効率的な利用や再生可能資源の活用として、バイオマス原料への転換、バイオマス製品群の拡充やリサイクルの推進等の施策を進め、循環型社会への貢献を目指しておりますが、プラスチックバッシングの増大や各施策の対応が遅れることによるレピュテーションの低下、バイオマス原料・廃プラスチック等の原料調達困難化によるコスト増加等の可能性があります。 ・昨今では、自然資本の保全・回復に対する社会的要請も高まっております。当社グループにおいても水資源および生物多様性の保全に関する基本的な考え方を制定し、製造プロセスにおける効率的な水資源の利用や水環境の保全・適正管理、化学製品のライフサイクル全体における生物多様性への悪影響の最小化に努めておりますが、これらの対応が遅れることによるレピュテーションの低下や、水資源価格の高騰によるコスト増加等の可能性があります。 [機会] ・一方で当該リスクについては、リサイクル技術の向上、製品の高付加価値化、原料・製品の調達・供給のサークル構築等資源循環に関する業界リーダーポジションの確保、水問題に資するビジネスの開発・構築等、当社グループの成長につながる可能性もあります。 中~大 低 [対応] ・当該リスクに対しては、次のとおり取り組んでまいります。 ⇒CLOMA(クリーン・オーシャン・マテリアル・アライアンス)等業界を超えた連携への参加によるグローバルでの課題の最新動向の把握、リサイクル量/比率の定義・目標設定、リサイクル技術の向上やリサイクル価値を訴求する製品戦略等によるプラスチック問題に関する業界リーダーポジションの確保 ⇒水セキュリティに対する取り組みの深化、水問題や生物多様性の保全に資するビジネスの開発・構築、CSRD(企業サステナビリティ報告指令)、CDP(Carbon Disclosure Project)他への開示対応等を通じた、グループ全体での自然資本の保全・回復に対する意識の向上 7)人権に関するリスク リスク概要と対応 影響度 発生確率 [脅威] ・昨今では、企業活動における人権尊重に対する社会的要請が高まりや、AI使用増加に伴う誤判断・情報漏洩等による人権侵害の可能性、バリューチェーンを巡って生じ得る様々な人権リスクに適切に対処することが企業に求められております。当社グループも、企業活動における人権の尊重は、事業展開を行っていく上で基本となる事項と認識し、「すべての人を大切にする」という視点を持ちバリューチェーン全体を通じて正しいビジネスを追求しております。しかしながら、人権リスク管理体制の構築・運用が不十分であり、人権上問題のある調達・購買、不適切な労働環境等がバリューチェーン上に存在することが発覚した場合、レピュテーションの低下ひいては企業価値を毀損する可能性があります。 [機会] ・一方で当該リスクについては、人権尊重の取り組み推進によるステークホルダーからの信頼獲得等、当社グループの成長につながる可能性もあります。 大 低 [対応] ・当該リスクに対しては、次のとおり取り組んでまいります。 ⇒人権デュー・ディリジェンスの実施、苦情処理メカニズムの構築等、バリューチェーン全体を通じた人権リスクへの対応体制整備による人権リスクの低減 8)事業基盤に関するリスク リスク概要と対応 影響度 発生確率 [脅威] ・当社グループが今後も事業を継続し成長して行くためには、適切な人材の確保は不可欠です。当社グループでは、必要な人材を確保の上、会社・従業員ともに成長できるよう経営戦略に連動した人材戦略を推進しておりますが、生産労働人口の減少、人材流動化に加え、特定領域における人材ニーズの高まり等により、必要な人材を採用・確保できず、成長戦略が実行できない可能性があります。 ・また、昨今では、多様な人材が互いに尊重し合い力を発揮できる、多様性が包摂された組織に対する社会的要請が高まっております。当社グループでは、社会的責任を果たすためだけではなく、当社グループの持続可能な成長のためにもダイバーシティを推進しておりますが、目標未達成によるレピュテーションの低下、採用競争力の低下やエンゲージメントの低下等の可能性があります。 ・企業活動は、様々なステークホルダーからの理解のもとで成り立っておりますが、昨今は、ステークホルダーからの評価基準も多様化しており、情報開示が不十分である、あるいは、当社への認知・共感が進まないことによる当社への評価の低減ひいては企業価値の毀損の可能性があります。 [機会] ・一方、当該リスクについては、人材獲得による、成長戦略の加速、企業文化の変革、組織の活性化、ステークホルダーの意見も踏まえた経営の実現等、当社グループの成長につながる可能性もあります。また、当社存在意義への共感、帰属意識の向上、グループ求心力の強化等により社員のエンゲージメント向上の可能性もあります。 大 低~中 [対応] ・当該リスクに対しては、次のとおり取り組んでまいります。 ⇒グループ人材の活用促進、リスキル、イノベーター人材・アントレプレナー人材・特定の分野の人材が活躍できる社内制度の構築等による新たな人材の獲得・企業文化の変革 ⇒女性活躍推進のための方策のブラッシュアップ、グループ全体での障害者雇用の促進、性的マイノリティ社員に対する制度の適用拡大・必要な環境整備等による組織の活性化 ⇒情報開示、主要機関投資家との対話活動の充実等による株主意見の経営への適切な反映、ステークホルダーに対する持続的成長・企業価値創造ストーリーの訴求、財務と非財務を統合した経営の推進等による企業価値の向上 9)DXに関するリスク リスク概要と対応 影響度 発生確率 [脅威] ・昨今では、デジタル技術およびAIの進化により、ビジネスにおける様々な側面で変化のスピードが高まっております。他業界での新たなビジネスモデルにより既存ビジネスが破壊される事例が発生する等、デジタル技術およびAIの導入・活用は事業の継続・成長に不可欠な要素となっておりますが、対応が遅れ、業務変革や開発力の強化が進まない可能性があります。 ・また、アプリケーションの高度化・専門化によるシステムトラブルの増大に加え、サイバー攻撃も激化しておりますが、情報システムセキュリティの構築が不十分な場合、情報システムが機能不全に陥る、あるいは社内からの情報漏洩が発生する等業績や信用にダメージを与える可能性があります。 ・当社グループは、VISION 2030の基本戦略として「DXを通じた企業変革」を掲げており、それを支えるIT・データ基盤の整備・強化が急務となっております。企業に対する要請が多様化する中、現行の業務システムの使用を継続する場合、新たに対応すべき業務に関する工数の増加やヒューマンエラーの発生等により効率化が実現しない可能性があります。 [機会] ・一方で、当該リスクについては、最適なデジタル技術、AIの活用による開発力強化、生産性向上、生成AI等の新規技術の積極的活用による業務効率化・生産性向上の実現、業務システムの安定化・活用による経営効率の向上等、当社グループの成長につながる可能性もあります。 また、効果的なデジタルマーケティングにより、顧客への的確なソリューション提案が可能となり当社が事業機会を獲得する可能性もあります。 中~大 低~中 [対応] ・当該リスクに対しては、次のとおり取り組んでまいります。 ⇒当社グループのDXロードマップ維持・更新、グループ内DX技術交流の実施による各分野の最新動向・実践状況の共有、生成AI等の重要技術活用に関する全社ガイドラインの制定・遵守等によるDXへの組織適応力向上、競争優位の実現 ⇒DXとAI技術の活用による業務の見直し、効率化、生産・技術力の向上 ⇒サイバー攻撃に対する防御体制の構築、インターネットトレーサビリティの向上、AIに関する内容を含む、DX教育による従業員の意識の向上と学習機会の設置・社則の周知徹底等による情報システムセキュリティの強化 ⇒新たな業務システム導入の推進および活用による経営効率の向上 10)経営管理・監督に関するリスク リスク概要と対応 影響度 発生確率 [脅威] ・当社グループは、VISION 2030 において、当社グループが目指す未来社会である「環境と調和した循環型社会」、「健康・安心にくらせる快適社会」、「多様な価値を生み出す包摂社会」の実現に向けて、従来の素材提供型ビジネスからの転換を図るとともに、強靭な経営基盤・事業基盤を構築し、企業変革の加速に努めておりますが、必要な経営資源の確保、配分および成長に向けた投資を適切に実行できず、事業の育成・拡大が遅延し、経営目標が未達となる可能性があります。また、タイムリーな投資の意思決定ができず成長の機会を逸する可能性もあります。 ・近年は、資本コストを意識した経営が強く求められており、当社グループにおいてもROIC経営を浸透させるべく、社員一人一人の投下資本の回収に対する意識を強め、資本収益性の向上を図っておりますが、単なるKPI管理に終始する等施策の徹底が不十分となり、意図した結果が得られない可能性があります。 ・当社グループの各事業領域においては、M&Aや事業再編の動きが活発化してきており、案件の増加、規模の拡大およびデュー・ディリジェンスの対応範囲の拡大が見込まれますが、適切な人材を十分に育成・確保できず、成長機会を逸するあるいは、M&Aで取得した会社や事業の瑕疵、PMIの不調等により業績への悪影響が発生する可能性もあります。 [機会] ・一方で、当該リスクについては、適切な経営資源の確保・配分やM&AおよびPMIの推進による経営目標の実現、タイムリーな投資の実行による競争優位の実現、社員一人一人の意識変革による資本収益性の向上等、当社グループの成長につながる可能性もあります。 大 低~中 [対応] ・当該リスクに対しては、次のとおり取り組んでまいります。 ⇒成長率、資本効率性に基づく事業分類によるポートフォリオ変革の加速 ⇒重点事業分野への集中的な資源投下、重点課題明確化による経営効率の向上、資本効率の低い事業/関係会社の早急な再構築推進 ⇒ROIC経営浸透に向けた教育の充実、投下資本削減によるROICの向上 ⇒M&Aに関する知見・情報の全社的な共有・展開、関連人材の育成・獲得、PMI実施・サポート体制の充実化等によるM&Aシナジーの最大化 11)マクロ環境に関するリスク リスク概要と対応 影響度 発生確率 [脅威] ・当社グループの事業は、顧客、市場、提携先や業界全体の動向、競合他社の事業展開等外部環境の影響を受ける恐れがあり、これらの外部環境の影響により、当社グループの事業戦略の前提となった事実が変化した場合には、事業戦略が予定どおり進まず、期待したとおりの効果を奏せず、又はそれらの変更を余儀なくされる可能性があります。 ・製品については、価値観やライフスタイルの変化、技術革新等による顧客ニーズや市場構造の変化、競合他社の能力拡大や品質・性能向上による価格競争の激化、原材料や物流等のコスト増加、金利・為替相場の変動による収益の悪化等の可能性があります。 ・また、当社グループは、国内外で幅広く事業活動を展開しておりますが、地政学的・経済的分断が進行しているとともに各国/地域毎にニーズの多様化が進んでおり、グローバルな市場環境に合わせた対応ができず、海外で競争劣位となり、成長機会を失う可能性もあります。 ・国内を中心とした業界再編の機運も加速している他、石化を取り巻く事業環境も激変しており、対応が後手に回ってしまった場合、当社のプレゼンス低下や競争劣位に陥る可能性があります。 [機会] ・一方で、当該リスクについては、地域・他社との連携拡大を通じた資本効率の高い事業への転換、新たな市場に対応する素材や機能・サービスの提供による事業の優位性の強化、各地域の市場環境へのタイムリーな対応によるグローバルな事業成長の実現、競合他社との統合・再編を主導することによる経済安全保障上の責任も果たしうる持続的な事業基盤の構築等当社グループの成長につながる可能性もあります。 大 低~中 [対応] ・当該リスクに対しては、次のとおり取り組んでまいります。 ⇒差別化製品・高機能/環境型製品の市場投入、新規市場の開拓、現地生産の加速、知的財産への取り組み強化等による市場競争力の維持・向上 ⇒当社製品の付加価値向上・価格転嫁、原材料の安価調達、最適な稼働調整による原料・製品在庫管理の徹底、設備投資額の精査・最小化等による製品競争力の強化 ⇒業界再編に向けた連携パートナー候補の選定と具体的協議への着手 ⇒ローカル人材の育成、国/地域発のビジネスアイディアの発掘による事業発信力強化、地域に即した事業企画、製品開発の創出力強化等による各地域の市場環境にタイムリーに対応したグローバルな事業成長の実現 ③当連結会計年度に認識した経営重点リスク 当連結会計年度においては、全社リスクレビューにより、上述②のとおり設定した全社重点リスクを更に財務・非財務、リスク管理の時間軸の観点から整理・分類し、次の4つを当社グループの経営重点リスクとして選定しました。 全社重点リスク カテゴリー リスク及び想定される事象 リスクオーナー 1)事業継続に 関するリスク ・リスク:プラントトラブル ・想定される事象 [脅威] トラブルによる生産停止、近隣地域に対する事故被害や環境汚染対応による損害、報道による市場でのレピュテーション低下 生産・技術本部担当 役付執行役員 [対応] ・生産・技術本部、事業本部、関係機能部門一体となった組織、文化、人材育成、安全保安管理に関わる現場力強化施策の立案と実行(プロセス起因のトラブルの未然防止) ・事業本部と一体となったハードとソフト両面対策および設備メーカーとの連携強化による保全・エンジニアリング力強化策の立案と実行(設備起因のトラブルの未然防止) ・トラブル時に発生する原料・製品の機会損失低減策の立案・実行 全社重点リスク カテゴリー リスク及び想定される事象 リスクオーナー 8)事業基盤に 関するリスク ・リスク:質・多様性を備えた人材確保と要員管理 ・想定される事象 [脅威] ・必要な人材を採用・確保できず成長戦略が実行できない ・事業ポートフォリオ転換に伴う必要人員数の変化に対処できず、当社グループの成長の妨げになる可能性 [機会] 新たな人材の獲得と活用による、企業文化の変革の実現 人事部・グローバル 人材部担当 役付執行役員 [対応] ・多様な人材プールの形成と活躍に資する制度整備 ・全社人材育成委員会の運用改定によるキータレント育成配置の拡大 全社重点リスク カテゴリー リスク及び想定される事象 リスクオーナー 9)DXに関する リスク ・リスク:サイバーセキュリティ&情報漏洩防止 ・想定される事象 [脅威] ・操業停止による顧客離脱、受注停止および信用失墜による長期的損失 ・個人情報保護法、高圧ガス保安法など行政罰・指導 ・サプライチェ―ンへの攻撃を原因とする調達停止 ・取引先からのセキュリティ対応要求 情報システム統括部 担当役付執行役員 (CDO※) [対応] ・情報保護ツールを用いた情報管理の徹底(情報漏洩防止) ・セキュリティ意識の向上と学習機会の設置 ・脅威監視と対応サービスの高度化によるインシデント対応力の強化 ※Chief Digital Officer 全社重点リスク カテゴリー リスク及び想定される事象 リスクオーナー 11)マクロ環境に 関するリスク ・リスク:グローバルマネジメント ・想定される事象 [脅威] 各国/地域毎のニーズの多様化や市場競争の変化に合わせた対応を取れないことによる、海外での競争劣位、成長機会の喪失 [機会] 各地域の市場環境へのタイムリーな対応によるグローバルな事業成長の実現、成長領域における中長期の収益性および競争力の確保 地域戦略推進部担当 役付執行役員 [対応] ・地域別売上収益の経営計画システムへの組み込み ・地域戦略の推進 ・グローバルR&D拠点のあり方に関する全体設計 ・各地域におけるキータレントマネジメントの運営体制整備を始めとする地域戦略を実行する人材の確保・育成 <全社重点リスク分類表> 財務 ●資本効率を意識した経営 ●サプライチェーン分断 ●製品コストの上昇 ●市場における競争の激化 ●事業継続(自然災害、有事) ●M&A、事業譲渡 ●経営資源配分 ●戦略連携の強化 ●市場ニーズの変化 ●新事業の創出 ●投資判断 非財務 ●地政学リスク ●プラントトラブル(※) ●品質マネジメント ●サイバーセキュリティ&情報漏洩防止(※) ●法令・規制の強化、変更 ●化学品規制の強化 ●安全・環境 ●コンプライアンス ●DXとAI技術の活用 ●技術革新 ●業務システム安定化・活用 ●ステークホルダーコミュニ ケーション ●グローバルマネジメント(※) ●質・多様性を備えた 人材確保と要員管理(※) ●カーボンニュートラル戦略の 遂行 ●プラスチック問題 ●DE&I推進 ●人権尊重 ●自然資本の保全 ← 短期的リスク → ← 中長期的リスク → (※)経営重点リスク 上記4つの経営重点リスクは、対応の緊急性が高いものだけではなく、当社グループ理念あるいは長期経営計画「VISION 2030」達成のため、中長期的な視点で重点的な対応が必要と判断したリスクも含みます。いずれのリスクも当社の単独部門のみで対処せず複数部門が関わりグループ一丸となって管理すべきリスクという観点で選定しています。 リスクマネジメント委員会において4つのリスク特性をとらえた管理手法を議論した結果、どのリスクも全社横断的な取組みが必要であるため、リスクオーナーは全社視点であるべき姿と経営に与える影響、主要課題と対策、対策ごとの責任者、モニタリング手法、リスクタイトル等を2026年度の予算に組み込み、進捗状況をリスクマネジメント委員会が確認する運用とします。当該運用により戦略と一体となったリスク管理に取り組んでまいります。