調達リスクの記載が拡充され、中東情勢などの地政学的変化に伴うナフサ(プラスチック原料)をはじめとする原材料価格の高騰・調達不安定化、エネルギー価格上昇や供給制約による製造コスト増・生産停滞の可能性が新たに明記された。あわせて、グローバル最適調達や代替調達先の確保、主要サプライヤーのリスク評価・事業継続対策の確認といった対応策の記述が追加された。
有価証券報告書の変化点
前年の有報と比べて文章が変わった箇所を、重要度の高い順に表示します。
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自動車業界の動向と価格競争に関するリスクの記載に、中東地域を含む地政学的情勢の変化により自動車メーカーが生産計画の見直しや生産調整を行い、当社グループの生産量が変動する可能性があるとの記述が追加された。あわせて、顧客ポートフォリオの多様化、先進視認技術領域等への製品拡充、設計段階からのVA/VEやグローバル調達改革、生産自働化といった対応策の記述が新設され、従来の「不断の努力によりQCDの競争力維持向上を図る」旨の文言は削除された。
前年度の監査上の主要な検討事項(KAM)であった「NINJAPAN株式会社の株式取得に伴う企業結合に係る会計処理」(現金240,000千円での全株取得、のれん283,483千円計上、株式価値算定や事業計画の仮定に関する監査手続)の記載が、当年度では削除されている。当年度のKAM欄は空となっている。
監査上の主要な検討事項(KAM)に「(2)使用価値の見積りの合理性の評価」の監査対応が新たに記載された。NINJAPANの事業計画について、支配獲得時の計画と実績の比較、主要損益項目の分析、顧客数・顧客単価等の仮定の根拠確認、ネットワークファームの専門家による割引率の評価などを実施した旨が示されている。
監査上の主要な検討事項(KAM)として、NINJAPAN株式会社に係るのれんの評価が新たに記載された。支配獲得時の事業計画が未達であることから減損の兆候があると判断され、当連結会計年度に196,066千円の減損損失が計上され、のれん残高は74,633千円となっている。使用価値算定の基礎となる事業計画の顧客数・顧客単価等の仮定や割引率が不確実性を伴う点が理由とされている。
事業等のリスクに「生成AIの利用に関するリスク」が新設された。システム開発・運用等の効率化で生成AIを活用する中、個人情報・機密情報の漏洩、知的財産権の侵害、誤情報の流布等が想定されるとし、利用ガイドラインの作成・更新で軽減を図るものの、予期せぬリスクの顕在化により業績に影響する可能性があると記載している。
監査法人が「EY新日本有限責任監査法人」から「太陽有限責任監査法人」に変わりました。
「新型コロナウイルス感染症の影響の反動による需要の不確実性について」の項目が丸ごと削除された。同項目は、コロナ特需の反動減や、アフターコロナ環境での需要変動要因(創薬・上市のタイミング、マーケティング、DX推進等)に言及していた。「特定業界や顧客への依存について」「動画コンテンツ視聴市場について」の記載は変更されていない。
気候変動リスクの記載で、移行リスクの表現が「大幅なコスト増加」から「投資負担やコストの増加」へ、影響の記述が「製品の販売や受注に支障」から「事業活動及び業績に影響」へ変更された。あわせて、カーボンニュートラル分科会によるリスクの洗い出し・評価の体制と、2035年までに村上開明堂本体の工場・事務所のCO2排出量(Scope1,2)を実質ゼロとする目標、太陽光パネル設置や再生可能エネルギー導入の取組が追記された。
自然災害等に関するリスクの記載で、静岡県中部地域に拠点が集中し大規模災害で企業活動が停止する可能性という基本的な内容は維持されたまま、「事業活動及び業績に影響を及ぼす」旨が追記された。あわせてBCPの策定・見直し・訓練、耐震・防災対策の強化、データの遠隔バックアップなどの対策の記述が段落として追加された。
事業買収・資本提携リスクの記述が拡充され、出資先の業績悪化や事業環境の変化、持分法による投資損失の計上が新たに明記された。あわせて、投資実行前の外部専門家を交えたデューデリジェンスや、実行後のPMI計画に基づく全社プロジェクトによるモニタリングといった対応策の記載が追加された。
情報セキュリティリスクの記載が拡充され、情報システムが事業活動の継続に重要である旨が追加された。想定する事故も情報漏洩に加え改ざん・消失やシステム停止・障害に広がり、影響として復旧費用の増加や操業・生産・物流の停滞・停止が明記された。あわせて情報セキュリティポリシーに基づく技術的対策・教育訓練、ネットワーク監視、インシデント対応計画・復旧体制といった対策の記述が新たに追加された。
知財リスクの影響範囲の記述が「業績」から「事業活動及び業績」に拡張された。あわせて、知財教育や特許調査(先行技術調査・侵害予防調査)による第三者権利侵害リスクの低減策と、侵害案件発生時に関係部署・外部専門家と連携する対応体制の整備に関する記述が新たに追加された。
新製品及び新技術開発に関するリスクの本文で、影響の記述が「業績に」から「事業活動及び業績に」へと軽微に修正された。あわせて、技術ロードマップに基づく要素技術開発、市場動向の把握による開発テーマ選定、電動化・視認技術高度化への投資、外部企業や大学等との連携といった対応策の段落が新たに追加された。
製品品質リスクの記載で、冒頭の品質管理体制の説明が削除され、欠陥・リコール発生時の影響の記述が先頭に置かれた。新たにIATF16949準拠のマネジメントシステム、FMEA・PPAP等の未然防止活動、トレーサビリティ強化、グループ横断の品質監査といった具体的な対策が追記された。リスクの内容や影響度の評価自体に変更はない。
事業展開国からドイツが削除され、リスク記述が貿易協定・通商枠組み・政治経済情勢の変化、労務問題などの法的リスク、地政学上の不測の事態へと具体化・再構成された。また新たに、内部統制・ガバナンス体制、コンプライアンス教育、現地生産・現地調達や為替ヘッジによる対応策の記載が追加された。
前年の報告書にあった「法人税、住民税及び事業税等に関する会計基準」(企業会計基準第27号)等の適用に関する会計方針変更の記載が、今年は削除された。前年の記載では、当該変更による連結財務諸表および財務諸表への影響はないとされていた。
監査上の主要な検討事項(KAM)の項目として「内部統制の理解」が新たに追加され、のれんを含む資産グループの減損の検討に関連する内部統制を理解した旨が記載された。のれんを含む資産グループの減損検討に関する監査手続の一部とみられる記載である。
事業遂行を阻害する要因の列挙に、新たに「AIを用いた脆弱性探索・サイバー攻撃」が追加された。あわせて「情報システムやネットワークの障害等」の表現が一部整理された。事業継続計画や業績への影響に関する記述は前年から変更なし。
前年に記載されていた「法人税、住民税及び事業税等に関する会計基準」(2022年改正会計基準)等の適用に関する会計方針変更の記載が、今年は削除された。前年の記載では、連結・個別財務諸表への影響はないとされていた。
VideoStepののれんに関するKAMが継続して記載されており、基準日が2026年3月31日に更新され、のれん計上額は344,218千円から267,725千円に変動した。事業計画の見直しを行った旨の記述が削除され、当期の業績が取得時計画から著しく下方乖離していないことを根拠に減損の兆候なしと判断する記載に簡略化された。監査手続のうち、今後の事業計画を取得時計画と比較する旨の記述も削除された。
前期にあった「法人税、住民税及び事業税等に関する会計基準」(2022年改正会計基準)等の適用に関する会計方針変更の記載が、今期は削除された。前期の記載では連結・単体とも財務諸表への影響はないとされており、実質的な内容の変化ではなく適用初年度の注記が不要になったことによる削除である。
前年に記載されていた「当社グループの事業活動のリスク」の項目(海外売上高の地域別金額、インドネシア・台湾・ベトナムの海外生産拠点、新商品開発への依存、海外の景気・為替・政治情勢・法制度や研究開発成果の変動リスク)が、今年は記載から削除されている。削除後の記載内容は提示された範囲からは確認できない。
事業等のリスクに「(12)季節的な業績偏重にかかるリスクについて」が新たに追加された。官公庁や民間設備の予算執行時期が下期に偏る傾向があり、上期より下期に売上および利益が増加する傾向があると記載されている。
訴訟等のリスクについて、新たに製品の品質問題・安全性の欠陥、契約上のトラブル、労働問題、環境関連法規への抵触などが訴訟・紛争の原因となり得ること、損害賠償や和解金等の金銭負担が生じ得ることが具体的に追記された。一方、「当連結会計年度において重大な影響を及ぼす訴訟は提起されていない」旨の記述は削除され、管理体制の説明も法務部門への情報共有を日常的に行う体制という表現に改められた。
事業等のリスクに「(10)コンプライアンスにかかるリスクについて」が新たに追加された。重大なコンプライアンス違反が発生した場合に経営成績および財務状況等へ影響を及ぼす可能性があると記載され、対処として「TOAグループ企業倫理規範」に基づく倫理観アンケートや法令遵守教育の定期実施が示されている。
事業等のリスクとして「(9)知的財産権の侵害/被侵害のリスク」が新たに記載された。技術・ノウハウの流出、ブランド模倣、特許侵害に関する紛争、他社から許諾を受けた知的財産権が使用できなくなる可能性などが業績・財務に影響し得るとし、対策として知財部門と開発部門の連携による権利化の強化やAIを活用した知財業務改革を挙げている。
事業等のリスクに「(8)品質問題の発生にかかるリスクについて」の項目が新規に追加された。製品欠陥により、製造物賠償責任保険で補償しきれない賠償責任や対策費用の負担、評価低下、ブランド価値の棄損が生じ、経営成績・財務状況に影響を及ぼす可能性が記載されている。対応として「TOA品質基本方針」や「品質マニュアル」に基づく各工程でのチェックが挙げられている。
リスク項目から「感染症の発生・まん延」への言及が削除され、大規模災害(地震等)に限定した記載になった。一方で、情報システムの代替システム構築、大規模災害対策マニュアルの策定、BCP訓練の毎年実施、人員の事前割当てなど、具体的な対策の記述が大幅に追加された。
事業等のリスクに「(4)人材育成にかかるリスクについて」が新設された。研究開発をはじめ有能な人材の確保・育成が重要であり、人材不足や転職の活発化による人材流出が企業成長や経営成績・財務状況に影響を及ぼす可能性があると記載されている。対策として、ベースアップの実施、階層別教育の継続、多様性を活かす人材配置・確保・育成と環境整備の推進が挙げられている。
研究開発費の金額が3,267百万円から3,380百万円へ更新され、「当期」の表記が「2026年3月期」に変更された。研究開発人材の確保・育成に関するリスクの記述が削除され、代わりにロードマップ策定、プロトタイプを活用した顧客ニーズ把握、開発段階ごとの評価ゲート設置といった対処策の記述が追加された。
情報セキュリティリスクの記載のうち、リスク内容自体は変更されていない。対策の記述が拡充され、サイバー犯罪動向を踏まえた従業員教育、「TRIFORAシリーズ」7機種のJC-STAR適合ラベル★1取得、ISO/IEC 27001・27017の認証取得、PSIRTを中心とした脆弱性管理などが追記された。
調達先の記述が「外部から」から「国内外から」に変更された。対応策の記述は、取組みの「実施いたします」が「実施しております」へ、「商品価格の改定を実施しております」が「適切な販売価格の設定に努めております」へと表現が改められた。リスク認識の内容自体に実質的な変更はない。
為替リスクの記載に「海外売上高は概ね外貨建て取引である」との一文が追加され、影響対象の表現が「財政状態」から「財務状況等」に変更された。為替マリー等によるリスク低減策や急激な変動時の影響可能性に関する記載は変更されていない。
海外活動リスクの項目で、海外4セグメント(アジア・パシフィック、欧州・中東・アフリカ、アメリカ、中国・東アジア)の構成と、海外生産子会社の所在国(インドネシア、台湾、ベトナム)の記述が追加された。リスク事象の④に「紛争」が加わったほか、地理的分散や官需・民需の需要構成によるリスク軽減の取組が新たに記載された。
事業等のリスクの前文に、当社グループが持続可能な事業活動の使命のもとでリスク(不確実性)を把握・評価・管理し、部門計画遂行上のリスクも抽出して対策状況に組織的・体系的に取り組んでいるとの説明が追加された。リスク項目そのものや将来事項に関する注記の記載に変更はない。
前年に記載されていた「法人税、住民税及び事業税等に関する会計基準」等(2022年改正会計基準・適用指針)の適用に関する会計方針の変更の記載が、当年では削除されている。前年の記載では、連結・個別ともに当該変更による財務諸表への影響はないとされていた。
2021年9月の公募増資資金は2026年3月までに計画どおり全額を研究開発費等に充当済みと記載され、前年の「使途変更を実施」との記述が置き換わった。新たに2026年3月期に第三者割当による新株式及び新株予約権の発行を組み合わせた資金調達を実施した旨が追加され、新株予約権の行使の進捗次第では想定どおりの資金を確保できない可能性が新たなリスクとして加わった。
繰越利益剰余金の項目では、第26期に当期純利益を計上したものの第27期に再び当期純損失となり、第27期末でマイナスの繰越利益剰余金を計上している旨に更新された。資金繰りの項目では、医薬品の開発期間の記載が「10年以上」から「20年以上」に変更され、従来の金融機関との取引による調達の記述が削除された。代わりに、CVI Investments Inc.との株式及び新株予約権発行プログラム契約の締結と第1回から第4回の株式発行の払込完了、新株予約権の行使の進捗次第では必要資金を確保できない可能性が追記された。
知的財産権の項目で、特許の早期審査請求による対応が追記され、事業に重要な知的財産権の有効期間に関するリスクが新たに追加された。対応として、RS5614では物質特許に加え複数の用途特許を出願し、RS5441では導出先のエイリオン社が用途特許を出願している旨が記載された。また、前年にあった「職務発明に係る社内対応について」の項目が削除された。
「その他のリスク」において、新株予約権の潜在株式数の割合が約1.7%から約1.4%に更新された。また、「配当政策について」の項目が削除され、後続項目の番号が繰り上がった(M&Aが③から②、繰延税金資産が④から③)。M&Aと繰延税金資産の記載内容は実質的に変更されていない。
組織体制に係るリスクのうち、「特定人物への依存について」の項目(創業者である代表取締役CEOの中野智哉氏への依存と、同氏が業務を継続できなくなった場合の影響)が削除された。「人材の確保について」の記載内容は変更がなく、項番号(①)の表記のみ外れている。
監査法人が「有限責任あずさ監査法人」から「太陽有限責任監査法人」に変わりました。
利益相反防止体制の記載で、取締役会決議に参加する取締役の人数が、筑波大学関係者を除くと4名(うち社外3名)から2名(うち社外1名)に、内閣府関係者を除くと5名(うち社外4名)から4名(うち社外3名)に変更された。前年にあった定時株主総会での取締役5名選任議案に関する記載は削除された。
監査上の主要な検討事項(事業収益の期間帰属)に関する実証手続の記載で、取引の実在性の検証と契約内容の理解に関する文が二つに分けられた。また、質問の対象に研究開発担当者が、閲覧対象に研究開発会議の議事録及び関連資料が追加された。その他の手続(入金記録との照合、期末日後の会計仕訳の閲覧)に変更はない。
ベンチャーキャピタルが組成した投資事業有限責任組合の当社発行済株式の所有割合が、前年の5.13%から0.41%に低下した旨の記載に更新された。あわせて「目的は」が「主な目的は」に、誤記「売約」が「売却」に修正されたが、リスクの趣旨に変更はない。
宮田敏男氏の肩書が「取締役会長」から「代表取締役会長兼社長」に変更され、同氏及び二親等内の親族の実質議決権所有割合が45.91%から42.33%へ低下した。また「やむを得ない事情により」との限定表現が削除され、持分比率低下の場合の影響に関する記述は条件なしの表現となった。
製造・安定供給リスクの項目に、複数の医師主導治験を実施していること、治験薬は十分な量を前もって確保している一方で使用期間(通常は最大3年間)があり継続的な製造確保が必要になることを説明する記述が追加された。外部委託先での生産停滞等のリスクおよび複数の委託候補施設を確保する対応の記載は従来と同じである。
「小規模組織及び少数の事業推進者への依存」が「少数の事業責任者への依存」に改められ、研究開発や臨床開発を外部機関へ委託しており社内に多くの研究人材は不要である旨の説明と、取締役6名・執行役員3名・従業員3名・平均臨時雇用者1名への体制数値の更新、競争環境と人材獲得の記述が加わった。人材流出時の影響表現は「重大な影響」から「影響」に弱められ、特定人物(宮田敏男氏)の肩書は代表取締役会長兼社長に変更され、依存度の記載も一部言い換えられた。情報管理の項は語句の微修正にとどまる。
早期定額型売上の期間帰属に関するKAMの監査手続の記述が詳細化された。商品マスターの設定内容(サービス内容・提供期間・按分ロジック)をサービス概要書類と照合する手続が追加され、再計算の比較対象は会計システムの売上高から販売管理システムの計算結果に変更され、販売管理システムと会計システムの売上高の整合確認が別手続として独立した。