株式会社三越伊勢丹ホールディングス
証券コード 30990 / EDINET E03521 / 小売業
政策保有株(持ち合い)を見る
業績の推移
棒: 売上高 / 折れ線: 純利益(億円) · 基準: 連結・日本基準 · 有価証券報告書の「主要な経営指標等の推移」から。印は危険信号の日付数値を表で見る
| 決算期 | 売上高(億円) | 純利益(億円) |
|---|
| 2021/3 | 8,160 | -411 |
| 2022/3 | 4,183 | 123 |
| 2023/3 | 4,874 | 324 |
| 2024/3 | 5,364 | 556 |
| 2025/3 | 5,555 | 528 |
| 2026/3 | 5,456 | 761 |
開示データの要約
人的資本
2026-03-31 期(前年 2025-03-31 期比)
- 平均年収
- 896万円(-2.9%)
- 女性管理職比率
- 29.8%(+2.1pt)
- 男性育休取得率
- —
- 男女賃金差異
- —
- 従業員数
- 386人
人的資本ランキング
監査
2026-03-31 期
- 監査報酬
- 1.17億円(前年比 0.0%)
- 非監査報酬
- —
- 内部統制
- 重要な不備なし
監査レーダー
大株主(法人)
2026-03-31 期(前期 2025-03-31 期との割合の差)
| 株主 | 区分 | 株数 | 割合 | 前期比 |
|---|
| 日本マスタートラスト信託銀行株式会社(信託口) | 信託口 | 59,120,000株 | 16.82% | ▲ +0.10pt |
| 株式会社日本カストディ銀行(信託口) | 信託口 | 21,586,000株 | 6.14% | ▼ -2.19pt |
| JP MORGAN CHASE BANK 385642 (常任代理人 株式会社みずほ銀行決済営業部) | 信託口 | 13,630,000株 | 3.88% | 新規 |
| 公益財団法人三越厚生事業団 | 法人 | 13,204,000株 | 3.76% | ▲ +0.15pt |
| THE CHASE MANHATTAN BANK,N.A. LONDONSECS LENDING OMNIBUS ACCOUNT (常任代理人 株式会社みずほ銀行決済営業部) | 信託口 | 7,325,000株 | 2.08% | 新規 |
| 三越伊勢丹グループ取引先持株会 | 法人 | 6,990,000株 | 1.99% | ▲ +0.01pt |
| 清水建設株式会社(常任代理人 日本マスタートラスト信託銀行株式会社) | 法人 | 6,200,000株 | 1.76% | ▲ +0.06pt |
| 明治安田生命保険相互会社(常任代理人 株式会社日本カストディ銀行) | 法人 | 5,697,000株 | 1.62% | ▲ +0.06pt |
| JP MORGAN CHASE BANK 385781 (常任代理人 株式会社みずほ銀行決済営業部) | 信託口 | 4,664,000株 | 1.33% | 新規 |
| STATE STREET BANK AND TRUST COMPANY 505001 (常任代理人 株式会社みずほ銀行決済営業部) | 信託口 | 4,500,000株 | 1.28% | 新規 |
個人株主の内訳は非表示
役員 9 名(うち社外 0 名)、役員の持株合計 198,600株(2026-03-31 期)
株主を検索する
2026-03-31 期 (提出日 2026-06-17 13:39)
●●○重要度 2(注目)変更監査上の主要な検討事項(KAM) / 内容更新
前期にKAMとして記載されていた株式会社エムアイフードスタイルののれん評価(減損損失8,645百万円計上)が今期は記載されなくなった。グループ通算制度適用会社の繰延税金資産の回収可能性は引き続きKAMだが、繰延税金資産計上額は43,826百万円から37,780百万円に減少し、判断根拠が「将来課税所得の見積りに基づく5年間の回収可能性判断」から「課税所得が安定的に生じ、近い将来に経営環境に著しい変化が見込まれないこと」に変更され、監査手続も簡素化された。
前年 / 今年の本文を見る
差分(削除 / 追加)
監査上の主要な検討事項
監査上の主要な検討事項とは、当連結会計年度の連結財務諸表の監査において、監査人が職業的専門家として特に重要であると判断した事項である。監査上の主要な検討事項は、連結財務諸表全体に対する監査の実施過程及び監査意見の形成において対応した事項であり、当監査法人は、当該事項に対して個別に意見を表明するものではない。
株式会社エムアイフードスタイルに係るのれんの評価
監査上の主要な検討事項の
内容及び決定理由
監査上の対応
連結財務諸表注記(重要な会計上の見積り)に記載されているとおり、当連結会計年度に株式会社エムアイフードスタイル(以下「エムアイフードスタイル社」という。)ののれんに対する減損損失8,645百万円を計上している。
のれんは、当該会社の将来の超過収益力に基づき計上されている。そのため、取得時に策定した事業計画よりも実績が著しく下方に乖離している場合には、当該超過収益力が毀損しており、株式の実質価額が著しく低下している可能性がある。株式の実質価額が著しく低下していると認められる場合には、個別財務諸表上で株式の減損処理が必要となり、連結財務諸表上も、「連結財務諸表における資本連結手続に関する実務指針(企業会計基準委員会移管指針第4号 2024年7月1日)」32項に基づき、のれん償却額を計上する必要がある。会社は、超過収益力の毀損の有無を判断するに当たって、取得時に作成された事業計画と当連結会計年度の実績との間の乖離の状況を分析した上で、当該事業計画の将来部分における下方修正の必要性を検証している。
エムアイフードスタイル社株式の実質価額の検討に際して、会社が用いた事業計画には、PB商品強化による売上総利益率の改善、既存店売上の維持及び新規出店による成長戦略といった主要な仮定を含んでいる。
エムアイフードスタイル社に対して計上されていたのれんは金額的重要性が高く、のれんの評価が適切に行われない場合、連結財務諸表に重要な影響を及ぼす可能性がある。また、のれんの評価の検討にあたっては、事業環境や将来の業績見通しの変化等を考慮する必要があり、上記主要な仮定を含む会計上の見積りには経営者の主観的な判断が伴うことから、当監査法人は当該事項を監査上の主要な検討事項と判断した。
当監査法人は、エムアイフードスタイル社に係るのれんの評価を検討するに当たり、主として以下の監査手続を実施した。
・会社の算定したエムアイフードスタイル社株式の実質価額の妥当性を評価するため、経営管理者及び担当者への質問を実施した。
・経営者の見積りプロセスの有効性を評価するため、取得時の事業計画とその後の実績を比較した。
・ PB商品強化による売上総利益率の改善について、関連資料を閲覧し、事業計画との整合性を検討した。
・既存店売上の維持について、店舗別の売上推移を把握するとともに、翌期以降の店舗別の損益計画との整合性を検討した。
・ PB商品強化による売上総利益率の改善及び既存店売上の維持に関する主要な仮定について、過去の実績や同業他社、同社が属するスーパーマーケット業界の市場統計データと比較することにより、その合理性を評価した。
・新規出店による成長戦略について、承認された計画との整合性を検証するとともに、過年度の計画と出店実績を比較、分析することにより、その合理性を評価した。
・のれん償却額が「連結財務諸表における資本連結手続に関する実務指針(企業会計基準委員会移管指針第4号 2024年7月1日)」32項に基づき正確に算定されていることを確かめるため、再計算した。
グループ通算制度を適用している会社における繰延税金資産の回収可能性
監査上の主要な検討事項の
内容及び決定理由
監査上の対応
会社及び国内連結子会社はグループ通算制度を適用し、連結財務諸表注記(重要な会計上の見積り)及び(税効果会計関係)に記載されているとおり、2025年3月31日現在において繰延税金資産43,826百万円(繰延税金負債相殺前)を計上している。会社及び国内連結子会社はグループ通算制度を適用し、連結財務諸表注記(重要な会計上の見積り)及び(税効果会計関係)に記載されているとおり、2026年3月31日現在において繰延税金資産37,780百万円(繰延税金負債相殺前)を計上している。これは、主にグループ通算制度を適用している会社及び国内連結子会社(以下「グループ通算制度適用会社」という。)において計上されたものである。
百貨店業セグメントにおける主たる国内子会社は、国内で百貨店事業を営んでおり、将来減算一時差異及び税務上の繰越欠損金に対して、予測されるグループ通算制度適用会社における将来課税所得の見積りに基づき、見積可能期間5年間で繰延税金資産の回収可能性を判断している。
グループ通算制度適用会社における将来課税所得の見積りは、翌年度の予算を基礎としており、その主要な仮定は、連結財務諸表注記(重要な会計上の見積り)に記載のとおり、国内個人消費動向の予測に基づく売上成長率及びインバウンド需要の見通しである。
グループ通算制度適用会社における繰延税金資産の回収可能性は、経営者によるグループ通算制度適用会社における将来課税所得の見積りに基づいて判断している。将来課税所得の見積りは、翌年度の予算を基礎に最善の見積りを行っており、国内個人消費動向の予測に基づく売上成長率やインバウンド需要の見通しなど、経営者による主観的判断により影響を受けるため、当監査法人は当該事項を監査上の主要な検討事項と判断した。百貨店業セグメントにおける主たる国内子会社は、課税所得が安定的に生じており、近い将来に経営環境に著しい変化が見込まれないことから、スケジューリング可能な将来減算一時差異及び税務上の繰越欠損金に係る繰延税金資産を回収可能と見積もっている。
近い将来に経営環境に著しい変化が見込まれないかの予測における主要な仮定は、連結財務諸表注記(重要な会計上の見積り)に記載のとおり、 国内個人消費動向の予測に基づく売上成長率及びインバウンド需要の見通しである。国内個人消費動向の予測に基づく売上成長率やインバウンド需要の見通しなどは、経営者による主観的判断により影響を受けるため、当監査法人は当該事項を監査上の主要な検討事項と判断した。
当監査法人は、グループ通算制度適用会社における繰延税金資産の回収可能性を検討するに当たり、主として以下の監査手続を実施した。
・将来減算一時差異及び税務上の繰越欠損金の残高について、税務の専門家を関与させて検討するとともに、その解消スケジュールを検討した。
・経営者による将来課税所得の見積りを評価するため、承認された2025年度から2030年度を対象とする新中期経営計画が見積可能期間5年間の基礎になっていることを評価した。また、中期経営計画における重点戦略を理解するとともに、将来を正確に予測することが困難な状況の中で、翌年度の予算を基礎にした見積可能期間5年間の不確実性を勘案した将来課税所得の考え方について経営者と議論し、当該見積可能期間の妥当性を検討した。・将来減算一時差異及び税務上の繰越欠損金の残 高について、税務の専門家を関与させて検討するとともに、その解消スケジュールを検討した。
・将来課税所得の見積りの検討においては、承認された計画との整合性を検証するとともに、過年度の計画と実績を比較、分析することで、経営者の偏向の有無や見積りの精度を評価した。・近い将来に経営環境に著しい変化が見込まれないことについて経営者と議論し、判断の妥当性を検討した。
・主要な仮定を評価するため、以下の監査手続を実施した。
- 国内個人消費動向の予測に基づく売上成長率について、仮定を経営者と議論して理解した。また、外部調査機関による国内個人消費動向の予測情報と比較、分析することにより、主要な仮定を評価した。
- インバウンド需要の見通しについて、経営者と議論して理解するとともに、外部業界団体の国際輸送予測情報や足元の消費動向と比較、分析することにより、主要な仮定を評価した。
- 国内個人消費動向の予測に基づく売上成長率及びインバウンド需要の見通しの不確実性について感応度分析を行い、繰延税金資産の回収可能性への影響額の重要性を評価した。- インバウンド需要の見通しについて、経営者と議論して理解するとともに、外部業界団体の国際輸送予測情報と比較、分析することにより、主要な仮定を評価した。
前年
監査上の主要な検討事項
監査上の主要な検討事項とは、当連結会計年度の連結財務諸表の監査において、監査人が職業的専門家として特に重要であると判断した事項である。監査上の主要な検討事項は、連結財務諸表全体に対する監査の実施過程及び監査意見の形成において対応した事項であり、当監査法人は、当該事項に対して個別に意見を表明するものではない。
株式会社エムアイフードスタイルに係るのれんの評価
監査上の主要な検討事項の
内容及び決定理由
監査上の対応
連結財務諸表注記(重要な会計上の見積り)に記載されているとおり、当連結会計年度に株式会社エムアイフードスタイル(以下「エムアイフードスタイル社」という。)ののれんに対する減損損失8,645百万円を計上している。
のれんは、当該会社の将来の超過収益力に基づき計上されている。そのため、取得時に策定した事業計画よりも実績が著しく下方に乖離している場合には、当該超過収益力が毀損しており、株式の実質価額が著しく低下している可能性がある。株式の実質価額が著しく低下していると認められる場合には、個別財務諸表上で株式の減損処理が必要となり、連結財務諸表上も、「連結財務諸表における資本連結手続に関する実務指針(企業会計基準委員会移管指針第4号 2024年7月1日)」32項に基づき、のれん償却額を計上する必要がある。会社は、超過収益力の毀損の有無を判断するに当たって、取得時に作成された事業計画と当連結会計年度の実績との間の乖離の状況を分析した上で、当該事業計画の将来部分における下方修正の必要性を検証している。
エムアイフードスタイル社株式の実質価額の検討に際して、会社が用いた事業計画には、PB商品強化による売上総利益率の改善、既存店売上の維持及び新規出店による成長戦略といった主要な仮定を含んでいる。
エムアイフードスタイル社に対して計上されていたのれんは金額的重要性が高く、のれんの評価が適切に行われない場合、連結財務諸表に重要な影響を及ぼす可能性がある。また、のれんの評価の検討にあたっては、事業環境や将来の業績見通しの変化等を考慮する必要があり、上記主要な仮定を含む会計上の見積りには経営者の主観的な判断が伴うことから、当監査法人は当該事項を監査上の主要な検討事項と判断した。
当監査法人は、エムアイフードスタイル社に係るのれんの評価を検討するに当たり、主として以下の監査手続を実施した。
・会社の算定したエムアイフードスタイル社株式の実質価額の妥当性を評価するため、経営管理者及び担当者への質問を実施した。
・経営者の見積りプロセスの有効性を評価するため、取得時の事業計画とその後の実績を比較した。
・ PB商品強化による売上総利益率の改善について、関連資料を閲覧し、事業計画との整合性を検討した。
・既存店売上の維持について、店舗別の売上推移を把握するとともに、翌期以降の店舗別の損益計画との整合性を検討した。
・ PB商品強化による売上総利益率の改善及び既存店売上の維持に関する主要な仮定について、過去の実績や同業他社、同社が属するスーパーマーケット業界の市場統計データと比較することにより、その合理性を評価した。
・新規出店による成長戦略について、承認された計画との整合性を検証するとともに、過年度の計画と出店実績を比較、分析することにより、その合理性を評価した。
・のれん償却額が「連結財務諸表における資本連結手続に関する実務指針(企業会計基準委員会移管指針第4号 2024年7月1日)」32項に基づき正確に算定されていることを確かめるため、再計算した。
グループ通算制度を適用している会社における繰延税金資産の回収可能性
監査上の主要な検討事項の
内容及び決定理由
監査上の対応
会社及び国内連結子会社はグループ通算制度を適用し、連結財務諸表注記(重要な会計上の見積り)及び(税効果会計関係)に記載されているとおり、2025年3月31日現在において繰延税金資産43,826百万円(繰延税金負債相殺前)を計上している。これは、主にグループ通算制度を適用している会社及び国内連結子会社(以下「グループ通算制度適用会社」という。)において計上されたものである。
百貨店業セグメントにおける主たる国内子会社は、国内で百貨店事業を営んでおり、将来減算一時差異及び税務上の繰越欠損金に対して、予測されるグループ通算制度適用会社における将来課税所得の見積りに基づき、見積可能期間5年間で繰延税金資産の回収可能性を判断している。
グループ通算制度適用会社における将来課税所得の見積りは、翌年度の予算を基礎としており、その主要な仮定は、連結財務諸表注記(重要な会計上の見積り)に記載のとおり、国内個人消費動向の予測に基づく売上成長率及びインバウンド需要の見通しである。
グループ通算制度適用会社における繰延税金資産の回収可能性は、経営者によるグループ通算制度適用会社における将来課税所得の見積りに基づいて判断している。将来課税所得の見積りは、翌年度の予算を基礎に最善の見積りを行っており、国内個人消費動向の予測に基づく売上成長率やインバウンド需要の見通しなど、経営者による主観的判断により影響を受けるため、当監査法人は当該事項を監査上の主要な検討事項と判断した。
当監査法人は、グループ通算制度適用会社における繰延税金資産の回収可能性を検討するに当たり、主として以下の監査手続を実施した。
・将来減算一時差異及び税務上の繰越欠損金の残高について、税務の専門家を関与させて検討するとともに、その解消スケジュールを検討した。
・経営者による将来課税所得の見積りを評価するため、承認された2025年度から2030年度を対象とする新中期経営計画が見積可能期間5年間の基礎になっていることを評価した。また、中期経営計画における重点戦略を理解するとともに、将来を正確に予測することが困難な状況の中で、翌年度の予算を基礎にした見積可能期間5年間の不確実性を勘案した将来課税所得の考え方について経営者と議論し、当該見積可能期間の妥当性を検討した。
・将来課税所得の見積りの検討においては、承認された計画との整合性を検証するとともに、過年度の計画と実績を比較、分析することで、経営者の偏向の有無や見積りの精度を評価した。
・主要な仮定を評価するため、以下の監査手続を実施した。
- 国内個人消費動向の予測に基づく売上成長率について、仮定を経営者と議論して理解した。また、外部調査機関による国内個人消費動向の予測情報と比較、分析することにより、主要な仮定を評価した。
- インバウンド需要の見通しについて、経営者と議論して理解するとともに、外部業界団体の国際輸送予測情報や足元の消費動向と比較、分析することにより、主要な仮定を評価した。
- 国内個人消費動向の予測に基づく売上成長率及びインバウンド需要の見通しの不確実性について感応度分析を行い、繰延税金資産の回収可能性への影響額の重要性を評価した。
今年
監査上の主要な検討事項
監査上の主要な検討事項とは、当連結会計年度の連結財務諸表の監査において、監査人が職業的専門家として特に重要であると判断した事項である。監査上の主要な検討事項は、連結財務諸表全体に対する監査の実施過程及び監査意見の形成において対応した事項であり、当監査法人は、当該事項に対して個別に意見を表明するものではない。
グループ通算制度を適用している会社における繰延税金資産の回収可能性
監査上の主要な検討事項の
内容及び決定理由
監査上の対応
会社及び国内連結子会社はグループ通算制度を適用し、連結財務諸表注記(重要な会計上の見積り)及び(税効果会計関係)に記載されているとおり、2026年3月31日現在において繰延税金資産37,780百万円(繰延税金負債相殺前)を計上している。これは、主にグループ通算制度を適用している会社及び国内連結子会社(以下「グループ通算制度適用会社」という。)において計上されたものである。
百貨店業セグメントにおける主たる国内子会社は、課税所得が安定的に生じており、近い将来に経営環境に著しい変化が見込まれないことから、スケジューリング可能な将来減算一時差異及び税務上の繰越欠損金に係る繰延税金資産を回収可能と見積もっている。
近い将来に経営環境に著しい変化が見込まれないかの予測における主要な仮定は、連結財務諸表注記(重要な会計上の見積り)に記載のとおり、 国内個人消費動向の予測に基づく売上成長率及びインバウンド需要の見通しである。国内個人消費動向の予測に基づく売上成長率やインバウンド需要の見通しなどは、経営者による主観的判断により影響を受けるため、当監査法人は当該事項を監査上の主要な検討事項と判断した。
当監査法人は、グループ通算制度適用会社における繰延税金資産の回収可能性を検討するに当たり、主として以下の監査手続を実施した。
・将来減算一時差異及び税務上の繰越欠損金の残 高について、税務の専門家を関与させて検討するとともに、その解消スケジュールを検討した。
・近い将来に経営環境に著しい変化が見込まれないことについて経営者と議論し、判断の妥当性を検討した。
・主要な仮定を評価するため、以下の監査手続を実施した。
- 国内個人消費動向の予測に基づく売上成長率について、仮定を経営者と議論して理解した。また、外部調査機関による国内個人消費動向の予測情報と比較、分析することにより、主要な仮定を評価した。
- インバウンド需要の見通しについて、経営者と議論して理解するとともに、外部業界団体の国際輸送予測情報と比較、分析することにより、主要な仮定を評価した。
●○○重要度 1(軽微)削除会計方針の変更 / リスク削除
前年度に記載されていた「法人税、住民税及び事業税等に関する会計基準」(2022年改正会計基準)の適用に伴う会計方針の変更の記載が、今年度では削除されている。前年度の記載では、当該変更による連結財務諸表への影響はなかったとされていた。
前年 / 今年の本文を見る
前年
(会計方針の変更)
(法人税、住民税及び事業税等に関する会計基準の適用)
「法人税、住民税及び事業税等に関する会計基準」(企業会計基準第27号 2022年10月28日。以下「2022年改正会計基準」という。)等を当連結会計年度の期首から適用しております。
従来、所得等に対する法人税、住民税及び事業税等(以下、「法人税等」という。)について、法令に従い算定した額を損益に計上することとしておりましたが、所得に対する法人税等について、その発生源泉となる取引等に応じて、損益、株主資本及びその他の包括利益に区分して計上することとし、その他の包括利益累計額に計上された法人税等については、当該法人税等が課される原因となる取引等が損益に計上された時点で、これに対応する税額を損益に計上することといたしました。なお、課税の対象となった取引等が、損益に加えて、株主資本又はその他の包括利益に関連しており、かつ、株主資本又はその他の包括利益に対して課された法人税等の金額を算定することが困難である場合には、当該税額を損益に計上しております。
法人税等の計上区分(その他の包括利益に対する課税)に関する改正については、2022年改正会計基準第20-3項ただし書きに定める経過的な取扱い及び「税効果会計に係る会計基準の適用指針」(企業会計基準適用指針第28号2022年10月28日。以下「2022年改正適用指針」という。)第65-2項(2)ただし書きに定める経過的な取扱いに従っております。なお、当該会計方針の変更による連結財務諸表への影響はありません。
また、連結会社間における子会社株式等の売却に伴い生じた売却損益を税務上繰り延べる場合の連結財務諸表における取扱いの見直しに関連する改正については、2022年改正適用指針を当連結会計年度の期首から適用しております。当該会計方針の変更は、遡及適用されております。なお、当該会計方針の変更による前連結会計年度の連結財務諸表への影響はありません。
●○○重要度 1(軽微)変更事業等のリスク / 内容更新
2.リスクの分析・評価について
リスクの分析・評価の節で、報告先が「監査役会」から「監査委員会」に変更され、サステナビリティ・デジタル・ビジネスモデル変革の各リスクについて、見出しの形式変更と「リスク認識」「対応策」への表現統一が行われた。対応策は具体的な取組列挙から、リスク低減の観点を明示した説明へ再構成され、2025年3月導入の海外顧客向けアプリや人権救済外部窓口、AIチャットサービスから「AIシステム・サービス」への表記変更などが記載された。リスク項目の新設・削除はなく、主に記述の更新・再構成である。
前年 / 今年の本文を見る
差分(削除 / 追加)
当社グループは、グループ全体の事業を取り巻くリスクを5つの領域(①経営戦略リスク②財務リスク③人事・労務リスク④災害・犯罪リスク⑤オペレーショナルリスク)に分類し、領域ごとにリスクを洗い出し、リスク一覧として整理しております。毎年、その内容を見直し、月次でリスクへの対応状況を確認し、必要に応じて評価を見直しております。経営戦略リスクについては、リスク一覧で管理しておりますが、事件事故事象となりうるインシデントについては、経営への影響度、発生頻度をもとにリスクマップ上に抽出し、その中から重点リスクを選定、3つの部会(コンプライアンス部会・リスク対策部会・サイバーセキュリティ対策部会)を通じて具体的な対策の強化を図っております。なお、リスクへの対応状況については、グループ経営戦略会議および監査役会に定期的に報告しております。
リスク領域
リスク項目
影響度
人的損害
物的損害
経営・財務戦略遂行の阻害
レピュテーション毀損
(1)経営戦略リスク
サステナビリティ経営
推進に関するリスク
特に大
●
●
●
デジタル社会への対応に
関するリスク
特に大
●
●
ビジネスモデル変革に
関するリスク
特に大
●
●
海外情勢への対応に関する
リスク
大
●
●
●
●
(2)財務リスク
資金調達に関するリスク
大
●
(3)人事・労務
リスク
人材確保に関するリスク
特に大
●
●
●
(4)災害・犯罪
リスク
災害等の対応に関するリスク
特に大
●
●
●
●
犯罪への対応に関するリスク
特に大
●
●
●
●
(5)オペレーショナルリスク
商品取引上のリスク
特に大
●
●
●
個人情報漏洩に関する
リスク
特に大
●
●
(1) 経営戦略リスク
影響度:特に大
① サステナビリティ経営推進に関するリスク
外部リスク
社会課題の深刻化(気候変動や人権侵害等)
社会課題に対する企業の責任やステークホルダーからの要請の高まり
内部リスク
サステナビリティ経営推進の遅れ(脱炭素や人権デュー・ディリジェンス等)
<当社グループのリスク認識>
近年、世界各地において気候変動に伴う自然災害の激甚化等、私たちを取り巻く社会課題は年々深刻さを増しております。このような背景から、各企業は気候変動への取り組みや循環型社会の実現、人権尊重、持続可能なサプライチェーンの構築、地域社会への貢献など、経済的価値の追求だけではなく、社会的価値の両立を目指した企業活動を行うことが強く求められております。
このような社会の潮流に対して、当社グループのサステナビリティ経営が遅れをとった場合、お客さまを始めとするステークホルダー(お取組先、株主、地域社会、従業員等)からの信用の失墜による市場競争力低下、資金調達や人材獲得が困難となる等、企業経営に悪影響を及ぼす可能性があります。
特に、脱炭素に向けた取り組みが遅れた場合、大量のエネルギー消費による環境負荷増加につながるだけでなく、将来的に環境規制の強化やエネルギーコストの増加等が発生し、当社グループの財務状況に悪影響を与える可能性があります。
<当社グループのリスク対策>
■サステナビリティ経営推進
・サステナビリティに関する課題は経営基盤を支える重要課題と捉え、サステナビリティ基本方針
のもと取り組みを進めております。
サステナビリティ推進体制
・当社グループでは、CEOを議長とするサステナビリティ推進会議を通じ、サステナビリティ活動の方向性・重点取り組み等を共有し、取り組みの推進・浸透を図っております。また、CAO兼CROを議長とするサステナビリティ推進部会では、各課題の具体的な取り組みの検討を行っております。
4つの重点取り組み(マテリアリティ)
・本業を活かして取り組むことが出来るか、加えて当社グループが取り組む意義があり成果を上げることができるかという観点を踏まえ、各事業戦略とリンケージさせながら、4つの重点取り組み(①人・地域をつなぐ ②持続可能な環境・社会をつなぐ ③ひとの力の最大化 ④グループガバナンス・コミュニケーション)に取り組んでおります。
サステナビリティ活動 think good の取り組み
・“think good”の取り組みをグループ全社に拡大し、一丸となって取り組んでおります。
①多様な価値観の尊重 ②地域社会との共創 ③文化の継承と革新 ④環境への取り組み
ステークホルダーへの取り組み
・対お客さま:サステナビリティ活動に関するアンケートを、2013 年より毎年実施しております。
アンケートの集計結果を分析・情報開示の上、頂戴した貴重なご意見・ご要望を、サステナビリティ活動に活かしております。
・対お取組先:小売業を中核とする当社グループの事業活動は、多数のお取組先との協働が不可欠と考えております。サプライチェーン上の持続可能性に配慮するため、お取組先と調達先に対して「お取組先行動規範」の遵守をお願いしております。また、2023年度には、「責任ある調達活動に関するお取組先アンケート」を実施し、潜在リスクをはじめとするサプライチェーン全体の状況把握を行っております。またお取組先との個別対話を実施し、実践に向けた課題やご要望をヒアリングするとともに、取り組みの改善に向けた意見交換を行っております。(2022~2024年度実績:約1,550社)
人権デュー・ディリジェンスへの取り組み
・当社グループでは、人権リスクを発生可能性と深刻度でマッピングした人権リスクマップを作成しております。これにより、特に深刻な人権リスクがサプライチェーン上に潜在する可能性を認識し、「人権リスクマップ」を活用して常に意識を高め、適切な対応を行うことで、人権リスクの未然防止、発生時における是正、防止、低減に向けた取り組みを進めております。加えて、サプライチェーンに開かれた通報窓口として25年4月に「人権救済外部窓口」を設置し、運用を開始しております。
・対従業員:当社グループ全従業員が人権と事業活動とのつながりを理解することを目的に、グループ全社共通のeラーニングや全国のグループ百貨店とグループ会社を対象にした対面研修を実施し、当社グループを取り巻く環境への理解を深め、社会課題の解決に取り組んでおります。
■気候変動・脱炭素社会の実現に向けた取り組み
・当社グループは、気候関連財務情報開示タスクフォース(以下、TCFD)提言へ賛同しており、気候変動によるリスクの把握と当社の財務への影響を分析し、情報開示を行っております。
・気候変動の緩和策としては、「三越伊勢丹グループ2030年環境中期目標(温室効果ガス排出量2023年比▲42%および再生可能エネルギー導入比率55%)」および「三越伊勢丹グループ2050年環境長期目標(温室効果ガス排出量実質ゼロ)」を設定し、脱炭素社会の実現に向けた様々な取り組みを推進しております。詳細は、「2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (2)サステナビリティに関する個別課題(ア)気候変動への対応」をご覧ください。
・気候変動への適応策としては、自然災害の激甚化を想定した対応を行っております。詳細は、「(4)災害・犯罪リスク ①災害対応に関するリスク」の項目において詳しく記載しております。
影響度:特に大
② デジタル社会への対応に関するリスク
外部リスク
デジタル化の加速・急速な情報化社会の進行・技術革新
内部リスク
DX推進対応の遅れ、デジタル人財不足、システム障害管理体制の不備
従業員によるSNSトラブル、AIチャットサービスの不適切な利用
<当社グループのリスク認識>
当社グループは、デジタル社会の変化に対応するために、実店舗とオンラインをシームレスにつなぐオンラインサイトやアプリの提供、デジタルツールを利用した業務効率化を進めております。
また、事業活動を通じて蓄積したデータを活用してお客さまやお取組先への新たな価値提供を目指すなど、デジタルテクノロジーを活用したビジネスモデル変革や業務改革にも取り組んでおります。
当社グループが、デジタル社会への対応に乗り遅れた場合、お客さまのご要望や購買行動が変化する中で、迅速な対応ができず、市場競争力の低下、収益性に悪影響を及ぼすリスクが増大します。また、DXを実行するデジタル人財不足により、経営効率化、業務効率化が進まずに中期経営計画実行、業績、財務状況に悪影響を与える可能性があります。その他、新システム導入や更改、日々のシステム運用のなかで不測の障害が発生することにより、実店舗およびオンライン上の営業活動に支障が生じる恐れがあります。さらに、SNS活用が浸透・拡大するにつれ、従業員個人が関与するSNSトラブル増加の恐れがあります。また、AIチャットサービスは、将来的には業務生産性を高める無限の可能性を持つツールとして積極的な活用が求められる一方で、使い方によっては重要な機密情報の漏洩や意図せず第三者の権利侵害につながるリスク等も懸念されております。
<当社グループのリスク対策>
■デジタル社会への対応
・仮想空間プラットフォームやAIを組み合わせた顧客データ分析等、新しいデジタルテクノロジーを活用したビジネス価値創造に持続的に取り組むことにより、デジタル社会に適応しております。
■デジタルトランスフォーメーション(DX)推進
・個客業化に向けたDX戦略を推進する目的でDX戦略プロジェクトを発足し、DX戦略全体像策定、個客業業務別DXアクション整理を行い、アクションロードマップに基づいてDXを推進しております。
■デジタル人財強化
・デジタルテクノロジーやデータ活用に長けた専門組織を設置し、人材育成や各部門へデジタル人材を配置することで、グループ全体としてDXを実行するデジタル人財の強化を図っております。
■システム障害管理体制
・システム部門による障害発生への事前対策とともに、システム部門と営業部門が一体となりシステム障害発生時における損失を最小化する取り組みを行っております。
■従業員によるSNSトラブル未然防止・再発防止の取り組み
・SNS活用が浸透・拡大するにつれ、想定しなかった事故やトラブルが増加していることから、デジタルな顧客接点として、お客さまに安心してご利用いただける環境の構築を図っております。
・SNSを利用するにあたって従業員が公私を問わず遵守すべきルールとして、禁止・注意・推奨する事項を明示した「ソーシャルメディアガイドライン」を策定し、周知徹底を図っております。
■AIチャットサービスの適切な利用
・AIチャットサービスについては、当社グループ専用のデジタルツールを作成し、利活用できる環境を整備しております。また、利用前には必ずeラーニングを受講するなど社内ルールを周知徹底することで、機密情報漏洩や第三者の権利侵害といったリスク回避の対策を講じております。
影響度:特に大
③ ビジネスモデル変革に関するリスク
外部リスク
既存の百貨店ビジネスモデルの衰退、想定を上回る環境変化(人件費、物価上昇等)
内部リスク
ビジネスモデル変革の遅れ
<当社グループのリスク認識>
当社グループの中核事業である百貨店事業は、これまでマスマーケティング型のビジネスモデルに重きを置いておりました。しかしながら、近年の少子高齢化といった人口動態の変化や所得・消費の二極化といった社会構造の変化、デジタル化の加速と情報化社会の進化により、お客さまの価値観、消費行動は大きく変化し続けています。
また、市場における競争激化を背景とした業界再編の動きが活発化してきており、新たなビジネスモデルへの転換が急務となっております。さらには、インフレの影響、労働市場の逼迫、サプライチェーンの混乱等に伴う人件費、資材、エネルギー等の高騰が、当社グループのビジネスモデル変革への阻害要因にもなり得ます。このような社会の変化の中で、当社グループのビジネスモデル変革が遅れた場合、業績や財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
<当社グループのリスク対策>
■「館業」から「個客業」へのビジネスモデル変革
・当社グループは、新中期経営計画(2025~2030年度)に基づき、従来の「館業」(マス向けビジネスモデル)から「個客業」(「個客業」プロセス活動を通して世界中からお客さまを集め、識別化し、つながったお客さまに多様な顧客価値を提案するビジネスモデル)への変革を進めてまいります。具体的には、百貨店事業でつながりを深めた識別顧客に向けて、グループ全体で連携し、百貨店以外の事業コンテンツ・サービスをご提案してまいります。これにより、お客さまのウォレットシェアを拡大し、各事業の収益性向上を目指す“連邦活動”を主軸に推進してまいります。
「個客業」プロセス活動
・集客:店舗やコンテンツの魅力で世界中からお客さまを集めます
・識別化:集まった顧客とカードやアプリ、デジタルなどの「仕組み」でつながります
・利用拡大:つながった顧客に当社グループの各種事業による多様な価値を提案します
・生涯顧客化:顧客とのつながりを深め、LTV(ライフタイム・バリュー)を最大化します
事業機会の獲得
・世界へ拡大:国内・海外の枠を取り払い、世界中からお客さまを集めます
・時間の拡大:百貨店の営業時間に留まらず、24時間・365日を活用したビジネスを展開します
・空間の拡大:まち化(※)を手段に、お客さまを集め、深くお付き合いするための空間を創造します
・用途の拡大:グループ各事業(百貨店事業/不動産事業/金融事業/関連事業)による三越伊勢丹グループならではの“高感度上質”で多様な価値を提供します
※まち化:百貨店を核に複合用途を広げ、グループ全体でまちのインフラ機能まで展開、世界中のお客さまをまちに呼び込み、不動産事業だけにとどまらないグループ全体の収益モデルの進化を目指す戦略
■変革を迅速に進めるための対応
収益力向上の取り組み
・継続的な収益力向上のため、成長戦略を推進しつつ、科学の視点における販売管理費コントロールでコスト抑制を継続しております。首都圏に加えて地域百貨店においても、科学の視点で3つの改革「組織要員改革」、「収支構造改革」、「店舗構造改革」を着実に推進しております。
擬似カンパニー体制
・2025年度より戦略に適合した組織運営体制をスタートさせ、その中で百貨店事業、不動産事業、金融事業の3つの大きな事業領域を“擬似カンパニー”体制としております。縦の”擬似カンパニー”では、各事業のユニークポイントを進化させ、横では、連邦戦略、まち化戦略、DX戦略などの全社戦略を推進し、縦と横の組み合わせによる新しい個客体験価値を提供し、「個客業」へのビジネスモデルの変革を実現させてまいります。本体制では、各擬似カンパニー単位でモニタリングを実施し、収益性・資本効率を高めるROIC経営を推進しております
<参照先>「1.経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (4)中長期的な経営戦略」において詳しく記載しております。
影響度:大
④ 海外情勢への対応に関するリスク
外部リスク
地政学リスク(政治・経済的不安や社会的混乱等)
内部リスク
従業員の安全上・労務上の問題、現地法規制対応不備、現地のガバナンス不全
<当社グループのリスク認識>
当社グループは、百貨店事業における東南アジア、中国、台湾、および米国の店舗営業のほか、海外の不動産事業にも参画しております。これらの売上、費用、資産を含む現地通貨建ての項目は、連結財務諸表の作成のため円換算されており為替変動の影響を受けております。また事業展開をする各国において、事業・投資の許認可、税制等、様々な政府規制や法制度の適用を受けております。
外部リスクとしては、政治・経済的不安や社会的混乱等の地政学リスクがあります。なかでも国際紛争によるエネルギーコストや商品価格の高騰および商品供給のリードタイムの長期化等、当社グループのビジネスに影響を与える可能性があり、引き続き注視が必要であると捉えております。さらには、米国の関税政策等を背景としたインフレ加速、景気後退、為替変動等のリスクがあり、これらの影響が長引いた場合、海外現地店舗の来店客数および売上高の減少と、訪日外国人来店客数および免税売上高が減少し、業績や財務状況に悪影響をもたらします。
内部リスクとしては、海外で事業展開するうえで、従業員の安全上・労務管理上の問題、海外現地法規制への対応不備、現地のガバナンス不全等のリスクが内在しております。これらのリスクにより、海外実店舗の人的・物的損害の発生だけでなく、財務への損害、事業の停止・撤退を余儀なくされる可能性があります。また、商品供給網においても、お取組先を介してのグローバルな取引が多く存在し、商品供給の停滞、遅延が発生する可能性があります。また、これらの内部リスクを通じて、日本においても、レピュテーション毀損や財務への損害が発生する可能性があります。
<当社グループのリスク対策>
■地政学リスクを背景としたインバウンド需要減少への取り組み
・2025年3月より、海外顧客向けアプリ「MITSUKOSHI ISETAN JAPAN」のサービスを開始しました。
国内のお客さま同様、海外のお客さまとつながることで売上と収益の安定化を図っております。
■従業員の安全上・労務上への取り組み
・海外へ赴任する従業員に対し、海外事業リスクに関する教育を実施しております。
・海外拠点とのリモート会議やタイムリーな現地リスク情報の共有等、定期的なコミュニケーションを実施し、連携を図っております。
・有事におけるレポートラインの確立や日本と海外拠点とが一体となった組織的対応の実施計画を策定しております。また、海外情勢の変化を常に注視し、赴任する従業員の家族や現地への出張者を含めた安全確保のための対策を講じております。
■現地法規制対応
・資金管理等は、銀行のシステムを利用し、日本側からのモニタリング体制を構築しております。
■現地ガバナンス強化
・海外拠点を対象にした内部通報制度を導入し、通報窓口を設置、運用しております。
・資金管理等は、銀行のシステムを利用し、日本側からのモニタリング体制を構築しております。
(2)財務リスク
影響度:大
① 資金調達に関するリスク
外部リスク
市場金利の上昇に伴う資金調達コストの増加
内部リスク
業績悪化や格付け変更による資金調達力の低下
<当社グループのリスク認識>
当社グループは、「館業」から連邦(※注1)とまち化(※注2)を手段に、「個客業」への変革と進化を目指しております。その実現のため、コンテンツ、DX・システム、不動産、生産性向上、安心・安全等の投資に、1,000億円水準の投資が必要となります。しかしながら、当社グループの業績悪化や格付け変更による資金調達力の低下、さらには政策の転換による金融市場の資金調達コストの増加等、様々な要因が資金調達を困難にする可能性があります。資金調達が困難になった場合には、戦略実行の遅延や戦略変更を余儀なくされるリスクが内在しております
※注1) 連邦:グループ内の各事業が連携し、顧客に個別最適なサービスを提供する戦略
※注2) まち化:百貨店を核に複合用途を広げ、グループ全体でインフラ機能まで展開することで、世界中の顧客を街に呼び込み、不動産事業だけにとどまらない収益モデルを目指す戦略
<当社グループのリスク対策>
■財務戦略
・当社グループでは、円滑な資金調達の為、健全なバランスシートやキャッシュフローを維持し、負債比率等を適切に管理しております。具体的な取り組みは以下の通りです。
財務体質の改善
・当社グループは、収支構造改革を積極的に推進し、固定費の削減を実施することで、営業黒字を拡大する取り組みを行っております。また、営業キャッシュフロー改善を通じて、有利子負債削減に取り組むとともに、経費や投資キャッシュアウトのコントロールを徹底することで、財務体質の改善を図っております。
事業別利益と資本効率の改善
・資本コストを意識して、事業利益・連邦利益の拡大と資産効率の改善を図っております。
投資分類と規律・評価の考え方
・中長期的な投資に向けた余力を確保しながら、株主還元や有利子負債削減、収益に貢献する投資をバランス良く実施しております。フローとストックの観点でも最適な財務基盤を構築することで、株主の皆さまをはじめとする全てのステークホルダーとの良好な関係性構築に努めております。
(3) 人事・労務リスク
影響度:特に大
① 人材確保に関するリスク
外部リスク
少子高齢化・生産労働人口減少に伴う人材獲得競争の激化
内部リスク
経営・戦略実現・事業基盤を支える持続的な人材獲得・育成の遅れ
<当社グループのリスク認識>
当社グループは、戦略を遂行するうえで百貨店事業分野のみならず、不動産事業、金融事業、関連事業をはじめとした各事業の成長を担う専門人財と長期のグループ成長を担う経営人財の確保、持続的な育成が必要と認識しております。少子高齢化に伴う生産労働人口の減少を背景にした人財獲得競争が激化するなかで、計画通りに必要な知識・経験・スキルを有する人財の確保が図れなかった場合は、当社グループの目指す経営目標の達成や事業成長に影響を及ぼす可能性があります。
<当社グループのリスク対策>
■人財獲得に向けた取り組み
・当社グループでは、採用において、学生の皆さまとの価値観の共有を何より大切にしております。
相互理解を深めるため、ワークショップ等で丁寧にコミュニケーションを重ねていっております。
・内定を出した後にも価値観のすり合わせ、入社に対するモチベーションを高めてもらうため、複数回面談を実施するなど採用におけるミスマッチをなくし、一人一人の力を最大化しながら意欲的に働くことができるよう努めております。
■経営・戦略実現・事業基盤を支える人財育成
・従業員の成長と企業の戦略実現を両立させるため、処遇改善や人財育成、働く環境の整備や健康経営の推進、人事DX等、メリハリを持った人的資本投資を行っております。
従業員の成長
・当社グループは、「三越伊勢丹グループ人財マネジメント方針」の下、経営資源の成長分野への投入や従業員の能力開発、スキル向上等を通じて、イノベーションによる持続的な成長と生産性向上に取り組み、付加価値の最大化に注力しております。その上で、生み出した収益・成果に基づいて、従業員への持続的な還元を目指しております。
企業の戦略実現
・経営戦略の実現に向けた専門人財の育成に関しては、戦略的な出向政策や既存人財のリスキル、事業別に異なる専門スキルに応じた制度の拡充に取り組んでおります。
・合わせて、経営戦略の実現に必要な「多様な事業の組み合わせ」により新たな価値を創造する人財の育成に向けて、グループ内外への人財流動化を計画的に進めることで、個人の持つ知と経験、ネットワークの多様性を拡大し、新たな価値を生み出す人財の育成に取り組んでおります。
<参照先>
・人的資本経営については、「2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (2)サステナビリティに関する個別課題(イ)人的資本経営」において詳しく記載しております。
■従業員エンゲージメントの向上
・社内のあらゆる関係における対話文化の醸成を進めることで、働きがい、働きやすさの向上を図っております。
・従業員の心身の健康維持・増進に向け、会社と労働組合が共同で「安心して働くことのできる職場環境づくり」を宣言しております。本取り組みでは、ハラスメント撲滅や適正な労働時間の管理を全社的に進めております。
・その他、一人一人のライフワークバランスを尊重し、個人のライフスタイルに合わせた多種多様な働き方を認める両立支援制度(育児・介護等)の拡充や、女性活躍推進に向けた取り組みにも継続して取り組んでおります。
<参照先>サステナビリティレポート:
https://www.imhds.co.jp/content/dam/imhds/corporate/pdf/sustainability/sustainability_report2024.pdf
(4) 災害・犯罪リスク
影響度:特に大
① 災害等の対応に関するリスク
外部リスク
自然災害の激甚化、感染症拡大、他国からのミサイル攻撃
内部リスク
火災・消防法違反、災害等への対応不備
<当社グループのリスク認識>
当社グループは、百貨店事業を中核とした事業展開を行っております。そのため、自然災害(地震・津波・台風・水害・雪害等)が発生すると、店舗の営業活動に悪影響を及ぼす可能性があります。
大規模地震(首都直下地震、南海トラフ地震等)が発生した場合、お客さま、従業員への人的被害、建物・設備・商品等の物的被害、停電、ガス停止、断水等の社会インフラへの影響、さらには、地震の揺れや津波の影響による原子力発電所の運転停止等の事故発生時には、放射能による食品汚染などが営業活動に影響を及ぼす恐れがあります。加えて、百貨店事業は全国各地からの商品供給や物流により成り立っているため、供給網に影響が及ぶことで、当社グループの事業継続に深刻な影響を及ぼす可能性があります。
また、台風、水害(集中豪雨・高潮・洪水等)、大雪の影響を受けた場合、お客さま、従業員への人的被害および建物・設備・商品等の物的被害が生じ、臨時休業等による営業損失を被る可能性があります。
さらに、富士山が噴火した場合、東海地方および首都圏の各社・各店において、火山灰が飛来することで、交通インフラの混乱が予想されるほか、通信・システム・電力・上下水道や物流網等、全国的な影響が想定され、当社グループの事業継続に多大なる影響を及ぼす可能性があります。
感染症が拡大した場合、国内の消費マインドやインバウンド需要の低迷等、当社グループの業績や財務状況に悪影響を与える可能性があります。
近年では、他国からのミサイルが日本の領土等に着弾・落下する可能性もあり得ます。たとえ、お客さま、従業員、建物・設備・商品等に直接的な損害が無くても、攻撃が継続され、深刻な事態に発展した場合、当社グループの事業継続に甚大なる影響を及ぼす可能性があります。
火災が発生した場合、お客さま、従業員への人的被害、建物・設備・商品等への物的被害、被害者に対する損害賠償責任等が発生する可能性があります。その他、消防法違反が発覚した場合、罰則や営業停止に伴う営業損失等、業績や財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
<当社グループのリスク対策>
■自然災害への取り組み
平時の備え
・当社グループでは、想定される大規模災害(地震、水害、パンデミック、富士山噴火、ミサイル攻撃等)への対応のため、事業継続計画書(以下、BCP)、災害対策基本計画を策定しております。
・毎月開催されるリスク対策部会を通じて、自然災害に対する様々な取り組みを強化しております。
※体制整備、物理的安全対策、防災資機材の整備、コミュニケーション手段の整備、訓練実施等
・自主点検を年2回実施し、グループ各社の災害対策実施状況を把握し、適時フォローしております。
有事の対応
・年2回全国一斉安否確認訓練を実施し、従業員の安否報告と安否確認の周知徹底を図っております。
・年2回BCP訓練(首都直下地震・南海トラフ地震)を実施し、災害対応力向上を図っております。
※2024年度以降、複合災害への備え強化を目的に、大規模地震と合わせ富士山噴火対応も実施
・年1回以上、グループ各社においても大規模地震を想定した災害対策本部訓練を実施しております。
レジリエンス認証
・株式会社三越伊勢丹では、BCPの取り組みと店頭での募金活動や従業員のボランティア活動を支援する仕組み等が評価され、「事業継続」と「社会貢献」の分野において外部認証機関より百貨店初のレジリエンス認証を取得しております。
■風水害への取り組み
・当社グループ全拠点のハザードマップを作成し、災害対策本部を立ち上げるための基準を個別に設定しております。また災害発生時には、風水害対策マニュアルに基づいた対応を行っております。
■感染症への取り組み
・当社グループのBCPでは、「新型インフルエンザ等によるパンデミック」について、被害想定ならびに行動目標を定めております。グループ内で感染症が拡大した場合、総合対策本部を立ち上げ、お客さまと従業員の安全・安心を第一に、グループ全社で感染予防対策を実施してまいります。
■ミサイル攻撃への取り組み
・ミサイル攻撃については、Jアラート発令時の対応マニュアルを作成し、周知しております。
・リスク対策部会等を通じて、Jアラート発令時の訓練の事例共有を行い、横展開を図っております。
■火災・消防法違反への取り組み
・毎月開催されるリスク対策部会を通じて、火災に対する様々な取り組みを強化しております。
※日々のお買場点検、年2回の自主点検実施、事例共有による火災未然防止・再発防止等
・所轄消防署の協力のもと、防火防災訓練を実施し、火災発生時の対応力向上を図っております。
・当社グループでは、消防法に基づき適切に防火管理者選任、自衛消防隊を編成しております。
■従業員への教育
・社内報での防災に関する情報発信を通じて、従業員への自助の取り組みを推進しております。
影響度:特に大
② 犯罪への対応に関するリスク
外部リスク
組織犯罪等の増加((詐欺・強盗・窃盗、サイバー攻撃・不正アクセス等)
内部リスク
従業員による不正・違法行為
<当社グループのリスク認識>
近年、SNSなどを通じて緩やかに結びつく匿名・流動型犯罪グループ等による特殊詐欺をはじめ、高額品を狙った強盗や窃盗などの組織犯罪が増加し、手口が巧妙化してきています。強盗・窃盗等は、お客さまや従業員の人命や安全を脅かすだけでなく経済的、物理的損失や営業停止を引き起こし、ブランドイメージを脅かす恐れがあります。
特に、当社グループは多岐にわたる事業活動やサービス提供のなかで、お客さま、お取組先の様々な情報をお預かりし、厳重に管理しております。昨今、日本企業が国内外からのサイバー攻撃を受ける事例が増加しており、当社グループでも情報セキュリティガバナンスのさらなる強化は急務となっております。サイバー攻撃等によるシステムの破壊や停止、不正アクセス等による機密情報や個人情報の漏洩が発生した場合、システムの停止と復旧に時間を要することにより、広範な業務に支障をきたすことを余儀なくされます。
また、従業員による不正・違法行為が発生した場合、社会的信用の失墜による売上減少や賠償金等の支払い負担、レピュテーション棄損等、業績や財務状況に悪影響を与える可能性があります。
<当社グループのリスク対策>
■組織犯罪等への取り組み
詐欺・強盗・窃盗等への取り組み
・毎月開催されるリスク対策部会を通じて犯罪リスクに対する様々な取り組みを強化しております。
※年2回の自主点検実施、事例共有による詐欺・強盗・窃盗未然防止・再発防止等
・所轄警察署の協力のもと、強盗訓練を実施し、強盗発生時の対応力向上を図っております。
サイバー攻撃・不正アクセス等への取り組み
・当社グループでは、情報セキュリティガバナンス強化のため、サイバーセキュリティ対策部会において、日常の業務活動のなかで技術的および人的・組織的な対策の推進を図っております。
・技術的対策では、サイバー攻撃を防御、監視、検知、駆除するためのセキュリティツールの導入と運用を強化しております。
・人的・組織的対策では、情報セキュリティに関する従業員のリテラシーの向上を図るため、システム部門における専門的なセキュリティ人財の育成や、従業員へのセキュリティ教育・サイバーインシデント訓練を適時実施しております。
■従業員による不正・違法行為 未然防止の取り組み
・「三越伊勢丹グループ企業理念」を実践するため、グループの役職員が日々の業務でいかに判断し、行動すべきかの倫理的基準を示す「三越伊勢丹グループ行動規範」を定め徹底を図っております。
・不正・違法行為を内部通報する「三越伊勢丹グループホットライン」を設けております。
・オンライン上の不正行為を抑止するために、技術的対策の導入を一層強化していっております。
(5) オペレーショナルリスク
影響度:特に大
① 商品取引上のリスク
外部リスク
法令遵守に対する社会的要請の高まり
内部リスク
お取組先との公平・公正な取引における問題(商品調達等)
商品の品質・安全管理における体制上の問題
<当社グループのリスク認識>
当社グループは、百貨店事業を中核とした事業展開を行っております。お客さまのニーズに合わせて、常に安全で安心な商品やサービスを提供することを最優先に考え、お客さまのご満足と信頼に応えられる品質を追求しております。百貨店事業は、私的独占の禁止および公正取引の確保に関する法律を始めとする経済法や各種消費者保護法、また営業許認可に関わる各種業法の適用を受けております。これらの法規制を遵守し、お取組先や消費者との取引においても、競争力や情報量の格差に乗じた不当な拘束等を排除し、公正な取引を行うことが求められております。これらの法規制を遵守できなかった場合、行政処分により当社グループの営業活動に制限がかかる可能性や、社会的信用の失墜、売上の減少、罰金や課徴金の負担等の財務上の損失が生じる可能性など、当社グループの営業活動に大きな影響を与えることが考えられます。
当社グループが実施しているサステナビリティ活動に関するお客さまアンケートにおいても、例年「商品の品質・安全の確保・正確な表示」が、当社グループに期待されている項目の上位に挙げられております。なかでも食料品販売から飲食サービスまで多岐にわたる食品衛生に関わる事業においては、アレルギー表記の不備等が原因となる食物アレルギー有症事故や、調理者の健康管理不良や食材管理不良等に伴う食中毒が懸念されます。これらが発生した場合、お客さまへの重篤な健康被害だけでなく、営業停止や罰則などの行政処分、社会的信用の失墜による売上の減少や損害賠償金等の支払いが発生し、当社グループの業績、財務状況に悪影響を与える可能性があります。
<当社グループのリスク対策>
■法令遵守への取り組み
三越伊勢丹グループ行動規範の策定と周知
・「三越伊勢丹グループ企業理念」を実践するため、グループの役職員が日々の業務でいかに判断し、行動すべきかの倫理的基準を示す「三越伊勢丹グループ行動規範」を定め浸透を図っております。
コンプライアンス推進体制
・コンプライアンス推進会議を組織し、定例会議において、法改正等への対応指針の策定と社内懸念事項の報告および解決に向けた取り組みを強化しております。
従業員への教育
・グループ全体の商品取引における法令遵守体制を構築するために、下請代金支払遅延等防止法や不当景品類及び不当表示防止法、特定商取引に関する法律に則したガイドラインやマニュアルを整備し、法改正やオペレーションの見直し等時宜に適った改定を行い、社内に周知しております。
・コンプライアンスを担当する実務者向けに、法令、社内規程等を含めた定期的な教育を実施し、実務とコンプライアンス遵守の両立に取り組んでおります。
事件・事故発生時の対応
・事件・事故が発生した場合、各ガイドラインとレポートラインに則った関連部署間での連携による解決を図り、その後、社内にて事例を共有し、再発防止に努めております。
■お取組先との公平・公正な取引への取り組み
・当社グループは、持続可能なサプライチェーンの構築やビジネスと人権等の社会課題に対応するため、「三越伊勢丹グループ調達方針」、「三越伊勢丹グループ人権方針」を策定しております。
・当社グループは、お取組先や価値創造を図る事業者の皆さまとの連携・共存共栄を重視して、新たなパートナーシップを構築することを宣言する「パートナーシップ構築宣言」を策定しております。宣言の内容は、eラーニングを通じて従業員全員が理解・実践に努めており、公平・公正な取引を通じてお取組先との信頼関係を築き、社会的価値と経済的価値の両立を目指しております。
・アンケートの実施、お取組先との対話、方針説明会の開催等を通じて、お取組先各社との対話を深め、サプライチェーン・マネジメント体制を整えております。
・当社グループ内に派遣いただいている従業員を含め、店頭において法令違反や社内規程に反する行為がないか、定期的に点検を行うとともに、法令、社内規程等のOJT教育を実施しております。
■商品の品質・安全管理体制
食品事故 未然防止・再発防止への取り組み
・食品衛生の基本となるHACCPの考え方を取り入れた衛生管理計画書を策定し、お取組先まで共有することで食品衛生確保の網羅性を図っております。また、計画書に基づき日々の記録と保管を徹底し、定期的な点検を実施することで、法令遵守と食中毒等予防の両面からお客さまの安全確保に取り組んでおります。
・アレルギー有症事故を予防するため、正確なアレルギー情報を提供するためのマニュアルと社内体制を整備しております。定期的な点検を通じて情報の正確性を確認し、お客さまとも積極的なリスクコミュニケーションを日々推進しております。
影響度:特に大
② 個人情報漏洩に関するリスク
外部リスク
サイバー攻撃、不正アクセス等の増加
内部リスク
管理体制不備による個人情報等の漏洩・紛失
<当社グループのリスク認識>
昨今、個人情報を用いたビジネスの拡大や新規ビジネス創出に伴う個人情報の漏洩や不適切な利用事案の増加から、消費者の個人情報保護への意識と利用状況への関心が高まっております。また、個人情報に関する各国法も相次いで整備されるなか、企業には、越境移転も踏まえた厳重な管理体制や、目的内利用の仕組みの構築が求められております。
当社グループは、百貨店事業、金融事業、不動産事業、関連事業における事業活動やサービス提供のなかで、多くのお客さま、お取組先から個人情報をお預かりし厳重に管理しております。しかし、サイバー攻撃、不正アクセス等による個人情報漏洩や管理体制不備による個人情報漏洩・紛失、また個人情報の保護に関する法律等への違反が発覚した場合には、損害賠償費用や罰金などの費用が発生する可能性があります。さらに、当社グループの社会的信用の失墜による売上の減少等、当社グループの業績や財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
<当社グループのリスク対策>
■サイバー攻撃、不正アクセス等への取り組み
・情報セキュリティリスクへの備えとしてサイバーセキュリティ対策部会において、人的・組織的・技術的な対策の推進を図っております。人的・組織的対策では、情報セキュリティに関する従業員のリテラシー向上を図るため、システム部門における専門的なセキュリティ人財の育成や、セキュリティ教育、サイバーインシデント訓練を実施しております。また、技術的対策では、サイバー攻撃に対し、防御、監視、検知、対応するためのセキュリティツールの導入と運用を強化しております。
■グループ情報管理基盤の構築
・グループ経営戦略会議の諮問機関であるリスクマネジメント委員会を通じて、「館業」から「個客業」への転換に向けて、堅固なグループ情報管理基盤の構築に向けた対策の強化を図っております。
個人情報漏洩・紛失等の未然防止・再発防止の取り組み
・適切な個人情報の取得および利用のための自主基準やマニュアルを策定し、これらに基づいて管理システム・社内管理体制を整備し、実店舗からオンライン環境に至る全ての事業環境において、日々厳重に個人情報の管理を実施しております。
・個人情報を含む情報セキュリティ体制の策定と周知徹底を行い、さらに継続的な見直しとモニタリングを実施しております。
・従業員に向けた教育を実施し、対応スキルの向上・リテラシーと意識向上を図っております。
・行政によるデジタル社会の形成に向けた法整備状況や個人情報の保護に関する法律、法規制、ガイドライン等への対応を進めております。
海外拠点における取り組み
・海外拠点においては、現地法規制に関する情報収集を継続的に行い適切な対応を行っております。
経営戦略リスクについては、リスク一覧で管理しておりますが、事件事故事象となりうるインシデントについては、経営への影響度、発生頻度をもとにリスクマップ上に抽出し、その中から重点リスクを選定、3つの部会(コンプライアンス部会・リスク対策部会・サイバーセキュリティ対策部会)を通じて具体的な対策の強化を図っております。なお、リスクへの対応状況については、グループ経営戦略会議および監査委員会に定期的に報告しております。
リスク領域
リスク項目
影響度
人的損害
物的損害
経営・財務戦略遂行の阻害
レピュテーション毀損
(1)経営戦略リスク
サステナビリティ経営
推進に関するリスク
特に大
●
●
●
●
デジタル社会への対応に
関するリスク
特に大
●
●
ビジネスモデル変革に
関するリスク
特に大
●
●
海外情勢への対応に関する
リスク
大
●
●
●
●
(2)財務リスク
資金調達に関するリスク
大
●
(3)人事・労務
リスク
人材確保に関するリスク
特に大
●
●
●
(4)災害・犯罪
リスク
災害等の対応に関するリスク
特に大
●
●
●
●
犯罪への対応に関するリスク
特に大
●
●
●
●
(5)オペレーショナルリスク
商品取引上のリスク
特に大
●
●
●
個人情報漏洩に関するリスク
特に大
●
●
(1) 経営戦略リスク
①サステナビリティ経営推進に関するリスク 影響度:特に大
外部リスク
社会課題の深刻化(気候変動や人権侵害等)
社会課題に対する企業の責任やステークホルダーからの要請の高まり
内部リスク
サステナビリティ経営推進の遅れ(脱炭素や人権デュー・ディリジェンス等)
<リスク認識>
近年、世界各地において、気候変動に伴う自然災害の激甚化等、企業を取り巻く社会課題は複雑化・深刻化しております。このような環境下において企業には、気候変動への対応や循環型社会の実現、人権の尊重、持続可能なサプライチェーンの構築、地域社会への貢献など、経済的価値の追求だけではなく、社会的価値の創出の両立を目指した企業活動を求められております。また、気候変動をはじめとするサステナビリティ課題については、事業活動および財務への影響を把握する観点から、関連するリスクおよび機会を識別し、その影響度や発現時期を踏まえて分析することの重要性が高まっております。
このような社会の潮流に対して、当社グループのサステナビリティ経営の推進が十分でない場合には、お客さまを始めとするステークホルダー(お取組先、株主/投資家、地域社会/コミュニティ、従業員等)からの信頼低下を招き、市場競争力の低下、資金調達環境の悪化や人財の確保・定着への影響等、企業経営に悪影響を及ぼす可能性があります。
特に、脱炭素に向けた取り組みが十分に進展しない場合、エネルギー消費に伴う環境負荷増加につながるだけでなく、将来的な環境関連規制の強化やエネルギーコストの上昇により、当社グループの財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
<対応策>
■サステナビリティ経営推進体制の強化
当社グループでは、サステナビリティに関する課題を、中長期的な企業価値および財務基盤に影響を及ぼし得る重要な経営リスクの一つと認識し、サステナビリティ基本方針のもと、経営層が主導する推進体制を構築しております。
具体的には、CEOを議長とするサステナビリティ推進会議において、社会環境の変化やステークホルダーからの要請を踏まえ、サステナビリティ活動の方向性および重点課題を審議し、その内容を経営判断および事業戦略に反映しております。
また、CAO兼CROを議長とするサステナビリティ推進部会において、重点課題に関する具体的施策の検討、進捗管理および課題対応を行い、グループ全体への浸透と実効性の確保を図っております。
■事業戦略と連動したサステナビリティの推進
当社グループは、本業を通じて社会課題の解決と企業価値向上の両立を図る観点から、事業戦略と連動した4つの重点取り組み(①人・地域をつなぐ、②持続可能な環境・社会をつなぐ、③ひとの力の最大化、④グループガバナンス・コミュニケーション)を定め、サステナビリティ経営を体系的に推進しております。
さらに、サステナビリティ活動“think good”を百貨店事業だけでなく不動産事業、金融事業、その他関連事業に取り組みを広げ、規模の拡大と、さらなる独自性の磨き上げを目指すとともに社会課題への対応力を高めることで、ブランド価値および市場競争力の維持・向上に努めております。
■ステークホルダーとの対話を通じた信用リスクの低減
当社グループは、ステークホルダーとの継続的な対話を通じて、社会的要請の変化や事業活動に関連する潜在的リスクを的確に把握し、信頼関係の維持・向上を図ることで、信用低下による事業・財務への影響の抑制に努めております。
お客さまに対しては、サステナビリティ活動に関するアンケートを毎年実施し、その結果を分析・情報開示の上、頂戴した貴重なご意見・ご要望をサステナビリティ活動に活かしております。
また、お取組先に対しては、「お取組先行動規範」の遵守をお願いするとともに、2年に1度のアンケートや個別対話を通じてサプライチェーン上のリスク把握および改善に向けた協議を行っております。
■人権デュー・ディリジェンスの実施
当社グループでは、人権侵害が事業活動や信用に重大な影響を及ぼすリスクであるとの認識のもと、発生可能性および深刻度の観点から人権リスクマップを作成し、重点対応領域の特定および未然防止に取り組んでおります。
加えて、2025年4月にはサプライチェーン全体(社内外)を対象とする「人権救済外部窓口」を設置し、人権リスク発生時の是正および救済を含む実効性のある対応体制を構築しております。
■気候変動への対応・脱炭素社会の実現に向けた取り組み
当社グループは、気候変動が事業運営および財務状況に与える影響を重要な経営課題と認識し、TCFD提言に賛同の上、気候関連リスクおよび機会の把握・分析ならびに情報開示を行っております。
また、将来的な環境規制の強化やエネルギーコスト上昇等による財務影響を抑制するため、「三越伊勢丹グループ2030年環境中期目標(温室効果ガス排出量2023年度比▲42%※1および再生可能エネルギー導入比率55%)」および「三越伊勢丹グループ2050年環境長期目標(温室効果ガス排出量実質ゼロ※2)」を設定し、温室効果ガス排出量削減や再生可能エネルギー導入等を通じて、脱炭素社会の実現に向けた取り組みを継続的に推進しております。
※1 Scope1・2のみ
※2 Scope1・2・3
②デジタル社会への対応に関するリスク 影響度:特に大
外部リスク
デジタル化の加速・急速な情報化社会の進行・技術革新
内部リスク
DX推進対応の遅れ、デジタル人財不足、システム障害管理体制の不備
従業員によるSNSトラブル、AIシステム・サービスの不適切な利用
<リスク認識>
当社グループは、デジタル社会の変化に対応するために、実店舗とオンラインをシームレスにつなぐオンラインサイトやアプリの提供、デジタルツールを利用した業務効率化を進めております。
また、事業活動を通じて蓄積したデータを活用してお客さまやお取組先への新たな価値提供を目指すなど、デジタルテクノロジーを活用したビジネスモデル変革や業務改革にも取り組んでおります。
当社グループが、デジタル社会への対応に乗り遅れた場合、お客さまのご要望や購買行動が変化する中で、迅速な対応ができず、市場競争力の低下、収益性に悪影響を及ぼすリスクが増大します。また、DXを実行するデジタル人財不足により、経営効率化、業務効率化が進まずに中期経営計画実行、業績、財務状況に悪影響を与える可能性があります。その他、新システム導入や更改、日々のシステム運用のなかで不測の障害が発生することにより、実店舗およびオンライン上の営業活動に支障が生じる恐れがあります。
さらに、SNS活用が浸透・拡大するにつれ、従業員個人が関与するSNSトラブル増加の恐れがあります。また、AIシステム・サービスは、将来的には業務生産性を高める無限の可能性を持つツールとして積極的な活用が求められる一方で、使い方によっては重要な機密情報の漏洩や意図せず第三者の権利侵害につながるリスク等も懸念されております。
<対応策>
■デジタルテクノロジーを活用したDX推進と競争力の維持・向上
当社グループは、デジタル社会における顧客ニーズや購買行動の変化に迅速に対応するため、実店舗とオンラインをシームレスにつなぐ顧客体験の高度化を進めるとともに、事業活動を通じて蓄積したデータを活用した新たな価値創出に取り組んでおります。
個客業化に向けたDX戦略のもと、業務プロセス改革およびビジネスモデル変革を継続的に推進することで、デジタル社会への対応遅れによる市場競争力低下や収益性悪化のリスク低減を図っております。
■DX推進を支えるデジタル人財の確保・育成
DXを実効性あるものとするため、当社グループでは、デジタルテクノロジーやデータ活用に精通した専門組織を設置するとともに、グループ内における計画的な人財育成を通じて、DX推進を担う人財基盤の強化に取り組んでおります。
■システム障害管理体制
システム部門による障害発生への事前対策とともに、システム部門と営業部門が一体となりシステム障害発生時における損失を最小化する取り組みを行っております。
■従業員によるSNSトラブル未然防止・再発防止の取り組み
SNS活用が浸透・拡大するにつれ、想定しなかった事故やトラブルが増加していることから、デジタルな顧客接点として、お客さまに安心してご利用いただける環境の構築を図っております。
SNSを利用するにあたって従業員が公私を問わず遵守すべきルールとして、禁止・注意・推奨する事項を明示した「ソーシャルメディアガイドライン」を策定し、周知徹底を図っております。
■AIシステム・サービスの適切な利用
AIシステム・サービスについては、当社グループで安心、安全に利活用できる環境を整備しております。また、利用前には必ずeラーニングを受講するなど社内ルールを周知徹底することで、機密情報漏洩や第三者の権利侵害といったリスク回避の対策を講じております。
③ビジネスモデル変革に関するリスク 影響度:特に大
外部リスク
既存の百貨店ビジネスモデルの衰退、想定を上回る環境変化(人件費、物価上昇等)
内部リスク
ビジネスモデル変革の遅れ
<リスク認識>
当社グループの中核事業である百貨店事業は、これまでマスマーケティング型のビジネスモデルに重きを置いておりました。しかしながら、近年の少子高齢化といった人口動態の変化や所得・消費の二極化といった社会構造の変化、デジタル化の加速と情報化社会の進化により、お客さまの価値観、消費行動は大きく変化し続けております。
また、市場における競争激化を背景とした業界再編の動きが活発化してきており、新たなビジネスモデルへの転換が急務となっております。さらには、インフレの影響、労働市場の逼迫、サプライチェーンの混乱等に伴う人件費、資材、エネルギー等の高騰が、当社グループのビジネスモデル変革への阻害要因にもなり得ます。このような社会の変化の中で、当社グループのビジネスモデル変革が遅れた場合、業績や財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
<対応策>
■「館業」から「個客業」へのビジネスモデル変革の推進
当社グループは、少子高齢化や消費行動の多様化、デジタル化の進展といった外部環境の変化を踏まえ、中期経営計画(2025~2030年度)に基づき、従来のマスマーケティング型の「館業」から、顧客一人ひとりとの継続的な関係構築を基盤とする「個客業」へのビジネスモデル変革を推進しております。
百貨店事業において培ってきた顧客基盤を起点に、カードやアプリ等を活用して顧客を識別化し、グループ各事業(百貨店、不動産、金融、関連事業)が連携することで、多様な顧客価値の提案を行っております。これにより、顧客との関係性を深化させ、LTV(ライフタイム・バリュー)の最大化およびウォレットシェアの拡大を図ってまいります。
また、2025年3月に導入した海外顧客向けアプリ「MITSUKOSHI ISETAN JAPAN」を通じ、国内外を問わず顧客との接点を拡大し、インバウンド需要を含む収益基盤の安定化に取り組んでおります。
■事業機会の拡大による成長余地の確保
当社グループは、「個客業」への転換を通じ、事業機会の拡大を図っております。具体的には、国内外の地域的制約を超えた顧客獲得、営業時間に依存しないビジネス展開、百貨店を核とした「まち化」戦略による空間価値の創出、ならびにグループ各事業の特性を活かした用途の拡大を進めております。
これらの取り組みにより、既存の百貨店ビジネスモデルに依存しない成長機会を創出し、社会構造や市場環境の変化に対する事業ポートフォリオの耐性を高めてまいります。
■変革を迅速かつ持続的に進めるための経営基盤強化
当ビジネスモデル変革を着実かつ継続的に実行するため、当社グループは、収益力の向上と経営管理の高度化に取り組んでおります。インフレの進行や労働市場の逼迫、サプライチェーンの混乱等による人件費・資材費・エネルギーコストの上昇が、変革推進の阻害要因となり得ることを踏まえ、販売管理費の適正化を進めるとともに、収益構造の強化を図っております。
具体的には、首都圏および地域百貨店において、「組織要員改革」「収支構造改革」「店舗構造改革」の三つの改革を、科学的なデータや検証に基づき継続的に実施しております。これにより、事業環境の変化に柔軟に対応し得るコスト構造の構築と、生産性の向上を進めております。
また、経営課題や投資効果を適切に把握・判断できる経営管理体制の高度化を進め、成長分野への資源配分と収益性改善の両立を図っております。これらの取り組みを通じて、外部環境の変動下においても、ビジネスモデル変革を持続的に遂行できる経営基盤の強化に努めております。
④海外情勢への対応に関するリスク 影響度:大
外部リスク
地政学リスク(政治・経済的不安や社会的混乱等)
内部リスク
従業員の安全上・労務上の問題、現地法規制対応不備、現地のガバナンス不全
<リスク認識>
当社グループは、百貨店事業における東南アジア、中国、台湾、および米国の店舗営業のほか、海外の不動産事業にも参画しております。これらの売上、費用、資産を含む現地通貨建ての項目は、連結財務諸表の作成のため円換算されており為替変動の影響を受けております。また事業展開をする各国において、事業・投資の許認可、税制等、様々な政府規制や法制度の適用を受けております。
外部リスクとして、政治・経済的不安や社会的混乱等の地政学リスクがあります。なかでも国際紛争によるエネルギーコストや商品価格の高騰および商品供給のリードタイムの長期化等、当社グループのビジネスに影響を与える可能性があり、引き続き注視が必要であると捉えております。さらには、国際紛争の長期化に伴うインフレ加速、景気後退、為替変動等のリスクがあり、これらの影響が長引いた場合、海外現地店舗の来店客数および売上高の減少と、訪日外国人来店客数および免税売上高が減少し、業績や財務状況に悪影響をもたらします。
内部リスクとしては、海外で事業展開するうえで、従業員の安全上・労務管理上の問題、海外現地法規制への対応不備、現地のガバナンス不全等のリスクが内在しております。これらのリスクにより、海外実店舗の人的・物的損害の発生だけでなく、財務への損害、事業の停止・撤退を余儀なくされる可能性があります。また、商品供給網においても、お取組先を介してのグローバルな取引が多く存在し、商品供給の停滞、遅延が発生する可能性があります。また、これらの内部リスクを通じて、日本においても、レピュテーション毀損や財務への損害が発生する可能性があります
<対応策>
■現地ガバナンスおよび法令遵守体制の強化
当社グループでは、海外各拠点における事業リスクを適切に管理するため、日本側と海外拠点との間で定例的な会議を実施するとともに、内部統制チェックリストを活用したモニタリングを行い、ガバナンス体制の強化を図っております。
加えて、拠点ごとに事業内容や外部環境、地政学的要因等を踏まえたリスクマップを作成・更新し、主要リスクの可視化と優先順位付けを行うことで、統制の実効性向上に取り組んでおります。これらのリスクマップは、日本側においても共有・確認し、モニタリングや対応方針の検討に活用しております。
また、海外拠点を対象とした内部通報制度を導入し、通報窓口を設置・運用することで、不正・不祥事の早期把握および是正に取り組んでおります。
資金管理については、金融機関のシステムを活用し、日本側からのモニタリング体制を構築することで、財務リスクの抑制に努めております。
■従業員の安全確保および労務管理への取り組み
海外事業に従事する従業員および出張者の安全を確保するため、海外赴任者に対して、地政学リスクや現地の治安・法制度等に関する教育を実施しております。
加えて、海外拠点とのリモート会議や現地情勢に関する情報共有を定期的に行い、平時からのコミュニケーション強化を図っております。
有事においては、日本側および海外拠点が一体となって対応できるよう、レポートラインや対応方針を明確化するとともに、情勢の変化に応じて、赴任者の家族や出張者を含めた安全確保のための措置を講じております。
■地政学リスクを踏まえた事業・財務運営への対応
国際紛争等に伴うエネルギー価格や商品価格の変動、為替変動が当社グループの業績および財務状況に与える影響を低減するため、事業環境の変化を注視しつつ、海外事業の採算性や投資回収状況を定期的に検証しております。
また、事業継続に影響を及ぼす可能性がある場合には、必要に応じて事業計画や投資判断の見直しを行うなど、機動的な対応に努めております。
■商品供給網およびレピュテーションリスクへの対応
グローバルな商品供給網における停滞や遅延のリスクに対しては、お取組先との連携を通じて情報収集を行い、供給状況の把握および影響の最小化に努めております。
あわせて、海外事業に起因する問題が国内外でのブランド評価や信用に影響を及ぼすことのないよう、平時からのリスク管理体制の整備と、危機発生時における適切な情報共有・対応を行っております。
(2) 財務リスク
①資金調達に関するリスク 影響度:大
外部リスク
市場金利の上昇に伴う資金調達コストの増加
内部リスク
業績悪化や格付け変更による資金調達力の低下
<リスク認識>
当社グループは、「館業」から連邦(※注1)とまち化(※注2)を手段に、「個客業」への変革と進化を目指しております。その実現のため、コンテンツ、DX・システム、不動産、生産性向上、安心・安全等の投資に、1,000億円水準の資金が必要となります。しかしながら、当社グループの業績悪化や格付け変更による資金調達力の低下、さらには政策の転換による金融市場の資金調達コストの増加等、様々な要因が資金調達を困難にする可能性があります。資金調達が困難になった場合には、戦略実行の遅延や戦略変更を余儀なくされるリスクが内在しております。
※注1 連邦:グループ内の各事業が連携し、顧客に個別最適なサービスを提供する戦略
※注2 まち化:百貨店を核に複合用途を広げ、グループ全体でインフラ機能まで展開することで、世界中の顧客を街に呼び込み、不動産事業だけにとどまらない収益モデルを目指す戦略
<対応策>
■財務戦略の基本的な考え方
当社グループでは、中長期戦略の着実な実行を支えるため、外部環境の変化に左右されにくい安定的な財務基盤の構築と、投資余力の確保を重要な経営課題として位置付けております。業績変動や金融市場環境の変化が生じた場合においても、戦略遂行を継続できるよう、財務健全性と資金調達力の維持・向上に取り組んでおります。
■財務体質の改善と資金創出力の強化
当社グループは、収支構造改革の継続的な推進により固定費構造の見直しを進め、営業利益および営業キャッシュ・フローの安定的な創出に努めております。創出したキャッシュ・フローについては、有利子負債の削減や財務余力の確保に充当することで、バランスシートの健全性向上を図っております。
■事業別利益管理と資本効率の向上
資本コストを意識した経営を徹底し、事業別・連邦単位での収益性および資本効率の向上に取り組んでおります。これにより、投資家や金融機関からの信認を維持・向上させ、安定的な資金調達力の確保につなげております。
■投資規律の徹底と柔軟な投資運営
「個客業」への変革に向けたDX、不動産、安心・安全等の戦略投資については、中長期的な成長性と財務健全性の両立を前提に、優先順位付けと投資評価を厳格に行っております。
また、外部環境や資金調達環境の変化に応じて、投資時期や投資規模の見直しを行うなど、柔軟な投資運営を通じて、戦略実行の遅延リスクの低減に努めております。
(3) 人事・労務リスク
①人材確保に関するリスク 影響度:特に大
外部リスク
少子高齢化・生産労働人口減少に伴う人材獲得競争の激化
内部リスク
経営・戦略実現・事業基盤を支える継続的な人材獲得・育成の遅れ
<リスク認識>
当社グループは、戦略を遂行するうえで百貨店事業分野のみならず、不動産事業、金融事業、関連事業をはじめとした各事業の成長を担う専門人財と長期のグループ成長を担う経営人財の確保、継続的な育成が必要と認識しております。少子高齢化に伴う生産労働人口の減少を背景にした人財獲得競争が激化するなかで、計画通りに必要な知識・経験・スキルを有する人財の確保が図れなかった場合は、当社グループの目指す経営目標の達成や事業成長に影響を及ぼす可能性があります。
<対応策>
当社グループでは、人財確保に関するリスクを重要な経営課題の一つと認識し、「人財の確保」「人財の育成」「人財の定着・活躍」の各段階において、以下の取り組みを推進しております。
■人財確保に向けた取り組み
当社グループは、少子高齢化の進展に伴う人財獲得競争の激化を踏まえ、採用段階におけるミスマッチの低減と、当社グループの価値観に共感する人財の確保を重視しております。
採用活動においては、学生との価値観の共有を重視し、ワークショップ等を通じた双方向のコミュニケーションを丁寧に行うことで相互理解を深めております。また、内定後においても複数回の面談等を実施し、入社意欲の向上と相互の認識のすり合わせを図ることで、入社後の定着および活躍につなげております。
■経営戦略の実現を支える人財育成
当社グループは、「三越伊勢丹グループ人財マネジメント方針」のもと、経営戦略および事業成長を支える専門人財・経営人財の育成に取り組んでおります。
処遇改善、人財育成、働く環境整備、健康経営の推進、人事DX等に対するメリハリを持った人的資本投資を行い、従業員の成長と企業価値向上の両立を図っております。
また、戦略的な出向政策や事業特性に応じた専門スキル育成支援等を通じて、多様な事業分野に対応できる人財の育成を進めております。加えて、グループ内外における計画的な人財流動化により、知見・経験・ネットワークの多様性を高め、新たな価値創造を担う人財の育成に取り組んでおります。
■従業員エンゲージメントの向上と定着
人財の確保・育成の成果を持続的な成長につなげるため、従業員エンゲージメントの向上にも注力しております。社内における対話文化の醸成を通じて、働きがい・働きやすさの向上を図るとともに、会社と労働組合が共同で「安心して働くことのできる職場環境づくり」を宣言し、ハラスメント防止や適正な労働時間管理を全社的に推進しております。
さらに、一人一人のライフワークバランスを尊重し、個人のライフスタイルに合わせた多種多様な働き方を認める両立支援制度(育児・介護等)の拡充や、女性活躍推進に向けた取り組みにも継続して取り組んでおります。
なお、人的資本経営については、「2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (2)サステナビリティに関する個別課題(イ)人的資本経営」において記載しております。
(4) 災害・犯罪リスク
①災害等の対応に関するリスク 影響度:特に大
外部リスク
自然災害の激甚化、感染症拡大、他国からのミサイル攻撃
内部リスク
火災・消防法違反、災害等への対応不備
<リスク認識>
当社グループは、百貨店事業を中核として事業展開を行っています。このため、自然災害(地震・津波・台風・水害・雪害など)が発生すると、店舗の営業活動に悪影響を及ぼす可能性があります。
大規模地震(首都直下地震、南海トラフ地震等)の発生時には、お客さま・従業員・建物等に甚大な損害が生じることが予想されます。百貨店事業は全国各地からの商品供給や物流に依存しているため、供給網への影響は事業継続に深刻な支障をもたらす可能性があります。特に富士山噴火時には、東海地方および首都圏の店舗に火山灰が飛来し、交通インフラの混乱に加え、システムや物流網など全国的な影響が懸念されます。
近年の地球環境変化に伴い、台風や集中豪雨などの自然災害は規模・被害ともに甚大化する傾向にあります。洪水・浸水・強風によって人的被害や物的被害が生じ、営業停止による損失を招く可能性があります。
火災発生時には、お客さま・従業員への人的被害、建物・設備・商品等の物的被害、損害賠償責任などが発生する恐れがあります。また、消防法違反が発覚した場合、罰則や営業停止による損失など、業績や財務状況への悪影響が考えられます。
さらに、他国からのミサイル着弾・落下が想定される場合、直接被害がなくても攻撃が継続し深刻な事態となれば、事業継続に多大な影響を及ぼす可能性があります。
また、新たな感染症の拡大により、国内消費の低迷やインバウンド需要の減少が発生し、業績や財務状況に影響を与える可能性があります。
<対応策>
当社グループでは、自然災害や感染症の拡大、火災、紛争等の発生に備え、人命の安全確保を最優先とした上で、事業継続および業績・財務への影響を最小化することを基本方針として、平時および有事の両面から対応体制を整備しております。
■平時の備え
当社グループでは、地震・水害・パンデミック・富士山噴火・ミサイル攻撃等の大規模災害に備え、事業継続計画(BCP)および災害対策基本計画において、日頃の防災・減災対策や災害発生時の初動対応、復旧に向けた具体的な行動計画を策定しております。
株式会社三越伊勢丹では、BCPの取り組みと店頭での募金活動や従業員のボランティア活動を支援する仕組み等が評価され、「事業継続」と「社会貢献」の分野において、外部認証機関より「レジリエンス認証」を取得しております。
全拠点のハザードマップを整備するとともに、災害対策本部設置基準を設定し、風水害時にはマニュアルに基づいた対応が行えるよう事前準備を行っております。
火災対策として、消防法に基づく防火管理者の選任や自衛消防隊の編成を行い、防火防災訓練を継続的に実施しております。
感染症については、パンデミック発生時の被害想定および行動目標を定め、グループ全社で感染予防策を実施できる体制を構築しております。
従業員に対しては、社内報等を通じて防災に関する情報発信を行い、自助意識の向上を図っております。
■有事の対応
毎年、全国一斉安否確認訓練を実施し、災害発生時における迅速な安否報告および安否確認が確実に行える体制の定着を図っております。
首都直下地震および南海トラフ地震を想定したBCP訓練を毎年実施しており、近年は富士山噴火を含む複合災害への対応も訓練内容に取り入れております。また、グループ各社においても、大規模地震を想定した災害対策本部訓練を毎年実施しております。
ミサイル攻撃については、Jアラート発令時の対応マニュアルに基づき迅速な行動をとるとともに、訓練事例の共有を通じてグループ全体の対応力向上を図っております。
感染症が拡大した場合には、総合対策本部を設置し、お客さまおよび従業員の安全・安心を最優先に、感染状況に応じた対策をグループ全社で実施してまいります。
②犯罪への対応に関するリスク 影響度:特に大
外部リスク
組織犯罪等の増加(詐欺・強盗・窃盗)
内部リスク
従業員による不正・違法行為
<リスク認識>
近年、SNSなどを通じて緩やかに結びつく匿名・流動型犯罪グループ等による特殊詐欺をはじめ、高額品を狙った強盗や窃盗などの組織犯罪が増加し、手口が巧妙化してきております。強盗・窃盗等は、お客さまや従業員の人命や安全を脅かすだけでなく経済的、物理的損失や営業停止を引き起こし、ブランドイメージを脅かす恐れがあります。また、従業員による不正・違法行為が発生した場合、社会的信用の失墜による売上減少や賠償金等の支払い負担、レピュテーション棄損等、業績や財務状況に悪影響を与える可能性があります。
<対応策>
■組織犯罪等への対応
当社グループでは、強盗・窃盗・特殊詐欺等の組織犯罪の増加および手口の巧妙化を踏まえ、リスク対策部会を中心とした横断的な管理体制のもと、自主点検の実施や発生事例の共有を通じて未然防止および被害極小化に向けた取り組みを継続的に強化しております。
また、所轄警察署等の関係機関と連携し、強盗発生を想定した訓練を実施することで、従業員の初動対応力の向上と、お客さまおよび従業員の安全確保を図っております。
■従業員による不正・違法行為への対応
従業員による不正・違法行為の未然防止および早期発見を目的として、「三越伊勢丹グループホットライン」を設置し、内部通報制度の実効性向上に取り組んでおります。通報内容については、適切な調査および是正措置を行うことで、自浄的な改善につなげております。
加えて、情報システムの不正利用やオンライン上の不正行為を抑止するため、アクセス管理や監視等の技術的対策を強化するとともに、コンプライアンス教育を通じて従業員の法令遵守意識の向上を図っております。
これらの取り組みにより、組織犯罪および内部不正による経営・財務への影響やレピュテーションリスクの低減に努めております。
(5) オペレーショナルリスク
①商品取引上のリスク 影響度:特に大
外部リスク
法令遵守に対する社会的要請の高まり
内部リスク
お取組先との公平・公正な取引における問題(商品調達等)
商品の品質・安全管理における体制上の問題
<リスク認識>
当社グループは、百貨店事業を中核とした事業展開を行っております。お客さまのニーズに合わせて、常に安全で安心な商品やサービスを提供することを最優先に考え、お客さまのご満足と信頼に応えられる品質を追求しております。
百貨店事業は、私的独占の禁止および公正取引の確保に関する法律を始めとする経済法や各種消費者保護法、また営業許認可に関わる各種業法の適用を受けております。これらの法規制を遵守し、お取組先や消費者との取引においても、競争力や情報量の格差に乗じた不当な拘束等を排除し、公正な取引を行うことが求められております。これらの法規制を遵守できなかった場合、行政処分により当社グループの営業活動に制限がかかる可能性や、社会的信用の失墜、売上の減少、罰金や課徴金の負担等の財務上の損失が生じる可能性など、当社グループの事業継続に大きな影響を与えることが考えられます。
当社グループが実施しているサステナビリティ活動に関するお客さまアンケートにおいても、例年「商品の品質・安全の確保・正確な表示」が、当社グループに期待されている項目の上位に挙げられております。なかでも食料品販売から飲食サービスまで多岐にわたる食品衛生に関わる事業においては、アレルギー表記の不備等が原因となる食物アレルギー有症事故や、調理者の健康管理不良や食材管理不良等に伴う食中毒が懸念されます。これらが発生した場合、お客さまへの重篤な健康被害だけでなく、営業停止や罰則などの行政処分、社会的信用の失墜による売上の減少や損害賠償金等の支払いが発生し、当社グループの業績、財務状況に悪影響を与える可能性があります。
<対応策>
■法令遵守および公正な取引の徹底
当社グループは、「三越伊勢丹グループ企業理念」の実践に向け、役職員が業務遂行にあたり遵守すべき倫理的基準として「三越伊勢丹グループ行動規範」を策定し、グループ全体へ周知・浸透を図っております。
また、コンプライアンス推進会議を中心とした推進体制を構築し、法令改正への対応方針の策定や、取引に関する懸念事項の把握・是正に取り組んでおります。
商品取引に関しては、中小受託取引適正化法、不当景品類及び不当表示防止法、特定商取引法等に基づくガイドライン・マニュアルを整備し、法改正や業務実態の変化に応じて適宜見直しを行うとともに、関係部門への周知と教育を実施しております。
万一、法令違反や不適切な取引が発生した場合には、定められたガイドラインおよびレポートラインに基づき速やかに対応し、原因分析と再発防止策を講じることで、コンプライアンス体制の継続的な強化を図っております。
■お取組先との公平・公正な取引関係の構築
当社グループは、「三越伊勢丹グループ調達方針」および「三越伊勢丹グループ人権方針」を策定し、持続可能なサプライチェーンの構築と人権を尊重した事業運営に取り組んでおります。
また「パートナーシップ構築宣言」に基づき、お取組先との共存共栄を重視した取引関係の構築を推進しております。これらの方針については、eラーニング等を通じて全従業員に周知し、その理解と実践の徹底を図っております。
さらに、アンケートや対話、方針説明会の開催等を通じてお取組先とのコミュニケーションを継続的に行い、取引実態の把握とサプライチェーン・マネジメント体制の高度化に努めております。加えて、店頭業務に従事する派遣社員を含め、法令や社内規程の遵守状況について定期的な点検および教育・指導の実施に努めております。
■商品の品質および安全管理体制の強化
当社グループは、お客さまに安全・安心な商品およびサービスを提供するため、商品の品質・安全管理を最重要課題の一つとして位置付けております。
食品を取り扱う事業においては、食品衛生の基本であるHACCPの考え方を取り入れた衛生管理計画を策定し、日々の記録・保管および定期的な点検を通じて、法令遵守と食品事故の未然防止に努めております。これらの取り組みについては、お取組先とも共有し、サプライチェーン全体での衛生管理水準の維持・向上を図っております。
また、食物アレルギー有症事故の防止に向け、正確なアレルギー情報を提供するためのマニュアルや社内体制を整備するとともに、定期的な点検により表示内容の正確性を確認しております。あわせて、お客さまとの適切なリスクコミュニケーションを推進し、安全確保と信頼向上に取り組んでおります。
②個人情報漏洩に関するリスク 影響度:特に大
外部リスク
サイバー攻撃、不正アクセス等の増加
内部リスク
管理体制不備による個人情報等の漏洩・紛失
<リスク認識>
当社グループは百貨店、金融、不動産、関連事業において、多くのお客さまやお取組先の様々な情報をお預かりし、厳重に管理しております。近年、国内外におけるサイバー攻撃や不正アクセス事例が増加しており、情報セキュリティガバナンスの強化が急務となっております。
また、個人情報を活用した新規ビジネスの拡大に伴い、漏洩や不適切利用の事案が増加し、消費者の保護意識や利用状況への関心が高まっております。各国で個人情報保護法制が整備され、越境移転を含む厳格な管理体制と目的内利用の仕組み構築が企業に求められております。
当社グループにおいても、サイバー攻撃や管理体制の不備などにより個人情報が漏洩・紛失した場合、損害賠償や罰金等の費用が発生する可能性があります。さらに、法令違反が発覚した場合、社会的信用の失墜による売上減少など、業績や財務状況に悪影響を及ぼすおそれがあります。このため、当社グループは情報セキュリティ対策の継続的強化と、法令遵守の徹底を重要な経営課題と位置付けております。
<対応策>
■情報セキュリティガバナンスおよびサイバーセキュリティ対策の強化
当社グループでは、情報セキュリティガバナンス強化のため、サイバーセキュリティ対策部会において、日常の業務活動のなかで技術的および人的・組織的な対策の推進を図っております。
技術的対策では、新たなサイバー攻撃にも対応できるよう防御、監視、検知、駆除するためのセキュリティツールの導入と運用を強化しております。
人的・組織的対策では、情報セキュリティに関する従業員のリテラシーの向上を図るため、システム部門における専門的なセキュリティ人材の育成や、従業員へのセキュリティ教育・サイバーインシデント訓練を適時実施しております。
■個人情報の適正な取得・利用および管理体制の整備
当社グループでは、館業から個客業への転換に向けて、個人情報を活用した新規ビジネスの拡大に伴う漏洩や不適切利用のリスクに対応するため、堅固なグループ情報管理基盤の構築に向けた対策の強化を図っております。
適切な個人情報の取得・利用・管理に関する自主基準およびマニュアルを整備し、管理システムおよび社内管理体制を構築し、実店舗からオンライン環境に至る全ての事業環境において、個人情報を利用目的の範囲内で適切に取り扱う体制を整えております。
また、個人情報を含む情報セキュリティ体制については、継続的な見直しとモニタリングを実施するとともに、未然防止および再発防止の観点から、管理水準の向上に努めております。
加えて、従業員に対する教育・啓発活動を通じて、個人情報の取扱いに関するリテラシーとリスク認識の向上を図っております。
■法令遵守およびグローバル対応の徹底
当社グループでは、個人情報保護に関する国内外の法令、規制、ガイドライン等の動向を継続的に把握し、適切な対応を進めております。各種法令への対応状況については適宜見直しを行い、社内ルールや運用への反映を通じて、法令遵守の徹底を図っております。
また、海外拠点においては、現地法規制に関する情報収集を継続的に行うとともに、各地域の制度やリスク特性を踏まえた管理体制を整備しております。
これにより、個人情報の越境移転を含むグローバルな情報管理についても、適正性とガバナンスの確保に努めております。
前年
当社グループは、グループ全体の事業を取り巻くリスクを5つの領域(①経営戦略リスク②財務リスク③人事・労務リスク④災害・犯罪リスク⑤オペレーショナルリスク)に分類し、領域ごとにリスクを洗い出し、リスク一覧として整理しております。毎年、その内容を見直し、月次でリスクへの対応状況を確認し、必要に応じて評価を見直しております。経営戦略リスクについては、リスク一覧で管理しておりますが、事件事故事象となりうるインシデントについては、経営への影響度、発生頻度をもとにリスクマップ上に抽出し、その中から重点リスクを選定、3つの部会(コンプライアンス部会・リスク対策部会・サイバーセキュリティ対策部会)を通じて具体的な対策の強化を図っております。なお、リスクへの対応状況については、グループ経営戦略会議および監査役会に定期的に報告しております。
リスク領域
リスク項目
影響度
人的損害
物的損害
経営・財務戦略遂行の阻害
レピュテーション毀損
(1)経営戦略リスク
サステナビリティ経営
推進に関するリスク
特に大
●
●
●
デジタル社会への対応に
関するリスク
特に大
●
●
ビジネスモデル変革に
関するリスク
特に大
●
●
海外情勢への対応に関する
リスク
大
●
●
●
●
(2)財務リスク
資金調達に関するリスク
大
●
(3)人事・労務
リスク
人材確保に関するリスク
特に大
●
●
●
(4)災害・犯罪
リスク
災害等の対応に関するリスク
特に大
●
●
●
●
犯罪への対応に関するリスク
特に大
●
●
●
●
(5)オペレーショナルリスク
商品取引上のリスク
特に大
●
●
●
個人情報漏洩に関する
リスク
特に大
●
●
(1) 経営戦略リスク
影響度:特に大
① サステナビリティ経営推進に関するリスク
外部リスク
社会課題の深刻化(気候変動や人権侵害等)
社会課題に対する企業の責任やステークホルダーからの要請の高まり
内部リスク
サステナビリティ経営推進の遅れ(脱炭素や人権デュー・ディリジェンス等)
<当社グループのリスク認識>
近年、世界各地において気候変動に伴う自然災害の激甚化等、私たちを取り巻く社会課題は年々深刻さを増しております。このような背景から、各企業は気候変動への取り組みや循環型社会の実現、人権尊重、持続可能なサプライチェーンの構築、地域社会への貢献など、経済的価値の追求だけではなく、社会的価値の両立を目指した企業活動を行うことが強く求められております。
このような社会の潮流に対して、当社グループのサステナビリティ経営が遅れをとった場合、お客さまを始めとするステークホルダー(お取組先、株主、地域社会、従業員等)からの信用の失墜による市場競争力低下、資金調達や人材獲得が困難となる等、企業経営に悪影響を及ぼす可能性があります。
特に、脱炭素に向けた取り組みが遅れた場合、大量のエネルギー消費による環境負荷増加につながるだけでなく、将来的に環境規制の強化やエネルギーコストの増加等が発生し、当社グループの財務状況に悪影響を与える可能性があります。
<当社グループのリスク対策>
■サステナビリティ経営推進
・サステナビリティに関する課題は経営基盤を支える重要課題と捉え、サステナビリティ基本方針
のもと取り組みを進めております。
サステナビリティ推進体制
・当社グループでは、CEOを議長とするサステナビリティ推進会議を通じ、サステナビリティ活動の方向性・重点取り組み等を共有し、取り組みの推進・浸透を図っております。また、CAO兼CROを議長とするサステナビリティ推進部会では、各課題の具体的な取り組みの検討を行っております。
4つの重点取り組み(マテリアリティ)
・本業を活かして取り組むことが出来るか、加えて当社グループが取り組む意義があり成果を上げることができるかという観点を踏まえ、各事業戦略とリンケージさせながら、4つの重点取り組み(①人・地域をつなぐ ②持続可能な環境・社会をつなぐ ③ひとの力の最大化 ④グループガバナンス・コミュニケーション)に取り組んでおります。
サステナビリティ活動 think good の取り組み
・“think good”の取り組みをグループ全社に拡大し、一丸となって取り組んでおります。
①多様な価値観の尊重 ②地域社会との共創 ③文化の継承と革新 ④環境への取り組み
ステークホルダーへの取り組み
・対お客さま:サステナビリティ活動に関するアンケートを、2013 年より毎年実施しております。
アンケートの集計結果を分析・情報開示の上、頂戴した貴重なご意見・ご要望を、サステナビリティ活動に活かしております。
・対お取組先:小売業を中核とする当社グループの事業活動は、多数のお取組先との協働が不可欠と考えております。サプライチェーン上の持続可能性に配慮するため、お取組先と調達先に対して「お取組先行動規範」の遵守をお願いしております。また、2023年度には、「責任ある調達活動に関するお取組先アンケート」を実施し、潜在リスクをはじめとするサプライチェーン全体の状況把握を行っております。またお取組先との個別対話を実施し、実践に向けた課題やご要望をヒアリングするとともに、取り組みの改善に向けた意見交換を行っております。(2022~2024年度実績:約1,550社)
人権デュー・ディリジェンスへの取り組み
・当社グループでは、人権リスクを発生可能性と深刻度でマッピングした人権リスクマップを作成しております。これにより、特に深刻な人権リスクがサプライチェーン上に潜在する可能性を認識し、「人権リスクマップ」を活用して常に意識を高め、適切な対応を行うことで、人権リスクの未然防止、発生時における是正、防止、低減に向けた取り組みを進めております。加えて、サプライチェーンに開かれた通報窓口として25年4月に「人権救済外部窓口」を設置し、運用を開始しております。
・対従業員:当社グループ全従業員が人権と事業活動とのつながりを理解することを目的に、グループ全社共通のeラーニングや全国のグループ百貨店とグループ会社を対象にした対面研修を実施し、当社グループを取り巻く環境への理解を深め、社会課題の解決に取り組んでおります。
■気候変動・脱炭素社会の実現に向けた取り組み
・当社グループは、気候関連財務情報開示タスクフォース(以下、TCFD)提言へ賛同しており、気候変動によるリスクの把握と当社の財務への影響を分析し、情報開示を行っております。
・気候変動の緩和策としては、「三越伊勢丹グループ2030年環境中期目標(温室効果ガス排出量2023年比▲42%および再生可能エネルギー導入比率55%)」および「三越伊勢丹グループ2050年環境長期目標(温室効果ガス排出量実質ゼロ)」を設定し、脱炭素社会の実現に向けた様々な取り組みを推進しております。詳細は、「2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (2)サステナビリティに関する個別課題(ア)気候変動への対応」をご覧ください。
・気候変動への適応策としては、自然災害の激甚化を想定した対応を行っております。詳細は、「(4)災害・犯罪リスク ①災害対応に関するリスク」の項目において詳しく記載しております。
影響度:特に大
② デジタル社会への対応に関するリスク
外部リスク
デジタル化の加速・急速な情報化社会の進行・技術革新
内部リスク
DX推進対応の遅れ、デジタル人財不足、システム障害管理体制の不備
従業員によるSNSトラブル、AIチャットサービスの不適切な利用
<当社グループのリスク認識>
当社グループは、デジタル社会の変化に対応するために、実店舗とオンラインをシームレスにつなぐオンラインサイトやアプリの提供、デジタルツールを利用した業務効率化を進めております。
また、事業活動を通じて蓄積したデータを活用してお客さまやお取組先への新たな価値提供を目指すなど、デジタルテクノロジーを活用したビジネスモデル変革や業務改革にも取り組んでおります。
当社グループが、デジタル社会への対応に乗り遅れた場合、お客さまのご要望や購買行動が変化する中で、迅速な対応ができず、市場競争力の低下、収益性に悪影響を及ぼすリスクが増大します。また、DXを実行するデジタル人財不足により、経営効率化、業務効率化が進まずに中期経営計画実行、業績、財務状況に悪影響を与える可能性があります。その他、新システム導入や更改、日々のシステム運用のなかで不測の障害が発生することにより、実店舗およびオンライン上の営業活動に支障が生じる恐れがあります。さらに、SNS活用が浸透・拡大するにつれ、従業員個人が関与するSNSトラブル増加の恐れがあります。また、AIチャットサービスは、将来的には業務生産性を高める無限の可能性を持つツールとして積極的な活用が求められる一方で、使い方によっては重要な機密情報の漏洩や意図せず第三者の権利侵害につながるリスク等も懸念されております。
<当社グループのリスク対策>
■デジタル社会への対応
・仮想空間プラットフォームやAIを組み合わせた顧客データ分析等、新しいデジタルテクノロジーを活用したビジネス価値創造に持続的に取り組むことにより、デジタル社会に適応しております。
■デジタルトランスフォーメーション(DX)推進
・個客業化に向けたDX戦略を推進する目的でDX戦略プロジェクトを発足し、DX戦略全体像策定、個客業業務別DXアクション整理を行い、アクションロードマップに基づいてDXを推進しております。
■デジタル人財強化
・デジタルテクノロジーやデータ活用に長けた専門組織を設置し、人材育成や各部門へデジタル人材を配置することで、グループ全体としてDXを実行するデジタル人財の強化を図っております。
■システム障害管理体制
・システム部門による障害発生への事前対策とともに、システム部門と営業部門が一体となりシステム障害発生時における損失を最小化する取り組みを行っております。
■従業員によるSNSトラブル未然防止・再発防止の取り組み
・SNS活用が浸透・拡大するにつれ、想定しなかった事故やトラブルが増加していることから、デジタルな顧客接点として、お客さまに安心してご利用いただける環境の構築を図っております。
・SNSを利用するにあたって従業員が公私を問わず遵守すべきルールとして、禁止・注意・推奨する事項を明示した「ソーシャルメディアガイドライン」を策定し、周知徹底を図っております。
■AIチャットサービスの適切な利用
・AIチャットサービスについては、当社グループ専用のデジタルツールを作成し、利活用できる環境を整備しております。また、利用前には必ずeラーニングを受講するなど社内ルールを周知徹底することで、機密情報漏洩や第三者の権利侵害といったリスク回避の対策を講じております。
影響度:特に大
③ ビジネスモデル変革に関するリスク
外部リスク
既存の百貨店ビジネスモデルの衰退、想定を上回る環境変化(人件費、物価上昇等)
内部リスク
ビジネスモデル変革の遅れ
<当社グループのリスク認識>
当社グループの中核事業である百貨店事業は、これまでマスマーケティング型のビジネスモデルに重きを置いておりました。しかしながら、近年の少子高齢化といった人口動態の変化や所得・消費の二極化といった社会構造の変化、デジタル化の加速と情報化社会の進化により、お客さまの価値観、消費行動は大きく変化し続けています。
また、市場における競争激化を背景とした業界再編の動きが活発化してきており、新たなビジネスモデルへの転換が急務となっております。さらには、インフレの影響、労働市場の逼迫、サプライチェーンの混乱等に伴う人件費、資材、エネルギー等の高騰が、当社グループのビジネスモデル変革への阻害要因にもなり得ます。このような社会の変化の中で、当社グループのビジネスモデル変革が遅れた場合、業績や財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
<当社グループのリスク対策>
■「館業」から「個客業」へのビジネスモデル変革
・当社グループは、新中期経営計画(2025~2030年度)に基づき、従来の「館業」(マス向けビジネスモデル)から「個客業」(「個客業」プロセス活動を通して世界中からお客さまを集め、識別化し、つながったお客さまに多様な顧客価値を提案するビジネスモデル)への変革を進めてまいります。具体的には、百貨店事業でつながりを深めた識別顧客に向けて、グループ全体で連携し、百貨店以外の事業コンテンツ・サービスをご提案してまいります。これにより、お客さまのウォレットシェアを拡大し、各事業の収益性向上を目指す“連邦活動”を主軸に推進してまいります。
「個客業」プロセス活動
・集客:店舗やコンテンツの魅力で世界中からお客さまを集めます
・識別化:集まった顧客とカードやアプリ、デジタルなどの「仕組み」でつながります
・利用拡大:つながった顧客に当社グループの各種事業による多様な価値を提案します
・生涯顧客化:顧客とのつながりを深め、LTV(ライフタイム・バリュー)を最大化します
事業機会の獲得
・世界へ拡大:国内・海外の枠を取り払い、世界中からお客さまを集めます
・時間の拡大:百貨店の営業時間に留まらず、24時間・365日を活用したビジネスを展開します
・空間の拡大:まち化(※)を手段に、お客さまを集め、深くお付き合いするための空間を創造します
・用途の拡大:グループ各事業(百貨店事業/不動産事業/金融事業/関連事業)による三越伊勢丹グループならではの“高感度上質”で多様な価値を提供します
※まち化:百貨店を核に複合用途を広げ、グループ全体でまちのインフラ機能まで展開、世界中のお客さまをまちに呼び込み、不動産事業だけにとどまらないグループ全体の収益モデルの進化を目指す戦略
■変革を迅速に進めるための対応
収益力向上の取り組み
・継続的な収益力向上のため、成長戦略を推進しつつ、科学の視点における販売管理費コントロールでコスト抑制を継続しております。首都圏に加えて地域百貨店においても、科学の視点で3つの改革「組織要員改革」、「収支構造改革」、「店舗構造改革」を着実に推進しております。
擬似カンパニー体制
・2025年度より戦略に適合した組織運営体制をスタートさせ、その中で百貨店事業、不動産事業、金融事業の3つの大きな事業領域を“擬似カンパニー”体制としております。縦の”擬似カンパニー”では、各事業のユニークポイントを進化させ、横では、連邦戦略、まち化戦略、DX戦略などの全社戦略を推進し、縦と横の組み合わせによる新しい個客体験価値を提供し、「個客業」へのビジネスモデルの変革を実現させてまいります。本体制では、各擬似カンパニー単位でモニタリングを実施し、収益性・資本効率を高めるROIC経営を推進しております
<参照先>「1.経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (4)中長期的な経営戦略」において詳しく記載しております。
影響度:大
④ 海外情勢への対応に関するリスク
外部リスク
地政学リスク(政治・経済的不安や社会的混乱等)
内部リスク
従業員の安全上・労務上の問題、現地法規制対応不備、現地のガバナンス不全
<当社グループのリスク認識>
当社グループは、百貨店事業における東南アジア、中国、台湾、および米国の店舗営業のほか、海外の不動産事業にも参画しております。これらの売上、費用、資産を含む現地通貨建ての項目は、連結財務諸表の作成のため円換算されており為替変動の影響を受けております。また事業展開をする各国において、事業・投資の許認可、税制等、様々な政府規制や法制度の適用を受けております。
外部リスクとしては、政治・経済的不安や社会的混乱等の地政学リスクがあります。なかでも国際紛争によるエネルギーコストや商品価格の高騰および商品供給のリードタイムの長期化等、当社グループのビジネスに影響を与える可能性があり、引き続き注視が必要であると捉えております。さらには、米国の関税政策等を背景としたインフレ加速、景気後退、為替変動等のリスクがあり、これらの影響が長引いた場合、海外現地店舗の来店客数および売上高の減少と、訪日外国人来店客数および免税売上高が減少し、業績や財務状況に悪影響をもたらします。
内部リスクとしては、海外で事業展開するうえで、従業員の安全上・労務管理上の問題、海外現地法規制への対応不備、現地のガバナンス不全等のリスクが内在しております。これらのリスクにより、海外実店舗の人的・物的損害の発生だけでなく、財務への損害、事業の停止・撤退を余儀なくされる可能性があります。また、商品供給網においても、お取組先を介してのグローバルな取引が多く存在し、商品供給の停滞、遅延が発生する可能性があります。また、これらの内部リスクを通じて、日本においても、レピュテーション毀損や財務への損害が発生する可能性があります。
<当社グループのリスク対策>
■地政学リスクを背景としたインバウンド需要減少への取り組み
・2025年3月より、海外顧客向けアプリ「MITSUKOSHI ISETAN JAPAN」のサービスを開始しました。
国内のお客さま同様、海外のお客さまとつながることで売上と収益の安定化を図っております。
■従業員の安全上・労務上への取り組み
・海外へ赴任する従業員に対し、海外事業リスクに関する教育を実施しております。
・海外拠点とのリモート会議やタイムリーな現地リスク情報の共有等、定期的なコミュニケーションを実施し、連携を図っております。
・有事におけるレポートラインの確立や日本と海外拠点とが一体となった組織的対応の実施計画を策定しております。また、海外情勢の変化を常に注視し、赴任する従業員の家族や現地への出張者を含めた安全確保のための対策を講じております。
■現地法規制対応
・資金管理等は、銀行のシステムを利用し、日本側からのモニタリング体制を構築しております。
■現地ガバナンス強化
・海外拠点を対象にした内部通報制度を導入し、通報窓口を設置、運用しております。
・資金管理等は、銀行のシステムを利用し、日本側からのモニタリング体制を構築しております。
(2)財務リスク
影響度:大
① 資金調達に関するリスク
外部リスク
市場金利の上昇に伴う資金調達コストの増加
内部リスク
業績悪化や格付け変更による資金調達力の低下
<当社グループのリスク認識>
当社グループは、「館業」から連邦(※注1)とまち化(※注2)を手段に、「個客業」への変革と進化を目指しております。その実現のため、コンテンツ、DX・システム、不動産、生産性向上、安心・安全等の投資に、1,000億円水準の投資が必要となります。しかしながら、当社グループの業績悪化や格付け変更による資金調達力の低下、さらには政策の転換による金融市場の資金調達コストの増加等、様々な要因が資金調達を困難にする可能性があります。資金調達が困難になった場合には、戦略実行の遅延や戦略変更を余儀なくされるリスクが内在しております
※注1) 連邦:グループ内の各事業が連携し、顧客に個別最適なサービスを提供する戦略
※注2) まち化:百貨店を核に複合用途を広げ、グループ全体でインフラ機能まで展開することで、世界中の顧客を街に呼び込み、不動産事業だけにとどまらない収益モデルを目指す戦略
<当社グループのリスク対策>
■財務戦略
・当社グループでは、円滑な資金調達の為、健全なバランスシートやキャッシュフローを維持し、負債比率等を適切に管理しております。具体的な取り組みは以下の通りです。
財務体質の改善
・当社グループは、収支構造改革を積極的に推進し、固定費の削減を実施することで、営業黒字を拡大する取り組みを行っております。また、営業キャッシュフロー改善を通じて、有利子負債削減に取り組むとともに、経費や投資キャッシュアウトのコントロールを徹底することで、財務体質の改善を図っております。
事業別利益と資本効率の改善
・資本コストを意識して、事業利益・連邦利益の拡大と資産効率の改善を図っております。
投資分類と規律・評価の考え方
・中長期的な投資に向けた余力を確保しながら、株主還元や有利子負債削減、収益に貢献する投資をバランス良く実施しております。フローとストックの観点でも最適な財務基盤を構築することで、株主の皆さまをはじめとする全てのステークホルダーとの良好な関係性構築に努めております。
(3) 人事・労務リスク
影響度:特に大
① 人材確保に関するリスク
外部リスク
少子高齢化・生産労働人口減少に伴う人材獲得競争の激化
内部リスク
経営・戦略実現・事業基盤を支える持続的な人材獲得・育成の遅れ
<当社グループのリスク認識>
当社グループは、戦略を遂行するうえで百貨店事業分野のみならず、不動産事業、金融事業、関連事業をはじめとした各事業の成長を担う専門人財と長期のグループ成長を担う経営人財の確保、持続的な育成が必要と認識しております。少子高齢化に伴う生産労働人口の減少を背景にした人財獲得競争が激化するなかで、計画通りに必要な知識・経験・スキルを有する人財の確保が図れなかった場合は、当社グループの目指す経営目標の達成や事業成長に影響を及ぼす可能性があります。
<当社グループのリスク対策>
■人財獲得に向けた取り組み
・当社グループでは、採用において、学生の皆さまとの価値観の共有を何より大切にしております。
相互理解を深めるため、ワークショップ等で丁寧にコミュニケーションを重ねていっております。
・内定を出した後にも価値観のすり合わせ、入社に対するモチベーションを高めてもらうため、複数回面談を実施するなど採用におけるミスマッチをなくし、一人一人の力を最大化しながら意欲的に働くことができるよう努めております。
■経営・戦略実現・事業基盤を支える人財育成
・従業員の成長と企業の戦略実現を両立させるため、処遇改善や人財育成、働く環境の整備や健康経営の推進、人事DX等、メリハリを持った人的資本投資を行っております。
従業員の成長
・当社グループは、「三越伊勢丹グループ人財マネジメント方針」の下、経営資源の成長分野への投入や従業員の能力開発、スキル向上等を通じて、イノベーションによる持続的な成長と生産性向上に取り組み、付加価値の最大化に注力しております。その上で、生み出した収益・成果に基づいて、従業員への持続的な還元を目指しております。
企業の戦略実現
・経営戦略の実現に向けた専門人財の育成に関しては、戦略的な出向政策や既存人財のリスキル、事業別に異なる専門スキルに応じた制度の拡充に取り組んでおります。
・合わせて、経営戦略の実現に必要な「多様な事業の組み合わせ」により新たな価値を創造する人財の育成に向けて、グループ内外への人財流動化を計画的に進めることで、個人の持つ知と経験、ネットワークの多様性を拡大し、新たな価値を生み出す人財の育成に取り組んでおります。
<参照先>
・人的資本経営については、「2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (2)サステナビリティに関する個別課題(イ)人的資本経営」において詳しく記載しております。
■従業員エンゲージメントの向上
・社内のあらゆる関係における対話文化の醸成を進めることで、働きがい、働きやすさの向上を図っております。
・従業員の心身の健康維持・増進に向け、会社と労働組合が共同で「安心して働くことのできる職場環境づくり」を宣言しております。本取り組みでは、ハラスメント撲滅や適正な労働時間の管理を全社的に進めております。
・その他、一人一人のライフワークバランスを尊重し、個人のライフスタイルに合わせた多種多様な働き方を認める両立支援制度(育児・介護等)の拡充や、女性活躍推進に向けた取り組みにも継続して取り組んでおります。
<参照先>サステナビリティレポート:
https://www.imhds.co.jp/content/dam/imhds/corporate/pdf/sustainability/sustainability_report2024.pdf
(4) 災害・犯罪リスク
影響度:特に大
① 災害等の対応に関するリスク
外部リスク
自然災害の激甚化、感染症拡大、他国からのミサイル攻撃
内部リスク
火災・消防法違反、災害等への対応不備
<当社グループのリスク認識>
当社グループは、百貨店事業を中核とした事業展開を行っております。そのため、自然災害(地震・津波・台風・水害・雪害等)が発生すると、店舗の営業活動に悪影響を及ぼす可能性があります。
大規模地震(首都直下地震、南海トラフ地震等)が発生した場合、お客さま、従業員への人的被害、建物・設備・商品等の物的被害、停電、ガス停止、断水等の社会インフラへの影響、さらには、地震の揺れや津波の影響による原子力発電所の運転停止等の事故発生時には、放射能による食品汚染などが営業活動に影響を及ぼす恐れがあります。加えて、百貨店事業は全国各地からの商品供給や物流により成り立っているため、供給網に影響が及ぶことで、当社グループの事業継続に深刻な影響を及ぼす可能性があります。
また、台風、水害(集中豪雨・高潮・洪水等)、大雪の影響を受けた場合、お客さま、従業員への人的被害および建物・設備・商品等の物的被害が生じ、臨時休業等による営業損失を被る可能性があります。
さらに、富士山が噴火した場合、東海地方および首都圏の各社・各店において、火山灰が飛来することで、交通インフラの混乱が予想されるほか、通信・システム・電力・上下水道や物流網等、全国的な影響が想定され、当社グループの事業継続に多大なる影響を及ぼす可能性があります。
感染症が拡大した場合、国内の消費マインドやインバウンド需要の低迷等、当社グループの業績や財務状況に悪影響を与える可能性があります。
近年では、他国からのミサイルが日本の領土等に着弾・落下する可能性もあり得ます。たとえ、お客さま、従業員、建物・設備・商品等に直接的な損害が無くても、攻撃が継続され、深刻な事態に発展した場合、当社グループの事業継続に甚大なる影響を及ぼす可能性があります。
火災が発生した場合、お客さま、従業員への人的被害、建物・設備・商品等への物的被害、被害者に対する損害賠償責任等が発生する可能性があります。その他、消防法違反が発覚した場合、罰則や営業停止に伴う営業損失等、業績や財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
<当社グループのリスク対策>
■自然災害への取り組み
平時の備え
・当社グループでは、想定される大規模災害(地震、水害、パンデミック、富士山噴火、ミサイル攻撃等)への対応のため、事業継続計画書(以下、BCP)、災害対策基本計画を策定しております。
・毎月開催されるリスク対策部会を通じて、自然災害に対する様々な取り組みを強化しております。
※体制整備、物理的安全対策、防災資機材の整備、コミュニケーション手段の整備、訓練実施等
・自主点検を年2回実施し、グループ各社の災害対策実施状況を把握し、適時フォローしております。
有事の対応
・年2回全国一斉安否確認訓練を実施し、従業員の安否報告と安否確認の周知徹底を図っております。
・年2回BCP訓練(首都直下地震・南海トラフ地震)を実施し、災害対応力向上を図っております。
※2024年度以降、複合災害への備え強化を目的に、大規模地震と合わせ富士山噴火対応も実施
・年1回以上、グループ各社においても大規模地震を想定した災害対策本部訓練を実施しております。
レジリエンス認証
・株式会社三越伊勢丹では、BCPの取り組みと店頭での募金活動や従業員のボランティア活動を支援する仕組み等が評価され、「事業継続」と「社会貢献」の分野において外部認証機関より百貨店初のレジリエンス認証を取得しております。
■風水害への取り組み
・当社グループ全拠点のハザードマップを作成し、災害対策本部を立ち上げるための基準を個別に設定しております。また災害発生時には、風水害対策マニュアルに基づいた対応を行っております。
■感染症への取り組み
・当社グループのBCPでは、「新型インフルエンザ等によるパンデミック」について、被害想定ならびに行動目標を定めております。グループ内で感染症が拡大した場合、総合対策本部を立ち上げ、お客さまと従業員の安全・安心を第一に、グループ全社で感染予防対策を実施してまいります。
■ミサイル攻撃への取り組み
・ミサイル攻撃については、Jアラート発令時の対応マニュアルを作成し、周知しております。
・リスク対策部会等を通じて、Jアラート発令時の訓練の事例共有を行い、横展開を図っております。
■火災・消防法違反への取り組み
・毎月開催されるリスク対策部会を通じて、火災に対する様々な取り組みを強化しております。
※日々のお買場点検、年2回の自主点検実施、事例共有による火災未然防止・再発防止等
・所轄消防署の協力のもと、防火防災訓練を実施し、火災発生時の対応力向上を図っております。
・当社グループでは、消防法に基づき適切に防火管理者選任、自衛消防隊を編成しております。
■従業員への教育
・社内報での防災に関する情報発信を通じて、従業員への自助の取り組みを推進しております。
影響度:特に大
② 犯罪への対応に関するリスク
外部リスク
組織犯罪等の増加((詐欺・強盗・窃盗、サイバー攻撃・不正アクセス等)
内部リスク
従業員による不正・違法行為
<当社グループのリスク認識>
近年、SNSなどを通じて緩やかに結びつく匿名・流動型犯罪グループ等による特殊詐欺をはじめ、高額品を狙った強盗や窃盗などの組織犯罪が増加し、手口が巧妙化してきています。強盗・窃盗等は、お客さまや従業員の人命や安全を脅かすだけでなく経済的、物理的損失や営業停止を引き起こし、ブランドイメージを脅かす恐れがあります。
特に、当社グループは多岐にわたる事業活動やサービス提供のなかで、お客さま、お取組先の様々な情報をお預かりし、厳重に管理しております。昨今、日本企業が国内外からのサイバー攻撃を受ける事例が増加しており、当社グループでも情報セキュリティガバナンスのさらなる強化は急務となっております。サイバー攻撃等によるシステムの破壊や停止、不正アクセス等による機密情報や個人情報の漏洩が発生した場合、システムの停止と復旧に時間を要することにより、広範な業務に支障をきたすことを余儀なくされます。
また、従業員による不正・違法行為が発生した場合、社会的信用の失墜による売上減少や賠償金等の支払い負担、レピュテーション棄損等、業績や財務状況に悪影響を与える可能性があります。
<当社グループのリスク対策>
■組織犯罪等への取り組み
詐欺・強盗・窃盗等への取り組み
・毎月開催されるリスク対策部会を通じて犯罪リスクに対する様々な取り組みを強化しております。
※年2回の自主点検実施、事例共有による詐欺・強盗・窃盗未然防止・再発防止等
・所轄警察署の協力のもと、強盗訓練を実施し、強盗発生時の対応力向上を図っております。
サイバー攻撃・不正アクセス等への取り組み
・当社グループでは、情報セキュリティガバナンス強化のため、サイバーセキュリティ対策部会において、日常の業務活動のなかで技術的および人的・組織的な対策の推進を図っております。
・技術的対策では、サイバー攻撃を防御、監視、検知、駆除するためのセキュリティツールの導入と運用を強化しております。
・人的・組織的対策では、情報セキュリティに関する従業員のリテラシーの向上を図るため、システム部門における専門的なセキュリティ人財の育成や、従業員へのセキュリティ教育・サイバーインシデント訓練を適時実施しております。
■従業員による不正・違法行為 未然防止の取り組み
・「三越伊勢丹グループ企業理念」を実践するため、グループの役職員が日々の業務でいかに判断し、行動すべきかの倫理的基準を示す「三越伊勢丹グループ行動規範」を定め徹底を図っております。
・不正・違法行為を内部通報する「三越伊勢丹グループホットライン」を設けております。
・オンライン上の不正行為を抑止するために、技術的対策の導入を一層強化していっております。
(5) オペレーショナルリスク
影響度:特に大
① 商品取引上のリスク
外部リスク
法令遵守に対する社会的要請の高まり
内部リスク
お取組先との公平・公正な取引における問題(商品調達等)
商品の品質・安全管理における体制上の問題
<当社グループのリスク認識>
当社グループは、百貨店事業を中核とした事業展開を行っております。お客さまのニーズに合わせて、常に安全で安心な商品やサービスを提供することを最優先に考え、お客さまのご満足と信頼に応えられる品質を追求しております。百貨店事業は、私的独占の禁止および公正取引の確保に関する法律を始めとする経済法や各種消費者保護法、また営業許認可に関わる各種業法の適用を受けております。これらの法規制を遵守し、お取組先や消費者との取引においても、競争力や情報量の格差に乗じた不当な拘束等を排除し、公正な取引を行うことが求められております。これらの法規制を遵守できなかった場合、行政処分により当社グループの営業活動に制限がかかる可能性や、社会的信用の失墜、売上の減少、罰金や課徴金の負担等の財務上の損失が生じる可能性など、当社グループの営業活動に大きな影響を与えることが考えられます。
当社グループが実施しているサステナビリティ活動に関するお客さまアンケートにおいても、例年「商品の品質・安全の確保・正確な表示」が、当社グループに期待されている項目の上位に挙げられております。なかでも食料品販売から飲食サービスまで多岐にわたる食品衛生に関わる事業においては、アレルギー表記の不備等が原因となる食物アレルギー有症事故や、調理者の健康管理不良や食材管理不良等に伴う食中毒が懸念されます。これらが発生した場合、お客さまへの重篤な健康被害だけでなく、営業停止や罰則などの行政処分、社会的信用の失墜による売上の減少や損害賠償金等の支払いが発生し、当社グループの業績、財務状況に悪影響を与える可能性があります。
<当社グループのリスク対策>
■法令遵守への取り組み
三越伊勢丹グループ行動規範の策定と周知
・「三越伊勢丹グループ企業理念」を実践するため、グループの役職員が日々の業務でいかに判断し、行動すべきかの倫理的基準を示す「三越伊勢丹グループ行動規範」を定め浸透を図っております。
コンプライアンス推進体制
・コンプライアンス推進会議を組織し、定例会議において、法改正等への対応指針の策定と社内懸念事項の報告および解決に向けた取り組みを強化しております。
従業員への教育
・グループ全体の商品取引における法令遵守体制を構築するために、下請代金支払遅延等防止法や不当景品類及び不当表示防止法、特定商取引に関する法律に則したガイドラインやマニュアルを整備し、法改正やオペレーションの見直し等時宜に適った改定を行い、社内に周知しております。
・コンプライアンスを担当する実務者向けに、法令、社内規程等を含めた定期的な教育を実施し、実務とコンプライアンス遵守の両立に取り組んでおります。
事件・事故発生時の対応
・事件・事故が発生した場合、各ガイドラインとレポートラインに則った関連部署間での連携による解決を図り、その後、社内にて事例を共有し、再発防止に努めております。
■お取組先との公平・公正な取引への取り組み
・当社グループは、持続可能なサプライチェーンの構築やビジネスと人権等の社会課題に対応するため、「三越伊勢丹グループ調達方針」、「三越伊勢丹グループ人権方針」を策定しております。
・当社グループは、お取組先や価値創造を図る事業者の皆さまとの連携・共存共栄を重視して、新たなパートナーシップを構築することを宣言する「パートナーシップ構築宣言」を策定しております。宣言の内容は、eラーニングを通じて従業員全員が理解・実践に努めており、公平・公正な取引を通じてお取組先との信頼関係を築き、社会的価値と経済的価値の両立を目指しております。
・アンケートの実施、お取組先との対話、方針説明会の開催等を通じて、お取組先各社との対話を深め、サプライチェーン・マネジメント体制を整えております。
・当社グループ内に派遣いただいている従業員を含め、店頭において法令違反や社内規程に反する行為がないか、定期的に点検を行うとともに、法令、社内規程等のOJT教育を実施しております。
■商品の品質・安全管理体制
食品事故 未然防止・再発防止への取り組み
・食品衛生の基本となるHACCPの考え方を取り入れた衛生管理計画書を策定し、お取組先まで共有することで食品衛生確保の網羅性を図っております。また、計画書に基づき日々の記録と保管を徹底し、定期的な点検を実施することで、法令遵守と食中毒等予防の両面からお客さまの安全確保に取り組んでおります。
・アレルギー有症事故を予防するため、正確なアレルギー情報を提供するためのマニュアルと社内体制を整備しております。定期的な点検を通じて情報の正確性を確認し、お客さまとも積極的なリスクコミュニケーションを日々推進しております。
影響度:特に大
② 個人情報漏洩に関するリスク
外部リスク
サイバー攻撃、不正アクセス等の増加
内部リスク
管理体制不備による個人情報等の漏洩・紛失
<当社グループのリスク認識>
昨今、個人情報を用いたビジネスの拡大や新規ビジネス創出に伴う個人情報の漏洩や不適切な利用事案の増加から、消費者の個人情報保護への意識と利用状況への関心が高まっております。また、個人情報に関する各国法も相次いで整備されるなか、企業には、越境移転も踏まえた厳重な管理体制や、目的内利用の仕組みの構築が求められております。
当社グループは、百貨店事業、金融事業、不動産事業、関連事業における事業活動やサービス提供のなかで、多くのお客さま、お取組先から個人情報をお預かりし厳重に管理しております。しかし、サイバー攻撃、不正アクセス等による個人情報漏洩や管理体制不備による個人情報漏洩・紛失、また個人情報の保護に関する法律等への違反が発覚した場合には、損害賠償費用や罰金などの費用が発生する可能性があります。さらに、当社グループの社会的信用の失墜による売上の減少等、当社グループの業績や財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
<当社グループのリスク対策>
■サイバー攻撃、不正アクセス等への取り組み
・情報セキュリティリスクへの備えとしてサイバーセキュリティ対策部会において、人的・組織的・技術的な対策の推進を図っております。人的・組織的対策では、情報セキュリティに関する従業員のリテラシー向上を図るため、システム部門における専門的なセキュリティ人財の育成や、セキュリティ教育、サイバーインシデント訓練を実施しております。また、技術的対策では、サイバー攻撃に対し、防御、監視、検知、対応するためのセキュリティツールの導入と運用を強化しております。
■グループ情報管理基盤の構築
・グループ経営戦略会議の諮問機関であるリスクマネジメント委員会を通じて、「館業」から「個客業」への転換に向けて、堅固なグループ情報管理基盤の構築に向けた対策の強化を図っております。
個人情報漏洩・紛失等の未然防止・再発防止の取り組み
・適切な個人情報の取得および利用のための自主基準やマニュアルを策定し、これらに基づいて管理システム・社内管理体制を整備し、実店舗からオンライン環境に至る全ての事業環境において、日々厳重に個人情報の管理を実施しております。
・個人情報を含む情報セキュリティ体制の策定と周知徹底を行い、さらに継続的な見直しとモニタリングを実施しております。
・従業員に向けた教育を実施し、対応スキルの向上・リテラシーと意識向上を図っております。
・行政によるデジタル社会の形成に向けた法整備状況や個人情報の保護に関する法律、法規制、ガイドライン等への対応を進めております。
海外拠点における取り組み
・海外拠点においては、現地法規制に関する情報収集を継続的に行い適切な対応を行っております。
今年
当社グループは、グループ全体の事業を取り巻くリスクを5つの領域(①経営戦略リスク②財務リスク③人事・労務リスク④災害・犯罪リスク⑤オペレーショナルリスク)に分類し、領域ごとにリスクを洗い出し、リスク一覧として整理しております。毎年、その内容を見直し、月次でリスクへの対応状況を確認し、必要に応じて評価を見直しております。
経営戦略リスクについては、リスク一覧で管理しておりますが、事件事故事象となりうるインシデントについては、経営への影響度、発生頻度をもとにリスクマップ上に抽出し、その中から重点リスクを選定、3つの部会(コンプライアンス部会・リスク対策部会・サイバーセキュリティ対策部会)を通じて具体的な対策の強化を図っております。なお、リスクへの対応状況については、グループ経営戦略会議および監査委員会に定期的に報告しております。
リスク領域
リスク項目
影響度
人的損害
物的損害
経営・財務戦略遂行の阻害
レピュテーション毀損
(1)経営戦略リスク
サステナビリティ経営
推進に関するリスク
特に大
●
●
●
●
デジタル社会への対応に
関するリスク
特に大
●
●
ビジネスモデル変革に
関するリスク
特に大
●
●
海外情勢への対応に関する
リスク
大
●
●
●
●
(2)財務リスク
資金調達に関するリスク
大
●
(3)人事・労務
リスク
人材確保に関するリスク
特に大
●
●
●
(4)災害・犯罪
リスク
災害等の対応に関するリスク
特に大
●
●
●
●
犯罪への対応に関するリスク
特に大
●
●
●
●
(5)オペレーショナルリスク
商品取引上のリスク
特に大
●
●
●
個人情報漏洩に関するリスク
特に大
●
●
(1) 経営戦略リスク
①サステナビリティ経営推進に関するリスク 影響度:特に大
外部リスク
社会課題の深刻化(気候変動や人権侵害等)
社会課題に対する企業の責任やステークホルダーからの要請の高まり
内部リスク
サステナビリティ経営推進の遅れ(脱炭素や人権デュー・ディリジェンス等)
<リスク認識>
近年、世界各地において、気候変動に伴う自然災害の激甚化等、企業を取り巻く社会課題は複雑化・深刻化しております。このような環境下において企業には、気候変動への対応や循環型社会の実現、人権の尊重、持続可能なサプライチェーンの構築、地域社会への貢献など、経済的価値の追求だけではなく、社会的価値の創出の両立を目指した企業活動を求められております。また、気候変動をはじめとするサステナビリティ課題については、事業活動および財務への影響を把握する観点から、関連するリスクおよび機会を識別し、その影響度や発現時期を踏まえて分析することの重要性が高まっております。
このような社会の潮流に対して、当社グループのサステナビリティ経営の推進が十分でない場合には、お客さまを始めとするステークホルダー(お取組先、株主/投資家、地域社会/コミュニティ、従業員等)からの信頼低下を招き、市場競争力の低下、資金調達環境の悪化や人財の確保・定着への影響等、企業経営に悪影響を及ぼす可能性があります。
特に、脱炭素に向けた取り組みが十分に進展しない場合、エネルギー消費に伴う環境負荷増加につながるだけでなく、将来的な環境関連規制の強化やエネルギーコストの上昇により、当社グループの財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
<対応策>
■サステナビリティ経営推進体制の強化
当社グループでは、サステナビリティに関する課題を、中長期的な企業価値および財務基盤に影響を及ぼし得る重要な経営リスクの一つと認識し、サステナビリティ基本方針のもと、経営層が主導する推進体制を構築しております。
具体的には、CEOを議長とするサステナビリティ推進会議において、社会環境の変化やステークホルダーからの要請を踏まえ、サステナビリティ活動の方向性および重点課題を審議し、その内容を経営判断および事業戦略に反映しております。
また、CAO兼CROを議長とするサステナビリティ推進部会において、重点課題に関する具体的施策の検討、進捗管理および課題対応を行い、グループ全体への浸透と実効性の確保を図っております。
■事業戦略と連動したサステナビリティの推進
当社グループは、本業を通じて社会課題の解決と企業価値向上の両立を図る観点から、事業戦略と連動した4つの重点取り組み(①人・地域をつなぐ、②持続可能な環境・社会をつなぐ、③ひとの力の最大化、④グループガバナンス・コミュニケーション)を定め、サステナビリティ経営を体系的に推進しております。
さらに、サステナビリティ活動“think good”を百貨店事業だけでなく不動産事業、金融事業、その他関連事業に取り組みを広げ、規模の拡大と、さらなる独自性の磨き上げを目指すとともに社会課題への対応力を高めることで、ブランド価値および市場競争力の維持・向上に努めております。
■ステークホルダーとの対話を通じた信用リスクの低減
当社グループは、ステークホルダーとの継続的な対話を通じて、社会的要請の変化や事業活動に関連する潜在的リスクを的確に把握し、信頼関係の維持・向上を図ることで、信用低下による事業・財務への影響の抑制に努めております。
お客さまに対しては、サステナビリティ活動に関するアンケートを毎年実施し、その結果を分析・情報開示の上、頂戴した貴重なご意見・ご要望をサステナビリティ活動に活かしております。
また、お取組先に対しては、「お取組先行動規範」の遵守をお願いするとともに、2年に1度のアンケートや個別対話を通じてサプライチェーン上のリスク把握および改善に向けた協議を行っております。
■人権デュー・ディリジェンスの実施
当社グループでは、人権侵害が事業活動や信用に重大な影響を及ぼすリスクであるとの認識のもと、発生可能性および深刻度の観点から人権リスクマップを作成し、重点対応領域の特定および未然防止に取り組んでおります。
加えて、2025年4月にはサプライチェーン全体(社内外)を対象とする「人権救済外部窓口」を設置し、人権リスク発生時の是正および救済を含む実効性のある対応体制を構築しております。
■気候変動への対応・脱炭素社会の実現に向けた取り組み
当社グループは、気候変動が事業運営および財務状況に与える影響を重要な経営課題と認識し、TCFD提言に賛同の上、気候関連リスクおよび機会の把握・分析ならびに情報開示を行っております。
また、将来的な環境規制の強化やエネルギーコスト上昇等による財務影響を抑制するため、「三越伊勢丹グループ2030年環境中期目標(温室効果ガス排出量2023年度比▲42%※1および再生可能エネルギー導入比率55%)」および「三越伊勢丹グループ2050年環境長期目標(温室効果ガス排出量実質ゼロ※2)」を設定し、温室効果ガス排出量削減や再生可能エネルギー導入等を通じて、脱炭素社会の実現に向けた取り組みを継続的に推進しております。
※1 Scope1・2のみ
※2 Scope1・2・3
②デジタル社会への対応に関するリスク 影響度:特に大
外部リスク
デジタル化の加速・急速な情報化社会の進行・技術革新
内部リスク
DX推進対応の遅れ、デジタル人財不足、システム障害管理体制の不備
従業員によるSNSトラブル、AIシステム・サービスの不適切な利用
<リスク認識>
当社グループは、デジタル社会の変化に対応するために、実店舗とオンラインをシームレスにつなぐオンラインサイトやアプリの提供、デジタルツールを利用した業務効率化を進めております。
また、事業活動を通じて蓄積したデータを活用してお客さまやお取組先への新たな価値提供を目指すなど、デジタルテクノロジーを活用したビジネスモデル変革や業務改革にも取り組んでおります。
当社グループが、デジタル社会への対応に乗り遅れた場合、お客さまのご要望や購買行動が変化する中で、迅速な対応ができず、市場競争力の低下、収益性に悪影響を及ぼすリスクが増大します。また、DXを実行するデジタル人財不足により、経営効率化、業務効率化が進まずに中期経営計画実行、業績、財務状況に悪影響を与える可能性があります。その他、新システム導入や更改、日々のシステム運用のなかで不測の障害が発生することにより、実店舗およびオンライン上の営業活動に支障が生じる恐れがあります。
さらに、SNS活用が浸透・拡大するにつれ、従業員個人が関与するSNSトラブル増加の恐れがあります。また、AIシステム・サービスは、将来的には業務生産性を高める無限の可能性を持つツールとして積極的な活用が求められる一方で、使い方によっては重要な機密情報の漏洩や意図せず第三者の権利侵害につながるリスク等も懸念されております。
<対応策>
■デジタルテクノロジーを活用したDX推進と競争力の維持・向上
当社グループは、デジタル社会における顧客ニーズや購買行動の変化に迅速に対応するため、実店舗とオンラインをシームレスにつなぐ顧客体験の高度化を進めるとともに、事業活動を通じて蓄積したデータを活用した新たな価値創出に取り組んでおります。
個客業化に向けたDX戦略のもと、業務プロセス改革およびビジネスモデル変革を継続的に推進することで、デジタル社会への対応遅れによる市場競争力低下や収益性悪化のリスク低減を図っております。
■DX推進を支えるデジタル人財の確保・育成
DXを実効性あるものとするため、当社グループでは、デジタルテクノロジーやデータ活用に精通した専門組織を設置するとともに、グループ内における計画的な人財育成を通じて、DX推進を担う人財基盤の強化に取り組んでおります。
■システム障害管理体制
システム部門による障害発生への事前対策とともに、システム部門と営業部門が一体となりシステム障害発生時における損失を最小化する取り組みを行っております。
■従業員によるSNSトラブル未然防止・再発防止の取り組み
SNS活用が浸透・拡大するにつれ、想定しなかった事故やトラブルが増加していることから、デジタルな顧客接点として、お客さまに安心してご利用いただける環境の構築を図っております。
SNSを利用するにあたって従業員が公私を問わず遵守すべきルールとして、禁止・注意・推奨する事項を明示した「ソーシャルメディアガイドライン」を策定し、周知徹底を図っております。
■AIシステム・サービスの適切な利用
AIシステム・サービスについては、当社グループで安心、安全に利活用できる環境を整備しております。また、利用前には必ずeラーニングを受講するなど社内ルールを周知徹底することで、機密情報漏洩や第三者の権利侵害といったリスク回避の対策を講じております。
③ビジネスモデル変革に関するリスク 影響度:特に大
外部リスク
既存の百貨店ビジネスモデルの衰退、想定を上回る環境変化(人件費、物価上昇等)
内部リスク
ビジネスモデル変革の遅れ
<リスク認識>
当社グループの中核事業である百貨店事業は、これまでマスマーケティング型のビジネスモデルに重きを置いておりました。しかしながら、近年の少子高齢化といった人口動態の変化や所得・消費の二極化といった社会構造の変化、デジタル化の加速と情報化社会の進化により、お客さまの価値観、消費行動は大きく変化し続けております。
また、市場における競争激化を背景とした業界再編の動きが活発化してきており、新たなビジネスモデルへの転換が急務となっております。さらには、インフレの影響、労働市場の逼迫、サプライチェーンの混乱等に伴う人件費、資材、エネルギー等の高騰が、当社グループのビジネスモデル変革への阻害要因にもなり得ます。このような社会の変化の中で、当社グループのビジネスモデル変革が遅れた場合、業績や財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
<対応策>
■「館業」から「個客業」へのビジネスモデル変革の推進
当社グループは、少子高齢化や消費行動の多様化、デジタル化の進展といった外部環境の変化を踏まえ、中期経営計画(2025~2030年度)に基づき、従来のマスマーケティング型の「館業」から、顧客一人ひとりとの継続的な関係構築を基盤とする「個客業」へのビジネスモデル変革を推進しております。
百貨店事業において培ってきた顧客基盤を起点に、カードやアプリ等を活用して顧客を識別化し、グループ各事業(百貨店、不動産、金融、関連事業)が連携することで、多様な顧客価値の提案を行っております。これにより、顧客との関係性を深化させ、LTV(ライフタイム・バリュー)の最大化およびウォレットシェアの拡大を図ってまいります。
また、2025年3月に導入した海外顧客向けアプリ「MITSUKOSHI ISETAN JAPAN」を通じ、国内外を問わず顧客との接点を拡大し、インバウンド需要を含む収益基盤の安定化に取り組んでおります。
■事業機会の拡大による成長余地の確保
当社グループは、「個客業」への転換を通じ、事業機会の拡大を図っております。具体的には、国内外の地域的制約を超えた顧客獲得、営業時間に依存しないビジネス展開、百貨店を核とした「まち化」戦略による空間価値の創出、ならびにグループ各事業の特性を活かした用途の拡大を進めております。
これらの取り組みにより、既存の百貨店ビジネスモデルに依存しない成長機会を創出し、社会構造や市場環境の変化に対する事業ポートフォリオの耐性を高めてまいります。
■変革を迅速かつ持続的に進めるための経営基盤強化
当ビジネスモデル変革を着実かつ継続的に実行するため、当社グループは、収益力の向上と経営管理の高度化に取り組んでおります。インフレの進行や労働市場の逼迫、サプライチェーンの混乱等による人件費・資材費・エネルギーコストの上昇が、変革推進の阻害要因となり得ることを踏まえ、販売管理費の適正化を進めるとともに、収益構造の強化を図っております。
具体的には、首都圏および地域百貨店において、「組織要員改革」「収支構造改革」「店舗構造改革」の三つの改革を、科学的なデータや検証に基づき継続的に実施しております。これにより、事業環境の変化に柔軟に対応し得るコスト構造の構築と、生産性の向上を進めております。
また、経営課題や投資効果を適切に把握・判断できる経営管理体制の高度化を進め、成長分野への資源配分と収益性改善の両立を図っております。これらの取り組みを通じて、外部環境の変動下においても、ビジネスモデル変革を持続的に遂行できる経営基盤の強化に努めております。
④海外情勢への対応に関するリスク 影響度:大
外部リスク
地政学リスク(政治・経済的不安や社会的混乱等)
内部リスク
従業員の安全上・労務上の問題、現地法規制対応不備、現地のガバナンス不全
<リスク認識>
当社グループは、百貨店事業における東南アジア、中国、台湾、および米国の店舗営業のほか、海外の不動産事業にも参画しております。これらの売上、費用、資産を含む現地通貨建ての項目は、連結財務諸表の作成のため円換算されており為替変動の影響を受けております。また事業展開をする各国において、事業・投資の許認可、税制等、様々な政府規制や法制度の適用を受けております。
外部リスクとして、政治・経済的不安や社会的混乱等の地政学リスクがあります。なかでも国際紛争によるエネルギーコストや商品価格の高騰および商品供給のリードタイムの長期化等、当社グループのビジネスに影響を与える可能性があり、引き続き注視が必要であると捉えております。さらには、国際紛争の長期化に伴うインフレ加速、景気後退、為替変動等のリスクがあり、これらの影響が長引いた場合、海外現地店舗の来店客数および売上高の減少と、訪日外国人来店客数および免税売上高が減少し、業績や財務状況に悪影響をもたらします。
内部リスクとしては、海外で事業展開するうえで、従業員の安全上・労務管理上の問題、海外現地法規制への対応不備、現地のガバナンス不全等のリスクが内在しております。これらのリスクにより、海外実店舗の人的・物的損害の発生だけでなく、財務への損害、事業の停止・撤退を余儀なくされる可能性があります。また、商品供給網においても、お取組先を介してのグローバルな取引が多く存在し、商品供給の停滞、遅延が発生する可能性があります。また、これらの内部リスクを通じて、日本においても、レピュテーション毀損や財務への損害が発生する可能性があります
<対応策>
■現地ガバナンスおよび法令遵守体制の強化
当社グループでは、海外各拠点における事業リスクを適切に管理するため、日本側と海外拠点との間で定例的な会議を実施するとともに、内部統制チェックリストを活用したモニタリングを行い、ガバナンス体制の強化を図っております。
加えて、拠点ごとに事業内容や外部環境、地政学的要因等を踏まえたリスクマップを作成・更新し、主要リスクの可視化と優先順位付けを行うことで、統制の実効性向上に取り組んでおります。これらのリスクマップは、日本側においても共有・確認し、モニタリングや対応方針の検討に活用しております。
また、海外拠点を対象とした内部通報制度を導入し、通報窓口を設置・運用することで、不正・不祥事の早期把握および是正に取り組んでおります。
資金管理については、金融機関のシステムを活用し、日本側からのモニタリング体制を構築することで、財務リスクの抑制に努めております。
■従業員の安全確保および労務管理への取り組み
海外事業に従事する従業員および出張者の安全を確保するため、海外赴任者に対して、地政学リスクや現地の治安・法制度等に関する教育を実施しております。
加えて、海外拠点とのリモート会議や現地情勢に関する情報共有を定期的に行い、平時からのコミュニケーション強化を図っております。
有事においては、日本側および海外拠点が一体となって対応できるよう、レポートラインや対応方針を明確化するとともに、情勢の変化に応じて、赴任者の家族や出張者を含めた安全確保のための措置を講じております。
■地政学リスクを踏まえた事業・財務運営への対応
国際紛争等に伴うエネルギー価格や商品価格の変動、為替変動が当社グループの業績および財務状況に与える影響を低減するため、事業環境の変化を注視しつつ、海外事業の採算性や投資回収状況を定期的に検証しております。
また、事業継続に影響を及ぼす可能性がある場合には、必要に応じて事業計画や投資判断の見直しを行うなど、機動的な対応に努めております。
■商品供給網およびレピュテーションリスクへの対応
グローバルな商品供給網における停滞や遅延のリスクに対しては、お取組先との連携を通じて情報収集を行い、供給状況の把握および影響の最小化に努めております。
あわせて、海外事業に起因する問題が国内外でのブランド評価や信用に影響を及ぼすことのないよう、平時からのリスク管理体制の整備と、危機発生時における適切な情報共有・対応を行っております。
(2) 財務リスク
①資金調達に関するリスク 影響度:大
外部リスク
市場金利の上昇に伴う資金調達コストの増加
内部リスク
業績悪化や格付け変更による資金調達力の低下
<リスク認識>
当社グループは、「館業」から連邦(※注1)とまち化(※注2)を手段に、「個客業」への変革と進化を目指しております。その実現のため、コンテンツ、DX・システム、不動産、生産性向上、安心・安全等の投資に、1,000億円水準の資金が必要となります。しかしながら、当社グループの業績悪化や格付け変更による資金調達力の低下、さらには政策の転換による金融市場の資金調達コストの増加等、様々な要因が資金調達を困難にする可能性があります。資金調達が困難になった場合には、戦略実行の遅延や戦略変更を余儀なくされるリスクが内在しております。
※注1 連邦:グループ内の各事業が連携し、顧客に個別最適なサービスを提供する戦略
※注2 まち化:百貨店を核に複合用途を広げ、グループ全体でインフラ機能まで展開することで、世界中の顧客を街に呼び込み、不動産事業だけにとどまらない収益モデルを目指す戦略
<対応策>
■財務戦略の基本的な考え方
当社グループでは、中長期戦略の着実な実行を支えるため、外部環境の変化に左右されにくい安定的な財務基盤の構築と、投資余力の確保を重要な経営課題として位置付けております。業績変動や金融市場環境の変化が生じた場合においても、戦略遂行を継続できるよう、財務健全性と資金調達力の維持・向上に取り組んでおります。
■財務体質の改善と資金創出力の強化
当社グループは、収支構造改革の継続的な推進により固定費構造の見直しを進め、営業利益および営業キャッシュ・フローの安定的な創出に努めております。創出したキャッシュ・フローについては、有利子負債の削減や財務余力の確保に充当することで、バランスシートの健全性向上を図っております。
■事業別利益管理と資本効率の向上
資本コストを意識した経営を徹底し、事業別・連邦単位での収益性および資本効率の向上に取り組んでおります。これにより、投資家や金融機関からの信認を維持・向上させ、安定的な資金調達力の確保につなげております。
■投資規律の徹底と柔軟な投資運営
「個客業」への変革に向けたDX、不動産、安心・安全等の戦略投資については、中長期的な成長性と財務健全性の両立を前提に、優先順位付けと投資評価を厳格に行っております。
また、外部環境や資金調達環境の変化に応じて、投資時期や投資規模の見直しを行うなど、柔軟な投資運営を通じて、戦略実行の遅延リスクの低減に努めております。
(3) 人事・労務リスク
①人材確保に関するリスク 影響度:特に大
外部リスク
少子高齢化・生産労働人口減少に伴う人材獲得競争の激化
内部リスク
経営・戦略実現・事業基盤を支える継続的な人材獲得・育成の遅れ
<リスク認識>
当社グループは、戦略を遂行するうえで百貨店事業分野のみならず、不動産事業、金融事業、関連事業をはじめとした各事業の成長を担う専門人財と長期のグループ成長を担う経営人財の確保、継続的な育成が必要と認識しております。少子高齢化に伴う生産労働人口の減少を背景にした人財獲得競争が激化するなかで、計画通りに必要な知識・経験・スキルを有する人財の確保が図れなかった場合は、当社グループの目指す経営目標の達成や事業成長に影響を及ぼす可能性があります。
<対応策>
当社グループでは、人財確保に関するリスクを重要な経営課題の一つと認識し、「人財の確保」「人財の育成」「人財の定着・活躍」の各段階において、以下の取り組みを推進しております。
■人財確保に向けた取り組み
当社グループは、少子高齢化の進展に伴う人財獲得競争の激化を踏まえ、採用段階におけるミスマッチの低減と、当社グループの価値観に共感する人財の確保を重視しております。
採用活動においては、学生との価値観の共有を重視し、ワークショップ等を通じた双方向のコミュニケーションを丁寧に行うことで相互理解を深めております。また、内定後においても複数回の面談等を実施し、入社意欲の向上と相互の認識のすり合わせを図ることで、入社後の定着および活躍につなげております。
■経営戦略の実現を支える人財育成
当社グループは、「三越伊勢丹グループ人財マネジメント方針」のもと、経営戦略および事業成長を支える専門人財・経営人財の育成に取り組んでおります。
処遇改善、人財育成、働く環境整備、健康経営の推進、人事DX等に対するメリハリを持った人的資本投資を行い、従業員の成長と企業価値向上の両立を図っております。
また、戦略的な出向政策や事業特性に応じた専門スキル育成支援等を通じて、多様な事業分野に対応できる人財の育成を進めております。加えて、グループ内外における計画的な人財流動化により、知見・経験・ネットワークの多様性を高め、新たな価値創造を担う人財の育成に取り組んでおります。
■従業員エンゲージメントの向上と定着
人財の確保・育成の成果を持続的な成長につなげるため、従業員エンゲージメントの向上にも注力しております。社内における対話文化の醸成を通じて、働きがい・働きやすさの向上を図るとともに、会社と労働組合が共同で「安心して働くことのできる職場環境づくり」を宣言し、ハラスメント防止や適正な労働時間管理を全社的に推進しております。
さらに、一人一人のライフワークバランスを尊重し、個人のライフスタイルに合わせた多種多様な働き方を認める両立支援制度(育児・介護等)の拡充や、女性活躍推進に向けた取り組みにも継続して取り組んでおります。
なお、人的資本経営については、「2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (2)サステナビリティに関する個別課題(イ)人的資本経営」において記載しております。
(4) 災害・犯罪リスク
①災害等の対応に関するリスク 影響度:特に大
外部リスク
自然災害の激甚化、感染症拡大、他国からのミサイル攻撃
内部リスク
火災・消防法違反、災害等への対応不備
<リスク認識>
当社グループは、百貨店事業を中核として事業展開を行っています。このため、自然災害(地震・津波・台風・水害・雪害など)が発生すると、店舗の営業活動に悪影響を及ぼす可能性があります。
大規模地震(首都直下地震、南海トラフ地震等)の発生時には、お客さま・従業員・建物等に甚大な損害が生じることが予想されます。百貨店事業は全国各地からの商品供給や物流に依存しているため、供給網への影響は事業継続に深刻な支障をもたらす可能性があります。特に富士山噴火時には、東海地方および首都圏の店舗に火山灰が飛来し、交通インフラの混乱に加え、システムや物流網など全国的な影響が懸念されます。
近年の地球環境変化に伴い、台風や集中豪雨などの自然災害は規模・被害ともに甚大化する傾向にあります。洪水・浸水・強風によって人的被害や物的被害が生じ、営業停止による損失を招く可能性があります。
火災発生時には、お客さま・従業員への人的被害、建物・設備・商品等の物的被害、損害賠償責任などが発生する恐れがあります。また、消防法違反が発覚した場合、罰則や営業停止による損失など、業績や財務状況への悪影響が考えられます。
さらに、他国からのミサイル着弾・落下が想定される場合、直接被害がなくても攻撃が継続し深刻な事態となれば、事業継続に多大な影響を及ぼす可能性があります。
また、新たな感染症の拡大により、国内消費の低迷やインバウンド需要の減少が発生し、業績や財務状況に影響を与える可能性があります。
<対応策>
当社グループでは、自然災害や感染症の拡大、火災、紛争等の発生に備え、人命の安全確保を最優先とした上で、事業継続および業績・財務への影響を最小化することを基本方針として、平時および有事の両面から対応体制を整備しております。
■平時の備え
当社グループでは、地震・水害・パンデミック・富士山噴火・ミサイル攻撃等の大規模災害に備え、事業継続計画(BCP)および災害対策基本計画において、日頃の防災・減災対策や災害発生時の初動対応、復旧に向けた具体的な行動計画を策定しております。
株式会社三越伊勢丹では、BCPの取り組みと店頭での募金活動や従業員のボランティア活動を支援する仕組み等が評価され、「事業継続」と「社会貢献」の分野において、外部認証機関より「レジリエンス認証」を取得しております。
全拠点のハザードマップを整備するとともに、災害対策本部設置基準を設定し、風水害時にはマニュアルに基づいた対応が行えるよう事前準備を行っております。
火災対策として、消防法に基づく防火管理者の選任や自衛消防隊の編成を行い、防火防災訓練を継続的に実施しております。
感染症については、パンデミック発生時の被害想定および行動目標を定め、グループ全社で感染予防策を実施できる体制を構築しております。
従業員に対しては、社内報等を通じて防災に関する情報発信を行い、自助意識の向上を図っております。
■有事の対応
毎年、全国一斉安否確認訓練を実施し、災害発生時における迅速な安否報告および安否確認が確実に行える体制の定着を図っております。
首都直下地震および南海トラフ地震を想定したBCP訓練を毎年実施しており、近年は富士山噴火を含む複合災害への対応も訓練内容に取り入れております。また、グループ各社においても、大規模地震を想定した災害対策本部訓練を毎年実施しております。
ミサイル攻撃については、Jアラート発令時の対応マニュアルに基づき迅速な行動をとるとともに、訓練事例の共有を通じてグループ全体の対応力向上を図っております。
感染症が拡大した場合には、総合対策本部を設置し、お客さまおよび従業員の安全・安心を最優先に、感染状況に応じた対策をグループ全社で実施してまいります。
②犯罪への対応に関するリスク 影響度:特に大
外部リスク
組織犯罪等の増加(詐欺・強盗・窃盗)
内部リスク
従業員による不正・違法行為
<リスク認識>
近年、SNSなどを通じて緩やかに結びつく匿名・流動型犯罪グループ等による特殊詐欺をはじめ、高額品を狙った強盗や窃盗などの組織犯罪が増加し、手口が巧妙化してきております。強盗・窃盗等は、お客さまや従業員の人命や安全を脅かすだけでなく経済的、物理的損失や営業停止を引き起こし、ブランドイメージを脅かす恐れがあります。また、従業員による不正・違法行為が発生した場合、社会的信用の失墜による売上減少や賠償金等の支払い負担、レピュテーション棄損等、業績や財務状況に悪影響を与える可能性があります。
<対応策>
■組織犯罪等への対応
当社グループでは、強盗・窃盗・特殊詐欺等の組織犯罪の増加および手口の巧妙化を踏まえ、リスク対策部会を中心とした横断的な管理体制のもと、自主点検の実施や発生事例の共有を通じて未然防止および被害極小化に向けた取り組みを継続的に強化しております。
また、所轄警察署等の関係機関と連携し、強盗発生を想定した訓練を実施することで、従業員の初動対応力の向上と、お客さまおよび従業員の安全確保を図っております。
■従業員による不正・違法行為への対応
従業員による不正・違法行為の未然防止および早期発見を目的として、「三越伊勢丹グループホットライン」を設置し、内部通報制度の実効性向上に取り組んでおります。通報内容については、適切な調査および是正措置を行うことで、自浄的な改善につなげております。
加えて、情報システムの不正利用やオンライン上の不正行為を抑止するため、アクセス管理や監視等の技術的対策を強化するとともに、コンプライアンス教育を通じて従業員の法令遵守意識の向上を図っております。
これらの取り組みにより、組織犯罪および内部不正による経営・財務への影響やレピュテーションリスクの低減に努めております。
(5) オペレーショナルリスク
①商品取引上のリスク 影響度:特に大
外部リスク
法令遵守に対する社会的要請の高まり
内部リスク
お取組先との公平・公正な取引における問題(商品調達等)
商品の品質・安全管理における体制上の問題
<リスク認識>
当社グループは、百貨店事業を中核とした事業展開を行っております。お客さまのニーズに合わせて、常に安全で安心な商品やサービスを提供することを最優先に考え、お客さまのご満足と信頼に応えられる品質を追求しております。
百貨店事業は、私的独占の禁止および公正取引の確保に関する法律を始めとする経済法や各種消費者保護法、また営業許認可に関わる各種業法の適用を受けております。これらの法規制を遵守し、お取組先や消費者との取引においても、競争力や情報量の格差に乗じた不当な拘束等を排除し、公正な取引を行うことが求められております。これらの法規制を遵守できなかった場合、行政処分により当社グループの営業活動に制限がかかる可能性や、社会的信用の失墜、売上の減少、罰金や課徴金の負担等の財務上の損失が生じる可能性など、当社グループの事業継続に大きな影響を与えることが考えられます。
当社グループが実施しているサステナビリティ活動に関するお客さまアンケートにおいても、例年「商品の品質・安全の確保・正確な表示」が、当社グループに期待されている項目の上位に挙げられております。なかでも食料品販売から飲食サービスまで多岐にわたる食品衛生に関わる事業においては、アレルギー表記の不備等が原因となる食物アレルギー有症事故や、調理者の健康管理不良や食材管理不良等に伴う食中毒が懸念されます。これらが発生した場合、お客さまへの重篤な健康被害だけでなく、営業停止や罰則などの行政処分、社会的信用の失墜による売上の減少や損害賠償金等の支払いが発生し、当社グループの業績、財務状況に悪影響を与える可能性があります。
<対応策>
■法令遵守および公正な取引の徹底
当社グループは、「三越伊勢丹グループ企業理念」の実践に向け、役職員が業務遂行にあたり遵守すべき倫理的基準として「三越伊勢丹グループ行動規範」を策定し、グループ全体へ周知・浸透を図っております。
また、コンプライアンス推進会議を中心とした推進体制を構築し、法令改正への対応方針の策定や、取引に関する懸念事項の把握・是正に取り組んでおります。
商品取引に関しては、中小受託取引適正化法、不当景品類及び不当表示防止法、特定商取引法等に基づくガイドライン・マニュアルを整備し、法改正や業務実態の変化に応じて適宜見直しを行うとともに、関係部門への周知と教育を実施しております。
万一、法令違反や不適切な取引が発生した場合には、定められたガイドラインおよびレポートラインに基づき速やかに対応し、原因分析と再発防止策を講じることで、コンプライアンス体制の継続的な強化を図っております。
■お取組先との公平・公正な取引関係の構築
当社グループは、「三越伊勢丹グループ調達方針」および「三越伊勢丹グループ人権方針」を策定し、持続可能なサプライチェーンの構築と人権を尊重した事業運営に取り組んでおります。
また「パートナーシップ構築宣言」に基づき、お取組先との共存共栄を重視した取引関係の構築を推進しております。これらの方針については、eラーニング等を通じて全従業員に周知し、その理解と実践の徹底を図っております。
さらに、アンケートや対話、方針説明会の開催等を通じてお取組先とのコミュニケーションを継続的に行い、取引実態の把握とサプライチェーン・マネジメント体制の高度化に努めております。加えて、店頭業務に従事する派遣社員を含め、法令や社内規程の遵守状況について定期的な点検および教育・指導の実施に努めております。
■商品の品質および安全管理体制の強化
当社グループは、お客さまに安全・安心な商品およびサービスを提供するため、商品の品質・安全管理を最重要課題の一つとして位置付けております。
食品を取り扱う事業においては、食品衛生の基本であるHACCPの考え方を取り入れた衛生管理計画を策定し、日々の記録・保管および定期的な点検を通じて、法令遵守と食品事故の未然防止に努めております。これらの取り組みについては、お取組先とも共有し、サプライチェーン全体での衛生管理水準の維持・向上を図っております。
また、食物アレルギー有症事故の防止に向け、正確なアレルギー情報を提供するためのマニュアルや社内体制を整備するとともに、定期的な点検により表示内容の正確性を確認しております。あわせて、お客さまとの適切なリスクコミュニケーションを推進し、安全確保と信頼向上に取り組んでおります。
②個人情報漏洩に関するリスク 影響度:特に大
外部リスク
サイバー攻撃、不正アクセス等の増加
内部リスク
管理体制不備による個人情報等の漏洩・紛失
<リスク認識>
当社グループは百貨店、金融、不動産、関連事業において、多くのお客さまやお取組先の様々な情報をお預かりし、厳重に管理しております。近年、国内外におけるサイバー攻撃や不正アクセス事例が増加しており、情報セキュリティガバナンスの強化が急務となっております。
また、個人情報を活用した新規ビジネスの拡大に伴い、漏洩や不適切利用の事案が増加し、消費者の保護意識や利用状況への関心が高まっております。各国で個人情報保護法制が整備され、越境移転を含む厳格な管理体制と目的内利用の仕組み構築が企業に求められております。
当社グループにおいても、サイバー攻撃や管理体制の不備などにより個人情報が漏洩・紛失した場合、損害賠償や罰金等の費用が発生する可能性があります。さらに、法令違反が発覚した場合、社会的信用の失墜による売上減少など、業績や財務状況に悪影響を及ぼすおそれがあります。このため、当社グループは情報セキュリティ対策の継続的強化と、法令遵守の徹底を重要な経営課題と位置付けております。
<対応策>
■情報セキュリティガバナンスおよびサイバーセキュリティ対策の強化
当社グループでは、情報セキュリティガバナンス強化のため、サイバーセキュリティ対策部会において、日常の業務活動のなかで技術的および人的・組織的な対策の推進を図っております。
技術的対策では、新たなサイバー攻撃にも対応できるよう防御、監視、検知、駆除するためのセキュリティツールの導入と運用を強化しております。
人的・組織的対策では、情報セキュリティに関する従業員のリテラシーの向上を図るため、システム部門における専門的なセキュリティ人材の育成や、従業員へのセキュリティ教育・サイバーインシデント訓練を適時実施しております。
■個人情報の適正な取得・利用および管理体制の整備
当社グループでは、館業から個客業への転換に向けて、個人情報を活用した新規ビジネスの拡大に伴う漏洩や不適切利用のリスクに対応するため、堅固なグループ情報管理基盤の構築に向けた対策の強化を図っております。
適切な個人情報の取得・利用・管理に関する自主基準およびマニュアルを整備し、管理システムおよび社内管理体制を構築し、実店舗からオンライン環境に至る全ての事業環境において、個人情報を利用目的の範囲内で適切に取り扱う体制を整えております。
また、個人情報を含む情報セキュリティ体制については、継続的な見直しとモニタリングを実施するとともに、未然防止および再発防止の観点から、管理水準の向上に努めております。
加えて、従業員に対する教育・啓発活動を通じて、個人情報の取扱いに関するリテラシーとリスク認識の向上を図っております。
■法令遵守およびグローバル対応の徹底
当社グループでは、個人情報保護に関する国内外の法令、規制、ガイドライン等の動向を継続的に把握し、適切な対応を進めております。各種法令への対応状況については適宜見直しを行い、社内ルールや運用への反映を通じて、法令遵守の徹底を図っております。
また、海外拠点においては、現地法規制に関する情報収集を継続的に行うとともに、各地域の制度やリスク特性を踏まえた管理体制を整備しております。
これにより、個人情報の越境移転を含むグローバルな情報管理についても、適正性とガバナンスの確保に努めております。
2025-03-31 期 (提出日 2025-06-20 16:20)
前年版がないため比較していません。