経済活動変動リスクに地政学要因(米中関係、サプライチェーン変容、中国ドック入渠・中国建造の阻害等)を統合し、従来エマージングリスクとして管理していた地政学リスクを同項目で扱う形に再編。対策にはジオエコノミクス会議の新設、リスクの定量化・分散発注の検討などが追加された。人権・環境面でもサプライヤーサステナビリティガイドラインの策定や統合戦略会議体(サステナビリティ経営推進会議、環境・技術会議)への体制変更が記載された。
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当社グループにて認識しているリスク項目の内容、対応策、組織への影響の可能性、潜在的なビジネスインパクトの大きさ、さらに、それらを基にした各項目のリスク重要度を、下表に纏めています。NO 主要リスク ① 人材・人権リスク ② 法務・コンプライアンスリスク ③ 船舶運航リスク ④ 経済活動変動リスク ⑤ 情報システム・情報セキュリティリスク ⑥ 災害リスク ⑦ 気候変動リスクリスク名 ①人材・人権リスク 影響度 非常に大きい リスク内容 当社グループは、グローバルに事業を展開する企業グループとして、事業活動が地域社会・国際社会に与える影響を自覚し、かつ、それを踏まえて事業活動を進めていくことが社会的責任の重要な側面の一つと考えています。また、企業に対して、自社の事業活動に関わる全てのステークホルダーの人権尊重を求める国際社会からの要求が年々高まっています。この様な状況下で、当社グループ及びサプライチェーン上に存在する人権問題への対応が不適切であることにより事業活動に影響を及ぼす可能性があります。 また、当社に必要な人材が不足することにより、業界内での競争力の低下や事業継続に深刻な影響を及ぼす可能性があります。 事業へのインパクト人権問題が発生した場合、当社グループの社会的信用やブランドイメージが低下し、当社グループの営業活動、財政状態・経営成績に悪影響を与える可能性があります。当社グループの事業活動に関わるステークホルダーに対する人権問題が発生した場合、当社グループの社会的信用やブランドイメージが低下し、当社グループの営業活動、財政状態・経営成績に悪影響を与える可能性があります。また、必要人材の不足は事業活動の制約となるため、当社グループの経営成績に重大な影響を与える可能性があります。また、必要な人材の不足は事業活動の制約となるため、当社グループの経営成績に重大な影響を与える可能性があります。 対策 当社グループはグループ全体で遵守される行動規範である「グループ企業行動憲章」において、当社グループの事業活動に関わる全てのステークホルダーの人権を尊重することを掲げています。また、同憲章のより具体的な指針として掲げられた「川崎汽船グループ人権基本方針」では、人権尊重に関連した国際規範や法令を尊重・遵守するとともに、当社グループの事業活動との関わりにおいて生じる人権への顕在的又は潜在的な負の影響を把握して、これを未然に防止又は軽減していく、という一連のプロセスである「人権デューディリジェンス」を実施することを定めています。本方針のもと、当社グループの事業活動において優先的に取り組むべき人権課題を特定するため、国内外のグループ会社からヒアリングを実施し各社個別に取組みを強化すべき課題を抽出、その結果を受けて改善に向けたアクションプランを実行しています。また、サプライチェーンも含めた当社グループの事業活動に関わる全てのステークホルダーの人権尊重に向けた取組みを推進すべく、PDCAサイクルの確立を目指しています。さらに、「サプライヤーサステナビリティガイドライン」を策定し、人権尊重に関わる項目についても取引先への要求事項として明確にしています。これらの方針やガイドラインのもと、サプライチェーンも含めた当社グループの事業活動に関わる全てのステークホルダーの人権尊重に向けた取組みを推進すべく、優先的に取り組むべき人権課題を特定し、改善に向けたアクションプランを実行するPDCAサイクルの確立を目指しています。さらに、従来の「サステナビリティ経営推進委員会」の役割を発展させ、新たに設置した統合戦略会議体の一つとして人権も含めたサステナビリティを扱うサステナビリティ経営推進会議を立ち上げ、中長期的な方針の立案又は見直しのみならず、全社横断的な戦略の実効性を高めるべく体制強化を進めています。また、当社の業界内での競争力強化や安定的な事業継続を図るべく、「事業の持続的成長・変革をリードしていく人材」、「事業環境変化に柔軟に対応できる人材」という視点から人材の育成に取り組んでいます。また、当社の業界内での競争力強化や安定的な事業継続を図るべく、「事業の持続的成長・変革をリードしていく人材」、「事業環境変化に柔軟に対応できる人材」という視点から人材の確保・育成に取り組んでいます。 リスク名 ②法務・コンプライアンスリスク 影響度 非常に大きい リスク内容 当社グループは、グローバルに事業を展開する企業グループとして、事業活動が地域社会・国際社会に与える影響を自覚し、かつ、一層高いコンプライアンス意識をもって事業活動を進めていくことが社会的責任の重要な側面の一つと考えています。当社グループの役職員が法令違反行為や企業倫理違反行為等を発生させることにより事業活動に甚大な悪影響を及ぼす可能性があります。また、社会的な機運の高まりにより、自社のみならず持続可能な社会づくりに向けてサプライチェーン全体での協力が不可欠になっています。 事業へのインパクト コンプライアンス上のリスクは、社会情勢、国民意識によっても変化するものであり、コンプライアンス上の問題が生じた場合、当社グループの社会的信用やブランドイメージの低下、またそれに伴う対応のため、当社グループの営業活動、財政状態・経営成績に悪影響を与える可能性があります。 対策当社では、「グループ企業行動憲章」を制定し、法令及び企業倫理の遵守(コンプライアンス)を当社グループ企業の行動原則の一つとして掲げています。また、より具体的な指針として「川崎汽船グループ グローバルコンプライアンスポリシー(以下、「グローバルポリシー」という。)」を制定し、当社及びグループ会社役職員に遵守を義務付けています。当社グループでは、「グループ企業行動憲章」を制定し、法令及び企業倫理の遵守(コンプライアンス)を当社グループ企業の行動原則の一つとして掲げています。また、より具体的な指針として、取締役会にて決議された「川崎汽船グループ グローバルコンプライアンスポリシー(以下、「グローバルポリシー」という。)」並びに競争法、反贈収賄、経済制裁規制・反マネーロンダリング、個人情報保護の分野について具体的な遵守基準を示した個別ポリシーを制定し、当社及びグループ会社役職員(契約社員や出向者等を含む)に遵守を義務付けています。当社及び当社グループ会社のコンプライアンスを担保するための方針及びコンプライアンス違反に対する対応措置を審議するための場として、年4回コンプライアンス委員会を開催し、毎年11月をコンプライアンス月間と位置付け、コンプライアンスの重要性を再認識させるため、社長メッセージを配信するとともに、必修のコンプライアンスeラーニング研修、外部講師を招いてのコンプライアンスセミナー、階層別人事研修の中でのコンプライアンス研修等、組織的にコンプライアンス文化を醸成する様々なプログラムを実施しています。 また、当社及び当社グループでは、お客さまから信頼されるサービスの提供に欠かせないパートナーとしてのお取引先さまとの、相互の信頼関係の確立と共生を図っています。これに加えて当社グループでは、サプライチェーン全体における企業としての社会的責任(CSR)の推進にお取引先さまとともに取り組むべく、「サプライチェーンにおけるCSRガイドライン」を策定しています。 リスク名 ③船舶運航リスク 影響度 非常に大きい リスク内容 当社グループは、安全運航の徹底、環境保全を最優先課題として、安全運航水準と危機管理体制の維持強化を図っています。不測の事故による船体・積み荷・船員及び荷役関係者への損害や損傷、とりわけ油濁その他環境汚染につながる重大事故等が発生し、環境汚染を引き起こした場合、事業活動に甚大な悪影響を及ぼす可能性があります。また、海賊被害、政情不安・武力紛争地域での運航、船舶へのテロ行為リスクの増大、サイバーリスクは、当社グループの船舶に重大な損害を与え、また船員の生命を危険にさらすなど、当社グループ船舶の安全運航、海上輸送事業全般に悪影響を与える可能性があります。 事業へのインパクト 不測の事故、とりわけ油濁その他環境汚染につながる重大事故等が起これば、当社グループの財政状態・経営成績に重大な影響を与え、当社グループの社会的信用やブランドイメージの低下により広範な営業活動に重大な影響を与える可能性があります。 対策 当社グループは安全運航の徹底を最優先課題として安全運航水準と危機管理体制の維持強化を図っています。安全運航については、代表執行役社長を委員長とする安全運航推進委員会を定期的に開催し、事故防止や海賊やテロへの対応などを含む安全運航に関わる全ての案件について、ソフト面・ハード面においてあらゆる視点に基づいて検討し、教育・指導を含めた様々な対策を行っています。さらに、緊急時の事故対応をまとめた「事故対応マニュアル」を策定し、定期的な事故対応演習により継続的改善を図っています。更に緊急時の事故対応をまとめた「事故対応マニュアル」を策定し、定期的な事故対応演習により継続的改善を図っています。なお、最善を尽くしたうえでも回避しきれなかった場合においても十分な対応を行うため適切に保険を付保し備えとしています。また当社グループの事業活動が地球環境に負荷を与えることを自覚し、それを最小限にすべく、環境憲章を掲げ、環境への取組みを確実に推進するために、代表執行役社長を委員長とするサステナビリティ経営推進委員会を設置して、推進体制の審議・策定をしています。また当社グループの事業活動が地球環境に負荷を与えることを自覚し、それを最小限にすべく、環境憲章を掲げ、環境への取り組みを確実に推進するために、従来の「GHG削減戦略委員会」や「サステナビリティ経営推進委員会」、その下部組織の役割を発展させた統合戦略会議体として、環境・技術会議及びサステナビリティ経営推進会議を新たに設置し、全社横断での検討・推進を通じて、意思決定の質及び実行確度の向上を図っています。 リスク名 ④経済活動変動リスク 影響度 大きい リスク内容 当社グループの事業は、世界経済の動向と密接に結びついており、様々な経済的要因の変化による影響を受けます。特に、事業売上において米ドル建て収入の比率が大きく、円高が進むと円建ての収益が減少するリスクがあります。加えて、船舶投資や運転資金調達には借入金を活用しており、金利上昇も利益が減少する要因となります。また、燃料費は運航コストの大きな部分を占めるため、原油価格の変動は利益に影響します。これらの市場リスクは、世界的な経済動向や地政学的なリスクなど、様々な要因によって変動するため、当社グループにとって大きなリスク要因です。将来の事業拡大に向けた船舶投資計画は、海運市況の悪化や想定外の公的規制導入などにより、計画通りに進まない可能性があります。将来の事業拡大に向けた船舶投資計画は、海運市況の悪化や想定外の各国・地域の公的規制・通商政策の導入などにより、計画通りに進まない可能性があります。計画の遅延や中止、あるいは新造船が完成した後に想定していた需要が得られない場合など、収益に悪影響が出る可能性があります。既存の船舶についても、市況の悪化や技術革新による陳腐化によって、売却や傭船契約の途中解約を迫られる可能性があり、損失につながるリスクがあります。国際的な海運市場では競争も激化しており、既存の船舶についても、市況の悪化や技術革新による陳腐化によって、売却や傭船契約の途中解約を迫られる可能性があり損失につながるリスクがあります。また、保有する船舶等の資産は、市況の悪化や収益性の低下に伴い、減損損失が発生する可能性もあります。また、取引先の業績悪化などにより、契約が履行されない場合、損失が発生するリスクもあります。 海運事業は、国際条約や各国・地域の規制や通商政策の影響を受けやすい事業構造となっています。新たな規制の導入や既存規制の変更は、事業コストの増加や事業活動の制限につながる可能性があります。不確実性の増大により予見可能性が低下するリスクがあります。国際的な海運市場では競争も激化しており、モノの流れが変わったり、輸送価格が下落したり、市場シェアが減少したりすることで、収益に影響が出るリスクがあります。また、取引先の業績悪化などにより、契約が履行されない場合、損失が発生するリスクもあります。加えて、地政学的要因、特に米中関係をはじめとする国際秩序の不透明性の高まりも重要なリスク要因です。サプライチェーンの変容や地産地消の動きにより、モノの量や動き(ルート)などのマーケットコンディションやプライシングに影響を与える可能性があります。地政学情勢の変化による荷動きや船舶建造、保守に与える影響は従来エマージングリスクとして管理してきましたが、リスクの顕在化と全社的な対応体制の構築を踏まえ、経済活動変動リスクに統合しました。 事業へのインパクト これらの経済活動の変動は、当社グループの財務状態と経営成績に大きな影響を与える可能性があります。急激な円高は米ドル建て事業売上の円貨換算後の価値を目減りさせ、利益を大きく減少させる可能性があります。金利上昇は資金調達コストを増加させ、投資計画の実行を困難にするだけでなく、既存事業の収益性も悪化させる可能性があります。また、燃料油価格の変動は、運航コストを直接的に増加させ、利益率を低下させる主要因となります。さらに、原油価格の急騰による燃料油価格の高騰で、短期的な収益悪化だけでなく、中長期的な事業計画の見直しが必要となる可能性もあります。 投資計画の遅延や中止は、大きな機会損失となるだけでなく、既に投資した資金を回収できなくなるリスクもあります。市況悪化による船舶の売却や傭船契約の途中解約は、損失につながるだけでなく、将来の輸送能力を低下させ、事業機会の喪失を招く可能性があります。また、保有資産の減損は財政状態や経営成績に影響を与える可能性があります。さらに、取引先が契約不履行となった場合、損失の発生だけでなく、取引関係の喪失による将来的な事業機会の喪失にもつながる可能性もあります。 規制変更への対応には、設備投資や運用変更など多額のコストが必要となる場合があり、収益を圧迫する可能性があります。また、予見可能性の低下により、規制変更への対応や事業計画への反映等が遅れると、事業活動の制限や罰金など、深刻な事態に陥る可能性もあります。国際的な海運市場では、競争の激化は輸送価格の下落を招き、収益性を低下させるだけでなく、モノの流れが変わること等による市場シェアの減少を通じて当社グループの業界での地位や経営成績に一定の影響を及ぼす可能性があります。さらに、取引先が契約不履行となった場合、損失の発生だけでなく、取引関係の喪失による将来的な事業機会の喪失にもつながる可能性もあります。地政学情勢の変化に伴うサプライチェーンの変容やトレードパターンの変化は、輸送需要の構造的な変化を引き起こし、当社グループの収益基盤に影響を与える可能性があります。また、保有船舶は5年ごとの入渠が必要であり、中国ドックへの入渠や中国での船舶建造が阻害されたりした場合、船舶運航ひいては営業活動と経営成績に大きな影響を与えます。国際的な海運市場では、競争の激化は輸送価格の下落を招き、収益性を低下させるだけでなく、トレードパターンが変わること等による市場シェアの減少を通じて当社グループの業界での地位や経営成績に一定の影響を及ぼす可能性があります。 対策 当社グループでは、これらの経済活動の変動リスクに対し、様々な対策を講じています。為替変動の影響を和らげるため、為替予約や一部費用のドル化で影響の最小限化に努めています。金利変動リスクに対しては、固定金利での借入や金利固定化スワップを実施し、資金調達コストの安定化に取り組んでいます。燃料費の変動を抑えるため、燃料油の先物取引による価格ヘッジを行っています。また、取引先の契約不履行リスクを軽減するため、取引先の信用状況を常時監視し与信管理を徹底しています。 投資計画は、市場調査と需要予測に基づいて慎重に策定し、想定最大損失額を連結自己資本の範囲内に収めることで、「安定性」と「成長性」の両立に努めています。市況の悪化に備え、船舶の売却や傭船契約の解約についても、市況動向を常に注視し、適切なタイミングで判断できる体制を整えています。また、保有資産の価値を定期的に評価し、減損リスクの早期発見に努めています。あわせて、地政学情勢の変化に柔軟に対応するため、グループ全体での統合管理のもと、リスクの定量化、分散発注の検討など、専門家との協議に基づいたリスクの適正管理を進めています。国際条約や各国・地域の規制変更、通商政策には、最新の情報収集と迅速な対応を可能にする体制を整えています。取引先の契約不履行リスクを軽減するため、取引先の信用状況を常時監視し与信管理を徹底しています。また、主要顧客とのパートナーシップ深化を中核としながら、営業・運航要員の増員、環境営業の強化など、営業体制の進化・発展を通じて顧客の事業戦略の変化を機敏に捉え、サプライチェーンや事業モデルの見直しに柔軟に対応しています。 さらに、地政学が経済活動に影響を与える状況の常態化に鑑み、新たに設置した統合戦略会議体の一つとして「地経学」を扱うジオエコノミクス会議を立ち上げ、守りのリスクマネジメントのみならず事業戦略と統合した全社横断的な戦略の実効性を高めるべく、体制強化を進めています。 リスク名 ⑤情報システム・情報セキュリティリスク 影響度 大きい リスク内容 当社グループは、世界の経済活動を支える物流インフラとして、安全・安心な海上輸送及び物流サービスを提供するため、情報セキュリティの確保と向上へ対策を講じています。昨今のサイバー攻撃は、多種多様化を極め、不正アクセスによる情報の漏洩、ウイルス感染によるシステム停止等が発生することにより事業活動に甚大な悪影響を及ぼす可能性があります。また、当社はDX戦略のもとデジタル化・AI活用を推進していますが、デジタル技術やAIの進展に伴い活用が進むなか、当該技術動向への対応が十分に図れない可能性があります。 事業へのインパクト 不正アクセスによる情報の漏洩、ウイルス感染によるシステム停止等が発生した場合には、当社グループの営業活動、財政状態・経営成績に重大な影響を与える可能性があります。また、デジタル化やAI活用に関し、技術進展への対応が十分に図れない場合には、業務・運航効率の低下や意思決定の遅延等により、コスト増加や収益機会の逸失を招き、当社グループの競争力及び中長期的な業績に影響を及ぼす可能性があります。 対策 当社グループでは、継続的にサイバーセキュリティの強化を進めています。これまでにPC、サーバーなどのエンドポイントや通信ネットワークのセキュリティ強化、最新技術を用いた監視体制を導入しました。さらに、グローバルでの認証基盤構成を見直し、多要素認証やアカウント管理認証レベルの高度化、迅速な脆弱性への対応を進めることで、グループ全体のITガバナンスの強化、認証レベルの向上、マルウェア・情報漏洩への対策強化を実現し、サイバーインシデントに迅速かつ的確に対応できる体制を築いています。加えて、サイバーインシデント発生時の初動対応について、対応手順を明確化し、実効性の向上を図っています。 近年、インターネット回線による船舶運航データの船陸共有化と安全品質の向上へのデータ活用が進んでおり、衛星通信容量の拡大に伴い、船内ICT機器及び船内ネットワークの整備が必須となっています。今後、船陸間でインターネット環境への接続が一層増えることによるサイバーリスクを見据え、当社グループの船舶管理会社では一般財団法人日本海事協会からサイバーセキュリティマネジメントシステム(CSMS)の認証を取得し、船上のサイバーリスクへの対応力強化に努めています。「安全」は海上輸送を主軸とする当社グループの事業の根幹を成すものであり、サイバーリスクへの対応を強化することで、より安全で最適な輸送サービスを提供してまいります。また、技術的対策に加え、当社グループ全般におけるセキュリティ教育・啓発活動を通じ、セキュリティファーストの文化を醸成して、安全・安心・安定、強靭なIT基盤を構築していきます。加えて、「AI・デジタライゼーション推進委員会」の役割を発展させ、新たに設置した統合戦略会議体としてデジタル会議にて、外部環境の変化を適時的確にモニターし、デジタル戦略の立案や具体的施策の推進、統括などを通じて、全部門のデジタル戦略推進を全社視点で加速させるべく体制強化を進めています。 また、AI・データ活用の進展が船舶運航における経済性向上、収益力の強化及び業務効率の向上に大きく寄与するとの認識のもと、各種施策を推進しています。 リスク名 ⑥災害リスク 影響度 大きい リスク内容 自然災害やパンデミック発生時の事業継続は、社会の機能の一端を担い社会に責任を負う当社グループの責務であるとともに、当社グループの存在意義に関わる重大な事項です。首都圏直下型大地震が発生した場合には、多くの建物、交通、ライフラインに甚大な影響が及ぶことが想定され、また新型インフルエンザ等対策特別措置法に準ずる感染症が発生し、パンデミックとなった場合には、多くの人々の健康に重大な影響が及ぶことが懸念されます。また、これらの自然災害又はその二次災害に伴う風評被害が広がることが懸念されます。 事業へのインパクト 自然災害発生時、また新型インフルエンザ等対策特別措置法に準ずる感染症が発生し、パンデミックとなった場合には、当社グループの営業活動、財政状態・経営成績に影響を与える可能性があります。 対策 当社グループではこれらの災害等を想定した事業継続マネジメント(BCM)を策定し、自然災害の発生時には、この計画を適用又は応用することで可能な限りの事業継続ができるよう備えています。新型コロナウイルス感染症(COVID19)に関する一連の対応を振り返り、パンデミックに備えた行動手引書を作成しました。なお、災害等を想定した本社・社外での訓練等を定期的に実施し、そこで明確になった課題に対処することで、継続的に見直しを行いかつ実効性を高めていきます。 リスク名 ⑦気候変動リスク 影響度 大きい リスク内容 地球温暖化をはじめとする気候変動は、気象・海象の変化をより激しくし、安全運航の妨げにつながる危険性があります。また、気候変動対策としての脱炭素化の流れは、大量の燃料油を必要とし、主要貨物として様々な化石エネルギー資源を輸送する当社グループにとって、公的規制等によるコスト増大や輸送需要の構造的変化などの形で事業環境を大きく変える可能性があるだけでなく、気候変動対策が十分でなかった場合、当社グループの競争力の低下につながる懸念もあります。 事業へのインパクト 今後、気候変動の影響が顕在化し、輸送ルートの変更を余儀なくされることにより運航コストの増加につながることや、積載貨物や船舶の損傷や訴訟リスクが増加する可能性があります。また、気候変動対策としての脱炭素化の流れに対応できなかった場合、当社グループの営業活動、財政状態や経営成績に深刻な影響を及ぼす可能性があります。 対策 当社グループは安全運航の徹底を最優先課題として安全運航水準と危機管理体制の維持強化に努めています。自社システムによる気象・海象予測を踏まえた最適航路選定により、高波高域への入域や船体動揺・貨物損傷リスクの低減に努めています。また、事業へ及ぼす影響に対する対策として、荷崩れを引き起こす一因となる特定の横揺れの発生を予測するアプリ導入などにも取り組んでいます。 また「“K” LINE環境ビジョン2050」では、2050年GHG排出ネットゼロへの挑戦を宣言しており、長期ビジョンとして、経済的成長と企業価値向上に向けて、自社・社会のスムーズなエネルギー転換にコミットし、低炭素・脱炭素社会の実現に向けた活動を推進することを掲げています。中期経営計画では、低炭素・脱炭素化を機会とした成長戦略に基づき、環境への投資により成長を実現していく計画です。さらに、TCFDが提言するシナリオ分析を見直すとともに、そこで特定された「ガバナンス」「戦略」「リスク管理」「指標と目標」の4項目における気候変動リスクと機会に関する財務インパクトの試算を実施し、開示内容も拡充しています。また、従来の「GHG削減戦略委員会」や「サステナビリティ経営推進委員会」、その下部組織の役割を発展させ、統合戦略会議体として環境・技術会議並びにサステナビリティ経営推進会議を新たに設置し、気候変動を含む外部環境の変化を踏まえた成長戦略及び重要施策について、全社横断での検討・推進を通じて、意思決定の質及び実行確度の向上を図っています。 さらに、TCFDが提言するシナリオ分析を見直すとともに、そこで特定された「ガバナンス」、「戦略」、「リスク管理」、「指標と目標」の4項目における気候変動リスクと機会に関する財務インパクトの試算を実施し、開示内容も拡充しています。
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当社グループにて認識しているリスク項目の内容、対応策、組織への影響の可能性、潜在的なビジネスインパクトの大きさ、さらに、それらを基にした各項目のリスク重要度を、下表に纏めています。 NO 主要リスク ① 人材・人権リスク ② 法務・コンプライアンスリスク ③ 船舶運航リスク ④ 経済活動変動リスク ⑤ 情報システム・情報セキュリティリスク ⑥ 災害リスク ⑦ 気候変動リスク リスク名 ①人材・人権リスク 影響度 非常に大きい リスク内容 当社グループは、グローバルに事業を展開する企業グループとして、事業活動が地域社会・国際社会に与える影響を自覚し、かつ、それを踏まえて事業活動を進めていくことが社会的責任の重要な側面の一つと考えています。また、企業に対して、自社の事業活動に関わる全てのステークホルダーの人権尊重を求める国際社会からの要求が年々高まっています。この様な状況下で、当社グループ及びサプライチェーン上に存在する人権問題への対応が不適切であることにより事業活動に影響を及ぼす可能性があります。 また、当社に必要な人材が不足することにより、業界内での競争力の低下や事業継続に深刻な影響を及ぼす可能性があります。 事業へのインパクト 人権問題が発生した場合、当社グループの社会的信用やブランドイメージが低下し、当社グループの営業活動、財政状態・経営成績に悪影響を与える可能性があります。 また、必要人材の不足は事業活動の制約となるため、当社グループの経営成績に重大な影響を与える可能性があります。 対策 当社グループはグループ全体で遵守される行動規範である「グループ企業行動憲章」において、当社グループの事業活動に関わる全てのステークホルダーの人権を尊重することを掲げています。また、同憲章のより具体的な指針として掲げられた「川崎汽船グループ人権基本方針」では、人権尊重に関連した国際規範や法令を尊重・遵守するとともに、当社グループの事業活動との関わりにおいて生じる人権への顕在的又は潜在的な負の影響を把握して、これを未然に防止又は軽減していく、という一連のプロセスである「人権デューディリジェンス」を実施することを定めています。本方針のもと、当社グループの事業活動において優先的に取り組むべき人権課題を特定するため、国内外のグループ会社からヒアリングを実施し各社個別に取組みを強化すべき課題を抽出、その結果を受けて改善に向けたアクションプランを実行しています。また、サプライチェーンも含めた当社グループの事業活動に関わる全てのステークホルダーの人権尊重に向けた取組みを推進すべく、PDCAサイクルの確立を目指しています。 また、当社の業界内での競争力強化や安定的な事業継続を図るべく、「事業の持続的成長・変革をリードしていく人材」、「事業環境変化に柔軟に対応できる人材」という視点から人材の育成に取り組んでいます。 リスク名 ②法務・コンプライアンスリスク 影響度 非常に大きい リスク内容 当社グループは、グローバルに事業を展開する企業グループとして、事業活動が地域社会・国際社会に与える影響を自覚し、かつ、一層高いコンプライアンス意識をもって事業活動を進めていくことが社会的責任の重要な側面の一つと考えています。当社グループの役職員が法令違反行為や企業倫理違反行為等を発生させることにより事業活動に甚大な悪影響を及ぼす可能性があります。また、社会的な機運の高まりにより、自社のみならず持続可能な社会づくりに向けてサプライチェーン全体での協力が不可欠になっています。 事業へのインパクト コンプライアンス上のリスクは、社会情勢、国民意識によっても変化するものであり、コンプライアンス上の問題が生じた場合、当社グループの社会的信用やブランドイメージの低下、またそれに伴う対応のため、当社グループの営業活動、財政状態・経営成績に悪影響を与える可能性があります。 対策 当社では、「グループ企業行動憲章」を制定し、法令及び企業倫理の遵守(コンプライアンス)を当社グループ企業の行動原則の一つとして掲げています。また、より具体的な指針として「川崎汽船グループ グローバルコンプライアンスポリシー(以下、「グローバルポリシー」という。)」を制定し、当社及びグループ会社役職員に遵守を義務付けています。当社及び当社グループ会社のコンプライアンスを担保するための方針及びコンプライアンス違反に対する対応措置を審議するための場として、年4回コンプライアンス委員会を開催し、毎年11月をコンプライアンス月間と位置付け、コンプライアンスの重要性を再認識させるため、社長メッセージを配信するとともに、必修のコンプライアンスeラーニング研修、外部講師を招いてのコンプライアンスセミナー、階層別人事研修の中でのコンプライアンス研修等、組織的にコンプライアンス文化を醸成する様々なプログラムを実施しています。 また、当社及び当社グループでは、お客さまから信頼されるサービスの提供に欠かせないパートナーとしてのお取引先さまとの、相互の信頼関係の確立と共生を図っています。これに加えて当社グループでは、サプライチェーン全体における企業としての社会的責任(CSR)の推進にお取引先さまとともに取り組むべく、「サプライチェーンにおけるCSRガイドライン」を策定しています。 リスク名 ③船舶運航リスク 影響度 非常に大きい リスク内容 当社グループは、安全運航の徹底、環境保全を最優先課題として、安全運航水準と危機管理体制の維持強化を図っています。不測の事故による船体・積み荷・船員及び荷役関係者への損害や損傷、とりわけ油濁その他環境汚染につながる重大事故等が発生し、環境汚染を引き起こした場合、事業活動に甚大な悪影響を及ぼす可能性があります。また、海賊被害、政情不安・武力紛争地域での運航、船舶へのテロ行為リスクの増大、サイバーリスクは、当社グループの船舶に重大な損害を与え、また船員の生命を危険にさらすなど、当社グループ船舶の安全運航、海上輸送事業全般に悪影響を与える可能性があります。 事業へのインパクト 不測の事故、とりわけ油濁その他環境汚染につながる重大事故等が起これば、当社グループの財政状態・経営成績に重大な影響を与え、当社グループの社会的信用やブランドイメージの低下により広範な営業活動に重大な影響を与える可能性があります。 対策 当社グループは安全運航の徹底を最優先課題として安全運航水準と危機管理体制の維持強化を図っています。安全運航については、代表執行役社長を委員長とする安全運航推進委員会を定期的に開催し、事故防止や海賊やテロへの対応などを含む安全運航に関わる全ての案件について、ソフト面・ハード面においてあらゆる視点に基づいて検討し、教育・指導を含めた様々な対策を行っています。さらに、緊急時の事故対応をまとめた「事故対応マニュアル」を策定し、定期的な事故対応演習により継続的改善を図っています。なお、最善を尽くしたうえでも回避しきれなかった場合においても十分な対応を行うため適切に保険を付保し備えとしています。また当社グループの事業活動が地球環境に負荷を与えることを自覚し、それを最小限にすべく、環境憲章を掲げ、環境への取組みを確実に推進するために、代表執行役社長を委員長とするサステナビリティ経営推進委員会を設置して、推進体制の審議・策定をしています。 リスク名 ④経済活動変動リスク 影響度 大きい リスク内容 当社グループの事業は、世界経済の動向と密接に結びついており、様々な経済的要因の変化による影響を受けます。特に、事業売上において米ドル建て収入の比率が大きく、円高が進むと円建ての収益が減少するリスクがあります。加えて、船舶投資や運転資金調達には借入金を活用しており、金利上昇も利益が減少する要因となります。また、燃料費は運航コストの大きな部分を占めるため、原油価格の変動は利益に影響します。これらの市場リスクは、世界的な経済動向や地政学的なリスクなど、様々な要因によって変動するため、当社グループにとって大きなリスク要因です。 将来の事業拡大に向けた船舶投資計画は、海運市況の悪化や想定外の公的規制導入などにより、計画通りに進まない可能性があります。計画の遅延や中止、あるいは新造船が完成した後に想定していた需要が得られない場合など、収益に悪影響が出る可能性があります。既存の船舶についても、市況の悪化や技術革新による陳腐化によって、売却や傭船契約の途中解約を迫られる可能性があり、損失につながるリスクがあります。また、保有する船舶等の資産は、市況の悪化や収益性の低下に伴い、減損損失が発生する可能性もあります。 海運事業は、国際条約や各国・地域の規制や通商政策の影響を受けやすい事業構造となっています。新たな規制の導入や既存規制の変更は、事業コストの増加や事業活動の制限につながる可能性があります。不確実性の増大により予見可能性が低下するリスクがあります。国際的な海運市場では競争も激化しており、モノの流れが変わったり、輸送価格が下落したり、市場シェアが減少したりすることで、収益に影響が出るリスクがあります。また、取引先の業績悪化などにより、契約が履行されない場合、損失が発生するリスクもあります。 事業へのインパクト これらの経済活動の変動は、当社グループの財務状態と経営成績に大きな影響を与える可能性があります。急激な円高は米ドル建て事業売上の円貨換算後の価値を目減りさせ、利益を大きく減少させる可能性があります。金利上昇は資金調達コストを増加させ、投資計画の実行を困難にするだけでなく、既存事業の収益性も悪化させる可能性があります。また、燃料油価格の変動は、運航コストを直接的に増加させ、利益率を低下させる主要因となります。さらに、原油価格の急騰による燃料油価格の高騰で、短期的な収益悪化だけでなく、中長期的な事業計画の見直しが必要となる可能性もあります。 投資計画の遅延や中止は、大きな機会損失となるだけでなく、既に投資した資金を回収できなくなるリスクもあります。市況悪化による船舶の売却や傭船契約の途中解約は、損失につながるだけでなく、将来の輸送能力を低下させ、事業機会の喪失を招く可能性があります。また、保有資産の減損は財政状態や経営成績に影響を与える可能性があります。 規制変更への対応には、設備投資や運用変更など多額のコストが必要となる場合があり、収益を圧迫する可能性があります。また、予見可能性の低下により、規制変更への対応や事業計画への反映等が遅れると、事業活動の制限や罰金など、深刻な事態に陥る可能性もあります。国際的な海運市場では、競争の激化は輸送価格の下落を招き、収益性を低下させるだけでなく、モノの流れが変わること等による市場シェアの減少を通じて当社グループの業界での地位や経営成績に一定の影響を及ぼす可能性があります。さらに、取引先が契約不履行となった場合、損失の発生だけでなく、取引関係の喪失による将来的な事業機会の喪失にもつながる可能性もあります。 対策 当社グループでは、これらの経済活動の変動リスクに対し、様々な対策を講じています。為替変動の影響を和らげるため、為替予約や一部費用のドル化で影響の最小限化に努めています。金利変動リスクに対しては、固定金利での借入や金利固定化スワップを実施し、資金調達コストの安定化に取り組んでいます。燃料費の変動を抑えるため、燃料油の先物取引による価格ヘッジを行っています。 投資計画は、市場調査と需要予測に基づいて慎重に策定し、想定最大損失額を連結自己資本の範囲内に収めることで、「安定性」と「成長性」の両立に努めています。市況の悪化に備え、船舶の売却や傭船契約の解約についても、市況動向を常に注視し、適切なタイミングで判断できる体制を整えています。また、保有資産の価値を定期的に評価し、減損リスクの早期発見に努めています。 国際条約や各国・地域の規制変更、通商政策には、最新の情報収集と迅速な対応を可能にする体制を整えています。取引先の契約不履行リスクを軽減するため、取引先の信用状況を常時監視し与信管理を徹底しています。 リスク名 ⑤情報システム・情報セキュリティリスク 影響度 大きい リスク内容 当社グループは、世界の経済活動を支える物流インフラとして、安全・安心な海上輸送及び物流サービスを提供するため、情報セキュリティの確保と向上へ対策を講じています。昨今のサイバー攻撃は、多種多様化を極め、不正アクセスによる情報の漏洩、ウイルス感染によるシステム停止等が発生することにより事業活動に甚大な悪影響を及ぼす可能性があります。 事業へのインパクト 不正アクセスによる情報の漏洩、ウイルス感染によるシステム停止等が発生した場合には、当社グループの営業活動、財政状態・経営成績に重大な影響を与える可能性があります。 対策 当社グループでは、継続的にサイバーセキュリティの強化を進めています。これまでにPC、サーバーなどのエンドポイントや通信ネットワークのセキュリティ強化、最新技術を用いた監視体制を導入しました。さらに、グローバルでの認証基盤構成を見直し、多要素認証やアカウント管理認証レベルの高度化、迅速な脆弱性への対応を進めることで、グループ全体のITガバナンスの強化、認証レベルの向上、マルウェア・情報漏洩への対策強化を実現し、サイバーインシデントに迅速かつ的確に対応できる体制を築いています。近年、インターネット回線による船舶運航データの船陸共有化と安全品質の向上へのデータ活用が進んでおり、衛星通信容量の拡大に伴い、船内ICT機器及び船内ネットワークの整備が必須となっています。今後、船陸間でインターネット環境への接続が一層増えることによるサイバーリスクを見据え、当社グループの船舶管理会社では一般財団法人日本海事協会からサイバーセキュリティマネジメントシステム(CSMS)の認証を取得し、船上のサイバーリスクへの対応力強化に努めています。「安全」は海上輸送を主軸とする当社グループの事業の根幹を成すものであり、サイバーリスクへの対応を強化することで、より安全で最適な輸送サービスを提供してまいります。また、技術的対策に加え、当社グループ全般におけるセキュリティ教育・啓発活動を通じ、セキュリティファーストの文化を醸成して、安全・安心・安定、強靭なIT基盤を構築していきます。 リスク名 ⑥災害リスク 影響度 大きい リスク内容 自然災害やパンデミック発生時の事業継続は、社会の機能の一端を担い社会に責任を負う当社グループの責務であるとともに、当社グループの存在意義に関わる重大な事項です。首都圏直下型大地震が発生した場合には、多くの建物、交通、ライフラインに甚大な影響が及ぶことが想定され、また新型インフルエンザ等対策特別措置法に準ずる感染症が発生し、パンデミックとなった場合には、多くの人々の健康に重大な影響が及ぶことが懸念されます。また、これらの自然災害又はその二次災害に伴う風評被害が広がることが懸念されます。 事業へのインパクト 自然災害発生時、また新型インフルエンザ等対策特別措置法に準ずる感染症が発生し、パンデミックとなった場合には、当社グループの営業活動、財政状態・経営成績に影響を与える可能性があります。 対策 当社グループではこれらの災害等を想定した事業継続マネジメント(BCM)を策定し、自然災害の発生時には、この計画を適用又は応用することで可能な限りの事業継続ができるよう備えています。新型コロナウイルス感染症(COVID19)に関する一連の対応を振り返り、パンデミックに備えた行動手引書を作成しました。なお、災害等を想定した本社・社外での訓練等を定期的に実施し、そこで明確になった課題に対処することで、継続的に見直しを行いかつ実効性を高めていきます。 リスク名 ⑦気候変動リスク 影響度 大きい リスク内容 地球温暖化をはじめとする気候変動は、気象・海象の変化をより激しくし、安全運航の妨げにつながる危険性があります。また、気候変動対策としての脱炭素化の流れは、大量の燃料油を必要とし、主要貨物として様々な化石エネルギー資源を輸送する当社グループにとって、公的規制等によるコスト増大や輸送需要の構造的変化などの形で事業環境を大きく変える可能性があるだけでなく、気候変動対策が十分でなかった場合、当社グループの競争力の低下につながる懸念もあります。 事業へのインパクト 今後、気候変動の影響が顕在化し、輸送ルートの変更を余儀なくされることにより運航コストの増加につながることや、積載貨物や船舶の損傷や訴訟リスクが増加する可能性があります。また、気候変動対策としての脱炭素化の流れに対応できなかった場合、当社グループの営業活動、財政状態や経営成績に深刻な影響を及ぼす可能性があります。 対策 当社グループは安全運航の徹底を最優先課題として安全運航水準と危機管理体制の維持強化に努めています。自社システムによる気象・海象予測を踏まえた最適航路選定により、高波高域への入域や船体動揺・貨物損傷リスクの低減に努めています。また、事業へ及ぼす影響に対する対策として、荷崩れを引き起こす一因となる特定の横揺れの発生を予測するアプリ導入などにも取り組んでいます。 また「“K” LINE環境ビジョン2050」では、2050年GHG排出ネットゼロへの挑戦を宣言しており、長期ビジョンとして、経済的成長と企業価値向上に向けて、自社・社会のスムーズなエネルギー転換にコミットし、低炭素・脱炭素社会の実現に向けた活動を推進することを掲げています。中期経営計画では、低炭素・脱炭素化を機会とした成長戦略に基づき、環境への投資により成長を実現していく計画です。さらに、TCFDが提言するシナリオ分析を見直すとともに、そこで特定された「ガバナンス」「戦略」「リスク管理」「指標と目標」の4項目における気候変動リスクと機会に関する財務インパクトの試算を実施し、開示内容も拡充しています。
今年
当社グループにて認識しているリスク項目の内容、対応策、組織への影響の可能性、潜在的なビジネスインパクトの大きさ、さらに、それらを基にした各項目のリスク重要度を、下表に纏めています。 リスク名 ①人材・人権リスク 影響度 非常に大きい リスク内容 当社グループは、グローバルに事業を展開する企業グループとして、事業活動が地域社会・国際社会に与える影響を自覚し、かつ、それを踏まえて事業活動を進めていくことが社会的責任の重要な側面の一つと考えています。また、企業に対して、自社の事業活動に関わる全てのステークホルダーの人権尊重を求める国際社会からの要求が年々高まっています。この様な状況下で、当社グループ及びサプライチェーン上に存在する人権問題への対応が不適切であることにより事業活動に影響を及ぼす可能性があります。 また、当社に必要な人材が不足することにより、業界内での競争力の低下や事業継続に深刻な影響を及ぼす可能性があります。 事業へのインパクト 当社グループの事業活動に関わるステークホルダーに対する人権問題が発生した場合、当社グループの社会的信用やブランドイメージが低下し、当社グループの営業活動、財政状態・経営成績に悪影響を与える可能性があります。 また、必要な人材の不足は事業活動の制約となるため、当社グループの経営成績に重大な影響を与える可能性があります。 対策 当社グループはグループ全体で遵守される行動規範である「グループ企業行動憲章」において、当社グループの事業活動に関わる全てのステークホルダーの人権を尊重することを掲げています。また、同憲章のより具体的な指針として掲げられた「川崎汽船グループ人権基本方針」では、人権尊重に関連した国際規範や法令を尊重・遵守するとともに、当社グループの事業活動との関わりにおいて生じる人権への顕在的又は潜在的な負の影響を把握して、これを未然に防止又は軽減していく、という一連のプロセスである「人権デューディリジェンス」を実施することを定めています。さらに、「サプライヤーサステナビリティガイドライン」を策定し、人権尊重に関わる項目についても取引先への要求事項として明確にしています。これらの方針やガイドラインのもと、サプライチェーンも含めた当社グループの事業活動に関わる全てのステークホルダーの人権尊重に向けた取組みを推進すべく、優先的に取り組むべき人権課題を特定し、改善に向けたアクションプランを実行するPDCAサイクルの確立を目指しています。さらに、従来の「サステナビリティ経営推進委員会」の役割を発展させ、新たに設置した統合戦略会議体の一つとして人権も含めたサステナビリティを扱うサステナビリティ経営推進会議を立ち上げ、中長期的な方針の立案又は見直しのみならず、全社横断的な戦略の実効性を高めるべく体制強化を進めています。 また、当社の業界内での競争力強化や安定的な事業継続を図るべく、「事業の持続的成長・変革をリードしていく人材」、「事業環境変化に柔軟に対応できる人材」という視点から人材の確保・育成に取り組んでいます。 リスク名 ②法務・コンプライアンスリスク 影響度 非常に大きい リスク内容 当社グループは、グローバルに事業を展開する企業グループとして、事業活動が地域社会・国際社会に与える影響を自覚し、かつ、一層高いコンプライアンス意識をもって事業活動を進めていくことが社会的責任の重要な側面の一つと考えています。当社グループの役職員が法令違反行為や企業倫理違反行為等を発生させることにより事業活動に甚大な悪影響を及ぼす可能性があります。また、社会的な機運の高まりにより、自社のみならず持続可能な社会づくりに向けてサプライチェーン全体での協力が不可欠になっています。 事業へのインパクト コンプライアンス上のリスクは、社会情勢、国民意識によっても変化するものであり、コンプライアンス上の問題が生じた場合、当社グループの社会的信用やブランドイメージの低下、またそれに伴う対応のため、当社グループの営業活動、財政状態・経営成績に悪影響を与える可能性があります。 対策 当社グループでは、「グループ企業行動憲章」を制定し、法令及び企業倫理の遵守(コンプライアンス)を当社グループ企業の行動原則の一つとして掲げています。また、より具体的な指針として、取締役会にて決議された「川崎汽船グループ グローバルコンプライアンスポリシー(以下、「グローバルポリシー」という。)」並びに競争法、反贈収賄、経済制裁規制・反マネーロンダリング、個人情報保護の分野について具体的な遵守基準を示した個別ポリシーを制定し、当社及びグループ会社役職員(契約社員や出向者等を含む)に遵守を義務付けています。当社及び当社グループ会社のコンプライアンスを担保するための方針及びコンプライアンス違反に対する対応措置を審議するための場として、年4回コンプライアンス委員会を開催し、毎年11月をコンプライアンス月間と位置付け、コンプライアンスの重要性を再認識させるため、社長メッセージを配信するとともに、必修のコンプライアンスeラーニング研修、外部講師を招いてのコンプライアンスセミナー、階層別人事研修の中でのコンプライアンス研修等、組織的にコンプライアンス文化を醸成する様々なプログラムを実施しています。 また、当社及び当社グループでは、お客さまから信頼されるサービスの提供に欠かせないパートナーとしてのお取引先さまとの、相互の信頼関係の確立と共生を図っています。これに加えて当社グループでは、サプライチェーン全体における企業としての社会的責任(CSR)の推進にお取引先さまとともに取り組むべく、「サプライチェーンにおけるCSRガイドライン」を策定しています。 リスク名 ③船舶運航リスク 影響度 非常に大きい リスク内容 当社グループは、安全運航の徹底、環境保全を最優先課題として、安全運航水準と危機管理体制の維持強化を図っています。不測の事故による船体・積み荷・船員及び荷役関係者への損害や損傷、とりわけ油濁その他環境汚染につながる重大事故等が発生し、環境汚染を引き起こした場合、事業活動に甚大な悪影響を及ぼす可能性があります。また、海賊被害、政情不安・武力紛争地域での運航、船舶へのテロ行為リスクの増大、サイバーリスクは、当社グループの船舶に重大な損害を与え、また船員の生命を危険にさらすなど、当社グループ船舶の安全運航、海上輸送事業全般に悪影響を与える可能性があります。 事業へのインパクト 不測の事故、とりわけ油濁その他環境汚染につながる重大事故等が起これば、当社グループの財政状態・経営成績に重大な影響を与え、当社グループの社会的信用やブランドイメージの低下により広範な営業活動に重大な影響を与える可能性があります。 対策 当社グループは安全運航の徹底を最優先課題として安全運航水準と危機管理体制の維持強化を図っています。安全運航については、代表執行役社長を委員長とする安全運航推進委員会を定期的に開催し、事故防止や海賊やテロへの対応などを含む安全運航に関わる全ての案件について、ソフト面・ハード面においてあらゆる視点に基づいて検討し、教育・指導を含めた様々な対策を行っています。更に緊急時の事故対応をまとめた「事故対応マニュアル」を策定し、定期的な事故対応演習により継続的改善を図っています。なお、最善を尽くしたうえでも回避しきれなかった場合においても十分な対応を行うため適切に保険を付保し備えとしています。また当社グループの事業活動が地球環境に負荷を与えることを自覚し、それを最小限にすべく、環境憲章を掲げ、環境への取り組みを確実に推進するために、従来の「GHG削減戦略委員会」や「サステナビリティ経営推進委員会」、その下部組織の役割を発展させた統合戦略会議体として、環境・技術会議及びサステナビリティ経営推進会議を新たに設置し、全社横断での検討・推進を通じて、意思決定の質及び実行確度の向上を図っています。 リスク名 ④経済活動変動リスク 影響度 大きい リスク内容 当社グループの事業は、世界経済の動向と密接に結びついており、様々な経済的要因の変化による影響を受けます。特に、事業売上において米ドル建て収入の比率が大きく、円高が進むと円建ての収益が減少するリスクがあります。加えて、船舶投資や運転資金調達には借入金を活用しており、金利上昇も利益が減少する要因となります。また、燃料費は運航コストの大きな部分を占めるため、原油価格の変動は利益に影響します。これらの市場リスクは、世界的な経済動向や地政学的なリスクなど、様々な要因によって変動するため、当社グループにとって大きなリスク要因です。 将来の事業拡大に向けた船舶投資計画は、海運市況の悪化や想定外の各国・地域の公的規制・通商政策の導入などにより、計画通りに進まない可能性があります。計画の遅延や中止、あるいは新造船が完成した後に想定していた需要が得られない場合など、収益に悪影響が出る可能性があります。国際的な海運市場では競争も激化しており、既存の船舶についても、市況の悪化や技術革新による陳腐化によって、売却や傭船契約の途中解約を迫られる可能性があり損失につながるリスクがあります。また、保有する船舶等の資産は、市況の悪化や収益性の低下に伴い、減損損失が発生する可能性もあります。また、取引先の業績悪化などにより、契約が履行されない場合、損失が発生するリスクもあります。 海運事業は、国際条約や各国・地域の規制や通商政策の影響を受けやすい事業構造となっています。加えて、地政学的要因、特に米中関係をはじめとする国際秩序の不透明性の高まりも重要なリスク要因です。サプライチェーンの変容や地産地消の動きにより、モノの量や動き(ルート)などのマーケットコンディションやプライシングに影響を与える可能性があります。地政学情勢の変化による荷動きや船舶建造、保守に与える影響は従来エマージングリスクとして管理してきましたが、リスクの顕在化と全社的な対応体制の構築を踏まえ、経済活動変動リスクに統合しました。 事業へのインパクト これらの経済活動の変動は、当社グループの財務状態と経営成績に大きな影響を与える可能性があります。急激な円高は米ドル建て事業売上の円貨換算後の価値を目減りさせ、利益を大きく減少させる可能性があります。金利上昇は資金調達コストを増加させ、投資計画の実行を困難にするだけでなく、既存事業の収益性も悪化させる可能性があります。また、燃料油価格の変動は、運航コストを直接的に増加させ、利益率を低下させる主要因となります。さらに、原油価格の急騰による燃料油価格の高騰で、短期的な収益悪化だけでなく、中長期的な事業計画の見直しが必要となる可能性もあります。 投資計画の遅延や中止は、大きな機会損失となるだけでなく、既に投資した資金を回収できなくなるリスクもあります。市況悪化による船舶の売却や傭船契約の途中解約は、損失につながるだけでなく、将来の輸送能力を低下させ、事業機会の喪失を招く可能性があります。また、保有資産の減損は財政状態や経営成績に影響を与える可能性があります。さらに、取引先が契約不履行となった場合、損失の発生だけでなく、取引関係の喪失による将来的な事業機会の喪失にもつながる可能性もあります。 規制変更への対応には、設備投資や運用変更など多額のコストが必要となる場合があり、収益を圧迫する可能性があります。また、予見可能性の低下により、規制変更への対応や事業計画への反映等が遅れると、事業活動の制限や罰金など、深刻な事態に陥る可能性もあります。地政学情勢の変化に伴うサプライチェーンの変容やトレードパターンの変化は、輸送需要の構造的な変化を引き起こし、当社グループの収益基盤に影響を与える可能性があります。また、保有船舶は5年ごとの入渠が必要であり、中国ドックへの入渠や中国での船舶建造が阻害されたりした場合、船舶運航ひいては営業活動と経営成績に大きな影響を与えます。国際的な海運市場では、競争の激化は輸送価格の下落を招き、収益性を低下させるだけでなく、トレードパターンが変わること等による市場シェアの減少を通じて当社グループの業界での地位や経営成績に一定の影響を及ぼす可能性があります。 対策 当社グループでは、これらの経済活動の変動リスクに対し、様々な対策を講じています。為替変動の影響を和らげるため、為替予約や一部費用のドル化で影響の最小限化に努めています。金利変動リスクに対しては、固定金利での借入や金利固定化スワップを実施し、資金調達コストの安定化に取り組んでいます。燃料費の変動を抑えるため、燃料油の先物取引による価格ヘッジを行っています。また、取引先の契約不履行リスクを軽減するため、取引先の信用状況を常時監視し与信管理を徹底しています。 投資計画は、市場調査と需要予測に基づいて慎重に策定し、想定最大損失額を連結自己資本の範囲内に収めることで、「安定性」と「成長性」の両立に努めています。市況の悪化に備え、船舶の売却や傭船契約の解約についても、市況動向を常に注視し、適切なタイミングで判断できる体制を整えています。また、保有資産の価値を定期的に評価し、減損リスクの早期発見に努めています。あわせて、地政学情勢の変化に柔軟に対応するため、グループ全体での統合管理のもと、リスクの定量化、分散発注の検討など、専門家との協議に基づいたリスクの適正管理を進めています。 また、主要顧客とのパートナーシップ深化を中核としながら、営業・運航要員の増員、環境営業の強化など、営業体制の進化・発展を通じて顧客の事業戦略の変化を機敏に捉え、サプライチェーンや事業モデルの見直しに柔軟に対応しています。 さらに、地政学が経済活動に影響を与える状況の常態化に鑑み、新たに設置した統合戦略会議体の一つとして「地経学」を扱うジオエコノミクス会議を立ち上げ、守りのリスクマネジメントのみならず事業戦略と統合した全社横断的な戦略の実効性を高めるべく、体制強化を進めています。 リスク名 ⑤情報システム・情報セキュリティリスク 影響度 大きい リスク内容 当社グループは、世界の経済活動を支える物流インフラとして、安全・安心な海上輸送及び物流サービスを提供するため、情報セキュリティの確保と向上へ対策を講じています。昨今のサイバー攻撃は、多種多様化を極め、不正アクセスによる情報の漏洩、ウイルス感染によるシステム停止等が発生することにより事業活動に甚大な悪影響を及ぼす可能性があります。また、当社はDX戦略のもとデジタル化・AI活用を推進していますが、デジタル技術やAIの進展に伴い活用が進むなか、当該技術動向への対応が十分に図れない可能性があります。 事業へのインパクト 不正アクセスによる情報の漏洩、ウイルス感染によるシステム停止等が発生した場合には、当社グループの営業活動、財政状態・経営成績に重大な影響を与える可能性があります。また、デジタル化やAI活用に関し、技術進展への対応が十分に図れない場合には、業務・運航効率の低下や意思決定の遅延等により、コスト増加や収益機会の逸失を招き、当社グループの競争力及び中長期的な業績に影響を及ぼす可能性があります。 対策 当社グループでは、継続的にサイバーセキュリティの強化を進めています。これまでにPC、サーバーなどのエンドポイントや通信ネットワークのセキュリティ強化、最新技術を用いた監視体制を導入しました。さらに、グローバルでの認証基盤構成を見直し、多要素認証やアカウント管理認証レベルの高度化、迅速な脆弱性への対応を進めることで、グループ全体のITガバナンスの強化、認証レベルの向上、マルウェア・情報漏洩への対策強化を実現し、サイバーインシデントに迅速かつ的確に対応できる体制を築いています。加えて、サイバーインシデント発生時の初動対応について、対応手順を明確化し、実効性の向上を図っています。 近年、インターネット回線による船舶運航データの船陸共有化と安全品質の向上へのデータ活用が進んでおり、衛星通信容量の拡大に伴い、船内ICT機器及び船内ネットワークの整備が必須となっています。今後、船陸間でインターネット環境への接続が一層増えることによるサイバーリスクを見据え、当社グループの船舶管理会社では一般財団法人日本海事協会からサイバーセキュリティマネジメントシステム(CSMS)の認証を取得し、船上のサイバーリスクへの対応力強化に努めています。「安全」は海上輸送を主軸とする当社グループの事業の根幹を成すものであり、サイバーリスクへの対応を強化することで、より安全で最適な輸送サービスを提供してまいります。また、技術的対策に加え、当社グループ全般におけるセキュリティ教育・啓発活動を通じ、セキュリティファーストの文化を醸成して、安全・安心・安定、強靭なIT基盤を構築していきます。加えて、「AI・デジタライゼーション推進委員会」の役割を発展させ、新たに設置した統合戦略会議体としてデジタル会議にて、外部環境の変化を適時的確にモニターし、デジタル戦略の立案や具体的施策の推進、統括などを通じて、全部門のデジタル戦略推進を全社視点で加速させるべく体制強化を進めています。 また、AI・データ活用の進展が船舶運航における経済性向上、収益力の強化及び業務効率の向上に大きく寄与するとの認識のもと、各種施策を推進しています。 リスク名 ⑥災害リスク 影響度 大きい リスク内容 自然災害やパンデミック発生時の事業継続は、社会の機能の一端を担い社会に責任を負う当社グループの責務であるとともに、当社グループの存在意義に関わる重大な事項です。首都圏直下型大地震が発生した場合には、多くの建物、交通、ライフラインに甚大な影響が及ぶことが想定され、また新型インフルエンザ等対策特別措置法に準ずる感染症が発生し、パンデミックとなった場合には、多くの人々の健康に重大な影響が及ぶことが懸念されます。また、これらの自然災害又はその二次災害に伴う風評被害が広がることが懸念されます。 事業へのインパクト 自然災害発生時、また新型インフルエンザ等対策特別措置法に準ずる感染症が発生し、パンデミックとなった場合には、当社グループの営業活動、財政状態・経営成績に影響を与える可能性があります。 対策 当社グループではこれらの災害等を想定した事業継続マネジメント(BCM)を策定し、自然災害の発生時には、この計画を適用又は応用することで可能な限りの事業継続ができるよう備えています。新型コロナウイルス感染症(COVID19)に関する一連の対応を振り返り、パンデミックに備えた行動手引書を作成しました。なお、災害等を想定した本社・社外での訓練等を定期的に実施し、そこで明確になった課題に対処することで、継続的に見直しを行いかつ実効性を高めていきます。 リスク名 ⑦気候変動リスク 影響度 大きい リスク内容 地球温暖化をはじめとする気候変動は、気象・海象の変化をより激しくし、安全運航の妨げにつながる危険性があります。また、気候変動対策としての脱炭素化の流れは、大量の燃料油を必要とし、主要貨物として様々な化石エネルギー資源を輸送する当社グループにとって、公的規制等によるコスト増大や輸送需要の構造的変化などの形で事業環境を大きく変える可能性があるだけでなく、気候変動対策が十分でなかった場合、当社グループの競争力の低下につながる懸念もあります。 事業へのインパクト 今後、気候変動の影響が顕在化し、輸送ルートの変更を余儀なくされることにより運航コストの増加につながることや、積載貨物や船舶の損傷や訴訟リスクが増加する可能性があります。また、気候変動対策としての脱炭素化の流れに対応できなかった場合、当社グループの営業活動、財政状態や経営成績に深刻な影響を及ぼす可能性があります。 対策 当社グループは安全運航の徹底を最優先課題として安全運航水準と危機管理体制の維持強化に努めています。自社システムによる気象・海象予測を踏まえた最適航路選定により、高波高域への入域や船体動揺・貨物損傷リスクの低減に努めています。また、事業へ及ぼす影響に対する対策として、荷崩れを引き起こす一因となる特定の横揺れの発生を予測するアプリ導入などにも取り組んでいます。 また「“K” LINE環境ビジョン2050」では、2050年GHG排出ネットゼロへの挑戦を宣言しており、長期ビジョンとして、経済的成長と企業価値向上に向けて、自社・社会のスムーズなエネルギー転換にコミットし、低炭素・脱炭素社会の実現に向けた活動を推進することを掲げています。中期経営計画では、低炭素・脱炭素化を機会とした成長戦略に基づき、環境への投資により成長を実現していく計画です。 また、従来の「GHG削減戦略委員会」や「サステナビリティ経営推進委員会」、その下部組織の役割を発展させ、統合戦略会議体として環境・技術会議並びにサステナビリティ経営推進会議を新たに設置し、気候変動を含む外部環境の変化を踏まえた成長戦略及び重要施策について、全社横断での検討・推進を通じて、意思決定の質及び実行確度の向上を図っています。 さらに、TCFDが提言するシナリオ分析を見直すとともに、そこで特定された「ガバナンス」、「戦略」、「リスク管理」、「指標と目標」の4項目における気候変動リスクと機会に関する財務インパクトの試算を実施し、開示内容も拡充しています。