災害等のリスクに対する対策の記述が更新され、大規模地震を想定した初動対応マニュアルの整備と訓練による事業継続体制の強化、社内システムのクラウド化が追加された。一方で、データのバックアップシステムへの言及は削除され、防災訓練は「定期的な」実施と明記された。感染症対応の文末は「努めます」から「努めております」に変更された。
有価証券報告書の変化点
前年の有報と比べて文章が変わった箇所を、重要度の高い順に表示します。
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個人情報管理のリスクに「情報セキュリティ」が加わり、ECやDXの進展に伴うサイバー攻撃によるシステム停止・データ毀損リスクの記述が追加された。自然災害・人的災害では中東紛争への言及がイラン情勢に置き換わり、為替変動が景気変動に変更され原価上昇が加わった。パンデミックは新型コロナ前提から新型インフルエンザや未知の感染症に改められ、対応策が供給網の多角化と需要予測に更新され、「その他」にはAI利用に伴う倫理性が追加された。
2022年改正の法人税等に関する会計基準および税効果会計の適用指針を当期首から適用する旨の会計方針の変更が新たに記載された。連結・個別とも経過的な取扱いに従っており、連結子会社間の株式売却損益の税務上の繰延に関する改正は遡及適用されたが、連結財務諸表・財務諸表への影響はないと明記されている。
その他の事業の内容から「合成樹脂関連事業」の記載が削除された。アパレル関連事業の記載に変更はなく、その他の事業は販売代行及び人材派遣事業、店舗設計管理事業及び飲食事業等となった。
リスクマネジメント概要の冒頭文で、経営環境の変化の例として「情報化」が「デジタル技術・AIの急速な進化」に置き換えられた。また、ERMにより特定されたリスクを適正にコントロールし、競争優位の機会へ転換することを目指す旨が追記された。委員会体制やリスク評価の手順に変更はない。
共用資産を含むより大きな単位での減損に関するKAMについて、前年は減損損失(共用資産分3,122百万円、連結で4,496百万円)を認識・測定したと記載していたが、今年は割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を上回るため減損損失を認識していないと記載された。KAMの題名から「測定」が外れ「認識の判定の妥当性」に変更され、将来キャッシュ・フローの基礎も事業計画から予算及び中期計画の前提数値へ変わり、有形・無形固定資産が連結総資産の16.1%を占める旨が追記された。
前年に記載されていた「人権に関するリスク」の項目が、今年の事業等のリスクから削除された。前年は多様な人財が平等に活躍できる環境整備の遅れが経営成績等に影響する可能性や、人権デュー・デリジェンス委員会の発足、カスタマーハラスメント方針の策定といった対応が記載されていた。
前年に記載されていた「知的財産権に関するリスク」の項目が、今年は事業等のリスクから削除された。前年は、海外での第三者による先行出願・登録や類似商標の無断使用、権利紛争により知的財産権を行使できなくなるリスクと、専門部署による対応体制の構築が記載されていた。
前年に記載されていた「店舗の賃借物件の保証金回収に関するリスク」の項目が、今年は削除されている。前年は差入保証金残高108億7百万円や、賃貸人の破産等により回収不能となる可能性、専門部署による賃貸人の資産状況の確認などが記載されていた。
前年に記載されていた「加盟者の経営断念及び新規契約減少に関するリスク」の項目が、今年の記載では削除されている。前年は加盟者の高齢化・後継者不足や競合店の出現による経営断念、より魅力あるフランチャイザーの出現による新規契約者減少を挙げ、パートナーシップ契約店舗の拡大などの対応を記載していた。
前年の事業等のリスクに記載されていた「⑫ 貸倒れに関するリスク」の項目が、今年は削除されている。前年は加盟店貸勘定の残高増加や貸倒率上昇による貸倒引当金の積み増しと、売上向上・経費および投資の適正化による対策を記載していた。
前年に記載されていた「為替変動に関するリスク」の項目が、今年の事業等のリスクから削除された。前年は海外連結子会社2社の外貨建て財務諸表の円換算や海外取引に伴う為替相場変動の影響と、為替予約等のデリバティブ取引による軽減策が記載されていた。
前年に記載されていた「法的規制の強化に関するリスク」の項目が今年の事業等のリスクから削除された。前年は食品衛生法、食品リサイクル法、独占禁止法、下請法、個人情報保護法などの法的規制に関し、法解釈の相違により追徴金・損害賠償金等が発生し業績に影響する可能性と、専門部署による改正動向の把握体制を記載していた。
前年に記載されていた「個人情報の漏洩に関するリスク」の項目が、当年の事業等のリスクから削除された。顧客の個人情報漏洩による信頼失墜や客数減少の可能性、個人情報保護法の遵守、プライバシーマーク認定、年1回のeラーニング教育などの記述が無くなっている。
前年に記載されていた「環境への負荷に関するリスク」の項目が今年は削除されている。前年は店舗の廃棄物による環境負荷や、2030年までに食品ロスを2015年度比50%削減する環境目標、値下げ販売・フードドライブ・「てまえどり」などの対策が記載されていたが、今年は同項目の記載が無い。
前年に記載されていた「感染症に関するリスク」の項目が、今年の事業等のリスクから削除された。前年は日本・ベトナムでの渡航禁止や外出自粛等による消費活動への影響と、ガイドライン整備やイオングループの防疫対策基準に基づく対策が記載されていた。
前年に記載されていた「地震等の自然災害、テロ活動等に関するリスク」の項目が、今年は事業等のリスクから削除されている。前年は日本・ベトナムでの店舗や施設への物理的損害と、事業継続計画の見直し、防災拠点の設置、耐震強化、自治体との防災協力協定、資金調達手段の確保等の対応策を記載していた。
前年にあった「天候不順に関するリスク」の項目が、今年は削除された。前年は、台風・洪水・津波や異常気象の頻発による需要減少、営業収入の減少、加盟店支援の増大の可能性、および品揃え拡大などの対応を記載していた。
前年に記載されていた「仕入・流通ネットワークの障害に関するリスク」の項目が今年は削除されている。同項目には、自然災害やコンピューターウイルスによる障害、および2024年問題による運賃上昇で営業利益が減少する可能性と、車両積載率の改善などの対策が記載されていた。
前年に記載されていた「食品の安全性に関するリスク」の項目が、今年の事業等のリスクから削除された。前年は食中毒や表示誤り、鳥インフルエンザ等の衛生問題による売上減少・コスト増加の可能性と、抜き打ち検査や工場監査などの対策を記載していた。
前年に記載されていた「競争の激化に関するリスク」の項目が、今年は事業等のリスクから削除されている。前年は、ドラッグストア・食品スーパー・ファストフード等との競争状態や、競争激化によるコスト負担増が経営成績に影響する可能性、およびNewコンボストアモデル確立による対応策が記載されていた。
前年に記載されていた「小売業界における持続的な低迷のリスク」の項目が、今年は事業等のリスクから削除されている。前年は日本・ベトナムの景気・消費動向や高齢化による消費傾向の変化への依存、および中長期戦略(商品開発力・経営指導力)による対応を記載していた。
事業等のリスクとして、人財不足、商品不具合・表示違反、情報開示の遅れ、サイバー攻撃、ガバナンス不全、加盟店指導体制、新規事業・設備投資の失敗・格付け下落・債務超過・資金ショートなど7項目の重点リスクが、発生頻度・損失規模の評価、リスクシナリオ、対策とともに新たに記載された。あわせてベトナム事業の出店遅れ、物流障害、配送代行手数料減少など子会社の重点リスク4項目も記載されている。
当連結会計年度の期首より、2022年改正の法人税等会計基準・適用指針およびグローバル・ミニマム課税制度に関する実務対応報告第46号等を適用した旨の会計方針変更の記載が新規に追加された。連結・個別とも財務諸表への影響はなく、前連結会計年度についても遡及適用による影響はないと記載されている。
監査上の主要な検討事項(KAM)における将来キャッシュ・フローの見積りの合理性評価の記載で、前年の「事業計画」が「予算等」に置き換わった。あわせて、質問の相手が経営者のみから「経営者及び経営管理部門の担当者等」に拡大された。割引率の評価や不確実性の検討など、実施手続の骨子は変わっていない。
監査上の主要な検討事項(KAM)のうち内部統制の評価の記載で、固定資産の減損損失の認識の要否判定における将来キャッシュ・フローの基礎について、「事業計画」の作成プロセスから「予算等」の作成プロセスへと表現が変更された。評価対象の内部統制や手続の骨子に変更は見られない。
事業等のリスクの節に「(2) リスクアセスメントプロセス」が新たに追加された。年1回以上、127項目の事業プロセスについて第1線・第2線が発生頻度指標と損失規模指標で評価し、その結果を経営会議・取締役会で議論して選定した重要リスク項目の取り組み進捗を内部統制システム委員会が確認する体制が記載されている。
事業リスク項目に「リスクガバナンス」の記載が新たに追加された。事業部門・管理部門・経営監査室によるスリーラインディフェンスの内部統制体制や、内部統制システム委員会・コンプライアンス委員会・定時危機管理委員会の設置、クライシス発生時に代表取締役社長を本部長とする対策本部を設置する対応体制が説明されている。
事業等のリスクの前文で、「主要なリスクは、以下のようなものがあります」との表現が「主な事項について記載しています」に変更された。リスクの内容自体の追加・削除はなく、導入文の言い回しの修正にとどまる。
報告セグメントの記載(「靴事業」と「衣料品事業」の2区分、および衣料品事業を担っていた子会社マックハウスが2024年11月19日付の株式譲渡により連結から外れた旨)が、今期の報告書では記載されなくなった。セグメント区分の説明部分が丸ごと削除されている。
監査上の主要な検討事項(KAM)に「(3)一時差異等のスケジューリングの妥当性の検証」が新たに記載された。将来減算・加算一時差異の解消見込年度や、将来課税所得の見積額に基づく税務上の繰越欠損金の控除見込額のスケジューリングの妥当性を、関連資料の閲覧を通じて検討した旨が記されている。
商品に関するリスクの記載に、石油由来の材料を使用した商品が多いため、原油価格の高騰により生産価格および販売価格が変動する可能性があるとの文言が新たに追加された。天候、流行、価格競争、在庫評価損に関する既存の記載は変更されていない。
事業等のリスクの前文から、新型コロナウイルス感染症の再拡大に伴う消費者行動の変容により更なる悪影響が生じる可能性があるとの記述が削除された。リスク項目の枠組み((1)~(10))自体は変わっていない。
監査上の主要な検討事項(KAM)の繰延税金資産の回収可能性に関する監査手続のうち、将来減算一時差異の解消見込年度のスケジューリングや申告調整項目について、過年度及び当連結会計年度の課税所得計算との整合性を確認する手続の記載が削除された。その他の手続の記載は前年と同一である。
繰延税金資産の回収可能性に関するKAMで、計上額が5,486百万円から4,675百万円へ、相殺前金額が5,559百万円から4,843百万円へ更新された。会社単体の計上額(5,372百万円)の記載は「大部分は会社において計上」との表現に変わり、KAMの決定理由に「一時差異等のスケジューリング」が重要な見積り要素として加えられた。減損損失に関する記載に変更はない。
店舗固定資産の減損に関するKAMの計上額が更新され、店舗固定資産は8,759百万円から9,009百万円、減損損失は170百万円から407百万円となった。また、KAMと判断した理由の記述が、減損の兆候の網羅的な把握に関する経営者の判断への言及を除き、将来キャッシュ・フローの見積りの不確実性を中心とする内容に簡素化された。KAMの対象自体(店舗固定資産の減損)に変更はない。
生産地域リスクの記載で、感染症の例示が「新型コロナウイルスのような深刻な感染症」から「深刻なウイルス感染症」に変更され、具体的な名称が削除された。リスクの内容や影響の記載(商品調達・仕入れ価格への影響)に変更はない。
前年は会計方針の変更について「該当事項はありません」との記載でしたが、今年は「法人税、住民税及び事業税等に関する会計基準」(2022年改正)等を当期首から適用した旨が連結・個別の双方で記載されています。連結財務諸表では子会社株式等の売却損益を税務上繰り延べる場合の取扱い見直しについて遡及適用されていますが、前連結会計年度を含め連結財務諸表への影響はないとされています。
監査上の主要な検討事項(KAM)のうち、「割引前将来キャッシュ・フローの見積りの合理性の評価」の項目が前年から削除された。前年は売上高成長率、粗利率、費用の変動見込みに関する重要な仮定の適切性を検討する監査手続が記載されていた。
監査上の主要な検討事項(KAM)として、吸収分割の対価の合理性および本取引に係る会計処理の妥当性の検討が新たに記載された。監査人は取締役会資料や契約書の閲覧、評価の専門家の関与による企業価値評価結果の検証、分離事業の帳簿価額や支配喪失日時点の財務情報の検証、SPC①株式取得価額の根拠資料との整合確認などの手続を実施したとされている。
監査上の主要な検討事項における内部統制の評価の対象が、前年の「店舗固定資産の減損損失の認識要否判定」から、今年は「吸収分割の対価の決定を含む本取引に係る会計処理」に変更された。前年に記載されていた事業計画の重要な仮定(売上高成長率、粗利率、費用の変動見込み等)に関する記述は削除されている。
監査上の主要な検討事項が、株式会社イトーヨーカ堂の店舗固定資産の減損損失の認識要否判断から、株式会社ヨーク・ホールディングスの吸収分割及びBCJ-95株式取得に係る会計処理の妥当性へ変更された。新たな記載では、食品スーパー・専門店事業グループ29社の連結除外、SPC①に対する35.07%出資、投資有価証券88,191百万円とスーパーストア事業持分変動益26,946百万円の計上が説明されている。
前年に記載されていた「スーパーストア事業」のリスク項目(構造改革が計画どおりに進まない場合に業績・財務状況へ影響を及ぼす可能性)が、当期の事業等のリスクから削除されている。独立した企業体としての成長方針や食品製造小売業への挑戦といった取組の記述も併せて無くなっている。
前年度に記載されていた「グローバルコンビニエンスストア事業」のリスク項目(7-Eleven International LLCによる2030年までに世界30カ国・地域・10万店体制の目標、海外展開に伴う政治・社会不安、為替・貿易変動、環境やデータ保護等の法規制変更が成長力や業績に影響し得る旨)が、今年度の事業等のリスクでは削除されている。
前年に記載されていた「北米コンビニエンスストア事業」のリスク項目(オリジナル商品強化、デジタル化・デリバリー施策、効率性向上、M&A・店舗運営に伴う競争激化・環境規制・人財確保・訴訟・治安・気候変動等のリスク)が、今年の記載では全文削除されている。代替となる記載は確認できない。
人事・労務リスクの想定シナリオに、顧客等からの悪質なクレーム等(カスタマーハラスメント)が従業員の心身に悪影響を及ぼす場合が新たに追加された。あわせて、行動指針の名称が「セブン&アイグループ企業行動指針」から「セブン&アイ・ホールディングス企業行動指針」に変更された。対策の記載に変更はない。
グループ経営戦略リスクの想定シナリオが、2023年3月公表のグループ戦略(「食」中心のリテールグループ)から、2025年8月公表の「7-Elevenの変革」に基づくコンビニ事業集中・グローバル成長戦略へ書き換えられ、各国・地域の運営体制の違いによる一体的運営の遅れというリスク内容に変更された。対策もガバナンス体制の見直し中心から、KPI設定・グローバル人材育成・IT基盤共通化・投資判断プロセス構築など5項目に入れ替わった。買収防衛リスクでは対策のうち「基本方針」「買収への対応方針」の策定が削除された。
海外コンビニエンスストア事業の節で、7-Eleven, Inc.と7-Eleven International LLCの成長戦略(フレッシュフード、7NOW、欧州展開等)とそれに伴うリスク(物流混乱、食品安全、情報セキュリティ、競争、環境規制、人財確保、訴訟、治安、気候変動等)の記述が新たに追加された。経営視点リスクでは、ガソリン需要低下におけるEV普及の地域差・鈍化、技術革新における生成AI利用に伴う情報漏洩・著作権侵害・AI倫理上のリスクが加わり、「2 紛争等」「3 ガソリン需要」「4 食糧危機」の取り組み事例が追加された。一方、前年の金融関連事業のセキュリティ記述や、短期視点リスクのグループ横断リスク一覧表(影響度・発生可能性)は削除された。
国内コンビニエンスストア事業のリスク記載が全面的に書き換えられ、ブランド認知度向上の取組、約3,000億円規模の積極投資と2026年度中の「セブンカフェ ベーカリー」約18,000店・「セブンカフェ ティー」約10,000店への導入拡大、2025〜2030年度に国内店舗を純増約1,000店とする方針が新たに記載された。あわせて、出店計画未達、資材高騰による設備導入の遅延、同業他社サービスの優位性、省人化設備の不具合に伴う追加投資など、業績・財務に影響しうる具体的リスクが追加された。
2022年改正会計基準等を当期首から適用する旨が新たに記載された。その他の包括利益に対する課税の区分に関する改正は経過的取扱いに従い、連結財務諸表への影響はない。連結会社間の子会社株式売却損益に係る税効果の取扱いの見直しは遡及適用され、前期の繰延税金負債が5,766百万円減少、利益剰余金の期首残高が同額増加した。