事業等のリスクに「(13)国際税務」の項目が新たに追加された。グローバル展開やグループ内の国際取引に伴う移転価格税制等のリスクを挙げ、移転価格ドキュメントの整備などの対策を講じているものの、税務当局との見解の相違により予期せぬ税負担が生じ業績や財政状態に影響する可能性があると記載している。
有価証券報告書の変化点
前年の有報と比べて文章が変わった箇所を、重要度の高い順に表示します。
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リスク項目「顧客関連資産の減損」について、計上対象の記載が「のれん」から「顧客関連資産」に変更された。減損の契機も「事業環境の変化等による収益性の低下」から「今後の事業計画との乖離等により期待されるキャッシュ・フローが生み出されない場合」に改められた。減損損失の計上により事業展開や経営成績に影響が及ぶ可能性がある旨は変わらない。
前年に記載されていた「法人税、住民税及び事業税等に関する会計基準」(2022年改正会計基準)等の適用に伴う会計方針の変更の記載が、今年は削除された。前年の記載では、適用による連結財務諸表および財務諸表への影響はないとされていた。
前年に記載されていた「ITエンジニア派遣市場の動向について」のリスク項目が、今年の事業等のリスクから削除された。前年は、システム開発の内製化やオフショア開発の急進、主要派遣先の業績不振、生成AIの進展による派遣ニーズの構造的変化がIT人材事業に影響し得ると記載されていた。
事業等のリスクに「従業員及び関係者による不適切行為によるリスク」が新規に追加された。多人数の従業員や関係者による不適切行為で損失が生じる可能性があるとし、発生可能性は低、影響度は中と評価している。対応として、コンプライアンス方針等の開示と定期的な講習の実施が記載されている。
法的規制リスクの項目から、IT人材事業に関する労働者派遣法の規制・事業許可(派遣・紹介の許可番号を含む)・許可取消や業務停止のリスク、法令遵守の取組の記述が削除され、クラウド事業の電気通信事業法に関する記述のみとなった。あわせて「法的規制の変更については動向を注視し、速やかに対応を施す」旨の対応方針が追加された。
事業等のリスクに「広告宣伝の費用対効果の悪化によるリスク」(発生可能性:低、影響度:小)が新たに追加された。テレビCMを中心とした広告宣伝による新規顧客獲得の効果が想定を大きく下回った場合に業績へ影響する可能性があるとし、費用対効果を検証しながら広告宣伝費を投下することで軽減を図るとしている。
提供サービスの記載から「ITエンジニア派遣サービス」が削除され、クラウドサービスのみの記述となった。「人材不足」が「人財不足」に表記変更され、末尾にマクロ環境の変化への打ち手は限定的だが動向を注視しリスク低減を図る旨の一文が追加された。発生可能性・影響度の評価(いずれも中)に変更はない。
事業等のリスクの前文で、記載範囲を「網羅的に記載」から「現時点で認識している主なリスク要因」へ変更し、表現を一部整理した。あわせて、リスク項目を発生可能性(高・中・低)と影響度(大・中・小)の三段階で評価する旨と、各評価の定義(時間軸・財務的インパクト基準)が新たに追加された。
報告セグメントの構成(クラウド事業とIT人材事業の2つ)に変更はない。クラウド事業の該当サービスの列挙が、「Mail Dealer」「配配メール」から「楽楽勤怠」「楽楽自動応対」「楽楽メールマーケティング」に入れ替わった。
売上高の役務提供事実に関する監査上の主要な検討事項(KAM)の監査手続が変更された。前年は新規・増加顧客を対象とした受注情報と申込書の照合および請求書との照合であったが、今年は得意先別の売掛金回転期間分析と期末日基準の売掛金残高確認(差異原因の検討を含む)に置き換えられた。検討対象の項目自体は同一である。
監査上の主要な検討事項(販売プロセスの内部統制評価)の第2の着眼点で、「新規顧客登録及び既存顧客に対するサービスの更新登録」が「新規サービスの登録及び既存サービスの更新登録」に変更された。マスタへのアクセス権限者の適切性を評価するという趣旨や、他の記載内容に変更はない。
のれん及び顧客関連資産の減損リスクについて、今後のM&A実施により新たなのれん等が増加する可能性と、事業環境の変化による価値毀損の可能性が追記された。あわせて、買収検討時のデューデリジェンス、買収後のPMI推進および進捗モニタリングといった対応体制の記述が新たに加わった。発生可能性(低)・影響度(中)の評価は変更されていない。
有価証券保有の目的として純投資や資本提携等であること、および今後も新たに取得する可能性があることが追記された。評価損の対象を「市場価格のない株式等以外」から「市場価格のある有価証券」へ表現変更し、取得時の精査やモニタリングといったリスク管理の取組が新たに記載された。発生可能性(中)・影響度(小)の評価は変わっていない。
海外子会社によるリスクの項目に、海外子会社は現地でのサービス提供等を行っていないため業績への直接的なリスクは限定的である旨と、サービス開発に影響が出ないようクロスボーダーでのリスク管理を図る旨の記述が追加された。発生可能性(低)・影響度(小)の評価や既存の本文に変更はない。
人財の採用・育成リスクの本文で「人材」が「人財」に表記変更され、「各事業において」などの語句が整理された。あわせて、人権方針、DEI方針、労働安全衛生方針を開示し、適切な人的資本管理によりリスク軽減を図る旨の記述が追加された。発生可能性・影響度の評価(中・中)に変更はない。
知的財産権リスク(発生可能性:低、影響度:中)の項目に、知的財産方針を開示しており、法務部門を中心に自社権利の保護に努めるとともに他社権利の侵害を防ぐことでリスク軽減を図る旨の記述が追加された。リスク内容や発生可能性・影響度の評価自体は変更されていない。
自然災害リスクの記載から、IT人材事業における派遣先設備の損壊による事業停止リスクの文が削除された。代わりに、BCPシナリオに基づく大規模障害時の対応訓練、データ復元テスト、物理的・地理的に分離されたサーバーへの全顧客データのバックアップなど、リスク軽減策の記述が追加された。
情報管理体制リスクの項目に、情報セキュリティ基本方針・個人情報保護方針の開示、ISMS・PMS等の外部認証取得による内部管理体制の構築、CSIRTの設置、定期的な研修・訓練の実施といったリスク軽減策の記述が追加された。リスクの内容、発生可能性(低)および影響度(大)の評価に変更はない。
システムトラブルによるリスク項目で、「事業および業績」を「事業及び業績」とするなど軽微な表記の修正が行われた。あわせて、第三者機関による脆弱性診断の定期実施、ISMS等の外部認証取得、CSIRTの設置、定期的な研修・訓練の実施といったリスク軽減策の記述が新たに追加された。リスクの内容や発生可能性・影響度の評価自体は変更されていない。
技術革新対応リスクの項目で、前年にあった「AIを含む新技術への対応に遅れた場合に競争優位性が低下し業績に影響を与える可能性がある」との記述が削除されました。代わりに、技術革新はリスクであると同時に大きな機会でもあり、新技術動向の把握と適切な導入によりリスク軽減と事業成長の加速に努める旨の記述が追加されています。見出しの発生可能性(中)・影響度(大)の表記は変更ありません。
「楽楽明細」の名称説明が「電子請求書発行システム」から「帳票発行システム」に変更されました。また、両サービスに続くサービスの育成によるポートフォリオのバランス化と各サービスの収益性向上により、依存度の低下を図る旨の対応方針の記述が追加されました。リスクの評価(発生可能性:低、影響度:中)や主要な記載内容に変更はありません。
競合影響によるリスク項目で、末尾の文に句点が追加され、新たに「事業構造上、先行者メリットは大きいが、市場動向を注視し、他社との競合においては適切な対策を施すことでリスクの低減を図る」という対応方針の記述が加わった。発生可能性(中)・影響度(小)の評価やリスク内容自体に変更はない。
前年は「法人税、住民税及び事業税等に関する会計基準」等(2022年改正会計基準)の適用に伴う会計方針の変更が記載されていたが、今年は「該当事項はありません」との記載に変わった。前年の記載でも当該変更による財務諸表への影響はないとされていた。
前年に記載されていた、KOT電子契約システムの資産性及び資産計上額(433,145千円、総資産の7%)の妥当性に関する監査上の主要な検討事項(KAM)が、今年は記載されていない。当該KAMの内容及び監査手続の記述が全て削除されている。
監査上の主要な検討事項(KAM)の節に、「分析的手続及び実証手続」という項目が新たに記載された。売上高の月次推移分析や平均販売単価分析、売上取引の証憑照合、期末日翌月の取消・減額処理の確認、売掛金の滞留状況と回収可能性の検討といった監査手続が列挙されている。
監査上の主要な検討事項(KAM)に「(1)内部統制の評価」が新たに記載された。月単価管理、登録人数集計、月額請求料金計算、会計システム連携の業務プロセスについて、IT専門家が関与しIT全般統制およびIT業務処理統制(顧客管理・請求金額計算・勤怠管理・会計システム等)の整備・運用状況を評価した旨が示されている。
監査上の主要な検討事項(KAM)の記載が新たに追加され、KOT SaaSサービスの収益認識が対象とされた。当該サービス関連売上高は6,708,986千円で連結売上高の89.5%を占め、多数の少額取引を複数のITシステムの自動連携で処理する点が選定理由として挙げられている。
労働関係法令改正に伴うシステム改修リスクの記載が拡充された。36協定、変形労働時間制、割増賃金計算、社会保険制度等への適合が競争優位性の源泉であることが加わり、法令解釈の不明確性のほか、誤った計算結果の提供による顧客への損害賠償や訴訟リスクが新たに顕在化事象として明記された。発生可能性・影響度の評価(中・中)は変更されていない。
訴訟リスクの記載が拡充され、課金ID数358万超の従業員データを取り扱う事業特性が明記された。訴訟の想定対象が取引先に加えエンドユーザー(従業員)からの集団訴訟に広がり、給与計算結果の誤りが原因例に追加されたほか、社会的信用の毀損、損害賠償、和解金、対応費用といった影響の具体例も加わった。発生可能性・影響度の評価(低・小)は据え置かれている。
事業等のリスクに「(15) 資金運用に係るリスク」が新設され、2026年3月期より手元流動性資金の一部を短期有価証券及び金銭の信託で運用開始したことが記載された。市場金利・信用市場の変動や運用先金融機関の破綻等により運用資産が毀損する可能性を挙げ、発生可能性は低、影響度は小と評価している。
前年は上場時の公募増資資金の使途(システム開発投資、マーケティング、海外市場開拓)と使途変更時の開示に関する記載でしたが、今年は2026年3月期末時点の実質的な手元流動性資金約47億円とその管理方針(運転資金、システム先行投資、投資機会対応、株主還元)に関する記載に差し替えられました。リスクの内容も、資金配分の最適性が損なわれる場合や株主資本コストを上回るリターンを生み出せない場合に、東証要請の「資本コストや株価を意識した経営」の観点から株価や事業展開に影響し得るという趣旨に変わっています。
事業等のリスクに「中期営業利益率目標の見直しに係るリスク」が新規に追加された。営業利益率30%の達成時期を2028年3月期から2030年3月期へ見直した旨と、約1.6億円のAI関連投資および約1.3億円のセキュリティ関連投資を優先実行する判断が記載され、効果発現の遅延や追加投資が生じた場合には目標達成がさらに遅れる可能性があるとされている。発生可能性は高、発生時期は5年以内、影響度は中と評価されている。
ソフトウェア資産の減損リスクについて、対象が一般的なソフトウェアから新規サービス(電子契約)の開発に係るソフトウェア資産へと具体化された。減損の要因として「市場環境の変化」「技術進化」が追加され、発生可能性・発生時期・影響度の評価(中・5年以内・中)に変更はない。
事業等のリスクとして「(11) M&Aに係るリスク」が新規に追加された。買収後の事業計画の未達、PMIの停滞、偶発債務の発覚、買収目的の未達成により、のれん等の減損や追加費用が生じ、経営成績及び財政状態に影響する可能性があると記載されている。発生可能性は中、発生時期は5年以内、影響度は中とされている。
「特定の製品への依存」リスクの記載が更新され、「単一事業」が「単一セグメント」に変更された。従来の電子契約サービス導入の「予定」の記述に代え、2025年2月の「KING OF TIME 電子契約」リリースや「給与計算BPaaS」「パートナーサービス」の立ち上げ取り組みが記載され、新サービスの収益寄与は依然限定的と明記された。リスク要因として、生成AIの普及による顧客ニーズの変化と新サービスの立ち上げ遅延が新たに加わった。
競合リスクの記載で、参入障壁の根拠が「システム開発やノウハウの蓄積」から「法改正を即時かつ正確に反映するシステムの開発・運用ノウハウ」へ言い換えられた。新たな競合要因として、生成AIを基盤とするAIネイティブな新興競合の台頭と海外HRテック企業の日本市場参入が明記され、価格競争も影響に追加された。一方、他社との差別化のための新機能開発や新サービス付加といった対応策の記述は削除された。
事業等のリスクに「生成AIの進化に伴うリスクと機会」の項目が新設された(発生可能性:高、発生時期:5年以内、影響度:大)。AIを活用した新興競合の参入や顧客のAI内製化による競争優位性の毀損を脅威とする一方、法改正対応の業務基盤や蓄積した顧客データの価値は高まるとの認識を示し、AI投資の効果が想定通り進まない場合に競争力や業績へ影響する可能性を記載している。
サイバーセキュリティ管理のリスク記載が大幅に拡充された。課金ID数358万超の従業員データをクラウドで預かる点や、サイバー攻撃の高度化、サプライチェーン経由の脆弱性、生成AI悪用、内部不正、外部委託先経由の漏洩リスクの増大が新たに明記された。また、漏洩時の個人情報保護法に基づく報告・本人通知義務、監督当局の検査・指導、契約解除などの具体的影響と、「重大な影響」との表現が追加された。
課金IDベースの販売チャネル別シェアが約36%/20%/44%(2025年3月末)から約36.5%/18.5%/45.0%(2026年3月末)に更新され、売上ベースでは直販中心である旨が追記された。2025年4月以降の弥生株式会社、ミイダス株式会社へのOEM提供開始や、株式会社HRBrainへの2026年4月提供開始などエコシステム拡充の記述が加わり、リスク要因にパートナー企業の販売戦略の変更等が追加された。
風評リスクの記載が拡充され、SNS・インターネット上での情報拡散や生成AIによる偽情報・ディープフェイクの流布が新たに想定要因として追加された。影響として顧客流出、新規契約の獲得阻害、採用活動への悪影響が明記され、対策にもSNS発信ガイドラインの整備と風評モニタリングの実施が加わった。発生可能性(低)・影響度(小)の評価は変更されていない。
人材確保リスクの記載が更新され、対象に「AI人材」が加わり、対策として地方採用やリモートワーク等の柔軟な就業環境整備が記載された(採用ホームページでの情報発信の記述は削除)。リスク要因として、エンジニア・AI人材の獲得競争の激化、人件費水準の上昇傾向、他社への人材流出、既存社員のリテンションへの支障が新たに追記され、サービス開発・運営体制の維持・強化が困難となる可能性にも言及している。発生可能性・影響度の評価(中・中)に変更はない。
海外子会社に関するリスク記載が整理され、シンガポール法人は黒字基調、タイ法人は創業以来赤字基調が継続している旨が新たに明記された。スリランカ法人は「一時的に休眠」から「現在は休眠会社」へと表現が変わり、減損の可能性は「追加的な減損処理」と明確化された。71,706千円の子会社株式評価損の記載や発生可能性・影響度の評価に変更はない。
新規事業・サービスのリスク項目の末尾の記述が更新された。前年の「2023年3月期から2025年3月期を『KING OF TIME』の機能拡張の先行投資期間と位置づけ」との記載が、今年は2026年3月期以降に「KING OF TIME 電子契約」「就業規則ナビ」、給与計算BPaaS(開発中)等の新サービスを本格的な事業化フェーズに移行し、AI関連投資を進めるとの記載に置き換わった。あわせて、新サービスが計画通りの収益貢献に至らない場合に財政状態及び経営成績に影響し得る旨が加えられた。
経営環境の変化に関するリスクで、顧客の投資マインド縮減の時期が「長期的」から「中長期的」に変わった。需要減少要因として、大幅な勤怠管理関連の法改正と高性能AIによる新たな勤怠管理手法の出現の記述が削除され、わが国の労働力人口の長期的減少(2026年3月末時点で6,773万人)が追加された。人材確保の記述では「優秀な」が削除された。
内部管理体制に関するリスクの記載が更新され、対策として「3線ディフェンス体制」の整備と四半期毎のリスク評価が新たに明記された。リスク要因の記述は、従来の「急速な事業拡大」から、新規事業の立ち上げ、M&Aによるグループ会社の増加、海外子会社の事業拡大へと具体化されている。発生可能性(中)・影響度(大)の評価は変更されていない。
重大な不具合に関するリスク記載で、品質チェックの具体例として自動テストによる回帰検証や複数段階のレビューが追加され、サービスが顧客の給与計算結果に直接影響する旨と計算ロジックの精度確保への言及が加わった。不具合の例示にも計算誤り・表示誤りが追加され、顧客の給与計算誤りによる損害賠償責任が明記された。発生可能性・影響度の評価自体は変更されていない。
システムトラブルのリスク記載において、課金ID数358万ID・課金社数6.1万社(2026年3月末時点)という顧客規模と、サービス中断が給与計算・勤怠管理業務に直接影響する旨が追記された。防止策にDRサイトによる二重管理が加わり、障害時の帰結として損害賠償、顧客流出、社会的信用の毀損が具体的に明記された。発生可能性・影響度の評価自体は変更されていない。
前年度に記載されていた「法人税、住民税及び事業税等に関する会計基準」(企業会計基準第27号)等の適用に関する会計方針の変更の記載が、当年度では削除された。前年度の記載では連結・個別とも財務諸表への影響はないとされており、当年度は会計方針の変更に関する記載自体がない。
製品不具合リスクの記載で、冒頭の企業理念の表現が「健全経営のもと、最高品質のものづくりを通じて社会基盤の充実と発展に幅広く貢献する」から「ものづくりに誇りを持ち、お客様のニーズに応え、社会基盤の発展に貢献する」に改められた。また、業績や財務状況に影響を及ぼす事象が「重大なクレーム」から「重大な製品不具合」に言い換えられた。リスクの内容や品質向上の取組についての記載に実質的な変更はない。