財務関連のリスク区分(5)が新設され、固定費比率の高い損益構造、リース債務の増加、配当施策、繰越欠損金、繰延税金資産、資金調達の6項目が記載された。配当については、為替差益が非資金性要因を多く含むこと等を踏まえ2026年3月期の期末配当を7円とし、従来の配当方針を変更して2027年3月期から新方針を適用する方向で検討中と記載されている。財務制限条項への抵触による期限の利益喪失リスクにも言及している。
有価証券報告書の変化点
前年の有報と比べて文章が変わった箇所を、重要度の高い順に表示します。
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システム関連リスクを「①システム障害等」と「②顧客情報漏洩」に分けて再構成した。システム障害では大規模欠航・社会的信用の失墜・損害賠償など影響の具体化が加わり、新たに個人情報(クレジットカード情報等)の漏洩リスクとして、ランサムウェア攻撃、内部不正、委託先の不備、法的制裁(制裁金等)の可能性が独立項目として追記された。
航空事業等のリスクとして、発着枠、競争環境、航空機材の導入、整備費の変動、第三者サービスへの依存、資産減損の6項目が新たに記載された。羽田空港等の発着枠の減少、ボーイング社への機材調達依存と737型機単一機種運営、運航乗務員の派遣依存や業務委託先の障害などが具体的に挙げられている。
事業等のリスクに「(2)経済・社会環境の変化」の見出しが新たに記載され、景気動向、原油価格・燃料費、為替変動、戦争・テロ、感染症の5項目が具体的に説明されている。レジャー需要への依存、燃油サーチャージ非導入、燃料ヘッジのオーバーヘッジ損失、外貨建費用の円安影響などの個別事情が明記されている。
事業等のリスクに「(1)安全」の区分が新設され、航空機事故・重大インシデント、国家資格を有する専門人材(操縦士・運航管理者・整備士等)の確保、災害等の3項目が記載された。事故による人的・物的損害や運航停止、保険の填補範囲超過、人材不足による路線維持・事業拡大への制約、羽田空港等の主要空港での自然災害による欠航などが具体的に述べられている。
監査上の主要な検討事項(固定資産の減損損失計上の要否判定)の対象は維持され、有形固定資産が4,584,366百万円から4,551,721百万円へ、借地権が63,555百万円から61,033百万円へ、連結総資産に占める割合が47%程度から46%程度へと数値が更新された。また、前年にあった連結損益計算書の減損損失10,894百万円への言及が削除された。
前期に記載されていた「法人税、住民税及び事業税等に関する会計基準」(2022年改正会計基準)等の適用に伴う会計方針の変更の記載が、当期には掲載されていない。前期の記載では連結・単体とも財務諸表への影響はないとされていた。
前年にあった「のれんの評価」の監査上の主要な検討事項(KAM)の記載が今年は削除されている。前年はのれん135,746百万円(高周波モジュール56,637百万円、表面波フィルタ42,486百万円)の減損テストにおける事業計画・割引率等の不確実性を主要な検討事項として挙げていたが、今年は固定資産の減損の兆候に関する手続の記載のみが残っている。
監査上の主要な検討事項(KAM)の記載に、新たに「有形固定資産の評価」が追加された。2026年3月31日時点の有形固定資産計上額は1,300,883百万円(総資産の41%)で、当期の減損損失は6,616百万円であり、事業計画の売上収益に経営者の主観的判断と不確実性が伴うことが決定理由とされている。既存の使用価値に関する手続の記載は、「検討した」が「検討したか」と語尾のみ変更された。
監査上の主要な検討事項(KAM)の監査対応手続として、従来の(2)に加え、新たに(3)が追加された。表面波フィルタ製品に係る事業ののれん減損の兆候識別について、会社判断の適時性・妥当性の検討と、他事業への横断的分析による網羅性・一貫性の評価が記載された。
監査上の主要な検討事項(KAM)の対象が、前年の「有形固定資産の評価」(計上額1,183,727百万円、MEMS慣性力センサ事業の減損10,352百万円)から、「のれんの評価」(2026年3月31日時点の計上額99,489百万円)に変更された。今期は高周波モジュール製品等に係るのれん60,256百万円が主な計上額で、デバイス・モジュールセグメントの表面波フィルタ製品事業で減損損失43,798百万円を計上しており、事業計画と割引率が主要な不確実性要因として記載されている。
調達リスクの発生頻度・影響度の評価がともに「中」から「大」へ引き上げられた。リスク要因として、治安の悪化・感染症の蔓延が削除され、地政学リスクに起因する原材料・部材の調達難が追加され、残余リスクにも地政学リスクの顕在化や輸出規制が加わった。対策では、仕入先の生産場所のデータベース化や災害時の初動対応フローに代わり、重要原材料・部材の供給網の可視化と外部環境のモニタリングが記載された。
新技術・製品の開発に関するリスクの発生頻度が「小」から「中」に引き上げられた。リスク内容に競合他社との価格競争や地政学リスクの顕在化への言及が追加され、売上収益に占める研究開発費の割合も7~8%から8~9%に更新された。
人材に関するリスクのリスク内容に、人材の多様化により理念共感の希薄化が懸念され、適切に対応できなければ組織力・総合力が発揮できず競争力低下につながる可能性がある旨が追加された。対策面でも、経営理念を多様な人材・組織へ浸透させ組織の一体感の醸成に努める旨が追加され、従来の「人材の定着と動機づけを行っております」の記述は置き換えられた。発生頻度・影響度(中)や残余リスクの記載は変更されていない。
地政学リスクに関する記述のうち、前年度のトランプ政権の関税措置(米国向け輸出への直接的影響、最終需要の下押し等)に関する言及が削除され、中東情勢の緊迫化に伴うホルムズ海峡の通航制約等によるエネルギー価格・輸送コスト上昇等の影響に関する言及に差し替えられた。発生頻度・影響度の評価、中華圏の売上収益・生産高比率、対策、残余リスクの記載は前年度と同一である。
監査上の主要な検討事項(KAM)の対象が、前年の「シリコンウェーハ分野の資産グループに属する固定資産の減損」(減損損失943百万円計上)から、「株式会社カーリットの有形固定資産の減損の兆候」(有形固定資産22,635百万円、総資産の39%)へ変更された。前年は将来キャッシュ・フロー見積りの仮定が焦点だったが、今年は各資産グループの減損兆候の有無の判定における経営者判断が焦点となっている。
事業等のリスクの前文に、中東情勢に起因して「原材料調達・価格変動のリスク」と「為替相場の変動リスク」の不確実性が特に高い状況にあり、業績予想等では下振れリスクを前提に含めている旨の記述が追加された。その他の文言に変更はない。
前年の監査報告書に記載されていた監査上の主要な検討事項(KAM)「売上高の実在性及び期間帰属の適切性の検討」が、今年は記載されなくなった。前年は取引先別の月次レビュー、発注請書やインフルエンサーの報告記録との照合、サンプリングによる検証といった監査手続が記載されていた。
監査上の主要な検討事項(KAM)から「内部統制の評価」の項目が削除された。前年は売上高の実在性・期間帰属に関する内部統制、特にインフルエンサー投稿の事実と時期の根拠資料のチェック・承認統制の有効性評価が記載されていたが、今年は該当記載がない。
前年の監査報告書にあった監査上の主要な検討事項(KAM)「インフルエンサーPRサービスに係る収益認識」(売上高749,655千円、連結売上高の25.8%、手作業による履行義務確認に伴う実在性・期間帰属のリスク)の記載が、当年は存在しない。KAMの対象項目が削除された形となっている。
2026年3月期の監査報告書に、株式会社iHackの株式取得(取得価額766,692千円)に係る取得価額の合理性及び企業結合の会計処理が、監査上の主要な検討事項(KAM)として新たに記載された。同取引により計上されたのれん645,510千円は総資産の18.6%を占め、事業計画の仮定に基づく見積りの不確実性が決定理由とされている。
監査上の主要な検討事項(減損の兆候判定)における監査手続の質問先の名称が「経理財務オペレーションサービス・業務開発部及び事業部」から「経理部及び事業部」に変更された。手続の内容自体に変更はない。
品質リスクの記載で、製品の高性能化・高機能化に伴う品質要求の高度化への対応が重要となる旨が追記され、モビリティ・ITインフラは「売上増加」から「基盤領域」との表現に変更された。対策では品質意識向上イベント等の記述が、市場・顧客動向の先読みによる品質基準・管理プロセスと解析・評価技術の高度化に置き換わり、残余リスクには関連法規制の変化への追従の問題が加えられた。発生頻度「中」・影響度「大」の評価は変わらない。
気候変動リスクの項で、マテリアリティの記載が「脱炭素社会の実現、及び循環型社会の実現」から「脱炭素社会の実現」のみに変更され、循環型社会への言及が削除された。また、CO2排出量をGHG排出量に改め、気候変動対策委員会の委員長を担当取締役から代表取締役副社長に変更し、社内CP制度の表現や「強大化」を「巨大化」とする等の文言も修正された。リスク内容や発生頻度・影響度の評価は変わっていない。
前年に記載されていた「報告セグメントの変更等に関する事項」(2024年10月の連結子会社2社の吸収合併による持株会社から事業会社への移行、および当社の財務情報を「その他」から「化学品」に含める変更)の段落が削除された。そのほか「及び」を「および」にする表記変更と「信号焔管」を「信号炎管」とする表記修正が行われた。報告セグメントは4つのままで、主要製品・サービスの内容に変更はない。
事故・災害のリスクの項目で、「それに伴い事業活動が中断する可能性があります」が「それに伴う事業活動の中断を引き起こす可能性があります」に言い換えられた。リスクの内容、発生可能性の評価、対策の記載に実質的な変更はない。
前年に記載されていた「法人税、住民税及び事業税等に関する会計基準」等(2022年改正会計基準)の適用に伴う会計方針の変更の記載が、今年は連結・個別ともに削除された。前年の記載では連結財務諸表および財務諸表への影響はないとされていた。
前年は、報告セグメントを「デジタルPR事業」「シェアオフィス事業」の2区分から単一セグメントへ変更した経緯(国内シェアオフィス事業の譲渡・拠点閉鎖による撤退)を詳述していた。今年は変更経緯の説明がなくなり、「デジタルPR事業」の単一セグメントのため記載を省略する旨のみの簡潔な記載となった。
新規事業開発のリスク項目で、事業開発前の検討内容に関する記述が「蓋然性を十分検討」から「事業化の可能性、収益性及び投資回収可能性を十分に検討」へ具体化された。リスクの内容や影響に関する記載、業務提携に関する記載には変更がない。
成長戦略の実効性に関するリスク項目で、冒頭の「新たな経営方針の下」という表現が「2025年3月期策定の中期ターゲット及び経営方針のもと」に置き換えられ、策定時期と中期ターゲットへの言及が明記された。顧客継続率の向上による顧客数・顧客単価の増加を見込む点や、効果発現の遅延が業績等に影響し得るというリスクの内容自体は変更されていない。
前年に記載されていた「法人税、住民税及び事業税等に関する会計基準」(企業会計基準第27号、2022年改正)等の適用に関する会計方針変更の記載が、今年は削除された。前年の記載では、連結・個別財務諸表への影響はないとされていた。
使用価値の見積りに関する監査手続の記載が見直された。売上予測の検討方法が業態別・立地条件別の過去実績比較から客単価・客数への分解に変わり、原価率予測(主要食材の市場価格推移との比較)と人件費率予測(過去実績との比較)の検討が追加された。一方、継続してマイナスの店舗の計画と実績の比較分析や耐用年数と固定資産台帳との整合性確認の記載は削除された。
国内店舗に関する固定資産の減損損失の認識及び測定に関するKAMの記載で、有形固定資産残高が49,346,045千円から59,494,658千円へ、国内店舗設備が27,732,568千円から37,895,821千円へ、減損損失が807,502千円から1,183,560千円へと更新された。また、将来キャッシュ・フローの見積りの前提に費用予測(原価率や人件費率を一定程度抑制するという仮定)が追加され、外食産業の事業環境や海外展開に関する記述が削除された。
事業等のリスクに「(13)風評について」が新設された。SNS等での不適切な情報発信による風評被害や食の安全への不安、他の外食企業の食品事故・不祥事に起因する業界全体の評価低下が、事業・業績・ブランドイメージ・社会的信用に悪影響を及ぼす可能性が記載されている。
事業等のリスクに「(12)コンプライアンスについて」の項目が新規に追加された。役職員個人による法令・社内規程違反や社会通念上不適切な行為などコンプライアンス上の問題が発生した場合、経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があると記載されている。
事業等のリスクに「(11)個人情報について」の項目が新規に追加された。お客様・従業員・株主の個人情報が外部へ流出した場合、イメージや社会的信用の失墜、対応費用の発生により経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があると記載されている。
事業等のリスクに「(10)情報システムについて」が新規に追加された。サプライチェーン管理、店舗発注、注文・決済などでの情報システム活用を前提に、プログラム不具合、ハードウェア・通信障害、コンピューターウイルスやサイバー攻撃による障害が、店舗運営や商品・サービスの適時提供を阻害し業績に影響する可能性が記載されている。
事業等のリスクに「(9)M&Aについて」が新設され、M&Aでシナジーが得られない場合ののれん減損損失計上や償却負担による財政状態・経営成績への悪影響の可能性が記載された。2026年1月の株式会社松富士の子会社化に伴い、相応ののれん及び無形資産が発生する見込みである点も具体的に言及されている。
事業等のリスクに「(8)減損会計について」の項目が新規に追加された。多数の店舗の固定資産や企業買収で取得したのれんについて、需要動向・競合状況の変化や原材料価格・人件費の上昇により投資回収が見込めなくなった場合、減損損失の計上が必要となり業績及び財務状態に悪影響を及ぼす可能性があると記載されている。
事業等のリスクに「牛めし定食事業への依存について」が新たに追加された。2026年3月期の国内直営店売上高に占める牛めし定食事業の割合が78.2%であると明記され、消費者志向の変化、競合激化、牛肉を中心とした原材料価格高騰や調達悪化が業績及び財務状態に影響し得ると記載されている。とんかつ事業や鮨事業等の拡大による事業ポートフォリオの多様化を図る旨も併記されている。
新たに「(6)出店政策及び店舗展開について」のリスク項目が追加された。専門部署が新規出店候補地や業態の選定・評価を行っているが、適切な出店候補物件を計画通りに確保できない場合には業績予想に影響を与える可能性がある旨が記載されている。
人材確保及び人件費負担のリスクに、人手不足の継続下で賃金上昇や求人競争の激化により必要な人員を確保できない場合や想定を上回る退職が生じた場合のリスクが追加された。その結果、店舗の営業時間短縮・営業休止や出店計画の見直しを余儀なくされる可能性が新たに明記された。労働法令改正による人件費負担増と生産性向上の取組の記載は引き続き維持されている。
報告セグメントの構成会社が一部入れ替わっている。「モノづくり事業」から佐藤工業・イワヰ・トライシスが外れ、ユニクレア株式会社とサーテックカリヤ・グループが加わった。「プロフェッショナル・ソリューション事業」ではセレンディップ・ロボクロスマーケティング株式会社がセレンディップ・ロボクロス株式会社に変更されている。
監査上の主要な検討事項(KAM)の対象が、前年のエクセル・グループ(国内5社・海外4社の計9社)の株式取得に伴う負ののれん発生益から、株式会社サーテックカリヤの株式取得に伴う負ののれん発生益に変更された。計上額は2,355,911千円から3,068,987千円となり、検討理由と監査手続の内容は同様の構成である。
モノづくり事業のリスクに、労働安全衛生、設備依存・操業停止、顧客依存・工程組込み型取引、海外規制・顧客要求への対応、環境規制の5項目(⑩〜⑭)が新設された。あわせて主力子会社の名称が三井屋工業・エクセル・グループからセレンディップ・オートモーティブ、サーテックカリヤ及びサーテックカリヤグループへ置き換わり、主要市場に関わる取引先にデンソーグループが追加された。
リスク項目として、生成AI・クラウド利用拡大に伴う情報漏えい等のリスク(⑬への追記)、OT領域を含むサイバー攻撃・ランサムウェアによる操業停止リスク(⑭)、取引適正化(価格転嫁・支払条件・物流委託)規制強化への備え(⑰)が新設・追加された。海外売上高比率の見込みは約16%から25.6%に変更され、法的規制の項では環境規制を持つサーテックカリヤ及びそのグループへの言及が加わり、子会社名がセレンディップ・オートモーティブ、アクストリアに更新された。
前年の有価証券報告書では監査上の主要な検討事項(KAM)として「滞留在庫の評価」(棚卸資産26,112百万円、連結総資産の24.4%)が記載されていたが、今年の報告書では当該KAMの記載が無くなっている。滞留在庫評価に関する監査上の対応手続の記載も併せて削除されている。
監査上の主要な検討事項(KAM)の手続項目として、「④ 海外販売子会社における売上高の計上時期の適切性の検討」が新たに追加された。連結売上高に占める割合の高い海外販売子会社について、構成単位の監査人と協議のうえ検証対象取引を特定し、履行義務の充足を示す証憑との突合や売上高の趨勢分析、構成単位の監査人の手続結果の評価を行う旨が記載されている。
監査上の主要な検討事項(KAM)として、フォスター電機における売上高の計上時期の適切性が新たに記載された。期末日前後の売上取引について予定納期と計上時期の分析や証憑との突合、金型製作等に係る履行義務の充足時点の検討といった監査手続が示されている。
監査上の主要な検討事項(KAM)の節に「内部統制の評価」という見出しの項目が新規に追加された。売上高の計上に関連する内部統制の整備・運用状況の有効性評価に加え、IT専門家と連携したIT全般統制及び情報処理統制の評価を実施した旨が記載されている。