継続企業の前提に関するKAMの内容が更新された。前年はONGAESHIプロジェクトの停滞やHR事業の新プロダクト断念、3期連続のマイナス営業キャッシュ・フローを疑義の要因としていたが、当年は構造改革に伴う海外投資先の投資有価証券評価損や貸倒引当金繰入額等の非資金性費用の計上による損失を要因としている。主要な仮定から補助金収入が外れ、転換社債型新株予約権付社債の繰上償還の可能性が加わり、これに対応する監査手続も追加された。
有価証券報告書の変化点
前年の有報と比べて文章が変わった箇所を、重要度の高い順に表示します。
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前年に記載されていた「ONGAESHIプロジェクトに係る出資」のリスク項目(BOUNDLESSEDU PTE.LTD.への出資・匿名組合出資に伴う評価損の可能性)が削除され、項目番号が繰り上がった。個人情報保護ではプライバシーマーク3回目更新やGDPR等を意識したポリシー改定、知的財産権では特許登録・査定の実績が追記された。新株予約権の潜在株式数は688,000株(15.3%)から877,981株(18.4%)に増加し、代表取締役の記載も社長就任後2年経過の表現に更新された。
HR関連市場の記載が人的資本IR・DDや予測市場「Signals」による集合知活用など上流サービス中心に拡充され、教育関連市場と少子化リスクが統合された。暗号資産・Web3市場の項目はグローバル新規事業(SBT関連、Signalsの海外展開計画)に置き換えられ、価格変動やハッキング等のセキュリティリスクの記述は削除された。競合では生成AI/LLM活用のスタートアップ等の参入による競争激化フェーズへの移行が明記され、感染症リスクの記述は簡素化された。
監査上の主要な検討事項(KAM)に関する記載のうち、「割引率の適切性の評価」(加重平均資本コストの計算手法及びインプットデータを評価の専門家を利用して評価した旨)の項目が今年度は記載されていない。当該監査手続の記述が削除されたことのみが確認できる。
前年の監査報告書にあった「将来キャッシュ・フローの見積りの合理性の評価」の項目が、今年は記載されていない。前年は事業計画と実績の比較、INTERPRINTの売上高成長率と外部予測との比較、変動費率の過去実績との比較といった監査手続が記載されていた。
監査上の主要な検討事項(KAM)として、新たにTFP事業の取得に係る会計処理の妥当性の検討が追加された。取得価額の合理性、PPA(取得原価の配分)の適切性、のれんの償却期間の妥当性について、構成単位の監査人や評価の専門家を関与させた監査手続が記載されている。
監査上の主要な検討事項(KAM)の内部統制評価の対象が、のれんを含む固定資産の減損損失の認識・測定に関する統制から、TFP事業の取得価額の決定及びPPAに関する統制へ変更された。焦点となる統制として、取締役会による取得価額の承認、PPAに関する外部専門家の業務結果の検討、のれんの償却期間の妥当性の検討が列挙されている。
監査上の主要な検討事項(KAM)の対象が、前年のINTERPRINT GmbHに係るのれんを含む固定資産の減損損失計上額の妥当性から、TFP事業(軟包装事業及び熱成形容器事業)の取得に係る会計処理へ変更された。取得価額は1,826百万USドル、のれんは77,041百万円で、取得原価の配分、事業価値の算定、のれんの償却期間の決定における見積りの不確実性が検討理由として記載されている。
新興リスク項目のうち、米国関連では、トランプ政権の自国主義的政策への言及から、ベネズエラ・イランでの事象に見られる直接的圧力や地政学的リスクの拡大、中国に対する厳しい対応と対中規制強化への言及へと内容が拡充された。AI関連でも、従来の倫理・法的課題中心の記載から、ハルシネーションによる判断ミス、基幹業務への過度な依存、人財育成の停滞、地域雇用など社会的役割への影響という3つの具体的リスクの記載に変更された。
前期の会計方針変更(法人税等会計基準の適用、グローバル・ミニマム課税、固定資産の圧縮記帳の直接減額方式への変更)の記載が削除され、今期は在外子会社等の収益・費用の換算方法を決算日レートから期中平均レートへ変更し遡及適用した旨(前期売上高1,551百万円増、営業利益980百万円増など)が記載されている。また、連結子会社であったTPCの上場による支配喪失に伴い持分法適用関連会社となり、IFRSに基づく連結財務諸表を基礎とする会計処理を適用した旨(影響軽微、遡及適用なし)が新たに記載されている。
前年度冒頭にあった「(19)海外に関するリスク」を「戦争や紛争、国家間対立をはじめとする地政学リスク」に変更した旨の説明が削除され、項目の大きな変更はないとの記載になった。各リスクの内容は、気候変動・生物多様性での自然再興への要請と社会的信用低下の言及、サプライチェーンへの温室効果ガス削減要請、環境汚染の化学物質管理の追加、行動指針推進リーダー制度の新制度移行、下請法から「取適法」への用語変更、公益通報者保護法改正を見据えた内部通報規程の改定、AI等の情報技術への言及などが更新されている。
リスク管理の用語が「リスク管理」から「リスクマネジメント」に統一され、一部の文言整理(旧名称の併記や図の説明文の削除、2025年度からの取り組みが「強化しております」と現在形に)が行われた。また新たに「④リスクアペタイトの考え方に基づく個別事業案件ごとのリスク許容判断」が追加され、重要な事業活動について承認を要する閾値を設定し、超える案件は経営会議または取締役会で審議する枠組みが記載された。
危機管理体制の記載が更新され、責任部門の設定単位が「リスク項目ごと」から「リスク種類ごと」に変更された。重大事案の対応では、関連部門の招集に加えて危機管理委員会を開催し、結果の報告先に取締役会のほかリスクマネジメント委員会・リスクマネジメント推進委員会が加わった。緊急対策本部の設置記載は、社外有識者を危機管理委員会に加える形に改められ、「危機管理ミーティング」は第一線・第二線の担当者による会議体という記載になった。
リスクマネジメント体制の記載で、委員会名称が「リスク管理委員会」「リスク管理推進委員会」から「リスクマネジメント委員会」「リスクマネジメント推進委員会」へ2026年4月付で改称され、開催頻度が「年2回」から「年2回以上」に変更された。また、事業本部・事業部制の記述がビジネスユニット制(BU制)に置き換えられ、経営監査室の記述に独立した立場からの評価・保証・助言と毎年の実施が加わった。2024年10月の会議体格上げの経緯の記載は削除され、設置時期が2025年度と記載されている。
KAM(不動産販売取引の収益認識)の対象は前年と同じだが、売上高が79,902百万円から90,108百万円へ、分譲事業が53,388百万円から55,196百万円へ、流通事業が19,669百万円から27,464百万円へ更新され、占める割合も91%から92%程度になった。監査手続の対象範囲は「対象取引全て」から「1棟販売取引の全て及び一定金額以上の開発用土地の販売取引」に変更された。
前年に記載されていた「(10)個人情報について」のリスク項目が削除された。同項目では、個人情報が漏洩した場合に社会的信用の失墜や損害賠償の発生等により業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性が記載されていた。
前年の事業等のリスクに記載されていた「(9)繰延税金資産について」の項目が削除された。同項目では、将来の収益見通しの変更や税制変更により繰延税金資産の計上額の見直しが必要となり、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性が記載されていた。
事業等のリスクから「(8)業績の変動要因について」の項目が削除された。前年は、竣工・引渡しのタイミングにより四半期ごとの売上高が変動すること、及び売買契約のキャンセルや建築工期・建築確認手続の遅延により引渡し時期が決算期末を越えた場合に業績・財政状態へ影響し得ることを記載していた。
前年に記載されていた「契約不適合責任について」のリスク項目が今年は削除された。前年は、竣工後の設計・施工上の不具合に起因する売主としての契約不適合責任や、錯誤無効・損害賠償請求訴訟により業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性が記載されていた。
前年に記載されていた「(6)建築工事について」のリスク項目(建築資材価格や人件費の高騰、工事中の事故、施工会社の倒産・契約不履行、設計・施工上の不具合、近隣住民の反対による工事中止・遅延やコスト上昇の可能性)が、今年は記載から削除されている。当該リスクの内容自体は前年の記載のみで、今年の記載には代替の記述は確認できない。
前年に記載されていた「事業用地の仕入について」のリスク項目が、今年の記載では削除された。前年は、不動産市況による用地価格の変動で取得が計画どおり進まないことや、土壌汚染・地中埋設物等の瑕疵発見による追加費用の発生が業績・財政状態に影響する可能性を記載していた。
前年に記載されていた「自然災害や突発的事象発生による影響について」のリスク項目が、今年の記載では削除されている。前年は、事業継続計画(BCP)を策定しているものの被災状況により事業活動に多大な影響が及ぶ可能性や、建設中マンションの大規模修復工事による工期延長・補償コスト増加が、保険で補填しきれない可能性に言及していた。
前年に記載されていた「法制度の変更等について」のリスク項目が、今年の事業等のリスクから削除された。前年は建築基準法・都市計画法・不動産取引関連法令の変更や税制変更により、新たな義務・費用負担や業務停止処分等が生じ、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性が記載されていた。
前年に記載されていた「金融環境の変化」に関するリスク項目(資金調達の困難化、金利上昇、住宅ローン融資姿勢の消極化による業績・財政状態への影響)が、今年は記載されていない。当該リスク項目が事業等のリスクから削除されている。
「経済環境の変化について」のリスク項目が削除された。前年は、分譲・流通事業の商品が高額で国内外経済の影響を受けやすく、景気後退や不動産関連税制の変更による購入意欲の低下、棚卸資産・固定資産の資産価値低下に伴う評価損計上などが業績・財政状態に影響し得ると記載されていたが、今年は当該記載がない。
前年に記載されていた「法人税、住民税及び事業税等に関する会計基準」(2022年改正)等の適用に伴う会計方針の変更の注記が、今年は記載されていない。前年の記載では、連結財務諸表への影響はないとされていた。
KAM「一定の期間にわたり収益を認識する工事契約に関する収益認識」の数値が更新され(完成工事高83,083百万円のうち58,052百万円)、前年にあった「売上高に占める割合59.7%」の記載は無くなった。決定理由から収益稼得部門の業績目標達成プレッシャーによる過大計上リスクの段落が削除され、監査手続も、発注者への直接確認や外部証憑との突合から、注文書等との照合や趨勢分析を中心とする内容に変更された。
国際情勢変化リスクが「為替変動・資材高騰」から地政学リスク(在外社員の避難、資機材・燃料の調達遅延)へ具体化され、影響度が「大」から「特大」に引き上げられた。新たに「取引先の信用リスク」と「大規模噴火・地震等の大災害」が追加され、「自然災害の激甚化」は置き換えられた。サイバー攻撃は影響度が「特大」に上がりランサムウェアが明記され、経営環境変化は頻度「低」・影響度「中」に引き下げられた。
連結子会社の固定資産の減損に関するKAMで、計上額が有形固定資産27,739百万円・無形固定資産2,072百万円から26,406百万円・2,028百万円に更新され、連結総資産比27.6%の記載が削除された。監査手続の記載は、正味売却価額に関する不動産評価の比較検討が削除され、使用価値の事業計画の合理性評価に絞った内容に整理された。
監査上の主要な検討事項(KAM)に「のれんの評価の合理性の検討」が新たに記載された。ドリンク剤事業の事業計画と実績の比較により減損の兆候がないとする会社判断の妥当性を確認したこと、将来の売上高成長率等の仮定の合理性を検討したことなどが記されている。
監査上の主要な検討事項(KAM)の項目として「内部統制の評価」が新たに記載された。内容は、のれんの評価に関する内部統制の整備状況の有効性を評価したというもので、前年には該当する記載がなかった。
監査上の主要な検討事項(KAM)に「ドリンク剤事業ののれんの評価に関する判断の妥当性」が新たに記載された。2024年6月に譲り受けたドリンク剤事業ののれん1,025百万円(総資産の1.1%)について、売上高が価格改定等の影響で当初事業計画を達成していない一方、営業利益は著しい下方乖離がないとして減損の兆候なしと判断している点が検討対象とされている。
監査上の主要な検討事項(KAM)の節に、「(1) 内部統制の評価」が新たに記載された。商品及び製品の評価に関連する内部統制(IT統制を含む)の整備・運用状況を評価し、販売見込みや処分見込みを考慮した評価に係る社内の検証・承認手続も対象に含めたとの内容である。
KAMの題名が「商品及び製品の評価」から「商品及び製品の評価の妥当性」に変わり、商品及び製品残高は10,024百万円(総資産比11.2%)から10,016百万円(同10.7%)に更新された。簿価切下額は前期199百万円の計上に対し、当期は△119百万円(戻入額)と記載され、簿価切下額を売上原価に計上する旨が追記された。また、監査手続の具体的な箇条書き記載が前年にあった詳細な内容から大幅に省略されている。
前年に記載されていた、2022年改正の法人税等に関する会計基準等の適用に伴う会計方針の変更の記載(連結・個別とも)が、今年は削除されている。前年の記載では、当該変更による連結財務諸表および財務諸表への影響はないとされていた。
前年の有価証券報告書に記載されていた監査上の主要な検討事項(KAM)「従業員による不正行為について」が、今年は記載されていない。前年は従業員による銅製品の窃取等の不正取引、損害賠償請求訴訟の提起、内部統制の強化策に関する監査対応が記載されていた。
監査上の主要な検討事項(KAM)に、在庫確定の各プロセスにおける正確性の検証という項目が新たに記載された。新システムの計算ロジックの検証、期末間際の棚卸立会とロール・フォワード手続による実在性の確認、評価単価および原価差異の配賦の妥当性検証といった監査手続が示されている。
監査上の主要な検討事項(KAM)の節に、「(1) 内部統制の評価」として棚卸資産評価に関連するプロセスの内部統制の評価手続が新たに記載された。数量確定プロセスと評価単価確定プロセスに分け、新システムを利用する部分に焦点を当てて評価を実施したとされている。
今年度の監査報告書に、監査上の主要な検討事項(KAM)として「棚卸資産の評価」が新たに記載された。愛知電機の原価計算・在庫管理システムの更新に伴い、新システムによる在庫確定プロセス(評価単価の算定、数量の確定、標準原価評価額の算定)が複雑で金額的重要性が高いとして、KAMに該当すると判断されている。連結棚卸資産は22,596百万円(総資産の15.4%)で、うち同社分は11,494百万円と記載されている。
コンプライアンスのリスク記載において、2024年10月に発覚した当社社員の不正行為に関する記述と再発防止への取組表明が削除された。また、内部通報窓口「ヘルプライン」が「社内および社外設置」と表現が改められ、社外窓口が明記された。
前期に記載されていた「報告セグメントの変更等に関する事項」の項目が当期には削除された。前期は「プリント基板」を従来の「回転機」から独立した報告セグメントとして記載する変更(売上高25,180百万円等)を説明していたが、当期にはこの記載がない。
固定資産の減損損失に関する監査上の主要な検討事項(KAM)が継続して記載され、年度更新により有形固定資産1,640,640千円、無形固定資産47,864千円(総資産比31.9%)、減損損失24,260千円(前年は14,415千円)となった。また、割引前将来キャッシュ・フローの見積りにおいて、外部専門家から取得した不動産鑑定評価書を利用している旨が新たに記載された。
小売部門のセグメント売上高が売上高全体に占める割合が、前年の60.8%から59.3%へ更新されました。卸売部門・売水部門の育成に注力する方針や、依存度が引き続き高く業績全体に大きな影響を与え得るという趣旨の記載に変更はありません。
海外展開に伴うリスクの項に、海外拠点があることで特定地域で事業が行えない場合に他地域の拠点で代替できるという利点が追記された。あわせて、一部製品を除き特定製品を特定拠点でしか生産できない体制であることを現状のリスクとして認識している旨が新たに記載された。「さまざまな」から「様々な」への表記変更もある。
棚卸資産評価に関する内部統制の評価手続の記載が一部変更された。前年は「関連するITシステムの全般統制及び業務処理統制」に主に焦点を当てたとしていたが、今年は「分類の正確性及び網羅性を担保するための統制」に特に焦点を当てたという表現に改められた。評価対象や結論自体に実質的な変更は記載されていない。
税制リスクの項目に、当社グループが特に移転価格税制によるリスクが高いと認識しており、外部の税務専門家の助言を受けてリスク回避に努めている旨の記述が追加された。従来の追徴課税の可能性に関する記載自体に変更はない。
知的財産に関するリスク記載に、他社による無断使用を防止できない場合に当社グループが訴訟を含む法的手段に訴えることがある、との一文が追加された。その他の記載内容に変更はない。
人財確保に関するリスク項目に、同業他社と比べて高水準の給与・賞与の支給を目指していること、従業員が働き続けられるよう制度を改定してきたこと、実務に即した実践的な研修で能力向上を図っていることという対応策の記述が追加された。リスク内容自体の記載に変更はない。
「製品の不具合」リスクの記載に、品質を重要視している旨と具体的な対策が追記された。技術者が過去の品質問題とその原因を把握できるデータベースを作成していること、生産現場でカメラを使用した外観検査等を行っていることが新たに記載された。リスクの内容自体(損害賠償金や売上減少の可能性)に変更はない。
新製品開発リスクの記載に、新製品の一部は顧客の要請を受けて開発していること、およびコネクタの総合メーカーとして幅広いラインナップを揃えることで顧客に受け入れられる可能性を高めていることを示す2文が追加された。リスクの内容自体(開発遅延による販売機会の喪失、新製品が受け入れられない可能性)に変更はない。