事業等のリスクに「(19)責任ある貴金属管理について」が新設された。国際的ガイダンスに準拠した管理体制と第三者監査・認証の取得維持を前提に、サプライチェーン上の人権侵害・資金洗浄・経済制裁違反等の問題発生や認証基準の強化への対応不備が、認証維持・取引継続に支障を来し、経営成績および財政状態に影響し得ると記載されている。
有価証券報告書の変化点
前年の有報と比べて文章が変わった箇所を、重要度の高い順に表示します。
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情報セキュリティのリスク記載が改訂され、従来のウイルス感染・ハッキング等の記述に加え、サイバー攻撃の高度化・巧妙化や生産・業務の中断が不測の事態として明記された。また、生成AI等の新たなデジタル技術の活用に起因する、機密情報の意図しない外部送信やAIの誤出力による判断ミス、社会的信用の低下といったリスクが新たに追加された。
海外事業展開リスクの記載に、国際的な緊張の高まりに伴う各国政策・規制(制裁措置や輸出入管理の強化等)の変化とグローバルな物流網の混乱が、現地事業の継続に影響を及ぼす可能性があるとの文が追加された。そのほか「議論を行うなど」が「議論を行う等」となる軽微な表現修正がある。
事業環境リスクの記載に、地政学的緊張の高まりや各国の経済安全保障政策に伴う戦略物資の輸出入規制強化等により、サプライチェーンやコンプライアンス上の取り扱いに混乱が生じ事業環境が変化するリスクが新たに追加された。既存の法規制変更、顧客企業の海外移転、業界再編、新事業挑戦に関する記述は表現の整理にとどまる。
経済変動リスクの項で、「貴金属リサイクル分野」が「貴金属リサイクル事業」に、「自動車など」が「自動車等」に表現修正された。あわせて、貴金属事業における原材料調達・前渡し取引・成長投資・M&A等に伴う資金需要の増加と、貴金属需給の逼迫、金利上昇、金融市場の混乱、金融機関の与信姿勢の変化等により資金を有利な条件で調達できない可能性や調達コストが増加する可能性についての記述が追加された。
法規制リスクの記載に、「各国政府による環境・気候変動対策等に係る新たな規制導入・基準強化」が法規制の変化の例として追加された。冒頭の「国および地域におきましては」が「においては」に改められた以外、その他の記載に変更はない。
前年に記載されていた、連結子会社ジャパンウェイスト株式会社とレナタスの株式交換に伴う非継続事業の分類および前連結会計年度のセグメント情報が継続事業ベースであるとの説明段落が削除されました。報告セグメント(貴金属事業・環境保全事業)の構成や事業内容の記載に変更はありません。
気候変動に関するCO2排出量の削減目標が「2030年までに2015年比63%削減」から「2030年までに2023年比42%削減」へ基準年・削減率ともに変更された。あわせて第三者検証の記述や、TCFD提言に沿った「開示および対応」といった表現が一部修正されているが、移行リスク・物理リスクの内容は変わっていない。
知的財産権リスクの記載について、特定地域での保護が「不可能」から「困難なことがある」へ表現が和らいだほか、「他社」「社員」が「第三者」「従業員」に、「職務発明の扱い等」が「職務発明の帰属や対価をめぐり」に変更された。リスクの趣旨や結論は同じで、主に文言の整理・具体化にとどまる。
研究開発リスクの記述で、研究開発の対象が「貴金属のリサイクル」および「産業廃棄物の無害化・再資源化」から「貴金属のリサイクル」のみに変更され、「独自の研究開発」が「独自のプロセス技術開発」に言い換えられた。事業化の「可否」が「成否」に、「様々な」が「さまざまな」に改められたが、リスクの内容や影響に関する記載に実質的な変更はない。
人材に関するリスク項目で、ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン推進や健康経営を基盤とする方針の文章が言い換えられ、「環境整備に取り組んでいます」という表現になった。「障碍者」が「障がい者」に表記変更された。具体的な施策の内容やリスクの評価(優秀な人材の確保が遅れた場合の影響)に変更はない。
監査上の主要な検討事項(KAM)のうち「工事原価総額の見積り変更の適時性及び適切性の評価」の監査手続から、前年にあった「当連結会計年度に完成した工事について原価発生実績と変更後の工事原価総額を比較し、見積り変更の精度を評価した」という手続の記載が削除された。その他の4つの手続の記載に変更はない。
前年度に記載されていた「法人税、住民税及び事業税等に関する会計基準」等(2022年改正会計基準・適用指針)の適用に関する会計方針変更の注記が、今年度では削除された。前年度の記載では連結・単体財務諸表への影響はないとされていた。
事業リスクの項目として「(10)M&A(企業買収・資本提携等)」が新たに追加された。M&Aを事業領域の拡大や成長速度向上の選択肢と位置付け、事前検討の上で実施する方針を示しつつ、買収後の事業環境の変化や想定した効果が十分に発現しない場合には、業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があると記載している。
事業等のリスクに「(9)人材の採用・確保」が新規項目として追加された。労働市場の構造的変化、人材獲得競争の激化、人件費の上昇により必要な人材を確保・維持できない場合や、人材育成が事業の成長に追いつかない場合に、業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があると記載されている。採用活動、教育研修体系、職場環境、処遇制度などの取組も併せて記述されている。
KAMの対象は引き続き製品販売取引に係る収益認識で、記載された売上高が1,059,145百万円から1,169,289百万円に更新された。監査手続の記載では、抽出取引の突合内容が「注文書・送り状+入金証憑、未入金分は取引先への残高確認」から「注文書・出荷証憑・入金証憑との突合」へ変わり、子会社監査人への対応も「結果の入手・評価」から「監査計画の適切性の監督と調書等の査閲」へ変更された。
監査上の主要な検討事項(KAM)から、「(3) 使用価値の算定の合理性の評価」の項目が削除された。前年は経営者が承認した5ヵ年事業計画に基づく将来キャッシュ・フローの見積りの合理性を評価した旨が記載されていたが、当期は該当記載がない。
監査上の主要な検討事項(KAM)として、新たに「(4) 減損損失の配分の評価」が追加された。減損損失の配分方法がIAS第36号「資産の減損」の要求事項に照らして検討された旨が記載されている。
KAMにおける処分コスト控除後の公正価値の評価手続の記載が変更された。前年はHEV関連事業の固定資産の種類・特性や活発な市場の有無を踏まえた見積りの合理性の検討であったのに対し、今年は会社が利用した専門家の適性・能力・客観性の評価と、不動産鑑定評価の手法の適切性、前提条件・判断過程、外部データとの比較による検討に置き換わっている。
監査上の主要な検討事項(KAM)における内部統制の評価の記載が変更された。前年は減損の兆候判定、減損損失の認識の要否の判定及び測定に関する内部統制を対象としていたが、今年は当該資金生成単位の回収可能価額の算定及び減損損失の測定に関する内部統制を対象とする記載となった。
監査上の主要な検討事項の対象が、前年のHEV関連事業の固定資産の減損(1,261百万円)から、WorldLink&Companyに係るのれんを含む資金生成単位の減損損失の認識及び測定(1,464百万円)に変更された。今年は処分コスト控除後の公正価値347百万円を回収可能価額とし、使用価値の算定方法や不動産鑑定評価に基づく公正価値の算定について説明が追加されている。
KAMの「使用価値の算定の合理性の評価」において、資金生成単位の業績確認の目的が「兆候判定」「帳簿価額を回収できないことを示す状況の有無の検討」から単に業績の閲覧へと表現が変更された。あわせて、割引率について評価専門家の算定レポートを閲覧し前提条件・評価手法・基礎データの合理性を検討すること、成長率を外部データと比較して検討することが監査手続として追加された。
気候変動リスクの記載のうち、「物理リスク」が「物理的リスク」に表記変更された。また移行リスクへの対策について、環境・気候変動に関する審議推進委員会(委員長:代表取締役社長)から、代表取締役社長を議長とするサステナビリティ会議を中心とした審議・推進体制へと記述が改められた。リスク内容自体に変更はない。
所在地別の概況の対象年度が2025年3月期から2026年3月期に更新され、売上収益・構成比・営業利益の数値が差し替えられた。米州は営業損失から営業利益に転じ、日本の営業利益は減少、アジア・オセアニアの構成比は37.8%から40.6%に上昇した。リスク内容を述べる本文は変更されていない。
前年の報告書には「会計方針の変更」の項目があり、「該当事項はありません」と記載されていたが、今年の報告書ではこの項目自体が記載されていない。会計方針の変更が新たに生じたとの記載は確認できず、実質的な内容の変化はない。
固定資産の減損に関する監査上の主要な検討事項(KAM)の題名が「減損の兆候及び認識の判定」から「減損損失の認識の判定」に変更され、有形・無形固定資産残高が56,787,448千円(総資産の56%)から58,760,433千円(57%)に、減損損失が430,527千円から957,494千円に増加した。記載の焦点は兆候判定・回収可能価額の測定から割引前将来キャッシュ・フローによる認識判定に移り、監査手続も見積期間や将来の設備投資額の確認などに更新されている。
資産の価値下落リスクの記載から、保有資産の例示として挙げられていた「退職給付信託における株式」が削除された。投資有価証券および事業用・販売用不動産に関するその他の記載内容は変更されていない。
前年は「法人税、住民税及び事業税等に関する会計基準」等の適用に関する会計方針の変更が連結・個別とも記載されていたが、今年は「該当事項はありません」との記載に変わった。前年の変更による財務諸表への影響はもともと「ありません」とされており、実質的な影響を伴う変更ではない。
KAMの「使用価値の見積りの合理性の評価」について、前年は受注損失引当金に関連するソフトウェア開発案件の総原価見積りの評価手続が記載されていたが、今年はインフォコムの事業計画に基づく将来キャッシュ・フローや割引率の評価手続に置き換わった。のれん等の減損判定における使用価値(GRANDIT事業の売上増加、シナジー効果、割引率)が監査上の検討対象となっている。
監査上の主要な検討事項(KAM)における内部統制の評価対象が、前年の「総原価の見積り(案件完了予定時期や必要作業の織り込みの聴取統制)」から、今年は「のれんを含む資金生成単位の減損テストにおける使用価値の算定」に変更された。今年はインフォコムの事業計画・将来のシナジー効果・割引率に係る主要な仮定について、経営者による適切性の検討・承認に関する統制に焦点を当てている。
監査上の主要な検討事項(KAM)の対象が、前年の「受注損失引当金に関連するソフトウェア開発案件の総原価の見積りの合理性」(受注損失引当金1,460百万円)から、「インフォコムに配分されたのれんの減損損失の認識の要否に関する判断の妥当性」(のれん28,347百万円、総資産の7%)に変更された。使用価値の算定に用いる事業計画、GRANDIT事業の売上増加、シナジー効果、割引率の見積りが高い不確実性を伴う点が理由として記載されている。
前年は、みずほ東芝リースによる違約金請求訴訟(請求額10,926百万円)の詳細と、和解金5,000百万円の支払や訴訟損失引当金2,260百万円の計上などを記載していた。今年は「該当する事項はありません」とし、同訴訟が2025年5月19日の和解成立で終結した旨を簡潔に記載する形に変更された。
情報セキュリティのリスク項目に、2024年度末に発覚した不正アクセス事案を踏まえた再発防止策が追記され、情報セキュリティ委員会の機能強化と、社直下の情報セキュリティ本部の新設(2026年4月1日付発足)、悪意者対策としての発見的統制機能の装備が記載された。また下請法への言及が取適法に置き換わり、委託先管理に関する表現も修正された。
前年は「異常な変動はありません」としていたが、今年は投資有価証券の売却に伴う法人所得税等の一時的な支払増加や、連結範囲変更を伴う子会社株式の取得による支出により、キャッシュ・フローに大きな変動があった旨の記載に改められた。システム投資動向や案件の存否・進捗による経営成績変動の可能性、売上計上時期による四半期・半期ごとの変動に関する記載は引き継がれている。
最大の取引先である日本製鉄(株)向けの販売実績が65,303百万円(割合19.3%)から70,555百万円(割合18.5%)に更新された。金額は増加した一方、売上高に占める割合は低下している。その他の記載内容に変更はない。
景気変動リスクでは、米国関税措置が生産財関連事業に与える影響への言及が、米国の外交・通商政策動向や中東情勢の悪化による世界経済の不透明感という記載に置き換わった。カントリーリスクでは、中東情勢の悪化によるサプライチェーンへの影響(納期遅延を含む)が追加され、海外売上高が85,804百万円から96,439百万円に更新された。経営計画リスクでは「新中期経営計画」が「中期経営計画」に表現変更された。
国内直送取引の売上高に関するKAMの実証手続について、対象時期が2025年3月から2026年3月に更新された。あわせて、前年にあった「予定納期が翌期以降の売上取引について検収書・納品書等と突合する」手続の記載が削除され、通常と異なる取引の突合と翌年度計上取引の納入日確認の2手続のみとなった。
前期に記載されていた「法人税、住民税及び事業税等に関する会計基準」(2022年改正)等の適用に伴う会計方針の変更の記載が、今期は削除された。前期の記載では連結財務諸表・財務諸表への影響はないとされていた。
前年に記載されていた「デリバティブ取引に係るリスク」の項目が今年は削除された。前年は、ヘッジ目的や収益獲得目的のデリバティブ取引について、相場環境や取引相手の信用状況の変動、契約不履行が財政状態等に影響を与える可能性を記載していた。
前年に記載されていた「(6)固定資産の減損に係るリスク」の項目が、今年は事業等のリスクから削除されている。前年は、営業拠点等の固定資産の収益性低下や損失により多額の減損処理が発生し、財政状態・経営成績・キャッシュ・フローに影響する可能性を記載していた。
前年に記載されていた「繰延税金資産に係るリスク」の項目が、今年は事業等のリスクから削除された。前年は、将来の課税所得の予測次第で繰延税金資産が減額され、財政状態・経営成績・キャッシュ・フローに影響する可能性を記載していた。
前年の有価証券報告書にあった「年金債務に係るリスク」の項目が、今年は記載されていません。前年は、年金資産の時価下落や運用利回りの低下、保険数理上の前提変更による退職給付債務の増加が、費用・債務の変動を通じて財政状態や経営成績等に影響し得る旨を記載していました。
前年に記載されていた「貸倒引当金等にかかるリスク」の項目が、今年の事業等のリスクから削除された。前年は、貸倒れ急増時に多額の貸倒引当金を計上する可能性があり、財政状態・経営成績・キャッシュ・フローに影響し得ること、および十分な引当金を計上している旨を記載していた。
前年に記載されていた「当行格付の引き下げリスク」の項目が今年は削除されている。前年は、格付引き下げにより不利な条件での資金調達を余儀なくされ、財政状態・経営成績・キャッシュ・フローに影響する可能性があること、および中期経営計画に基づく企業価値向上施策に取り組むことが記載されていた。
前年に記載されていた「自己資本比率に係るリスク」の項目が、今年の事業等のリスクから削除された。前年は、国内基準の所要水準(4%)を下回った場合の早期是正措置の発動や、リスクアセットのコントロールなどの対応体制を記載していた。
事業等のリスクの記載が全面的に再構成され、「当行の持続可能性向上に係るトップリスク」として、金利ある世界での競争激化、AI等の技術変革、地域経済の縮小・人口減少、ガバナンス、政策保有株式など戦略・財務・レピュテーション分類のリスクが新たに列挙された。あわせて、自己資本比率、格付引き下げ、貸倒引当金、年金債務、繰延税金資産、固定資産の減損、デリバティブ取引に関する「その他のリスク」が記載され、信用リスク・市場リスクのリスク量計測やストレステストによる管理体制も説明されている。
事業等のリスクに「当行経営の土台となるトップリスク」の見出しで、BCPリスク、オペレーショナルリスク(情報セキュリティ・コンプライアンス・金融犯罪)、ESGリスク(環境・社会的責任)が新たに記載された。大規模災害やサイバー攻撃、法令違反、気候変動対応の遅れ、人材確保の困難化などのリスクシナリオと当行への影響が具体的に列挙されている。
前年はトップリスクを短期・中長期の影響時期と影響度のリスクマップで分類し、経営・財務・オペレーショナル等のカテゴリ別にリスクシナリオと対応策を詳細に表形式で記載していた。今年はリスクを「経営理念の実現や戦略遂行に影響を及ぼす不確実性」と定義し、トップリスクを「経営の土台」と「持続可能性向上」の2区分で整理、リスクアペタイトとの紐づけや年1回の見直し手続を記載する構成に変更された。提供された範囲では個別リスク内容・対応策の表や、リスク量計測・ストレステストの記述が確認できない。
監査上の主要な検討事項(KAM)のうち「(2)受託業務に係る売上高の正確性の検討」の項目が今年度の記載から削除された。前年は契約書の閲覧、請負・準委任契約に応じた売上高の確認、業務提供実績集計表と勤務記録・再委託先の業務報告書との照合といった監査手続が記載されていた。
監査上の主要な検討事項(KAM)の記載に、繰延税金資産の回収可能性に関する「将来の一時差異等加減算前課税所得の発生額の見積りが適切かどうかの評価」が新たに追加された。国内主要会社の責任者への質問のほか、過去の事業計画の達成状況の検討、事業計画との整合性の確認、第三者機関の市場成長情報の検討といった監査手続が記載されている。