「⑦ 気候変動リスク」が大幅に書き換えられ、従来のTCFD提言への賛同表明とTCFDの注記は削除された。代わって、台風・豪雨・豪雪等による物理的リスク(取引先の事業用資産・担保不動産の毀損、与信関係費用の増加、店舗・システムの被災)と、脱炭素移行に伴う政策・規制強化等による移行リスクが具体的に記載された。⑧のTNFD参照先の節番号・名称の変更と軽微な表現修正もある。
有価証券報告書の変化点
前年の有報と比べて文章が変わった箇所を、重要度の高い順に表示します。
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前年に記載されていた「法人税、住民税及び事業税等に関する会計基準」等の適用に関する会計方針変更の注記が、今年は記載されていない。前年の記載では、連結・単体ともに当該変更による財務諸表への影響はないとされていた。
前期にKAMとして記載された米国関連会社Baylor Genetics Holdings社への投資・Baylor Miraca Genetics Laboratories社への融資の評価が、当期は投資簿価がゼロ、貸付金も全額返済されたためKAMから除外された。エスアールエル社の臨床検査資産グループの減損判定は引き続きKAMで、固定資産残高は51,838百万円(総資産の18.5%)から42,022百万円(15.7%)に減少し、前提の記述もH.U. Bioness Complexの完全稼働から検査業務プロセスの効率化へ変更された。
減損会計リスクの対象項目が変更され、前年にあったBaylor Genetics Holdings, Inc.への投資有価証券(947百万円)とBaylor Miraca Genetics Laboratories, LLCへの貸付金(4,859百万円)の記載が削除された。エスアールエル社の臨床検査資産グループの有形・無形固定資産は51,838百万円(総資産の18.5%)から42,022百万円(同15.7%)に減少した。
プライバシーマーク認証取得のグループ会社数が6社から3社に変更され、ISMSおよびISO/IEC27001の記載が「ISO/IEC27001(ISMS)」に整理された。サイバー攻撃の高度化・巧妙化を踏まえた情報セキュリティ対策の見直しに関する記述が追加された一方、老朽化システムの改修・更新対応の記述や、リスク顕在化事象の具体的列挙(ソフトウェア・ハードウェア不具合、コンピューターウィルス、テロ、誤請求、データ消失等)は簡略化された。
前年度に記載されていた「法人税、住民税及び事業税等に関する会計基準」等(2022年改正会計基準・適用指針)の適用に伴う会計方針の変更の注記が、当年度は削除されている。前年度の記載では、連結・個別ともに財務諸表に与える影響はないとされていた。
前年の監査上の主要な検討事項(KAM)に含まれていた、実行予算の変更に関する監査手続(試算更改前後の比較資料の閲覧、最新の実行予算の精度評価、差異要因の反映状況の検討)の記載が、当年では削除されている。KAMの手続記載の一部が無くなった形であり、記載の理由は示されていない。
前年の監査上の主要な検討事項(KAM)に記載されていた、実行予算と工事原価の実績を比較・分析し、適時・適切に総工事原価の見積りを見直すための統制を評価したという監査手続の項目が、今年は記載されていない。
前年のKAM(監査上の主要な検討事項)に記載されていた、工事原価及び工数の積算と適切な実行予算の策定プロセスに関連する統制の評価に関する監査対応の記載が、今年は削除されている。当該項目に対応する記載は今年の記載には見当たらない。
監査上の主要な検討事項(KAM)の節に、利益率等一定の基準で抽出した工事契約について、その要因を質問し、注文書や社内検討資料を閲覧して実行予算の見積りの適切性を検討したとの監査手続の記載が新たに加わった。前年は該当する記載がなかった。
監査上の主要な検討事項(KAM)の対応手続に関する項目として、実行予算の見積原価の明細を入手閲覧し、仕入先・外注先・工事業者から入手した見積書等と照合したとの記載が新たに追加された。前年には対応する記載はなかった。
監査上の主要な検討事項(KAM)に関して、「工事原価及び工数が適切に積算され、適切な実行予算を策定するプロセスに関連する統制を評価した」という監査手続の見出しが新たに追加された。前期には該当する記載がない。
監査上の主要な検討事項(KAM)の監査上の対応手続に関する記載のうち、工事契約毎の実行予算と実績を比較し、差異の理由を検討して当期の実行予算の見積額への反映を確認する手続の項目が、今年は記載されなくなった。KAMの対応手続の記述が一部削除されている。
前年の監査上の主要な検討事項(KAM)に含まれていた、実行予算の見積原価の明細を入手し、仕入先・外注先・工事業者の見積書や積算資料と照合し、同種工事の原価実績データと比較するという監査手続の記載が、今年は存在しない。KAM関連の手続記載の削除であり、他の記載との関係は今回の抜粋からは確認できない。
監査上の主要な検討事項(KAM)の節に、「工事契約毎の実行予算と実績を比較し、差異の理由を検討して実行予算の見積りが適切かを検討した」という監査手続の項目が新たに記載された。前年は該当記載がなく、KAMにおける監査人の対応手続の記述が追加された形である。
監査上の主要な検討事項(KAM)における対応手続の記載から、総工事原価の見積りを適時・適切に見直すための統制を評価したとの趣旨の文言が削除された。工事契約ごとの実行予算に基づく総費用見積りの適切性を評価する手続の記載は維持されている。
KAMの対象は引き続き「工事契約における工事完了までの総費用の見積り」だが、記載が工事進行基準から収益認識会計基準に基づく「履行義務の充足に係る進捗度に基づく収益認識」へ表現変更された。計上金額は15,677百万円(工事進行基準に基づく計上額)から16,574百万円(進捗度に基づく収益認識による売上高)に更新され、監査手続の記載は内部統制評価の1項目のままである。
前年度に記載されていた「法人税、住民税及び事業税等に関する会計基準」等(2022年改正会計基準・適用指針)の適用に関する会計方針変更の記載が、当年度では削除された。前年度の記載でも連結・個別財務諸表への影響はないとされていた。
監査上の主要な検討事項(売上取引の個別検証)の監査手続の記載が一部修正された。「検証した」が「確認した」に改められ、取引抽出の基準が「一定金額以上」から「監査上のリスクに基づき一定の」取引へと変更された。箇条書きの記号や改行など体裁も変更されている。
監査上の主要な検討事項(KAM)の「内部統制の整備及び運用評価」について、「整備・運用」が「整備及び運用」に改められ、箇条書きの記号が「・」から「●」に変わった。手続の内容や検証対象に実質的な変更はなく、表記上の修正にとどまる。
KAM「売上高の発生の妥当性」の対象売上高が49,465百万円から48,611百万円に更新され、「機械工具商品」の定義(測定器具、工作用器具、機械工具、空圧・油圧器具等)が追記された。内部統制に関する記述も、営業所長の承認や売上データ生成の流れを中心に再構成されたが、KAMの対象事項自体(売上高の発生の妥当性)に変更はない。
前年に記載されていた「法人税、住民税及び事業税等に関する会計基準」等(2022年改正会計基準・適用指針)の適用に関する会計方針変更の注記が、今年は記載されていない。前年の記載では、連結・個別ともに財務諸表への影響はないとされていた。
保有有価証券の時価下落リスクの項目で、当連結会計年度末の投資有価証券計上額が36,230百万円から42,620百万円へ更新された。「または」を「又は」とする表記の変更もあるが、リスクの内容や参照先の記載に変更はない。
「エコ商材」が「環境配慮商材」に表現変更された。気候変動リスクの記述では、TCFD賛同(2023年4月)の言及に代わり、サステナビリティ委員会による評価・モニタリングと取締役会による監督体制、TCFD提言フレームワークに沿った開示との記載が加わった。参照先のコーポレート・ガバナンス報告書の開示予定日も2025年6月18日から2026年6月17日に更新された。
為替変動リスクの記載本文は前年と同一で、当連結会計年度の実績数値のみ更新された。為替差損は811百万円から9百万円に減少し、為替換算調整勘定は28,148百万円から40,460百万円に増加した。
商品市場の変動リスクの項目で、当連結会計年度における具体的な影響事例が差し替えられた。前年は生活産業事業の食品ビジネス(米国市場での水産加工品など日本食向け商材の価格下落)が挙げられていたが、今年は情報電子事業の太陽光発電関連ビジネスにおける市場価格下落の影響に変更された。リスクの一般的な説明や在庫管理等の対応方針の記載に変更はない。
取引先の信用リスクの記載について、受取手形及び電子記録債権が29,691百万円から25,553百万円、売掛金が173,813百万円から179,470百万円、棚卸資産が86,732百万円から96,524百万円に更新され、総資産に占める合計割合が66%から61%に変わった。リスクの内容や与信管理体制に関する記述に変更はない。
貸出金・事業性貸出・住宅ローン・連結総資産・貸倒引当金の金額が当期末の数値に更新された(貸出金4,680,029→4,844,454百万円、貸倒引当金10,295→9,763百万円)。経済環境の不透明要因の記載が、米国の関税政策等から中東情勢の緊迫化による資源価格高騰、国内金利上昇・円安へと変更された。監査手続では検証対象先の抽出における考慮事項に、機械学習を用いた自己査定異常検知ツールによる分析結果が追加された。
開発用不動産の評価に関するKAMの監査手続の記載が整理され、現場視察の位置づけが他の手続と一体の記述に改められた。また、見積原価の比較対象が「将来発生原価」から「直近見積原価」に変更された。監査対象や項目自体に変更はない。
棚卸不動産の正味売却価額に関するKAMの監査手続の記述が一部修正された。参照する事例が「近隣の取引事例及び直近の販売実績」から「直近の近隣の取引事例または販売実績」へ変わり、検討対象が「周辺物件の販売価格」から「正味売却価額」へ、整合性の確認先も売買契約書・請負契約書から算定方法に応じた外部データまたは直近の販売実績等へ変更された。
気候変動リスクの項目で、TCFDワーキンググループの協議内容に、従来のTCFD提言の枠組みに加えてSSBJ基準等に基づく情報開示への対応が追加された。協議事項①の「TCFD提言に基づく情報開示」は「SSBJ基準等に基づく情報開示」へ変更され、リスク内容を述べる末尾の記載に変更はない。
前年度に記載されていた「法人税、住民税及び事業税等に関する会計基準」(2022年改正会計基準)等の適用に伴う会計方針の変更の注記が、今年度は記載されていません。前年度の記載では、連結・個別財務諸表への影響はないとされていました。
電子部品業界向けの売上構成比率が高いことに関するリスク項目で、見出しの助詞が「について」から「が高いことについて」に変更された。数値は2025年3月期のセラミックス事業54.2%・エンジニアリング事業20.9%から、2026年3月期の55.4%・21.0%に更新された。リスクの内容や評価自体に変更はない。
長期未収入金に対する貸倒引当金の妥当性に関する監査手続について、SIACが発行した最終仲裁判断書の閲覧と、SSI株主の保有資産及び資金調達能力に関する会社評価の検討が新たに追加された。また、弁護士への質問に会社の見解との整合性の確認が加わった。従来の手続(DLの財政状況・株式価値の回復可能性の検討)は維持されている。
長期未収入金の計上額が3,289百万円から3,517百万円に変更された。記載内容は、DL株式の価値に基づく回収可能性評価の説明から、2024年2月のシンガポール国際仲裁センターへの仲裁申請と2026年4月の返還命令の最終判断、支払期限内の入金未確認、SSI株主の資産状況の不確実性へと更新された。回収可能性はないとの評価は前期から変わらず、貸倒引当金全額計上の状況も継続している。
ベトナム事業は「2025年7月本格稼働予定・初期の安定稼働」から「長期安定稼働の定着に向けた設備保全と人材育成」へ記述が変わり、為替変動では新たにベトナム関連借入残高と金利上昇による金融費用増加が追記された。また、戦略分野では売上構成比に大きな変化がない旨、原料ではイットリウム・中重希土類の中国偏在と輸出規制の継続が明記され、「投資設備の減損について」の項目は削除された。情報セキュリティ、気候変動、カントリーリスク等の各項目も具体的な事象や影響の記述が拡充されている。
前年に記載されていた「法人税、住民税及び事業税等に関する会計基準」等の適用に伴う会計方針の変更の注記が、今年は削除されている。前年の記載では、連結財務諸表への影響はないとされていた。
前年の監査上の主要な検討事項(KAM)に記載されていた「公正価値により測定した無形資産の測定の検討」の項目が、今年は記載されなくなった。販売予測の見積りや割引率に関する監査手続の記述も併せて削除されている。
監査上の主要な検討事項(KAM)の記載のうち、「内部統制の評価」の項目が前年から削除された。前年は、識別可能な取得資産及び引受負債の取得日時点における公正価値の測定に関する内部統制の整備状況及び運用状況の評価を実施した旨が記載されていた。
前年の監査上の主要な検討事項(KAM)にあった、デサイフェラ社の企業結合で取得した特許権及びライセンス等に係る無形資産(315,036百万円)の計上に関する記載が、今年は削除された。ロイヤルティ収入等の計上額の検討に関する記載は引き続き残っている。
海外における医療費抑制策の例示として、「米国における最恵国待遇に関する大統領令」への言及が新たに追加された。売上収益が減少した場合に経営成績・財政状態が影響を受ける可能性があるという枠組みや、対応策の記述に変更はない。
回収可能価額の検討に関する監査手続の記述が、販売期間の見積りと販売高の見積りを別項目に分けるなど文言の整理・一部修正がなされた。ロイヤルティ収入等の計上額は156,107百万円から173,178百万円へ、売上収益に占める割合は32.1%から33.6%へ更新された。KAMの対象項目や決定理由の構成自体に変更はない。
監査上の主要な検討事項(KAM)における内部統制の評価の記載が、「回収可能価額の算定」のみから「減損の兆候の把握及び回収可能価額の算定」に関する内部統制の評価へと、対象範囲に減損の兆候の把握が加わる形で変更された。他の記載内容に変更は見られない。
特許権及びライセンス等に係る無形資産及びのれんの評価に関するKAMの対象は前年と同一で、数値が更新された。無形資産残高は330,041百万円から353,581百万円、特許権等の無形資産は322,822百万円から347,163百万円(総資産比30.3%から31.3%)、のれんは21,186百万円から22,654百万円となり、仕掛研究開発費の減損損失は6,000百万円から1,939百万円に減少した。回収可能価額の算定方法の記載は「いずれか」から「いずれか高い方」へ表現が変わった。
自然災害・感染症・事故に関するリスク項目で、助詞の調整(「フジヤマ工場、山口工場」→「フジヤマ工場および山口工場」)、「個所」→「箇所」、「海外子会社」→「海外グループ会社」、「オールハザードに対応した」→「様々なインシデントに対処できる事業継続計画(オールハザード型BCP)」など、表記・表現の修正が行われた。リスクの内容や対策の実質的な変更はない。
新たな副作用リスクの記載が改訂され、承認取消等の処分を受ける条件が「承認時に想定されたリスクベネフィットバランスが大きく崩れる許容できないレベルの重篤な副作用の発現や頻度の著しい増加」と具体化された。一方、前年にあった「損害賠償金の支払い」への言及は削除され、売上収益の減少等による影響の記載のみとなった。リスク管理計画や安全性対策の記述は変更されていない。
コンプライアンスのリスク記載に、法令遵守にとどまらず社内規範や企業倫理の徹底、社会的責任への対応が求められるという趣旨が追加された。リスク事象として「企業倫理に反する行為や社会的信用を損なう不適切行為」が加わり、体制の記述も「法規制が遵守されるよう徹底」から「社内規範および企業倫理の徹底が図られるよう努めています」へ変更された。
オプジーボ関連の売上収益比率の基準年度が2025年3月期から2026年3月期に更新されたが、割合は「約50%台半ば」のまま変わらない。対策の記述では、ベレキシブルが米国で承認審査中である点や「ONO-4578」「ONO-2808」などのパイプライン名が追加され、Sapablursenは「sapablursen」表記となった。「オプジーボに依存した経営体制を一気に改善」との表現は「製品構成の改善を図っていく」に穏やかな表現へ変更された。
海外展開に関する記載で、「新薬」が「医薬品」に、「開発型国際製薬企業(グローバルスペシャリティファーマ)」が「グローバルスペシャリティファーマ」に簡略化され、「共に」が「とともに」に表記変更された。リスク内容や対応策の実質的な変更はない。
新製品の開発に関するリスク項目の冒頭部分で、「新薬開発」が「医薬品開発」に、「開発型国際製薬企業(グローバルスペシャリティファーマ)」が「グローバルスペシャリティファーマ」にそれぞれ表現が簡素化された。リスクの内容や影響に関する記載(開発中断による収益への影響など)に変更はない。