前年に記載されていた「国際情勢や経済環境等の変化によるリスク」の項目が今年は記載されていない。前年はウクライナ・中東情勢の緊迫化、米国新政権の関税政策、世界景気の減速や国内人口構成の変化によるエネルギー需要・価格変動が業績に影響する可能性を挙げていた。
有価証券報告書の変化点
前年の有報と比べて文章が変わった箇所を、重要度の高い順に表示します。
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リスク項目の構成が大幅に再編され、「国際情勢や経済環境等の変化によるリスク」が新設されるとともに、中東情勢への具体的言及(原油・ナフサの調達、商品市況、基礎化学品)が追加された。また営業利益感応度の記載が税引前利益へ変更され、原油1ドル変動で年間100億円から80億円、為替1円変動で50億円から40億円となった。さらに気候変動・環境規制・事業投資(ニソン製油所プロジェクト)・人権・コンプライアンス・知的財産・自然災害等の項目が個別リスクの節に含まれる構成となった。
事業等のリスクの冒頭に「当社グループのリスク管理」の節が新設され、リスクに対する考え方、ERM体制(リスク経営委員会・リスク・コンプライアンス委員会)、ERMの運用(重要リスクの選定、PDCA運用)が記載された。中東情勢の緊迫化やホルムズ海峡を含む海上輸送を巡る情勢変化が、原油調達・物流・エネルギー価格等に影響し得る重要な経営上のリスクと明記された。
前年は「(7)事業等のリスク管理」の見出しで、サステナビリティ(ESG)共通のリスク管理の記載を参照する旨のみが記載されていたが、今年はこの項目自体が削除された。参照先の記載の有無や内容は、この項目からは確認できない。
前年に存在した「(3)気候変動に関するリスク」の項目が削除された。前年の記載は「2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (2)気候変動対応」を参照する旨のみで、独立した記載内容は無かった。
「事業等のリスク」の前文が削除され、見出しのみとなった。リスクマネジメントの強化(2025年度からの本格運用)、重要な影響を及ぼす可能性のある事項の説明、セグメント別記載および将来に関する記述の判断時点に関する説明文が記載から無くなった。個別のリスク項目自体の変更は本項目からは確認できない。
前年の監査上の主要な検討事項(KAM)にあった「(3)主要な仮定の検討」の項目(経営環境・少子化の影響の見込みや契約園数・会員数の将来予測に関する監査手続の記載)が、今年は記載されていない。この項目に対応するKAMの記載自体が削除されている。
前年の監査上の主要な検討事項(KAM)にあった「将来の課税所得の見積りの合理性評価」の項目が、今年は記載されていない。前年は企業の分類判定、事業計画と予算の整合性、スケジューリング、過年度の予算実績比較、不確実性を加味した試算などの監査手続が記載されていた。
監査上の主要な検討事項(KAM)に関する項目のうち、繰延税金資産の回収可能性の判断(企業の分類の判定を含む)に関連する内部統制の評価についての記載が、当期の報告書では削除されている。前期にあった当該内部統制の整備・運用状況の有効性評価に関する記述が見られなくなった。
監査上の主要な検討事項(繰延税金資産の回収可能性)の対象は前年から継続しているが、金額が更新され(繰延税金資産516,875千円→638,839千円、評価性引当額32,836千円→18,748千円)、決定理由が変更された。前年の「少子化の進行による影響は限定的」という主要な仮定への言及は無くなり、取締役会承認の事業計画に基づく課税所得見積りの不確実性が理由として記載され、監査手続も具体的に列挙されている。
流行性疾患の蔓延に伴う事業機会の滅失に関するリスク記載のうち、リスク内容の説明部分は前年と同一である。対策の記述が、事業運営機能のオフィス分散化から「業務の効率化・適正化に向けたオフィスの集約」へ変更され、テレワーク体制の整備や行動ガイドライン策定による業務継続性確保という表現に改められている。
前期は「法人税、住民税及び事業税等に関する会計基準」(2022年改正会計基準)等を期首から適用した旨が記載されていたが、当期は「該当事項はありません」に変更された。前期の適用による財務諸表への影響はないと記載されていた。
業務リスク全体で、関連するマテリアリティの名称が見直され(例:「安全なモノづくり」→「製品の安定供給」、「経営の安全性向上」→「コンプライアンスの向上」「気候変動への対応」等)、「法規制の変化」と「コンプライアンス」が別項目に分割されました。製品安全でSNSによるレピュテーションリスクの言及と化学物質ランク付け管理の導入が追記され、脱炭素ではSBTi認定目標(2030年にScope1・2で46.3%、Scope3で25%削減)、生物多様性ではTNFD開示、循環型社会では環境規制対応遅れのリスクが追記されました。関係会社数は子会社88社・関連会社4社から子会社87社・関連会社1社に変更され、グループ会社ガバナンスの調達本部に関する記述が削除されています。
「海外取引・為替リスク」が「財務・為替リスク」と「海外取引」に分割され、貿易取引の大半が米ドル建てである旨が新たに記載された。また、中東における軍事衝突やホルムズ海峡封鎖による物流混乱、石油由来原材料の調達リスクが原材料確保や各セグメントのリスクに追加された。さらにメンブレン事業では中国景気減速や紅海・スエズ運河を含む物流網混乱への言及が追加され、パーソナルケア材料事業では黒字化の記載が加わった。
監査上の主要な検討事項(KAM)の内部統制評価の記載で、評価対象が「固定資産の減損損失の測定」から「固定資産の回収可能価額の測定」に表現変更された。対象はのれんを含む資金生成単位に関する内部統制の整備・運用状況の評価で、その枠組み自体に変更はない。
KAMの対象(AFG社に配分されたのれんの評価の妥当性)は前年と同一で、のれん総額は57,167百万円から64,125百万円、AFG社配分額は46,869百万円から53,037百万円に更新された。前年に記載されていた当年度の減損損失3,298百万円の計上に関する記述は、今年度の記載から無くなっている。
サイバー攻撃リスクの記載が拡充され、BCPの策定、ランサムウェア対応マニュアルの随時改定、対応訓練やeラーニングの実施といった取組に加え、ランサムウェア等による大規模システムダウンで放送業務の継続が困難になる事態が具体的に明記された。影響の表現も「影響を与える可能性」から「重大な影響を与える可能性」に強められた。また、「出資委員会」が「投融資委員会」に名称変更されている。
アニメビジネスの海外展開リスクに、中国・ロシア・中東などの社会情勢変化や地政学的緊張に伴う関税引き上げ・輸出入規制・経済制裁の強化リスクが新たに追加され、計画未達の場合に重大な影響を与える可能性があるとの記載が加わった。動画配信事業ではParavi(U-NEXTとの統合)に関する記述が削除され、TVerへの関与の表現も変更された。生成AI関連の委員会名は「AI委員会」から「AI推進会議」(2026年4月設置)に変更された。
「視聴環境の変化について」の項に、巨大な資本力を持つ外資系動画配信サービスの伸長により、リアルタイムの放送視聴率低下が想定以上に加速しているとの記述が追加された。その他の記載(テレビ広告収入の項を含む)は前年と同一である。
前年にあった「2024年9月にランサムウェア攻撃を受け、生産活動等に影響が生じた」との具体的な被害実績の記述が削除された。あわせて「中段」の誤記が「中断」に修正されたが、サイバー攻撃等による業績影響の可能性や対策の記載は維持されている。
KAMの対象が、株式会社ヒューマン&テクノロジーの株式取得(取得額500,000千円、のれん220,098千円)から、株式会社グリーンキャットの株式取得(取得額700,000千円、のれん494,640千円)に変更された。新たに顧客関連資産292,957千円(償却15年)が識別され、監査上の検討対象にのれんと顧客関連資産の計上額が含まれ、のれん償却期間も7年から9年となった。監査手続にも顧客関連資産の評価手法や割引率の妥当性の検討が追加された。
技術革新によるリスクの評価が、顕在化可能性「低」から「中」、影響度「中」から「高」へ引き上げられた。あわせて、DX関連事業への投資に関する記述が削除され、技術革新の進展を「急速に進んでおり」と表現が強められた。
前年に記載されていた「感染症蔓延に関するリスク」の項目が、今年は削除された。前年は新型コロナウイルスの変異株や未知の感染症による医療逼迫が業績に影響する可能性と、事業継続計画(BCP)策定・安全在庫確保などの対応を記載していた。
事業等のリスクに「(9)中東情勢による原材料の価格変動および調達に関するリスク」が新たに追加された。プラスチック等の石油関連原材料の価格高騰や、サプライヤーの供給中断・遅延、販売価格への転嫁遅れによる収益性低下の可能性が記載されている。対策として、調達先の多様化、代替原材料の検討、価格交渉やコスト低減施策が挙げられている。
「建築コスト上昇リスク」の項目が削除され、新たに「地政学リスク」が追加された。新項目では、建材調達網の目詰まりによる竣工・引渡し遅延、資源価格・電気料金高騰による建築原価の押上げ、地方都市でのコスト転嫁の難しさによる収益性圧迫が挙げられている。また、法令違反リスクの対応方針で「内部監査部門」が「内部監査室」に表記変更された。
災害リスクの記載で、「大規模な災害が発生した場合は」という限定表現が削除され、段落が分割された。あわせて、BCPに基づく安否確認システムの運用、インフラのバックアップ体制、系列局との放送継続体制などの対策と、想定を上回る被害が生じた場合に業務停止や復旧費用の発生で業績・財政状態に重大な影響を与える可能性がある旨が追加された。
前年度に記載されていた「法人税、住民税及び事業税等に関する会計基準」(企業会計基準第27号)等の適用に関する会計方針の変更の注記が、今年度は記載されていない。前年度の記載では、連結財務諸表および財務諸表への影響はないとされていた。
収益認識に関するKAMの対象は引き続き商品及び製品の売上高で、連結売上高の記載が150,735百万円から158,535百万円に更新された。旧社名(藤森工業株式会社)の併記が削除され、注記事項の参照番号が4から5に変更された。監査上の対応から、新規登録得意先の実在性確認に関する手続が削除された。
前年度に記載されていた会計方針の変更(2022年改正の法人税等会計基準等の適用、およびグローバル・ミニマム課税制度に係る実務対応報告第46号の適用)に関する項目が、当年度の報告書では記載されていない。前年度の記載では、いずれも連結財務諸表・財務諸表への影響はないとされていた。
主語が「当社」から「当社グループ」に変更され、許可名称・許可番号・取得年月・有効期限を示す表の記載が削除された。顕在化可能性(低)・影響度(中)の評価やリスクの内容に変更はない。
業績の季節変動に関するリスク記載の文言と評価区分(顕在化可能性:低/影響度:小)は変わらず、四半期別の売上高・営業利益の表が1年分ずつ更新された。通期売上高は7,684,716千円から8,655,781千円へ、営業利益は562,699千円から672,439千円へ推移し、下半期の営業利益構成比は54.0%から68.2%となった。
人材育成に関する取組の記述が、前年の「リスキリングによる『DX技術研修』」から、今年は「必要な時に必要な研修を適時に受講可能なオンデマンド型の外部技術研修」に変更された。顕在化可能性(低)・影響度(中)の評価やリスク内容、労務管理上の対策、業績への影響に関する記載に変更はない。
特定顧客依存リスクの売上高比率が更新され、日立製作所は42.9%から33.1%(日立製作所グループ全体は68.3%から57.0%)に低下し、三菱電機ソフトウエアは9.1%から8.6%となった。新たにBIPROGY(株)が売上高比率9.0%の大口顧客として記載され、パートナー認定の対象や月次管理の対象にも追加された。リスクの評価区分(顕在化可能性:低/影響度:大)や顕在化時の影響に関する記述は変更されていない。
前年に記載されていた「法人税、住民税及び事業税等に関する会計基準」(企業会計基準第27号)等の適用に関する会計方針の変更の記載が、今年は削除されている。前年の記載では、経過的な取扱いに従っており、財務諸表への影響はないとされていた。
前期に記載されていた「法人税、住民税及び事業税等に関する会計基準」(2022年改正会計基準)等の適用に伴う会計方針の変更の記載が、当期には掲載されていない。前期の記載では連結・単体とも財務諸表への影響はないとされていた。
KAMにおける工事原価総額の見積りの合理性評価の監査手続の記載が見直された。比較の対象が「類似案件の過去実績」から「当連結会計年度に完成した工事案件の当初見積りと実績」に変わり、案件管理責任者への質問や資料照合に関する手続も統合・簡素化された。監査対象とする事項自体に変更はない。
事業等のリスク全般で文末表現が整理され(「可能性があります」→「可能性を有する」等)、提出日が更新された。実質的な変更として、気候変動リスクが具体化され、物理的リスクにデータセンター停電による事業継続リスク、移行リスクにガソリン中古車オートローン取扱高の減少可能性が追加された。あわせて、サイバーセキュリティの対応策に他社インシデント事例を参考にした改善、外部不正の対応策に生体認証導入に向けた取組、人的リスクにDX・AI人材や人権リスクの負の影響の防止・軽減などが加わった。
トップリスクが7項目から9項目に増加した。前年の「サイバー攻撃・大規模システム障害」を「サイバー攻撃」と「大規模システム障害等」に分割し、新たに「技術革新等による事業への影響」を追加した。金利上昇リスクにはグローバルインフレ・米国関税政策・地政学の影響が明記され、人財マネジメントのシナリオにも経営方針・理念の浸透遅延が加わった。
貸倒引当金のKAMでは、検討対象が「個人消費の動向」から「国内の経済環境の動向」に変わり、外部情報との比較対象も物価上昇の継続や所得・雇用環境の見通しに更新された。繰延税金資産のKAMでは、計上額が33,359百万円(2025年3月末)から33,473百万円(2026年3月末)に更新され、事業計画の前提の記述も、雇用・所得環境の改善、物価上昇の継続、市場金利の上昇など当期の状況に差し替えられた。KAMの対象項目自体は同一である。
KAM「貸倒引当金の見積り」の対象は前年と同じで、貸倒引当金計上額が135,216百万円から134,747百万円に更新された。予想損失率の仮定の根拠が、「消費支出の緩やかな増加」から「物価上昇が続く中でも雇用・所得環境が改善し延滞発生額が大幅に増えなかったこと」へ書き換えられたが、「予想損失率は大幅な上昇とはならない」という結論の仮定は維持されている。
前年に記載されていた「法人税、住民税及び事業税等に関する会計基準」(2022年改正会計基準)等の適用に関する会計方針変更の注記が、当年では記載されなくなった。前年の記載では、連結・個別ともに財務諸表への影響はないとされていた。
監査上の主要な検討事項(KAM)のうち債務者区分判定の実証手続について、検討対象先の抽出観点が「債務者の所在地、業種、資源価格高騰等の影響等」から「資源価格高騰等の影響を受けやすい業種、支店、地域等」へ言い換えられた。また、経営改善計画の評価手続の記述が整理され、外部情報の例として「債務者の属する業界の動向や同業他社の業績動向等」が追記された。手続の骨子に大きな変更はない。
前年度の報告書にあった「法人税、住民税及び事業税等に関する会計基準」(企業会計基準第27号)等の適用に関する会計方針変更の記載が、今年度では削除された。前年度の記載では連結財務諸表に与える影響はないとされていた。
バイオマス発電事業の公正価値評価に関するKAMの対象が、前年の合同会社御前崎港バイオマスエナジーの追加取得(再測定益4,428百万円)から、当年は合同会社唐津バイオマスエナジーの追加取得(再測定益1,676百万円)に変更された。前年に記載されていたその他の金融資産133,329百万円、デリバティブ資産830百万円、オプション公正価値評価損279百万円の記載は削除され、コール・オプションの保有に関する説明に置き換えられている。
カントリーリスクの記載に「資材調達」及び「輸出入規制」が追加されました。また、フィリピンにおける太陽光発電事業について、政府のグリーンエネルギーオークションプログラム(GEAP)の落札案件が遅延した場合の日次の遅延損害金や、遅延が一定期間を超えた場合に履行保証が全額没収され落札資格が取り消されるペナルティに関する記載が新規に加わりました。その他は「テロ等」から「テロリズム等」への変更など文言の修正にとどまります。
前年に記載されていた、セグメント名称を「再生可能エネルギー発電事業」から「再生可能エネルギー発電等事業」へ、「再生可能エネルギー開発・運営事業」から「開発・運営事業」へ変更した旨の注記が削除された。セグメントの事業内容の説明自体は変わっておらず、名称変更のみでセグメント情報への影響はないとされていた。
エネルギー政策動向の項で、再生可能エネルギー比率の数値が2023年度の22.9%から2024年度の23.1%に更新され、出典の公表時期も改められた。あわせて、AI普及に伴うデータセンター・半導体工場の新増設による電力需要見通し、エネルギー自給率15.3%と国富流出、需給調整市場や系統用蓄電池の導入見通しなど、市場拡大に関する環境認識の記述が新たに追加された。その他は「更なる」「なお」等の表記揺れや語句の修正にとどまり、リスク項目自体の変更はない。
監査上の主要な検討事項(KAM)の対象が、前年の「中国の連結子会社が保有する長期未収入金に対する貸倒引当金の見積り」(貸倒引当金1,879百万円)から、「固定資産の減損」に変更された。今回は有形・無形固定資産42,052百万円(総資産の18.9%)を対象とし、装置材料セグメントのカーボンブラシ製造関連の資産グループ(閉鎖予定の中国拠点を除く)が継続的な営業損失により減損の兆候があるものの、正味売却価額が帳簿価額を上回るため減損損失は認識されていないと記載されている。
人財リスクの記載で、人財確保・育成ができない場合の影響が「事業戦略を推進できなくなる」から「事業戦略の推進に遅れが生じる」へと穏やかな表現に変更された。また、対策の記述で「働き甲斐」と「働きやすさ」、「教育」と「給与」の語順が入れ替わり、「人財の確保・育成」が「人財の確保・専門性の高い人財育成」に変更された。
サステナビリティ課題に関するリスク記載の基本的な内容は維持されつつ、取り組み内容として、GHG排出削減目標・削減計画を2026年4月に策定すること、およびアルコニックスグループ人権方針を2025年9月に改定したことが追記された。あわせて文言の整理(誤字の修正、改行の解消、「おります」から「います」への変更)が行われた。